戯れ言たれる侏儒
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< 拡張期心不全への対応 その2(2/2) | メイン | アンジオテンシンII分解と高血圧治療 >

従来,拡張機能障害は収縮機能障害よりも予後がよいとされてきました。
しかし,最近の研究では両者の生命予後に差がないことが明らかになっており,収縮機能は保持されたまま拡張機能障害により発症する心不全に注目が集まっています。
当然のことながら高血圧患者の心不全の予防には,その前段階である高血圧治療が重要です。
きょうは、高血圧患者における拡張機能障害とCCBの関連についての記事で勉強しました。
アゼルニジピン(商品名カルブロック)の話題が多いのはスポンサーの関係があるので仕方がありません。
そのあたりのバイアスは意識する必要がありそうです。
 

司会: 松崎 益徳氏 氏 山口大学大学院 器官病態内科学 教授
出席者(発言順):
檜垣 實男 氏 愛媛大学大学院 病態情報内科学 教授
伊藤  浩   氏 岡山大学大学院 循環器内科学 教授
野出 孝一 氏 佐賀大学 循環器・腎臓内科 教授
 
拡張機能障害を伴う高血圧治療におけるCa拮抗薬への期待
高血圧から心不全,そして死へ
■最近20年間における超音波ドップラー法などの診断法の進歩により,拡張機能障害に伴う心不全,すなわち収縮機能が保持されているにもかかわらず拡張機能障害が原因で心不全を発症する症例の多いことが明らかになってきました。(松崎)
■「高血圧から心不全,そして死へ」の流れを表したVasanらの図を見ると(図1),高血圧に糖尿病,肥満,喫煙,脂質異常症などのリスクが伴うことで左室肥大が起こり,一方で冠動脈の粥状硬化症が生じることで心筋梗塞が起こることが示されています。 (松崎)

 

 
■左室肥大では心筋細胞肥大や間質の線維化などが原因で拡張機能障害が起こります。
また,前述のリスクファクターにより冠動脈粥状硬化病変が生じ心筋梗塞の発症につながり,心筋梗塞は収縮機能障害を起こします。
これらの機能障害が原因となって心不全を発症し,死を招くというわけです。
拡張機能障害による心不全の明確な定義はありませんが,左室駆出率(LVEF)が40〜50%程度の症例を指します。
このようなLVEFが保たれているにもかかわらず,心不全症状を呈する拡張機能障害は,収縮機能障害と同様に予後が悪いことが明らかになりつつあり,拡張機能障害を伴う心不全を抑制するための治療戦略が今後,重要な課題になります。 (松崎)

 
いまだ確立されていない心不全の抑制を考慮した降圧治療
■拡張不全は,発症後に,降圧薬を投与しても心保護に対するよい結果が得られないため,心不全の前段階である高血圧をいかに治療していくかが非常に重要です。
現在のところ,心不全の前段階での降圧薬投与による拡張不全への進展抑制を検討した大規模臨床試験は行われていませんが,いくつかのエビデンスを参考に理想的な降圧薬について考えてみます。
左室肥大を有する高血圧患者を対象にARBとβ遮断薬の心血管イベントに対する有効性を検討したLIFE試験では,心不全による入院がARB群7.1%,β遮断薬群7.5%となり,有意な差はないものの,ARBのほうが心不全の抑制に優れる傾向が示されました。
またCa拮抗薬,ACE阻害薬,利尿薬の3剤で致死性心不全の発症率を検討したALLHATのサブ解析において,投与開始後1年間は利尿薬群で発症率が顕著に低く,投与開始2年以降は利尿薬群とACE阻害薬群に差はなくなり,これら2剤がCa拮抗薬よりも心不全発症を有意に抑制することが示されました(図2)。



 
このように,Ca拮抗薬群で心不全に対する発症抑制が得られなかった理由としては,やはり反射性の交感神経活性の亢進が影響しているのではないかと考えられます。
コメント;「交感神経活性の亢進」という文章を読んでいてALLHATではβ遮断薬についての検討はされていないことを思い出しました)

現時点で拡張不全の発症抑制を考慮した降圧薬治療としては,利尿薬あるいはレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬が従来型の長時間作用型Ca拮抗薬よりも有用ではないかと思われます。
とはいえ,心不全を抑制する決定的な降圧薬という意味では,今後の検討が必要です。 (檜垣 )

■実際の臨床の場において,降圧治療はRA系阻害薬と利尿薬だけでは難しく,多くの場合Ca拮抗薬を併用します。 そこで,拡張不全合併高血圧の治療におけるアゼルニジピンの有用性を検討する目的で,近畿および東海の14施設において,CALVLOC trialを行いました。(伊藤)
(結果は図示)



 
アゼルニジピンの腎保護作用が心保護に寄与する可能性
■今まで,Ca拮抗薬は輸入細動脈のみを拡張し,輸出細動脈には作用しないため,糸球体血圧低下による腎保護作用は期待できないとされてきました。
しかし,アゼルニジピンは輸入細動脈と輸出細動脈を両方とも拡張することがわかっています。
そこで,ARBおよび糖尿病治療薬を投与中の微量アルブミン尿を伴う2型糖尿病性腎症合併高血圧患者45例を対象に,無作為にアゼルニジピン(8mgもしくは16mg/日)追加投与群,アゼルニジピンを投与しない対照群の2群に割り付け,12か月間治療しました。 本試験で認められたアゼルニジピンによる尿中アルブミンの低下には,糸球体血圧と酸化ストレス抑制の両方のファクターが関与していると推測されます。 (野出)
(結果は図示)



 
拡張期不全を有する高血圧にはアゼルニジピンが有用
■心筋の壁厚は比較的評価しやすく,また高血圧で左室肥大を伴う症例の多くが拡張機能障害を伴うため,左室肥大を伴う高血圧患者イコール拡張機能障害を伴う高血圧患者と置き換えていただいてもいいのではないかと考えます。 (松崎)
■これまでの高血圧治療は,心臓に関してはおもに動脈硬化やイベント抑制を念頭に置き,厳格な降圧を重視してきましたが,今後は血圧を管理したうえで,さらに心不全抑制や臓器保護の観点から治療を進める新時代へ転換することになると思います。 (檜垣 )
■Ca拮抗薬によってはカテコラミンドライブあるいはRA系の亢進を誘発するような薬剤もありますが,そうすると収縮機能不全や拡張機能不全がある患者は息切れが増強し,QOLは決して改善しません。 (伊藤)
■慢性心不全に有効な薬剤は腎保護も期待できます。糖尿病と高血圧の合併患者には拡張不全と腎機能障害がともに頻発しますので,このような症例の降圧薬治療にアゼルニジピンを使うことは,心不全,腎不全の発症抑制という意味で有用であると思います。 (野出)
出典 MT pro 2009.9.10
版権 メディカル・トリビューン社

 
<コメント>
タイトルほどには拡張機能障害にフォーカスが当っていない座談会でした。
昨日届いた「日本医事新報」に拡張期心不全がとりあげていました。 しかし、よく見ると表紙に擬したセララの広告別冊でした。


(セララはやっと使用期限が2012.7の製品を納品して来ました。かなり問題です。この点についてF社のl企業姿勢を問いたいと思います。今回のドキッとさせる広告も感心しません。)
<追加>
ALLHAT研究結果再考:やはりサイアザイド系利尿剤の優秀性を提示 http://intmed.exblog.jp/8270875/ このサイトから以下引用 「カルシウム拮抗剤のメーカーとその御用学者たちの、苦しい言い訳の洪水が、みてて、漫画並みに面白かった。
その人たちが、今や合剤発表で正反対のことを言うこともある・・・ことで、真に偉い先生ってのは目立つ先生たちにはいないのだなぁ・・・と納得。」
<番外編>
急性冠症候群(ACS)患者およそ18,600人が参加した無作為化試験(PLATO試験)の既定のサブ解析の結果、侵襲的治療(冠動脈造とそれに続く血行再建)を予定している患者集団においてもAstraZeneca(アストラゼネカ)社のアデノシン二リン酸(ADP)受容体アンタゴニスト・BRILINTA (ticagrelor、AZD6140) 治療の転帰の方が抗血小板薬・プラビックス(Plavix;クロピドグレル、clopidogrel)より優れていました。 http://www.biotoday.com/view.cfm?n=37566

( BioToday 2010-01-15 )
<ticagrelor 関連サイト> PLATO試験 http://blog.m3.com/reed/20091222/PLATO_
 
その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き)   
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15 http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~ http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/  (内科医向き)
があります。                  
 

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