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スタチン全盛の現在、「ポストスタチン」というタイトルはかなり刺激的です。
最近ではNEJM誌にエゼチミブに対するナイアシンの優位性を示す論文が出て脚光を浴びました。
ARBITER 6-HALTS スタチンとナイアシンの併用
http://blog.m3.com/reed/20091209
スタチンとの併用にどちらがよいかという試験で両者を直接比較したものではありません。
単独同士ではどうかという興味も湧きます。
最近訪問した、ニコチン酸製剤を自社で販売しているMRさんにそんな話をしました。
薬価が安いためもあるのか、あまり興味を示しません。
返ってきた答えは、「ニコチン酸製剤は顔面紅潮(flushing)が強く、有効用量まで増量出来ません」という素っ気ないものでした。
スタチンに関しては来月、ある製薬メーカーの支店でミニレクチャーをすることになっています。
いまから少しずつ、スタチンの勉強をしているところです。
##ポストスタチンのポジション争い激化?
##HDL-Cを上げるべきかLDL-Cを下げるべきか,それが問題だ
■スタチン治療を受けているハイリスク患者では,さらにLDLコレステロール(LDL-C)を下げるべきか,それともHDL-Cを上げるべきなのか—。
5〜6年という長期にわたりスタチンを服用している心血管疾患患者に,徐放性ニコチン酸アミド(NA)製剤を追加すると,動脈硬化リスクが改善したとの試験結果が報告された(N Eng J Med 11月15日オンライン版)。
■それによると,14か月の観察期間において,NA 2,000mg/日による治療は対照薬のエゼチミブ10mg/日に比べ頸部内膜中膜複合体厚(IMT)および主要心血管イベント(MACE)の発生を有意に抑制したことなどが示された。
ポストスタチン時代の脂質異常症治療に新たな一石を投じる試験となるのか。
#脂質プロフィールとIMT,MACEで有意改善も,今後に引き続き注目
■ARBITER 6-HALTS(Arterial Biology for the Investigation of the Treatment Effects of Reducing Cholesterol 6-HDL and LDL Treatment Strategies:NCT00397657) studyと名付けられた同試験で,オープンラベルの前向き無作為化比較による検討が行われた。
対象は冠動脈疾患(CHD)あるいはCHDリスクを有し,長期間スタチンを服用している患者。登録された363例のうち,解析対象となったのは208例(対照群111例,NA群97例)。
有効性が確認されたため,試験は早期に終了した。
■一次評価項目に設定された14か月時点のIMT変化率(中央値)はNA群で有意な減少が示された(vs. 対照群,P=0.003,vs. ベースライン,P=0.001)。
二次評価項目のMACEも,NA群で対照群に比べ有意に低下していた(1%vs. 5%,P=0.047,χ2検定)。
■観察期間終了時点でNA群のHDL-C値はベースラインから18.4%と有意に上昇(P<0.001),LDL-C,トリグリセライドの有意な低下が見られた。
一方,対照群ではLDL-Cが19.2%と有意に低下(P<0.001),HDL-C,トリグリセライドも減少していた。
■なお,著者らは,スポンサーであるアボット社から提供された被検薬を用いたため,完全な盲検化ができなかったことなどを申告している。
■さらに対照群に関して,著者らはエゼチミブ群で見られたLDL-Cの大幅な低下が頸動脈IMTの増加と有意に相関していた(R=−0.31,P<0.001)との見解を示しているが,両群のベースライン時のスタチンの種類および服用プロフィールだけでなく,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の既往,収縮期血圧などに違いが見られる。
今後,この点も議論の的になりそうだ。
■両薬剤に関する同様の試験はほかにもいくつか進行中で,引き続き動向が注目される。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0911/0911051.html
<関連サイト>
Comparative Study of the Effect of Ezetimibe Versus Extended-Release Niacin on Atherosclerosis
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00397657?term=00397657&rank=1
#高用量スタチン単剤か併用療法か?
■冠動脈疾患のリスクが高い脂質異常症患者において,高用量スタチンの単剤使用と,スタチンと他の脂質異常症治療薬の併用のどちらが有益かを調べたところ,死亡率に差がないとする報告が一部あるなど,併用療法を推奨するエビデンスは不十分とするシステマティックレビューがAnn Intern Med 2009年8月31日オンライン版に発表された。
■心筋梗塞,脳卒中,血行再建術を比較した試験はなし
○Mukul Sharma氏(カナダ・オタワ病院)らは,高用量スタチンの単剤治療と,スタチンと他の脂質異常症治療薬[陰イオン交換樹脂製剤,フィブラート系薬,エゼチミブ(小腸コレステロールトランスポータ阻害薬),ニコチン酸系薬,多価不飽和脂肪酸製剤]との併用治療の効果を比較するため,MEDLINE (1966〜2009年)とEMBASE (1980〜2009年),The Cochrane Library(2008年第3四半期)に英語で掲載された論文のうち,ランダム化比較試験(RCT)と追跡期間24週間以上の非RCTのデータから一定の条件を満たした102の試験を選び出し,分析した。
○主要テーマとされた高リスク患者における死亡率は,スタチン-エゼチミブ併用群(2試験,N=439)とスタチン-フィブラート併用群(1試験,N=166)では,高用量スタチンの単剤使用群と比較して違いは見られなかった。
ただし,同試験における死亡率は低く,エビデンスは弱かった。
○低リスク患者では,いずれの試験においても死亡率に違いは認められなかった。
○スタチン-エゼチミブ併用は,高用量スタチン単剤より脂質レベルの目標値達成率が高いとする試験が2試験あったが,心筋梗塞や脳卒中の発症,血行再建術について,高用量スタチンと併用療法を比較した試験はなかった。
○LDL-C目標値の到達率は,スタチン-エゼチミブ併用の2試験(N=295)において,高用量スタチン単剤より併用療法群のほうが高かった(オッズ比7.21,95%CI 4.30〜12.08)。
○スタチン-エゼチミブ併用などいくつかの組み合わせでは,高用量スタチン単剤と比べてLDL-C値のより大きな低下が見られた。
低用量シンバスタチン-エゼチミブ併用群の場合,高用量スタチン単剤群に対して10〜20%のLDL-C値の低下を示していた。
一方,スタチン-多価不飽和脂肪酸製剤併用と比較した場合,スタチン単剤群のほうがLDL-C値が低下していた。
○Sharma氏らによると,今回の研究対象となった試験の多くは,併用療法群と単剤使用群の間でスタチンの使用量に違いがなかったり,試験期間が短かったりする問題があった。
○より強力なスタチン療法はLDL-C値レベルと血管イベントリスクを低下させ, 副作用による中断の増加もないとの報告もあり,併用療法が推奨されるためには,その有用性とリスクを明確に定義しなければならないと同氏は指摘している。
原文
Systematic Review: Comparative Effectiveness and Harms of Combinations of Lipid-Modifying Agents and High-Dose Statin Monotherapy.
Ann Intern Med. 2009 Aug 31. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19721008
<番外編>
##メタボのリスク因子重積に対する薬物療法の可能性
##フィブラート系薬で総合的な薬物治療は可能?
#TGとLDL-C両者が高値,スタチンとフィブラート系薬剤の併用は禁忌だが…
■糖尿病患者でLDLコレステロール(LDL-C)値とTG値の両者が高値というケースがる。
■脂質異常症の治療では,EBMに基づき高LDL-C血症に対してはスタチン系薬が第一選択薬とされている。
一方で,TG高値に対してはフィブラート系薬が推奨されているが,両剤の併用は横紋筋融解症のリスクが上昇するという報告があり,原則禁忌とされていることから,知識の豊富な専門医などを別にすれば併用投与を避ける傾向が強い。
■J-BENEFIT(べザフィブラートの特定使用成績調査)
投与前のLDL-C値によって
(1)160mg/dL以上,
(2)140〜160mg/dL未満,
(3)120〜140mg/dL未満,
(4)120mg/dL未満
—の4群に分け検討したところ(1)と(2)では投与後の140mg/dL以下達成者が54.6%,120mg/dL以下達成者も24.4%いた。
そのうえで,フィブラート系薬でもLDL-C値改善が見られる例が一定の割合で存在する。
#べザフィブラート1剤で肥満患者のTG値,空腹時血糖,HDL-C値を有意に改善
■べザフィブラートに関する知見
(1)肥満者の TG値,空腹時血糖値,HDL-C値を有意に改善し,2型糖尿病発症リスクを41%有意に低下させた。
(Eur Heart J 2005; 26: 2032-2038)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/15872029
(2)脂質異常症を合併する未治療の本態性高血圧患者に対する投与で,拡張期血圧,収縮期血圧が有意に低下した。
(Hypertens Res 2003; 26: 307-313)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/15872029
出典 MT pro 2009.10.21
版権 メディカル・トリビューン社
<追加>
ENHANCE試験
http://blog.m3.com/reed/20080418/ENHANCE
に一部追加しました。

M.ヴラマンク 「花瓶の花」 油彩 15号P型
http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2010/01/post_120.html
<きょうの一曲>
ブリーフ&トランクス コンビニ
http://www.youtube.com/watch?v=AFtvJKMDxvY
<新聞切り抜き帖>
島耕作は私と同じ年で、団塊の世代。
人生と日本経済の曲線が平行して動いてきた。
青少年期に高度成長し、働き盛りの時が、日本経済のピーク期。
課長時代がバブル経済と重なった。
我々の世代の体力の衰えとともに日本の経済力も落ちて来た。
大きな人口の塊の消費動向が日本経済を動かして来たともいえる。
(弘兼憲史)
朝日新聞・朝刊 2010.1.10
(私は週刊朝日連載の「弘兼憲史のパパは牛乳屋」の愛読者です)
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。