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エゼチミブについては最近ショッキングな結果がN Engl J Medで発表されました。
Extended-Release Niacin or Ezetimibe and Carotid Intima–Media Thickness
N Engl J Med 2009; 361.
その内容は・・・
スタチンに、niacinかエゼチミブを加え、頸動脈肥厚を検討した。Niacin はスタチンと併用では、頸動脈肥厚を改善する。
エゼチミブは、LDLを低下させるが、LDLが下がれば下がるほど、頸動脈肥厚が認められた。
エゼチミブはスカベンジャーレセプターB1を阻害する。
スカベンジャーレセプターB1はHDLレセプターに親和性があり、HDL結合 の50%に関与している。
エゼチミブが、スカベンジャーレセプターB1や他の重要なコレステロールトランスポートたんぱくを阻害するため、HDLが関係するコレステロールの逆転送を阻害するのかもしれない。
ナイアシンは、Apo AIを上げることでHDLを増加させる。
<引用サイト>
エゼチミブの paradoxical effect (ARBITRER 6-HALTS trial)
http://diabetologistnote.blog119.fc2.com/blog-entry-19.html
小腸コレステロールトランスポーター阻害剤エゼチミブが臨床導入されてから2年余りがたち,臨床におけるデータが蓄積されつつあります。
動脈硬化性疾患ハイリスク患者において,エゼチミブは血清LDLコレステロール(LDL-C)値を低下させるだけではなく,動脈硬化惹起性の高いアポリポ蛋白も低下させることも報告されています。
きょうは、ハイリスク患者の脂質異常症に対する新しい治療のアプローチについての討論会の記事で勉強しました。
山下 静也 氏(司会) 大阪大学附属病院循環器内科 病院教授
永井 義幸 氏 りんくう総合医療センター市立泉佐野病院 副病院長 循環器科部長
加藤 健一 氏 横浜労災病院循環器科 部長
廣 高史 氏 日本大学内科学系 循環器内科学分野
池ノ内 浩 氏 関東中央病院循環器内科
ハイリスク患者の脂質異常症に対する新しい治療戦略
最初にPresentationとして、永井 義幸先生の「ハイリスク患者における脂質管理の新しいアプローチ~臨床試験の結果から~」というお話です。
Presentation
ハイリスク患者における脂質管理
ハイリスク患者におけるエゼチミブの臨床的ベネフィットを解析
■大規模臨床試験の結果から,冠動脈イベントの発生には血清脂質が関与しており,特にLDL-C値とイベントの間には“the lower, the better”の関係が認められることが明らかにされている。
■血中コレステロールの供給ルートには肝臓における合成系と小腸における吸収系があり,従来はおもに合成系を標的とした治療が行われてきた。
しかし,合成系のみを標的とした治療には限界があり,スタチン治療においては用量を2倍にしても上乗せされるLDL-C低下率は6%ほどであることが明らかにされており,近年は吸収系を標的とした治療に注目が集まるようになった。
■エゼチミブは,小腸コレステロールトランスポーターNiemann-Pick C1 Like 1(NPC1L1)に作用して,小腸からのコレステロール吸収を選択的に阻害し,血中コレステロール値を低下させる新しい作用機序を持った脂質改善薬である。
スタチン治療のみでは脂質管理目標値に到達できない症例に対して,エゼチミブはいずれのスタチンとの併用においてもLDL-C値をさらに約25%低下させることが示されている(図1)。

以下は、脂質異常症患者90例に対してエゼチミブを投与た成績をレトロスペクティブに解析した結果の紹介。
(対象は狭心症,高血圧,糖尿病などを合併したハイリスク患者が大半)

LDL-C高値例( ≥ 140mg/dL)
TG高値例( ≥ 150mg/dL)
HDL-C低値例(<40mg/dL)
エゼチミブの投与によるLDL-C,アポB,レムナントの改善
(コメント:タイトルでは”改善”ですが、いずれもStudent's t検定で有意差は得られず)
ここから以下はDiscussionです。
わが国の臨床におけるエゼチミブのベネフィットを検討する
ハイリスク患者におけるエゼチミブを用いた脂質管理の有用性
■エゼチミブによるLDL-C低下率が非常に良好だったのは、対象にスタチンを投与されていた2次予防例も多く,肥満や糖尿病を合併した症例,すなわちコレステロール吸収の亢進が疑われる症例が多かったためだと考えています。(永井)
(コメント:メーカーが「エゼチミブの使用上の注意:糖尿病合併の患者さんにおいては,空腹時血糖の上昇が報告されており,慎重投与となっております」という注釈をつけています)
■私たちは動脈壁のアテロームをコントロールするという観点から,2次予防例のLDL-C管理目標値を80mg/dL以下に設定しています。
スタチンとエゼチミブを併用してコレステロールの合成と吸収を同時に阻害することで,多くの症例で管理目標値への到達が期待できますから,両薬剤の併用によるイベント抑制効果は大きいと考えられます。(池ノ内)
(コメント:「考えられます」とエビデンスは異なります)
■特に糖尿病合併例では,LDL-C値を積極的に低下させることによって予後が改善することが指摘されていますから,厳格なLDL-C管理がもたらす恩恵は大きいと思います。
ハイリスク患者ではLDL-C管理目標値に到達するために,基礎疾患の種類によって治療戦略を工夫すべきだと思います。(廣)
ハイリスク患者ではプラークへの影響も考慮し,より厳格なLDL-C管理が望まれる
■永井先生のご検討では,エゼチミブはアポB分画,RLP分画に好影響を及ぼすことが示されました。
(コメント:n=7でかつ有意差なしでは「好影響を及ぼすことが示されました」とはいえないのでは)
これらの分画は動脈硬化の発症,進展を促進していると考えてよろしいのでしょうか。(山下)
■特に糖尿病患者では冠動脈病変にインターベンションを行っても,新規病変によるイベント再発リスクは高いままです。
そのため,動脈硬化惹起性の要因を厳格に管理して,リスクを軽減する必要があると思います。(加藤)
■日本人の急性冠症候群患者を対象に,冠動脈インターベンション後の非責任病変でのプラークの進展抑制における積極的なLDL-C低下療法の意義を検討したJAPAN-ACS試験では,RLP分画濃度が高いほど脂質改善療法によるプラーク退縮が顕著であったという結果が得られました。
すなわち,ベースラインのRLP分画濃度は,プラークの性質を規定している可能性があります。
エゼチミブによってRLP分画が約30%低下したということは,将来における脂質に富んだ不安定なプラークの形成の抑制に好影響を及ぼすと考えることができるかも知れません。(廣)
■JAPAN-ACS試験では,プラークは8割で退縮,2割で進展しました。
部位によってプラークの性質や,LDL-C値の影響が異なる可能性があるのかもしれません。
プラークの退縮と進展抑制は大きく異なる事象であり,仮説ですが,LDL-Cがプラークの退縮と進展抑制のスイッチングに関与している可能性も考えられます。
LDL-Cをある値まで下げると一部のプラークは退縮し一部のプラークは退縮せずに残るということが考えられます。(廣)
■プラーク退縮の規定因子にはLDL-Cに依存的なもの,非依存的なものがあるようですが,例えば糖尿病ではLDL-Cに依存的な退縮メカニズムが主体と考えられています。
つまり,LDL-C値が低いほどプラークは退縮するということになります。
このことからも,糖尿病合併例ではより積極的にLDL-C値をコントロールする必要があると考えています。(廣)
■そうだとしたら,わが国のガイドラインでも海外と同じように,糖尿病合併例のLDL-C管理目標値を2次予防例と同レベルまで引き下げることを検討する必要があるかもしれませんね。(山下)
エゼチミブのエビデンス確立に期待
■糖尿病合併例はエゼチミブの有用性が期待できる症例だと思います。
エゼチミブの投与によってインターベンション施行率が低下するなど,臨床転帰の変化が明確になれば興味深いですね。
■尿病が発症した時点では,すでに大血管病変が完成しつつあると考えられますので,メタボリックシンドロームやインスリン抵抗性が発現した時点からエゼチミブを積極的に投与することが,脳・心血管イベントの発生抑制につながるのではないかと考えています。
出典 Medical Tribune 2009.12.24,31
版権 メディカル・トリビューン
<エゼチミブ 関連サイト>
ENHANCE試験をめぐる論争 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080428/1
ENHANCE 試験をめぐる論争 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080429/ENHANCE__
高用量スタチン単剤か併用療法か?
http://blog.m3.com/reed/20090916/1
ENHANCE試験
http://blog.m3.com/reed/20080418/ENHANCE
SEAS試験
http://blog.m3.com/reed/20091229/SEAS_
コレステロール吸収阻害の臨床的意義http://blog.m3.com/reed/20080115/1
エゼチミブの臨床的有用性を考える
http://blog.m3.com/reed/20080116/1
エゼチミブの臨床的有用性 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080502/1
ARBITER 6-HALTS スタチンとナイアシンの併用
http://blog.m3.com/reed/20091209/ARBITER_6-HALTS_
エゼチミブ・シンバスタチン併用めぐる終わりなき論争戯れ言たれる侏儒 / 2008.07.24
http://blog.m3.com/reed/20080724/1
コレステロール吸収阻害の新戦略
http://blog.m3.com/reed/20080705/1
エゼチミブの臨床的位置付け
http://blog.m3.com/reed/20080614/1
エゼチミブの臨床的意義
http://blog.m3.com/reed/20090321/1
エゼチミブの臨床的有用性 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080502/1
エゼチミブの臨床的有用性 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080503/2
<コメント>
エゼチミブについては以上のように大体評価は定まったようです。
○スタチンとは異なる作用機序で脂質低下作用は期待できる。
○そのためスタチンとの併用効果がある。
○フィブラート系と違ってスタチンとの併用に問題がない。
○糖尿病患者への投与についてはクエスチョンが残る。
○そして一番の問題。脂質低下作用が期待出来るが、抗動脈作用や心血管イベントの抑制やプラーク短縮についてのエビデンスが不十分である。
<きょうの一曲>
New Year Concert 2010(ラデツキー行進曲)
Radetzky March-Vienna 2010 - New Year Concert 2010
http://www.youtube.com/watch?v=hUH-zMfnFXk
ラデツキー行進曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/ラデツキー行進曲
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。