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“Cardiovascular Continuum(心血管イベントの連続性)”における最初の異常は,血管内皮機能の低下として現れます。
依存性血管拡張反応検査(FMD:Flow-Mediated Dilation)は,見た目にはわからない「機能」の障害を捉えることができる血流動脈硬化の存在をいち早く発見し,早期からの介入へと導く有用な指標として期待されています。
きょうは、北海道大学循環器病態内科学の古本智夫先生のFMDに関する解説で勉強しました。
##FMD/見た目にはわからない血管内皮の「機能」を診る
#将来の心血管リスクの予測にも有用
血管内皮機能の評価法としては,カテーテルを前腕動脈などに挿入して計測するプレチスモグラフィが以前から利用されてきた。この方法は精度が高く,薬効評価などに非常に有効な方法であるが,患者の負担が大きく一般臨床の場で用いることには向かない。
これに対し, FMDは上腕動脈を5分駆血し,血管の拡張反応を無侵襲のエコーで観察するだけであり,患者への負担はほとんどない。
また,最近実用化された半自動測定機器なら操作も容易であり,短期間の練習で専門家でなくても測定が可能だ。

古本氏らの検討では,動脈硬化のスクリーニング検査として既に広く用いられている頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)は,冠動脈造影で90%以上の狭窄がある患者群において有意な変化を示すが, FMDは50%以上の狭窄がある患者群で既に,狭窄のない患者群に比べて有意に低値であることを見出している。
つまり,FMDは血管病変をより早期から検出できる検査と言える。
また,最近では,米国の大規模疫学研究であるMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)の一環として, FMDが中央値以下のコホートと中央値以上のコホートの心血管イベントの累積発症率には,5年間で約10%もの差(P<0.0001)が生じていたことが報告されている(Circulation 2009; 120: 502)。
このように, FMDは現在の血管の状態を反映するだけでなく,将来の心血管リスクの予測因子としても期待されている。
#心電図や血液検査同様,検査項目の1つに
ただし, FMDにも弱点はある。1つは,NOという生理的な物質を介した反応を測定する方法であるがゆえ,睡眠や食事,体調,それに温度や時間といった測定条件によって,測定値に多少の変動が生じることだ。
また,従来は専門家が目視で測定していたため,その再現性や異なる施設間での測定値の比較には限界があった。
しかし,測定装置の開発などにより,わが国でも標準化が進行している。
一方,現在でも同一患者のFMDを経時的に追跡し,「FMDの変化」を治療経過の指標の1つとして利用することは十分可能である。
なお,古本氏らの施設ではVascular Labを開設し, FMDだけでなく中心動脈血圧や脈波速度測定など血管機能を徹底的に検査し,そのデータを集積している。ここでは,健診でメタボリックシンドロームを指摘された人や,高血圧や脂質異常症患者など,血管に不安を持つ人々を予約制で受け入れている。
また,初診あるいは他院からの紹介で受診した高血圧患者には,積極的にFMD検査を勧めているという。
大学病院という性格上,患者は比較的短いサイクルでかかりつけ医に逆紹介することが多いが,その際にはFMDをはじめとした血管機能データを添付し,一見問題がないように見えても水面下で血管障害が進行している患者への対処について注意を促すようにしている。
一般開業医におけるFMDの認知度はまだ十分とは言えないが,「心電図や血液検査と同様に,危険因子のある人には,一度は血管機能検査を受けて欲しい」と同氏は述べている。
出典 Medical Tribune 2010.2.25
版権 メディカルトリビューン社
<血管内皮機能 関連サイト>
血管内皮機能評価 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080217/1
■血管内皮は,血管透過性の制御や血栓形成・凝固線溶系の調整 ,接着因子の発現,細胞外マトリックスの産生,リポ蛋白リパーゼの結合,血管壁細胞の遊走・増殖能の制御,血管トーヌスの調節などにかかわっている。
■障害された血管内皮機能は生活習慣の是正や塩酸サルポグレラート(商品名:アンプラーグR)などの薬物療法,血管新生療法によって改善が期待される。
■細胞骨格を制御するRhoキナーゼ(ROCK)の活性を低下させると,一酸化窒素(NO)の産生が増加して血管内皮機能が改善すると考えられている。
血管内皮機能評価 その2(2/2)
htt//blog.m3.com/reed/20080218/1
■FMDは,血管内皮機能のみを反映する指標ではない。
シェアストレスやNO産生の度合い,血管平滑筋の反応性,血管弾性,血管径などもFMDの規定因子である。
■FMDは変化率で表されるため,加圧前の血管径が大きいほど低くなることに留意する必要がある。
■血管平滑筋の反応性を除外してFMDを捉えるには,血管平滑筋に直接作用するニトログリセリン(NTG)を被検者に投与し,それに伴う血管拡張反応を調べなければならない。
その場合,NTGの適量は0.075mg(舌下錠 1 / 4 錠)である。
■FMD値は,検査時間・室温・音といった環境のほか,被検者の食事や運動,排泄などの状態,血管径,検査装置の性能などの影響を受ける。
したがって朝の空腹時,喫煙・カフェイン飲料摂取を6時間以上休止した状態でFMD検査を行うことが推奨される。
検査室は静かで薄暗く室温23~26度に保ち,被検者が女性の場合は月経周期も考慮する必要がある。
検査前は,10分間の安静臥床後に血圧を測定し,低血圧や徐脈のないことを確認する。
ニコランジル長期投与による血管内皮機能への影響
http://blog.m3.com/reed/20081217/1
健康な成人の血管内皮機能
http://blog.m3.com/reed/20090104/1
好みの音楽と血管内皮機能
http://blog.m3.com/reed/20081201/1
<番外編>
今日から毎日、しばらくの間、某日に拝聴した
熊本大学大学院 医学薬学研究部 循環器病態学 教授 小川久雄
http://www.kumadai-junnai.com/
先生の御講演で勉強したメモを書き綴ります。
#講演会メモ 「冠攣縮性狭心症(CSA)」その1
■熊大病院で10年以上の経過でアセチルコリンによる冠攣縮誘発試験を再施行した症例は6例あったがそのうち5例が縮誘冠動脈の部位を含めて再現性をもって陽性であった。
■右冠動脈病変のスパスムでは左側胸部誘導で(陰性U波のreciprocal changeとして)陽性U波の増高がみられることがある。
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
JAMA誌に掲載された「血管疾患のリスク予測」にTG値は不要という論文で勉強しました。
いつも感じるのですが、日本人の論文は物事を複雑化する内容のものが多く稍もすると衒学的なきらいがあります。
一方、アングロサクソン系の論文は、集約化や単純化を図る研究が多くより臨床的、現実的です。
今回の論文は2年前から始まった空腹時の採血に固執する「特定健診」を嘲笑うような内容です。
実際、この健診では、メタボには直接関係ない(項目として何故か入れられている)LDL−Cのみが異常値の方が数多くみえます。
もっともこの健診の患者への説明でシラケる瞬間です。
##血管疾患リスク推定にトリグリセリド値は不要
##総コレステロールとHDL-cのみでOK、空腹時の採血も不要
集団ベースで血管疾患のリスク予測を行う場合、必要なのはHDL-コレステロール(HDL-c)値と総コレステロール値の組み合わせ、またはアポリポ蛋白質Bとアポリポ蛋白質A1の組み合わせのいずれかであり、トリグリセリド値は不要—。
そんな研究結果が、英Cambridg大学のEmanuele Di Angelantonio氏らによってJAMA誌2009年11月11日号に報告された。
血中脂質値とアポリポ蛋白質のそれぞれ、またはそれらの組み合わせと心血管リスクの関係については、これまで、信頼できる定性分析が行われていなかった。
有効なスクリーニング法の開発や、治療における意思決定において、正確なリスク評価法の必要性は高い。
そこで著者らは、過去に行われた前向き研究から、血中脂質値、アポリポ蛋白質値に関する情報と、心血管イベント発生の有無に関する情報を抽出し、リスク評価において重要な指標はどれかを明らかにしようと考えた。
主に欧米で行われた前向き研究の中から、血管疾患歴のない人々を登録し、集団ベースで死因別死亡率または心血管イベント発生率を報告しており、ベースラインで脂質レベルなどを測定、心血管危険因子に関する情報を収集し、1年以上追跡を行っていた68件を選出。30万2430人に関する情報を得た。
68件のうち22件(9万1307人)がアポリポ蛋白質Bとアポリポ蛋白質A1を測定しており、8件(4万4234人)が直接測定LDL-コレステロール(LDL-c)値を記録していた。
登録時の平均年齢は59歳、43%が女性、60%が西欧在住者、32%が北米在住者だった。
個々の測定値の関係を調べたところ、トリグリセリドの自然対数値(loge)、HDL-c値、非HDL-c値の間に相関が見られた。特に強力な関係が見られたのは、非HDL-c値とアポB値、非HDL-c値と直接測定LDL-c値、HDL-c値とアポA1値という組み合わせだった。
279万人-年の追跡で、8857人に非致死的心筋梗塞、3928人に冠疾患死亡、2534人に虚血性脳卒中、513人に出血性脳卒中、2536人に分類不能脳卒中が発生していた。
ベースラインの脂質値とアポリポ蛋白質値のそれぞれについて、1SD上昇当たりのハザード比を求めた。
1SDの値は以下の通り。トリグリセリドは0.52 loge、HDL-cは15mg/dL、非HDL-cは43mg/dL、アポリポ蛋白質A1は29mg/dL、アポリポ蛋白質Bは29mg/dL、直接測定LDL-cは33mg/dL。
1000人-年当たりの冠イベント(非致死的心筋梗塞と冠疾患死亡)の発生率は、ベースラインのトリグリセリド値が最低3分位群では2.6、最高3分位群では6.2、HDL-cではそれぞれ6.4と2.4、非HDL-cでは2.3と6.7だった。
年齢、性別、収縮期血圧、喫煙歴、糖尿病、BMI、分析対象以外の脂質測定値(たとえばトリグリセリドと血管疾患リスクの関係を分析する場合には、HDL-c値と非HDL-c値を調整に加える)で調整し、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比を推定した。
ベースラインでトリグリセリド値が1SD高かった場合の冠イベント発生の調整ハザード比は、0.99(95%信頼区間0.94-1.05)。空腹時の採血だった患者のハザード比は1.02(0.95-1.09)、それ以外の採血だった患者では0.92(0.82-1.03)で、空腹時測定値かそうでないかは結果に影響しなかった。そのほか、虚血性脳卒中の調整ハザード比は1.02(0.94-1.11)、出血性脳卒中では1.04(0.82-1.32)、分類不能脳卒中では1.03(0.94-1.13)となった。
この結果は、トリグリセリド値が冠疾患の独立した危険因子ではない(HDL-c、非HDL-c、その他の標準的な危険因子で調整すると影響は小さくなる、または消失する)ことを意味する。
続いて、HDL-cの1SD上昇当たりの冠イベントの調整ハザード比を求めると、0.78(0.74-0.82)となり、有意なリスク低下が認められた。空腹時では0.79(0.74-0.84)、それ以外の時点の採血では0.75(0.68-0.83)だった。
そのほか、虚血性脳卒中の調整ハザード比は0.93(0.84-1.02)、出血性脳卒中は1.09(0.92-1.29)、分類不能脳卒中は0.87(0.80-0.94)となった。
非HDL-c 1SD上昇当たりの冠イベントの調整ハザード比は1.50(1.39-1.61)。空腹時採血では1.41(1.30-1.53)、それ以外の採血では1.72(1.51-1.95)。虚血性脳卒中の調整ハザード比は1.12(1.04-1.20)、出血性脳卒中は0.98(0.82-1.17)、分類不能脳卒中は1.01(0.93-1.09)となった。
直接測定LDL-c値が得られた人々において 冠イベントリスクとの関係を評価したところ、調整ハザード比は1.38(1.09-1.73)だった。
このグループで非HDL-c 1SD上昇当たりの調整ハザード比を求めたところ、1.42(1.06-1.91)でほぼ同様の値を示した。
複数の測定値を組み合わせた場合のハザード比を求めてみた。たとえば、承認されている脂質降下薬の使用で達成できるレベルの脂質値改善(非HDL-cが80mg/dL低下、HDL-cが15mg/dL上昇)では、ハザード比は0.35(0.30-0.42)になった。
推定時にトリグリセリド値に関する情報を加えても、ハザード比は変化しなかった。
また、非HDL-cとアポBの値の上昇と冠イベントのハザード比の上昇、HDL-cとアポA1のレベル上昇と冠イベントのハザード比低下の相関関係が非常に強かったことから、リスク評価においては非HDL-cとHDL-c、またはアポBとアポA1のいずれかの組み合わせを用いればよいと考えられた。
実際に、アポリポ蛋白質値または直接測定LDL-c値が記録されていたサブセットを対象に分析したところ、非HDL-c/HDL-c比が1SD上昇当たりの冠イベントハザード比は1.50(1.38-1.62)、アポB/アポA1比が1SD上昇当たりの冠イベントハザード比は1.49(1.39-1.60)でほぼ同様だった。
虚血性脳卒中についても、ハザード比は、非HDL-c/HDL-c比が1SD上昇当たり1.14(1.05-1.24)、アポB/アポA1比が1SD上昇当たり1.13(1.05-1.21)となった。
今回得られた知見に基づいて、著者らは、血管疾患リスク評価に必要なのは、総コレステロール値とHDL-c値、またはアポBとアポA1値であり、測定は空腹時に行う必要はない、と述べている。
原文
Major Lipids, Apolipoproteins, and Risk of Vascular Disease
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/302/18/1993?home
出典 NM online 2010.1.12
版権 日経BP社
<脂質 関連論文>
#Association between change in high density lipoprotein cholesterol and cardiovascular disease morbidity and mortality: systematic review and meta-regression analysis
BMJ 2009;338:b92
http://www.bmj.com/cgi/content/full/338/feb16_1/b92
■HDLコレステロール(HDL-c)は独立した心血管危険因子と認識されている。
しかし、HDL-c値の変化が冠イベントリスクにどの程度影響するのかについては議論があった。
カナダMcMaster大学のMatthias Briel氏らは、無作為化試験の系統的レビューとメタ回帰分析を行い、HDL-c値を高めても冠疾患死亡、冠イベント、全死因死亡のリスクは下がらないこと、血中脂質レベルの正常化を目指す薬物療法の目標はLDLコレステロール(LDL-c)低下に置くべきであることを示した。
#Can metabolic syndrome usefully predict cardiovascular disease and diabetes? Outcome data from two prospective studies
The Lancet, Volume 371, Issue 9628, Pages 1927 - 1935, 7 June 2008
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jama/200912/513314.html?ref=RL2
■高齢者におけるメタボリックシンドロームの存在は、2型糖尿病リスクを有意に上昇させるが、心血管疾患リスクとはほぼ無関係であることが明らかになった。
英Glasgow大学のNaveed Sattar氏らがLancet誌2008年6月7日号に報告した。
#Metabolic Syndrome and Mortality in Older Adults
The Cardiovascular Health Study
Arch Intern Med. 2008;168(9):969-978.
http://archinte.ama-
assn.org/cgi/content/abstract/168/9/969
■メタボリックシンドローム(以下、メタボと略)自体よりも、メタボの診断基準の構成要素に含まれる空腹時高血糖と高血圧が、高齢者の死亡の予測因子として有効であることが、米国の高齢者を対象とする前向きコホート研究の結果、明らかになった。米国Brigham and Women’s HospitalのDariush Mozaffarian氏らの報告で、詳細はArch Intern Med誌2008年5月12日号に掲載された。
#The Joint Effects of Physical Activity and Body Mass Index on Coronary Heart Disease Risk in Women
Arch Intern Med. 2008;168(8):884-890.
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/168/8/884
■過体重、肥満による冠疾患リスク上昇は、積極的に運動しても完全に消し去ることはできず、予防には運動と体重管理の両方が重要であることが、中高年女性を対象とする前向きコホート研究の結果、明らかになった。米国Beth Israel Deaconess医療センターのAmy R. Weinstein氏らの報告で、詳細はArch Intern Med誌2008年4月28日号に掲載された。
#Efficacy of statins in familial hypercholesterolaemia: a long term cohort study
BMJ 2008;337:a2423
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/200902/509389_2.html
■家族性高コレステロール血症と診断された患者には、スタチンが第1選択薬となる。
しかし、スタチンを投与しなかった場合に比べ、どの程度の効果があるのかは明らかではない。
そこで、オランダErasmus大学医学部のJorie Versmissen氏らは、スタチンが承認された直後から患者を追跡する方法で、スタチン使用の有無と冠イベントの関係を分析し、スタチン治療がこの疾患の患者の冠イベントリスクを約80%低下させることを示した。
詳細はBMJ誌2009年1月24日号に報告された。
スタチンを最も多く処方するわれわれ循環器医にとってきわめて重要な報告がありました。
#Statins and risk of incident diabetes: a collaborative meta-analysis of randomised statin trials
The Lancet, Early Online Publication, 17 February 2010
http://www.lancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2809%2961965-6/fulltext
■Statin therapy is associated with a slightly increased risk of development of diabetes, but the risk is low both in absolute terms and when compared with the reduction in coronary events.
■Clinical practice in patients with moderate or high cardiovascular risk or existing cardiovascular disease should not change.
<コメント>
抄録を読む限りstatins としか記載されていません。
class sise-effectなのかdrug sise-effectが一番知りたいところです。
もし数種類のスタチンでの解析であり、アトルバスタチンのみが糖尿病の悪化を来たし、他のスタチンでは問題ないと仮定します。
今回のように有意差が出たという結果は、アトルバスタチンのバイアスがかなり働いていたことになってしまいます。
これは問題です。
一方、Lancet誌では冷静な対応を呼びかけています。
#スタチン投与、糖尿病発症リスク微増も従来どおりの使用推奨:Lancet
http://doragon-tears.at.webry.info/201002/article_1446.html
ARBと降圧利尿剤の合剤が市場に出回るようになりました。
心ある先生方は降圧利尿剤による催糖尿病性を危惧しています。
スタチンも同じような可能性があるということになると・・・。
数年前からアトルバスタチンについて、糖尿病の悪化が一部で問題とされて来ました。
その火の粉が他のスタチンにも広がって来たようです。
Health Day Newsでも詳しく紹介されていました。
#糖尿病発症リスクの軽度増加にスタチンが関連
スタチン療法は糖尿病リスクの軽度増加に関係するが、冠動脈イベント発症リスクの有意な低下は糖尿病発症リスクを上回るとのレビュー記事が、「The Lancet」オンライン版2月17日号に掲載された。
英グラスゴー大学のNaveed Sattar氏らは、被験者91,140人が参加した無作為(ランダム)化比較対照スタチン試験13試験のメタ分析を実施した。
平均4年間の追跡調査期間に、スタチン群の被験者2,226人および対照群の被験者2,052人が糖尿病を発症した。
スタチン療法は糖尿病発症リスク増大に関係し(オッズ比1.09)、高齢者を対象とした試験において糖尿病発症リスクが最も大きかった。
メタ分析の結果は、患者255人に対する4年間のスタチン投与が、糖尿病患者1人が増加につながるが、スタチン投与によってLDLコレステロール濃度が1 mmol/L減少するごとに、本患者集団において主な冠動脈イベントが5件減少することも分かった。
著者らは「スタチンによる圧倒的な心血管イベント減少効果を考慮すると、スタチン療法が推奨される患者においては、短期中期的な心疾患イベント減少効果が糖尿病発症のわずかな絶対リスクを上回る。したがって、中等度または高度の心血管リスクもしくは心血管疾患を有する患者に対しては、スタチン療法の臨床適応を変更する必要はないと提案する。しかし、心血管リスクが低い患者または心血管イベント減少効果が不明の患者に対してスタチン療法を考慮する場合は、糖尿病リスクが増大する可能性を考慮すべきである」と結論している。
本リポートでの臨床試験は、製薬業界の研究助成金による支援を受けている。著者数人は、スタチン製造販売会社との財務関係を報告している。
出典Health Day News 2010.2.17
Statins and risk of incident diabetes: a collaborative meta-analysis of randomised statin trials
The Lancet, Volume 375, Issue 9716, Pages 735 - 742, 27 February 2010
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(09)61965-6/abstract
<関連サイト>
#糖尿病合併例にどのスタチンを使うべきか
アトルバスタチンでの血糖上昇を示唆する報告も
■AtがPrに比べて血糖コントロールを悪化させる可能性がある(高野達郎、山川正ら. J Atherosclerosis Thrombosis.2006;13:95-100.)
■アトルバスタチン投与でHbA1cが5.9%→6.8%
出典 NM online 2010.1.12
版権 日経BP社
#メタアナリシス:スタチンは糖尿病発症リスクを高める
http://intmed.exblog.jp/10007346/
#スタチン使用で糖尿病リスクが9%上昇
http://generalmedicine.info/modules/d3pipes/index.php?page=clipping&clipping_id=2783
まあ、こういったことを念頭に置いて糖尿病患者にはスタチンを処方しましょう、ということなのでしょう。
実は、一昨日の夕方、ピタバスタチンを発売している製薬メーカーのMRさんを相手に話(講演?)をする機会がありました。
その際にアトルバスタチンとは異なり、「当社のスタチンはこういった問題はない」というコメントがありました(豪語していました)。
一方、糖尿病患者に積極的にスタチン投与を奨励する論文がLancet誌に出ていました。
もっとも少し古い論文ではありますが・・・。
<糖尿病とスタチン 関連サイト>
糖尿病患者へのスタチン治療メタアナリシス:より広範なスタチン治療を! http://intmed.exblog.jp/6679378/
糖尿病患者におけるスタチン治療の心血管イベントに対する有効性(CTT)
Cholesterol Treatment Trialists' Collaboration: CTT Collaboration
meta-analysis
血管イベント高リスクの糖尿病患者にはスタチン系薬剤による治療を考慮すべきである。
Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaborators: Efficacy of cholesterol-lowering therapy in 18,686 people with diabetes in 14 randomised trials of statins: a meta-analysis. Lancet. 2008; 371: 117-25.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18191683?dopt=Abstract
以下は寺本民生先生のコメントです。
スタチンの動脈硬化性疾患予防効果,総死亡予防効果については,この14のメタ解析の結果が明確に示した。
この試験により,ほぼスタチンの治療意義を確立したと同時に,それまであった癌に対する懸念や脳出血に対する懸念も払拭した。
このような大規模な調査になると,いわゆる層別解析の意義が出てくる。
つまり,層別してもそれなりの例数が確保できるため,統計学的検討に耐えうるということになるのである。
本試験でも約18,000例の糖尿病患者が対象であり,糖尿病でない約7万例との比較になっている。
その結果,糖尿病におけるスタチンによるLDL-C低下効果は,糖尿病でないものと比較すると優るものではないが,ほぼ同等であることが示された。
しかも,冠動脈疾患の既往,性別,血圧,喫煙,腎機能,BMIなどを考慮しても,同様にスタチンの有効性が示された。
さらに,2型糖尿病ではLDL-Cの低下効果は,ほぼthe lower, the better に近いということで,欧米のガイドラインもそのように変更することを勧めるというコメントは興味深い。
今後,わが国も含めて真摯に考える必要があろう。
##スタチン治療は多くの糖尿病患者に有用(2008.2.7掲載)
心血管イベントのリスクを低減させる
■糖尿病患者の多くはコレステロール低下薬であるスタチン系薬剤(スタチン)による治療を考慮されるべきである――。
これは英医学誌「Lancet」1月12日号に掲載されたスタチンに関する臨床試験成績のメタ分析による結論。
英国とオーストラリアの研究者らは、スタチンが年齢、性差、他の臨床的特性、心血管疾患の既往歴の有無に関わらず、糖尿病患者の広範囲にわたって主だった心血管イベントのリスクを低減させることを明らかにした。
研究では、スタチンのLDLコレステロール(悪玉コレステロール)低下効果を検討した14の無作為化試験において、糖尿病患者1万8,686例、非糖尿病患者7万1,370例を対象にメタ分析を行った。
■平均追跡期間4.3年中に、糖尿病患者のうち3,247例が心血管イベントを発症。また糖尿病患者では、LDLコレステロール値が1mmol/L 低下するごとに全原因による死亡率(all-cause death)は9%低下していた。
非糖尿病患者でも、同様に13%低下していた。
また、糖尿病患者では、LDLコレステロール値が1mmol/L 低下するごとに主な心血管イベント発生率も20%低減しており、非糖尿病患者でも同様の低減傾向が認められた。
■研究者らは「今回のメタ分析は、心血管疾患の既往歴のない人も含めて、広範囲の糖尿病患者において、心血管イベントに対するスタチン治療の便益を示すものであり、また非糖尿病患者においても、同様のことが認められた。小児など心血管イベントの低いケース、あるいは妊娠中などスタチンの適応外のケースでない限り、糖尿病患者の多くはスタチン治療を考慮されるべきである」と結論付けている。
■ただし、英バーミンハム大学臨床薬理学のBernard Cheung教授は「スタチンの開発は現代医学における最も輝かしい成果の1つだが、我々は禁煙や健康的なダイエット、日常的な運動といったライフスタイル(生活習慣)の改善が重要であることを忘れてはならない」とコメントしている。
(HealthDay News 2008.1.11)
http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=1148
<番外編 その1>
コレステロール嘘とプロパガンダ (単行本) 翻訳本
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200707/503811.html
コレステロールに薬はいらない!
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047100668/cicada17-22/
「コレステロールに薬はいらない」だって?
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047100668/cicada17-22/
(この本についてのブログを紹介します)
<コメント>
これらの本の内容をチェックしたわけではないのでコメントは差し控えます。
「悪玉コレステロール」、低すぎると逆に死亡リスク増大
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/03/post_3282.html
が参考になります。
浜崎智仁
http://spysee.jp/浜崎智仁/1230212/
コレステロール仮説の崩壊(2):富山大学和漢医薬学総合研究所教授・浜崎智仁さん
http://report.seiko-masuoka.net/?cid=51444
<番外編 その2>
What are mg/dl and mmol/l? How to convert? Glucose? Cholesterol?
http://www.faqs.org/faqs/diabetes/faq/part1/section-9.html#ixzz0gYhsbHQy
mmol/L表示に関して・・・
HDL・LDL mmol/L → mg/dL 39で掛ける
トリグリセリド mmol/L → mg/dL 89で掛ける
血糖 mmol/L → mg/dL 18で掛ける
クレアチニン μmol/L → mg/dL 88で割る
<コメント>
Lancet誌を繙く際には非常に役立つ情報と思われます。
##冠動脈疾患の画像診断:CT血管造影およびMR心筋灌流画像法が相補的に機能
コンピュータ断層撮影(CT)血管造影は冠動脈疾患(CAD)を検出または否定し、初回循環(first-pass)磁気共鳴(MR)心筋灌流画像法はCADに起因する心筋虚血を検出することで、両者は相補的に機能するとの研究論文が「Radiology」2月号に掲載された。
オランダ、VU大学メディカルセンター(アムステルダム)のJan G.J. Groothuis氏らは、胸痛を有しCADの可能性が低度-中等度の患者145人を対象として、CT血管造影および初回循環MR画像法を実施。CAD診断能および心筋虚血診断能に関し、両造影法による画像を評価した。
その結果、CT冠動脈造影によって35.9%の患者および17.9%の冠動脈に閉塞性CADが認められ、MR心筋灌流画像法では22.8%の患者および13.6%の血管に心筋虚血が認められた。
冠動脈CT血管造影でCADが検出されなかったか、CADが非閉塞性であった患者のうち、それぞれ90.5%および83.3%の患者のMR心筋灌流画像は正常であった。
さらに著者らは、MR心筋灌流画像法の結果、冠動脈CT血管造影によって閉塞性CADが認めれた患者の42.3%に心筋虚血が検出されたと述べている。
Groothuis氏らは「MR心筋虚血灌流画像法および冠動脈CT血管造影は、CADが疑われる患者の評価において相補的役割を果たす。冠動脈CT血管造影を用いれば確実にCADが否定できるが、血行動態的に有意なCADの検出能は限定される(検出には限界がある)。両造影法を併用すると、CADの形態学的および機能的関連性を包括的および非侵襲的に医師が評価できる」と結論している。
出典 HealthDay News 2010.1.29
<番外編>
【第74回 日本循環器学会総会・学術集会 2010.3.5〜7 京都】
カウントダウンメール -総会・学術集会からのお知らせ-
熊本大学循環器病態学 小川 久雄 教授
##遺伝子解析にも眼を向けた抗血小板療法の再検討
循環器疾患の治療における一次予防および二次予防において、抗凝固・抗血小板療法が重要であることは世界的にもコンセンサスが得られています。
抗凝固薬および抗血小板薬はヘパリン、ワルファリン、アスピリンが長年主役を務めてきましたが、より理想的な抗血栓療法が求められ、近年はGPIIb/IIIa 拮抗薬や抗Xa阻害薬、選択的抗トロンビン薬など新たな薬剤も開発されてきました。
しかしながら、臓器出血に代表される副作用や血中濃度半減期の長さなどへの対応をはじめ、薬剤それぞれのメリットとデメリットの判定は医師の裁量に委ねられる部分も多く、そこにエビデンスに裏付けられた指標が明示されていないことに懸念を抱く実地医家の先生方も多かったことと思います。
会長特別企画として設けられた本セッションでは、今や循環器領域においては必須の治療法の1つとなった抗血小板療法にフォーカスを当て、現状の問題点の検証とその解決に向けた方策、また精度向上に寄与すると考えられる新しい知見などを網羅的にご紹介したいと考えています。
「抗血小板療法の現況と展望」と銘打ったこのセッションは、2部形式となっています。
第1部は、現在汎用されている抗凝固・抗血小板療法を取り上げ、その有効性の根拠となるエビデンスと問題点について議論したいと考えています。
例えば、近年急速に普及した薬剤溶出ステント(DES)の留置後の抗血栓療法を取り上げています。
DESの導入で再狭窄は著しく減少しましたが、依然としてステント血栓症(stent thrombosis)の発症リスクは排除できていないため、アスピリンとチアノピリジン系薬の併用が必須となっています。
しかし、日本人における適正な併用期間に関するエビデンスは十分ではないため、今回はその検討をいたしたいと考えています。
抗血栓療法の副作用として取り沙汰される臓器出血の中でも、消化管出血の予後はきわめて悪いことが報告されています。
その対処法としては、すでにエビデンスが蓄積されているPPI(プロトンポンプ阻害薬)が予防および治療において活用されています。
ところが、抗血小板薬として汎用されているクロピドグレルの効果をPPIが減弱させることが米国で報告され、大きな問題となっています。
そこで、その現状報告と解決策についても、本セッションで検証したいと思います。
特に注目されるのは、CYP2C19と呼ばれる遺伝子の異常を有する患者において、クロピドグレルの効果がより減弱されやすいという知見です。かねてから、日本人は出血しやすい半面、抗血小板薬も効きやすいといわれていました。
しかし、CYP2C19遺伝子の異常も日本人に多いことが示唆されています。
日本人における抗血小板療法のあり方に、新たな視点をもたらす興味深い発表にご期待いただきたいと思います。
第2部は、「アスピリン療法における消化器内科医との協調」と題し、今や循環器領域にとって消化器領域とのコラボレーションが必要不可欠となってきたことを、改めて確認したいと考えています。
近年の循環器領域では心腎連関をキーワードに、心血管疾患と腎疾患との密接な関連に眼を向けてきました。
今回のセッションではCardio Gastric linkage(CGL)を新たな切り口に、循環器と消化器の連関を新たなアプローチのターゲットとすべく提唱したいと思います。
私は、1994年から心筋梗塞の二次予防におけるアスピリンの有効性に関する研究を開始しました。
そして2008年には、第81回米国心臓協会学術集会(AHA 2008)のLate-Breaking Clinical Trialsセッションにおいて、糖尿病患者における低用量アスピリンの動脈硬化性疾患一次予防効果について発表し、大きな反響を得ました。
抗血小板療法の研究はまさに私のライフワークの1つであり、同じ道を歩む多くの先生方との交流は私の貴重な財産でもあります。どうか、このセッションにご参加いただき、皆様のご意見を仰ぎたいと存じます。
<番外編>
利尿薬ベースの降圧療法でのCa拮抗薬追加群の心筋梗塞発生リスクが、他の2群(β遮断薬、RA系阻害薬)より高いという報告がされました。
利尿薬ベースの降圧療法
http://wellfrog4.exblog.jp/d2010-02-25
従来降圧利尿剤とβ遮断薬の併用は推奨されないということになっていましたが、疫学的にはCa拮抗薬の併用に問題があるということで大いに話題になりそうです。
ここで気になるのが、日本ではCSAの頻度が高いということでのCa拮抗薬は心筋梗塞発生リスクを低下させると信じられていることです。
このことに関するエビデンスがあるかどうかも知りませんが、人種差はどうなっているのでしょうか。
その他
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井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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があります。
##AHA/ACCがQT延長性薬剤服用患者の密接なモニタリングおよび管理を勧告
■QT延長性薬剤を服用している入院患者には薬剤誘発性QT延長症候群(LQTS)のリスクがあり、torsade de pointes(TdP)として知られる重篤な不整脈の発現に関し、心電図(ECG)による密接なモニタリングを実施すべきであるとのサイエンティック・ステートメントが、米国心臓協会(AHA)および米国心臓病学会(ACC)によって「Circulation」オンライン版2月8日号に掲載された。
■米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のBarbara J. Drew氏らは、AHA急性心疾患ケア委員会(Acute Cardiac Care Committee)臨床心臓病学評議会(Council on Clinical Cardiology)および心血管看護学評議会(Council on Cardiovascular Nursing)を代表し、TdPに関する現在の知見、すなわちリスクファクター(危険因子)、差し迫った不整脈を示すECG所見および徴候、TdP誘発性薬剤および薬剤併用、QT間隔のモニタリングおよびTdPを伴う顕著なQT延長の管理に関する勧告などをレビューした。
■本ステートメントでは、TdPリスクを伴う薬剤、リスクファクター(徐脈、長時間の休止を伴うリズム(調律)、2剤以上のQT延長性薬剤による治療、その他)、TdPリスクを伴う薬剤を処方する有益性に対してTdPリスクのバランスを取る必要性、密接なECGモニタリングの必要性および差し迫った不整脈の徴候、差し迫ったTdPに対して推奨される処置(TdP誘発性薬剤の中止、カリウム補充、マグネシウム投与、徐脈および長時間の休止を防ぐための一時的ペーシング、高次ECGモニタリングおよび除細動が可能な病院部門への患者移送)を医師が認識するよう勧告している。
■著者らは「病院部門内でQT延長性薬剤を服用し、継続的ECGモニタリングを受けている患者に対して、薬剤誘発性LQTSの各リスクファクターおよびECG徴候を認識すれば、TdPは回避可能であろう」と述べている。
出典 HealthDay News 2010.2.8
<番外編>
第74回 日本循環器学会総会・学術集会(2010.3.5~7、京都)がいよいよ近づいて来ました。
http://www2.convention.co.jp/jcs2010/jpn/update.html
以下は日循からのメールからです。
#【あと10日!第74回 日本循環器学会総会・学術集会】
カウントダウンメール -総会・学術集会からのお知らせ-
東海大学内科学系循環器内科教授の伊苅 裕二先生が
10. トピック
1 冠動脈ステントの現状と将来
(学会2日目 3月6日(土) 8 :30~10:00 第9会場 国立京都国際会館 2F Room A)
座長: 伊苅 裕二(東海大学内科学系循環器内科)
Ulrich Sigwart
( Emeritus Chairman of Cardiology, University of Geneva, Switzerland)
演者: Keynote Lecture: Current Status of Coronary Stenting
Ulrich Sigwart
(Emeritus Chairman of Cardiology, University of Geneva, Switzerland)
Clinical Outcome of DES in Japan
木村 剛(京都大学循環器内科学)
Pathology of Drug-Eluting Stent Thrombosis
井上 勝美(倉敷中央病院病理循環器部)
Optimal Anti-platelet Therapy after DES Implantation ?
Adnan Kastrati
(Catheterization Laboratory, Deutsches Herzzentrum Munchen, Germany)
Future Perspectives on Coronary Stenting
Stephan Windecker
(Department of Cardiology, University Hospital Bern, Switzerland)
というセッションの紹介をしてみえます。
##DESの最新の知見と問題点を実臨床と病理の双方から検討する
1970年代に始まった冠動脈インターベンション(PCI)は、今日まで急速かつ多角的に進展してきました。そしてその過程では、新規のモダリティが開発されては消えていくという繰り返しが、数ある医療機器の中でももっとも多く経験されてきたと思われます。
その結果、一時的には1990年代に開発されたステントが勝ち残ったかに見えましたが、ステント留置後半年程度で再狭窄が起きるという新たな問題が浮上しました。
そこで開発されたのが薬剤溶出ステント(DES)です。
欧米では2002年、日本では2004年に導入され、現在はDESがPCIの主流になっています。
しかしながら、DESによってすべてが解決されたわけではなく、依然として遅発性血栓症と呼ばれる血管閉塞リスクは残存しており、Thienopyridine系抗血小板薬の長期併用を余儀なくされています。
そのため、消化管出血や脳出血を防ぐことが冠動脈治療における新たな課題ともなっています。
そこで本セッションでは、PCIのこれまでの流れを総括しつつ、現状の再認識と課題克服について検討したいと考えています。
まず共同座長を務めていただくUlrich Sigwart(The University of Geneva, Switzerland)氏には、DESに至るまでのPCIの歴史を振り返っていただきます。
同氏は、世界で最初にステントを臨床使用した先駆者の1人です。ステントというコンセプトを確立し、広く周知させたことは歴史に残る功績であり、PCI研究の巨人の1人ともいえます。
ステント誕生にまつわる興味深い秘話などもお聞かせいただけるのではないかと期待しています。
日本から、ご発表いただく京都大学の木村剛氏は日本で最初のステントの治験から参加され(私も、そのときの共同研究者です)、ステントに関する造詣は世界を代表する一人と思います。同氏は、j-CYPHERと呼ばれるシロリムス溶出性ステントの長期大規模試験を実施し、最近その結果を発表しています。
そこで得られたデータは海外でも次々に取り上げられ、注目されています。日本の実臨床におけるDESの最新データと問題点を明らかにしていただけるものと思います。
DESの問題点を探る鍵の1つは、血管組織の変化に求めることができます。
私はベアメタルステントの病理について留学中に研究しておりました。
ステントを留置した局所は、当初どうしても傷がつくわけですが、ベアメタルステントを留置した局所は最終的にコラーゲン組織に変わっていきます。
しかしDESにおいては、局所に創傷治癒がなかなか得られず、炎症細胞やリンパ球の発現の継続が観察されます。
本セッションでは倉敷中央病院の井上勝美氏に、DESにおける再狭窄の背景を病理組織学的視点から検証していただきます。
今回はSigwart氏以外に海外の研究者を2人招いています。
ドイツから来られるAdnan Kastrati(Deutsches Herzzentrum M・nchen, Germany)氏は、冠動脈疾患関連の無作為化試験を数多く手がけられ、最近はISAR-SAFEと呼ばれる試験でDES留置後の適切な抗血小板薬投与期間を検討されています。
Biolumus(生分解性)ステントの検討で知られるStephan Windecker(University Hospital Bern, Switzerland)氏もスイスからお呼びしています。
新世代DESに関する最新の知見をご紹介いただけるものと思います。
近年の循環器領域の学会では、DESをめぐる演題が数多く見られますが、本セッションの演者はいずれも独自の世界を有する辛口の研究者ばかりです。
すべてが科学者の視点のみのよる発表であり、一味違う内容になると自負しております。
先生方のご期待に応えられるものと確信しておりますので、ぜひ振るってご参加ください。
<コメント>
文中の「スイス」で連想するのがPTCAを1977年に開発したAndreas Gruentzigです。
スイスのチューリッヒでの研究成果だったのは有名ですが実はドイツ人だったんですね。
PCIの変遷
http://www.lifescience.jp/ebm/medhist/0302/0302.html
Andreas Roland Gruentzig -- A Medical Legend
http://www.squidoo.com/andreas-gruentzig
Andreas Gruentzig
http://en.wikipedia.org/wiki/Andreas_Gruentzig
Biographical Sketch of Andreas Gruentzig
http://www.ptca.org/archive/bios/gruentzig.html

その他
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井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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があります。
メタボ健診が特定健診がスタートして3年目に入ろうとしています。
この健診も最近ではすっかり不人気で、対象者の自宅に電話で受診勧告も始まっています。
この診断基準は最初から問題も多く、健診側も今一つ積極的にはなれません。
そして厚生労働省研究班から、腹囲基準について今頃になってやっと問題提起がされました。
メタボ健診の腹囲基準根拠ゆらぐ
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/35437129.html
きょうの論文は、心血管疾患リスクに関してメタボリックシンドロームに該当しなくても肥満だけで十分という内容です。
メタボリックシンドロームについて考え直す必要があるかも知れません。
日本の論文は細かく分類(複雑化)する内容が多く、外国ではこういった単純化する方向性の論文が時々見受けられます。
##肥満なら心血管疾患リスクは増大
##メタボリックシンドローム非該当者
ウプサラ大学病院(スウェーデン・ウプサラ)心血管疫学のJohan Ärnlöv准教授らは,肥満や過体重の中年男性ではメタボリックシンドロームに該当しなくても心筋梗塞,脳卒中,若年死のリスクが高いとする研究結果をCirculation(2010; 121: 230-236)に発表した。
#長期追跡が重要
■Ärnlöv准教授は「これまでの研究で,肥満でも“代謝面で健康”であり心血管リスクが高くない亜群が存在することが示されていたが,そうした集団を長期に追跡すると,代謝面で健康な肥満者など存在しないことがわかる」と述べている。
■メタボリックシンドロームは心疾患や糖尿病発症の危険因子の集積であり,肥満やメタボリックシンドロームの心疾患リスクを検討したこれまでの研究では,メタボリックシンドロームに該当しない肥満者は高リスク群とされていなかった。
しかし,同准教授によると,こうした研究の追跡期間は13年以下で,メタボリックシンドロームに該当しない肥満者のリスクは10~15年経過後に顕著になってくる可能性があるという。
■同准教授らは,1920~24年にウプサラで出生した者を対象に,50歳時点で健康診断を実施し,糖尿病の既往や心疾患入院歴のある者を除く1,758例を30年間追跡した。
■追跡期間中,681例が心血管イベント(心筋梗塞,脳卒中,心不全による死亡または入院)を経験した。
そのうち心血管死は386例であった。年齢,喫煙歴,LDLコレステロール(LDL-C)値で調整後,メタボリックシンドロームの有無とBMIによる肥満/過体重の組み合わせごとに,正常体重でメタボリックシンドロームに該当しない対照群と比較した。
その結果,対照群と比べた心血管疾患リスクの増大率は,
(1)正常体重でメタボリックシンドローム群63%
(2)過体重で非メタボリックシンドローム群52%
(3)過体重でメタボリックシンドローム群74%
(4)肥満で非メタボリックシンドローム群95%
(5)肥満でメタボリックシンドローム群155%
であった。
■同准教授は
「正常体重でもメタボリックシンドロームに該当すればリスクが増大し,過体重と肥満の群ではメタボリックシンドロームに該当しなくてもリスクは増大した。医師は喫煙,コレステロール,血圧,体重などを含めた総合リスクを考慮する必要がある。肥満や過体重でも他の危険因子がなければ減量の必要はないと指摘する研究者もいるが,今回の研究結果はこの考え方を支持していない」
と述べている。
#女性の肥満データも蓄積すべき
■今回の研究では,メタボリックシンシンドロームの基準を登録時検診において,
(1)耐糖能異常(空腹時血糖値110mg/dL以上)
(2)高血圧(130/85mmHg以上または降圧薬治療)
(3)トリグリセライド高値(150mg/dL以上)
(4)HDLコレステロール(HDL-C)低値(40mg/dL未満)(5)BMI高値(29.4以上)
―のうち3項目以上の重積と定義した。
通常,腹部肥満の指標としてウエスト周囲(腹囲)がメタボリックシンドロームの診断に用いられるが,今回の対象人口ではデータが入手できなかった。
■また,女性ではこうした因子に関する長期データは存在しないが,Ärnlöv准教授は「医師は女性の体重にも他の心血管危険因子と同様に注意を払うべきである。まだデータがないからといって,メタボリックシンドロームに該当しない肥満女性が安全だと考えるべきではないだろう」と指摘している。
■米国心臓協会(AHA)のスポークスマンでAHA栄養・身体活動・代謝評議会のBarry Franklin議長は「今回の研究結果は意外ではない。肥満が多くの危険因子を深刻化もしくは増悪させることは,以前から知られている。
これまでの研究では,メタボリックシンドロームに該当しない肥満者ではリスクは増大しないことが示唆されていたが,今回の研究と比べると追跡期間がかなり短く,そうした研究結果が覆されたことは興味深い。今回の研究が以前のものと正反対の結果になった最大の理由は長期追跡にあると考えられる」と指摘している。
■今回の研究では,心血管疾患減少における身体的健康(fitness)の役割については論じられていない。
同議長は肥満者に対して「たとえ5ポンド(約2.27kg)の減量でも健康上の有意な恩恵が得られることを認識すべきである」と強く呼びかけている。
出典 Medical Tribune 2010.2.18
版権 メディカルトリビューン社
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##不安定狭心症患者では薬剤溶出ステントは利点をもたらさない
■安定狭心症患者において、薬剤溶出ステントは、血行再建術の必要性を低下させることができるが、不安定狭心症や非ST上昇型心筋梗塞を有する患者において、同様のことは当てはまらない、とレトロスペクティブ研究をおこなった著者らは述べている。
■急性冠症候群(ACS)患者で、その結果は驚くものではない、と主著者であるWashington Hospital Center(ワシントンDC)のDr. Ron Waksmanは言う。
ACS患者は「通常、大血管に短い病変を呈するが、概して、再狭窄の頻度はベアメタルステントでは低い」と同氏は述べた。
その環境では、ベアメタルステントと薬剤溶出ステントを比較した場合、「差異を見つけることは困難である」
■対照的に、安定狭心症患者は通常、よりびまん性で、長く石灰化した、再狭窄する傾向のある病変を有し、薬剤溶出ステントは効果が高い、と同氏は説明した。
■同研究者らは、2000年~2007年にベアメタルステントまたは薬剤溶出ステントを留置した、安定狭心症またはACSを有する患者3,771名のデータを再検討した、とAmerican Journal of Cardiology誌12月15日号で報告した。
(ACSの定義は、安静時の症状または非ST上昇型MIを発症した場合とした。)
■薬剤溶出ステントを留置した患者(3,132名)の方がベアメタルステントを留置した患者(639名)よりも多かった。
■1年後、安定狭心症群では、標的血管血行再建術の必要性は、ベアメタルステントの方が薬剤溶出ステントよりも有意に高かった(11.4%対5.6%、p<0.001)。
しかし、ACS群では、血行再建術の施行率はほぼ同程度であった(7.2%対8.0%)。
■同様に、安定狭心症患者では、薬剤溶出ステントにより、主要有害冠動脈イベントの発生率が有意に低下したが(8.2%対ベアメタルステントでは13.2%、p=0.008)、ACS患者では低下しなかった(11.2%対12.0%)。
■レトロスペクティブ研究は、研究結果を不確定にする特有の欠点がある、と著者らは強調している。
■また、ベアメタルステントで報告されている「一部の血行再建術を促進する、血管造影による系統的な追跡調査はおこなわれなかった」とDr. Waksmanはロイターヘルスに述べた。
さらに、臨床診療を変更したため、ベアメタルステントを留置した患者は少数であった。
■それにもかかわらず、本研究結果は、安定狭心症患者および不安定狭心症患者はプラークの種類が異なり、「ステント留置による損傷に異なる形で奏効する」ことを示唆している、と同氏は述べた。
原文
Am J Cardiol 2009;104:1654-1659.
http://www.kanematsu-rmn.jp/news/daiichisankyo/news2.php?mode=jpview&num=201001090039516
出典 ロイターヘルス 2010.1.8
版権 ロイター通信社
<コメント>
ちょっと日本語訳が難解なところがあって、一部理解しにくいところがあります。
ACSで入院した患者には、当然のことですがDESとBMSの得失を十分に説明する時間がありません。
効果や予後が同等ないしは非劣性が証明されれば、患者にとってはBMSの方が(以後の定期通院の有無を考えれば)時間的にも経済的にも圧倒的にBMSが有利ということになります。
<番外編>
#80誘導心電図は標準心電図で見逃されたST上昇型心筋梗塞を検出
http://www.kanematsu-rmn.jp/news/daiichisankyo/news2.php?mode=jpview&num=200912170039062
■標準12誘導ECGに80誘導ECG検査を追加することで、ST上昇型MI(STEMI)の検出が27.5%増加
#DES時代における糖尿病への外科治療戦略
http://www.m3.com/academy/report/article/113643/
■福岡大学医学部心臓血管外科の西見優氏は「糖尿病などのび漫性病変に対する完全血行再建を外科手術の治療戦略とすべき」と解説した。
その他
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##小さな腹部大動脈瘤の成長率は介入の必要性を予測
#小さな腹部大動脈瘤(AAA)が成長するのは半数のみであり、1年間に1.5mm未満の成長であれば臨床的意義はほとんどないということが、新規の研究で示唆されている。
#今回の知見は英国の25年間の動脈瘤調査に基づくものであり、ベースライン時には、小さなAAAのサイズには単峰分布がみられることが示されている。
しかし、数年間の追跡調査後、分布は二峰性となる。
■本結果から小さなAAAの半分は「静止状態でほとんど成長していない」のに対し、残りの半分は成長が続いていることが示された、と主著者であるWestern Sussex Hospital NHS Trust(チチェスター)のDr. H. HafezらはBritish Journal of Surgery誌1月号で指摘している。
■チチェスターAAAスクリーニングプログラムでは、1984年〜2007年に、AAAを有する被験者1,649名のデータがプロスペクティブに収集された。
超音波検査を2回以上受け、3ヶ月以上監視された被験者1,231名では、ベースライン時のAAA径は35mm(中央値)であり、3.2年間の追跡調査期間の成長は9mm(中央値)であった。
■動脈瘤は患者88名で破裂し、335名が待機的修復術を受けた。
■破裂、または手術を施行した患者の年間成長率(中央値)は、それぞれ2.85mmと2.99mmであった。
対照的に、追跡調査中イベントが発生しなかった被験者では、動脈瘤の1年間の成長率(中央値)は1.08mmにすぎなかった(p<0.001)。
■現在喫煙していることはAAA成長率の上昇に関連していたのに対し、女性であることと糖尿病は成長率の低下に関連していた。
年齢、平均動脈圧、高血圧、虚血性心疾患、ACE阻害薬またはスタチン系薬剤の使用は、成長率に影響していなかった。
■「本試験は、AAA成長率の傾向に基づいて将来の臨床イベント発生の可能性が予測できると思われることを示唆するものである」とLeicester Royal Infirmary(英国)のDr. A. Nasimらは関連論説で述べている。
■追跡期間中にAAA修復が最終的に必要になったのは本コホートの27.2%のみであるという事実と合わせると、このことは、著者らが提案するように、AAAスクリーニングと監視の費用対効果の改善に大きな可能性があることを示している」.
http://www.kanematsu-rmn.jp/news/daiichisankyo/news2.php?mode=jpview&num=201001070039465
原著
Br J Surg 2010;97:37-44
出典 ロイターヘルス 2010.1.6(一部改変)
版権 ロイター社
<コメント>
まとめ
1)1年間に1.5mm未満の成長であれば臨床的意義はほとんどない
2)ベースライン時には、小さなAAAのサイズには単峰分布がみられるが、数年間の追跡調査後は分布は二峰性となる
3)女性であることと糖尿病は成長率の低下に関連
4)年齢、平均動脈圧、高血圧、虚血性心疾患、ACE阻害薬またはスタチン系薬剤の使用は、成長率に影響していなかった
疑問点、興味深い点
■「被験者1,649名中患者88名で破裂し、335名が待機的修復術を受けた」・・・これはかなりの率ではないか
■「糖尿病は成長率の低下に関連」・・・理由がよくわかりません
■年齢、平均動脈圧、高血圧、虚血性心疾患、ACE阻害薬またはスタチン系薬剤の使用は、成長率に影響していなかった・・・予想に見事に反した結果でした
<参考サイト>
腹部大動脈瘤を防ごう
http://tomochans.exblog.jp/4212997/
ARBによる血管保護について
http://blog.m3.com/reed/20080728/1
MG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)治療は腹部大動脈瘤における炎症反応を抑制する
http://nels.nii.ac.jp/els/110007124905.pdf?id=ART0009063253&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1266714160&cp=
■AAA修復が最終的に必要になったのは本コホートの27.2%のみである・・・27.2%「のみ」には引っかかります。
他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
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高リポ蛋白(a)すなわちLp(a)値が、冠動脈アテローム硬化症および心筋梗塞(MI)と関連していることが、Heart誌2010年12月15日号で報告された。
##リポ蛋白(a)値は冠動脈アテローム硬化症および心筋梗塞を予測
■「本論文は、血清Lp(a)値の測定がLDLコレステロールやHDLコレステロールの測定と同じくらい必要であることを示唆した」と東京都老人医療センター(日本 東京)のDr. Motoji Sawabeはロイターヘルスに語った。
「Lp(a)値が非常に高い場合、他のリスク因子の厳格なコントロールが必要である」
■Dr. Sawabeらは、剖検1,062症例を利用して、Lp(a)値と冠動脈アテローム硬化症および心筋梗塞との関連性について、パス分析をおこなった。
■「パス分析は統計学の分野ではよく知られている手法であるが、医学的研究に適用されることはほとんどなかった」とDr. Sawabeは説明した。
「遺伝子型、中間表現型、および最終表現型における複雑な関係は、このアプローチによって分析可能である」
■重篤な冠動脈狭窄症の有病率は、Lp(a)値が50mg/L以下である場合の15.0%からLp(a)値が300mg/L以上である場合の35.3%まで直線的に増加した、と著者らは報告している。
■同様に、病的MIの有病率は、Lp(a)値が50mg/L以下である場合の11.3%からLp(a)値が200mg/L〜300mg/Lである場合の30.2%に増加し、Lp(a)値が300mg/L以上の場合は26.6%に減少した。
■多変量分析において、Lp(a)値の上昇、高血圧、糖尿病、および高コレステロール血症は重篤な冠動脈狭窄症の独立予測因子で、最大のリスクはLp(a)値の上昇に起因していた。
■Lp(a)値の上昇と重篤な冠動脈狭窄症はMIリスクを増大させ、冠動脈狭窄症はLp(a)値の上昇よりも強力なリスクを与えた、と研究者らは述べている。
■パス分析は、Lp(a)値が冠動脈アテローム硬化症の発症にもMIの発生にも影響することを裏付けた。
重篤な冠動脈アテローム硬化症において、Lp(a)値の上昇は、冠動脈狭窄症よりMIとの関連が強かった。
■「Lp(a)値は実証された心血管リスク因子であるが、Lp(a)値のコントロールに効果的な薬剤がないことから、我々は最近Lp(a)値についての関心を失いつつあった」とDr. Sawabeは述べた。
「本研究は、比較的強力な心血管リスク因子としてのLp(a)値の重要性を再び強調し、製薬業界に対してLp(a)値をコントロールするための新薬を開発するよう促した」
Heart 2009;95:1997-2002.
http://www.kanematsu-rmn.jp/news/daiichisankyo/news2.php?mode=jpview&num=201001090039518
<リポ蛋白(a) 関連サイト>
リポ蛋白(a)
http://homepage2.nifty.com/salon/igaku.htm#1th
■1963年Berg1により低比重リポ蛋白(LDL)の遺伝的変異として初めて報告され、当初より動脈硬化の独立した危険因子と考えられていました。
その後、アポ(a)の遺伝子解析からプラスミノゲンの塩基配列と高い相同性を示すことが報告され、世界的に注目されています。
■蛋白部分はLDLと同じアポB100のほかに,Lp(a)に特徴的なアポ(a)を有し,この両者がs-s結合することによりLDL様リポ蛋白の表面をアポ(a)が覆ったような構造をとると考えられています。
■血清Lp(a)濃度は0.1mg/dlから100mg/dlを超えるものまで、個人差が大きいにもかかわらず、同一個人の値はほぼ一定で、性、年齢、食餌、その他環境因子の影響をあまり受けません。
■値の解釈には人種差を考慮する必要があります。
■Lp(a)の生理的意義についてはほとんど明らかにされていません。
プラスミノゲンとの構造的相同性から血液凝固線溶系における機能推測されますが直接的な役割を果すというより間接的に線溶抑制効果を果すと考えられています。
■Lp(a)は動脈硬化の独立した危険因子と考えられており、虚血性心疾患,脳血管障害,血管性痴呆,閉塞性動脈硬化症,糖尿病,腎疾患などで高値を示し,肝疾患,特に閉塞性黄疸で低値が認められています。
■アポ(a)がプラスミノゲンと構造上類似性を示すことから、プラスミノゲン受容体における競合的阻害によりプラスミノゲン活性の低下、ひいては血液線溶能の低下をもたらすという可能性、plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1),transforming growth factor(TGF-β)を介する動脈硬化進展の機序や動脈壁血管平滑筋細胞の増殖に対する直接作用が報告されています。
■Lp(a)はLDLと同様にコレステロールに富んだリポ蛋白であり、動脈壁へのコレステロール沈着に関与することが考えられます。
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
第20回日本心血管画像動態学会での「濃黄色プラークとPCI施行後の予後」に関する記事で勉強しました。
AMI患者の冠動脈血管内視鏡(CAS)所見と長期予後の関連を検討した結果,AMIの責任病変に濃黄色プラークが存在する症例では経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後,良好な長期予後を示すと
という内容です。
演者は近畿大学循環器内科学の更谷紀思氏で、「AMI責任病変に濃黄色プラークを有することは,良好な長期臨床予後の予測因子となる可能性がある」という結論です。
濃黄色プラークは不安定なプラークといわれており,急性心筋梗塞(AMI)を含むACSを引き起こすと言われています。
##濃黄色プラークはPCI施行後の予後が良好
#主要心血管イベント発生率が有意に低値
■更谷氏らは,AMI発症後24時間以内に入院した連続230例に対してPCI施行前にCAS検査を行い,梗塞責任病変を観察するとともに,その予後を追跡した。
■予後を追跡しえた197例の責任病変におけるプラークの色調は,白色4例,淡黄色77例,普通黄色88例,濃黄色28例で,ほとんどが黄色プラークであった。
黄色プラークを呈した患者の臨床背景を検討したところ,プラークの色調と脂質異常を含む臨床背景の間に相関は認められなかった。
また,初回造影時TIMI gradeおよびPCI施行率,PCI後狭窄率は淡黄色,普通黄色,濃黄色の各群間に有意差は認められなかった。CAS所見では,淡黄色プラークでは89.3%にプラーク破綻,3.6%にプラークびらんが認められ,淡黄色プラーク(プラーク破綻25.6%,プラークびらん46.2%)および普通黄色プラーク(プラーク破綻59.1%,プラークびらん18.2%)との間に有意差が認められた(P<0.001)。
また,濃黄色プラークでは21.2%に白色血栓,75.0%に混合血栓,3.6%に赤色血栓が認められ,淡黄色プラーク(血栓なし9.0%,白色血栓35.1%,混合血栓39.0%,赤色血栓6.5%)および普通黄色プラーク(血栓なし5.6%,白色血栓34.6%,混合血栓46.7%,赤色血栓8.9%)との間に有意差が認められた(P=0.023)。
■平均4.9年の追跡調査を行い,主要心血管イベント(死亡,非致死性AMIの発症,冠血行再建術施行,心不全による入院)の発生をプラークの色調別に検討したところ,普通黄色プラークおよび淡黄色プラークに比べ濃黄色プラークでは主要心血管イベントの発生率が有意に低値であった(P=0.026)。
Cox比例ハザードモデルを用いて検討したところ,多枝病変(ハザード比2.628,P<0.001),BMI(0.901,P=0.001),高血圧(1.675,P=0.021),プラーク色調(濃黄色vs.黄色・淡黄色,0.429,P=0.029)が主要心血管イベントの有意な予測因子であった。
出典 Medical Tribune 2010.2.18
版権 メディカルトリビューン社
<関連サイト>
心臓血管病変の内視鏡分類
http://square.umin.ac.jp/jacscopy/bunrui/
■動脈硬化性病変(プラーク)
1.色調
白色 淡黄色 黄色(濃黄色 輝く黄色)
黄色と白色のまだら
2.表面
平滑 不整
3.内腔閉塞度
50%以下(おおよそ) 50%以上(おおよそ)
100%
プラークの性状
http://www.miyake-naika.or.jp/05_health/doumyakukouka/kandoumyaku_puraku4.html
■血管内視鏡検査の結果、動脈硬化巣は色調により黄色と白色に分類されることが明らかになりました。
黄色プラークは脂質コア(黄色)の上の繊維性被膜が薄い動脈硬化で、容易に破綻(ラプチャー)しやすいことが考えられます。とくに破綻(ラプチャー)しやすいプラークは、脂質コアが大きく繊維性被膜が薄いため、黄色が強くぎらぎらした高度黄色プラークとして観察されます。
一方、白色プラークは繊維性被膜が厚いプラークか脂質成分の少ない繊維性のプラークと考えられ、破綻(ラプチャー)しにくい安定プラークと考えられます。


血管内視鏡 プラークの破綻について
http://www.oph-heart.org/public/heartcondition/advance_d.html