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##抗血栓薬の併用は心筋梗塞後の出血リスクを高める
##アスピリン単剤に比べ、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬の出血リスクは3.5倍
急性心筋梗塞後の患者には、虚血イベントの再発予防を目的に抗血栓薬が投与される。
デンマーク・Copenhagen大学Gentofte病院のRikke Sorensen氏らは、国家レベルの患者登録などを利用して、実際に処方された抗血栓薬の種類と出血による入院の関係を調べた。
この結果、アスピリンを単剤で用いた患者に比べ、クロピドグレルとビタミンK拮抗薬を併用した患者とこれら3剤を併用した患者では、出血による入院リスクは3.5倍から4倍になることを明らかにした。
詳細は、Lancet誌2009年12月12日号に報告された。
■心筋梗塞後にはアスピリンとクロピドグレルの処方が推奨されているが、一部の患者にはビタミンK拮抗薬も用いられる。
抗血栓薬の長期的な投与と複数の抗血栓薬の併用は出血リスクの上昇をもたらす危険性があるが、現在のところ、併用した場合の安全性に関するデータはほとんどない。
■著者らは、医療現場で用いられる抗血栓薬の組み合わせが致死的または非致死的出血のリスクにどのような影響を及ぼすか、またどの組み合わせが最も安全なのかを明らかにしようと考えた。
■デンマークの国家レベルの患者登録から、30歳以上で2000〜05年に初回心筋梗塞で入院し、退院から90日以内にアスピリン、クロピドグレル、ビタミンK拮抗薬の処方を受けていた4万812人の患者を同定。
同国の医薬品統計登録から抽出した、退院時に処方され調剤された薬剤に関する情報に基づいて、抗血栓療法を以下のように分類した(人数は最初にその処方を適用された患者の数)。
■アスピリン単剤(1万8763人)、クロピドグレル単剤(7250人)、ビタミンK拮抗薬単剤(1320人)、アスピリン+クロピドグレル併用(1万2219人)、アスピリン+ビタミンK拮抗薬併用(749人)、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用(196人)、これら3剤を併用(315人)。
■試験期間中に処方薬が変更になる患者が多かったため(例えばアスピリンの単剤処方を受けた期間があった患者の総数は3万6006人)、薬剤に対する曝露は時間変動変数として扱った。
■主要アウトカム評価指標は、これらレジメンが出血による入院リスクに及ぼす影響に設定。
入院年度、年齢、性別、併存疾患、他剤の併用(β遮断薬、ACE阻害薬/アンジオテンシンII受容体拮抗薬〔ARB〕、スタチンなど)、出血前のPCI施行の有無などで調整し、アスピリン単剤投与を受けたグループを参照群として、Cox比例ハザード分析を行った。
■退院から平均476.5日の追跡で、1891人(4.6%)の患者が出血により入院していた。
入院イベントは退院から時間が経つにつれて増加していた(ログランク検定のp<0.0001)。
■うち、致死的出血は115人(0.3%)。致死的出血の発生率は試験期間中変化しなかった(ログランク検定のp=0.61)。
■各抗血栓薬の処方開始から出血イベントまでの日数の平均は、アスピリンが220日、クロピドグレル単剤が169日、ビタミンK拮抗薬単剤が275日、アスピリン+クロピドグレルは181日、アスピリン+ビタミンKが243日、クロピドグレル+ビタミンKは193日、3剤併用は178日。
■非致死的出血で最も多かったのは消化管出血(39.6%)だった。致死的出血では大腿偽性動脈瘤に対する治療に関連する出血(33.9%)が最も多かった。
■出血の年間発生率は、アスピリン単剤が2.6%、クロピドグレル単剤が4.6%、ビタミンK拮抗薬単剤が4.3%。アスピリン+クロピドグレル併用は3.7%、アスピリン+ビタミンK拮抗薬併用は5.1%、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用は12.3%、3剤併用は12.0%。
■アスピリン単剤投与を受けたグループを参照群として、出血による入院の調整ハザード比を求めた。
クロピドグレル単剤は1.33(1.11-1.59)、ビタミンK拮抗薬単剤は1.23(0.94-1.61)、アスピリン+クロピドグレルは1.47(1.28-1.69)、アスピリン+ビタミンKは1.84(1.51-2.23)、クロピドグレル+ビタミンKは3.52(2.42-5.11)、3剤併用は4.05(3.08-5.33)。
■害必要数(NNH)は、クロピドグレル単剤が115.7、ビタミンK拮抗薬単剤が165.9、アスピリン+クロピドグレルが81.2、アスピリン+ビタミンK拮抗薬が45.4、クロピドグレル+ビタミンK拮抗薬が15.2、3剤併用は12.5となった。
■なお、全死因死亡リスクをアスピリンと比較したところ、どのレジメンも有意なリスク上昇または低下を示さなかった。
■非致死的出血を経験した1852人のうち、試験期間中に心筋梗塞を再発または死亡していた患者は702人(37.9%)。
一方、出血を経験しなかった3万8960人中では、心筋梗塞再発または死亡は7178人(18.4%)にとどまり、ハザード比は3.00(2.75-3.27、p<0.0001)となった。
したがって、非致死的出血は、心筋梗塞再発または死亡の危険因子と考えられた。
■ビタミンK拮抗薬の単剤投与を除くすべてのレジメンが、アスピリン単剤に比べて出血による入院リスクを高めていた。
処方された抗血栓薬の数が多いほどリスクは高かった。
著者らは、特にリスク上昇が大きかったクロピドグレル+ビタミンK拮抗薬併用と3剤併用は、患者自身のリスクと利益のバランスを慎重に評価した上でのみ処方すべきだと述べている。
原題
Risk of bleeding in patients with acute myocardial infarction treated with different combinations of aspirin, clopidogrel, and vitamin K antagonists in Denmark: a retrospective analysis of nationwide registry data
The Lancet, Volume 374, Issue 9706, Pages 1967 - 1974, 12 December 2009
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(09)61751-7/abstract
出典 NM online 2010.1.8
版権 日経BP社
<新聞切り抜き帖>
活字メディアと映像メディアとは、まったく別物で、たとえば米とパンのように、それぞれ摂れる栄養分が違うのだ。
どれだけ美味しいパンが流行っても、たまには米も食べてほしい。
映像もいいけれど活字も忘れないでもらいたい。
こんなに多くの可能性を秘めたメディアは、滅多にないのだから。
日経新聞・夕刊 2009.10.30
「活字でしかできないこと」 道尾秀介・作家

デュフィ 『赤いヴァイオリン』 1946
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井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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があります。