戯れ言たれる侏儒
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< 集中スタチン療法 | メイン | 降圧薬の心血管リスク低減効果と年齢 >

糖尿病患者の血圧管理

戯れ言たれる侏儒 / 2010.01.27 00:23 / 推薦数 : 0

2型糖尿病でかつ高血圧のある患者の血圧管理を厳格に行えば、大血管障害と細小血管障害のリスクが低下します。
少し前の研究になりますが、介入終了後に血圧の管理が不十分になると、こうした糖尿病合併症に対する臨床利益は消失することが、英国で行われた大規模臨床試験、UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)の追跡調査によって示されました。
詳細は、英National Institute of Health Research (NIHR) のRury R. Holman氏らにより、NEJM誌電子版に2008年9月10日に報告されました。

この記事で勉強しました。

##厳格な血圧管理をやめると、合併症減少効果もなくなる
##糖尿病患者を対象としたUKPDS試験の追跡調査(その1)
■1977年に患者登録が始まったUKPDSは、14年にわたって25〜65歳の新規発症2型糖尿病患者(空腹時血糖値が108mg/dL超)5102人を登録、中央値10.5年(最短で6年、最長で20年)の追跡を行い、心血管疾患などの合併率や危険因子について評価した試験だ。

■著者らは、この試験に参加した患者のうち、1987年に開始された血圧管理に関する無作為化試験Hypertension in Diabetes(HDS)に登録された集団を、試験終了後さらに10年間追跡。
試験期間中に行われた血圧管理がもたらした細小血管障害と大血管障害のリスク減少という利益が、どの程度持続するのかを調べた。

中略

■あらかじめ設定されていた以下の7つの臨床エンドポイントについて、intention-to-treatで分析した。

1)あらゆる糖尿病関連エンドポイント(突然死、高血糖または低血糖による死亡、致死的または非致死的心筋梗塞、狭心症、心不全、致死的または非致死的脳卒中、腎不全、下肢切断、硝子体出血、網膜光凝固、片眼失明、水晶体摘出)
2)糖尿病関連死亡(心筋梗塞、脳卒中、末梢血管疾患、腎疾患、高血糖または低血糖による死亡か突然死)
3)全死因死亡
4)心筋梗塞
5)脳卒中(致死的または非致死的)
6)末梢血管疾患
7)細小血管疾患(硝子体出血、網膜光凝固、腎不全)

■試験後モニタリング開始時点の血圧値は、厳格管理に割り付けられた患者群で、収縮期血圧が9mmHg低く(p<0.001)、拡張期血圧が3mmHg低かった(p<0.001)が、HbA1c値は厳格管理群で0.8%(p=0.001)高かった。

■また、厳格管理群のうち、ACE阻害薬グループとβ遮断薬グループの間でモニタリング開始時に差が有意だったのは、体重(β遮断薬群で4kg多かった、p=0.01)と、総コレステロール値(β遮断薬群で7mg/dL低かった、p=0.04)、HDLコレステロール値(β遮断薬群で3mg/dL低かった、p=0.009)だった。

■降圧薬を2剤以上使用していた患者の割合は、厳格管理群では61%、緩やかな管理群では36%。
脂質降下薬使用は全体の2%未満だった。

■追跡期間の中央値は、厳格管理または緩やかな管理に割り付けてから14.5年、試験終了後モニタリングの開始からでは8.0年だった。ACE阻害薬とβ遮断薬の比較については、それぞれ14.6年と7.6年となった。

■試験後モニタリング期間中の死亡率は51%。心血管死亡が全体の53%と多く、続いて癌死が21%だった。

■モニタリング開始から5年の時点で、2剤以上の降圧薬使用者の割合は、厳格管理群75%、緩やかな管理群73%と同等になり、脂質降下薬使用(全体の24%)とアスピリン使用(44%)の頻度も差はなかった。  

■モニタリング開始時に両群間に認められた血圧の差は急速に消失。収縮期血圧については、試験終了後1年時に、拡張期血圧も2年時には有意差がなくなった。
ACE阻害薬群とβ遮断薬群の間に存在した体重の差のみが、モニタリング期間を通じて維持された。HbA1c、空腹時血糖、血清クレアチニン値、アルブミン/クレアチニン比は、どの時点のどの比較においても差はなかった。

■さて、介入試験期間中に厳格管理群で有意にリスク低下が大きかったのは、1)〜7)のエンドポイントのうち、
1)あらゆる糖尿病関連エンドポイント(相対リスク減少は24%、p=0.005)、
2)糖尿病関連死亡(32%、p=0.02)、
5)脳卒中(44%、p=0.01)、
7)細小血管疾患(37%、p=0.009)
の4項目だった。

■これらの利益は、試験後モニタリングの期間中に有意性を失っていった。
10年時には、厳格管理群におけるあらゆる糖尿病関連エンドポイントの相対リスク減少は7%(p=0.31)、糖尿病関連死亡は16%(p=0.12)、脳卒中は23%(p=0.12)、細小血管疾患は16%(p=0.17)となった。

■試験中、試験終了後ともに、3)全死因死亡と、4)心筋梗塞のリスク低減は有意ではなかった。
心筋梗塞は、厳格管理群の相対リスク減少が試験中は21%(p=0.13)、モニタリング10年時には10%(p=0.35)。全死因死亡は試験中が18%(p=0.17)、10年時は11%(p=0.18)だった。

■イベント発生件数が少なかったものの、厳格な血圧管理に関係する、6)末梢血管疾患のリスク低下は、試験中は有意でなく(両群共にイベント発生は8人ずつ、相対リスク減少は49%、p=0.17)、モニタリング10年時は有意だった(両群共にイベント発生は21人ずつ、リスク減少は50%、p=0.02)。

■一方、厳格管理群の中のACE阻害薬グループとβ遮断薬グループの比較においては、試験期間中も、試験後モニタリング期間中も、7つのエンドポイントに有意差は見られなかった。
唯一の例外は全死因死亡で、モニタリング10年の時点で、わずかではあるが有意差が見られた(ACE阻害薬群の相対リスクはβ遮断薬群に比べ23%高く、p=0.047)。

■2型糖尿病で高血圧の患者に対し、早期に厳格な血圧管理を行えば、合併症リスクは低下する。
しかし、利益の継続には良好な血圧管理の継続が必要であることが示された。

出典 NM online 2008.10.10
版権 日経BP社

原文
Long-Term Follow-up after Tight Control of Blood Pressure in Type 2 Diabetes
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa0806359v1
<番外編>
学会発表に関する興味深い記事がありました。
来月、MRさんを相手に講演をしますが、その参考にしたいと思います。
MRさんは入社時の研修でプレゼンしついての講習を受けているようで、講演会の際の「前座」の製品紹介も実に巧みです。
医師のわれわれはこういった教育を意外と受けていません。
学ぶべき点は多いようです。
記事の中の諏訪邦夫先生は以前に医学におけるパソコンの活用法についての本も書いておられ、以前に購読した覚えがあります。

#聴衆ウケする学会発表のコツ カギは情報の切り捨てにあり!
■一昔前よりも格段に学会発表が上手になりました。とはいえ、気になる点は幾つかあります。
その1つが、聴衆とのコミュニケーションの上に成り立つはずの学会発表が、まるで論文の朗読のようになってしまっていることです。

■研究テーマについての歴史的な考察や、他人の業績紹介などから始まり、自分たちが得たデータを1つ残らずスライドに盛り込んで、早口でまくし立てる・・・。
これでは、移り気な聴衆の心をつかむことはできません。

■学会発表で、すべての研究成果を伝えるのは不可能です。
「これだけは伝えたい!」というメッセージに的を絞り、枝葉の情報をそぎ落とすことが大切です。

■スライド1枚に40秒かけるとして、全体で何枚必要か。
どの図を見せるか。
どの部分が表になるか。
写真を使うか。
結論は何か。
そうしたことを考えながらスライドを作り、それに合わせて何をしゃべるかを考えます。
最も重視するのは、冒頭部分。聴衆が身を乗り出すか、席を立つかはここにかかっているので、全体の要となるスライド(結果が一目で分かる図や患者の特徴的所見など)をまず見せて、そこから説明を始めます。
説明の最後に、もう一度そのスライドを見せるのも効果的です。

■1枚のスライドの内容は、5〜10秒で理解してもらえる情報量にとどめます。
言葉であれば、文章をダラダラ書くのではなく、フレーズで見せる(下図)。
図表であれば、項目数を減らし、標準偏差やP値も省略するなどして、一目で分かるように作り変えます。
分かりにくい写真にはポイントに矢印を付け、英語は日本語に書き換えます(聴衆に英語を読ませながら日本語でしゃべるのは、無神経な行為だと思ってください)。
サイエンスである以上、結論をはっきり述べることも重要です。仮に思うような結果が得られなかった場合でも、まず結論を述べてから、その理由を述べましょう。
スライドの説明は、頭で考えるだけでなく、実際に声に出してしゃべってみるといいでしょう。
一通り完成したら、人前での練習も忘れずに!

出典 NM online 2010.1.25
版権 日経BP社



ポール・アイズピリ 「花」  油彩・6号 
http://item.rakuten.co.jp/sim444009/804167/

 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 


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