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安定型冠動脈疾患、左室収縮機能障害はいずれもイベント発生率が高く、安静時の高心拍数は冠動脈リスク因子に影響を及ぼす可能性があるといわれています。
If電流阻害薬ivabradineは、安定型冠動脈疾患および左室収縮機能障害患者の心臓の予後を改善しないが、心拍数が≧70拍/分の患者では冠動脈疾患の発症を低下させるという昨年の話題です。
このivabradineは洞房結節のIf電流を阻害することで心拍を低下させるが、他の心機能には影響を及ぼさないとのことです。
#心拍数70拍/分以上は冠動脈疾患や左室機能不全患者の危険因子
欧州では,慢性安定狭心症に対して,洞房結節のIf電流を選択的に阻害して心拍数を減少させる心拍数低下薬ivabradineが導入されている。
第30回欧州心臓病学会(独ミュンヘン)で王立ブロンプトン病院(ロンドン)のKim M. Fox氏は冠動脈疾患または左室機能不全患者への同薬の効果を検討したBEAUTIFUL※試験の結果を報告。
1次エンドポイントでは同薬の有意な効果が認められなかったが,ベースライン時の心拍数が70拍/分以上の患者では,心筋梗塞による入院や冠動脈血行再建術のリスクを低下することが示された。さらに,心拍数70拍/分以上は冠動脈疾患の高危険因子となりうることが明らかにされた。
この研究はLancet(2008; 372: 807-821)に掲載された。
#心拍数70拍/分以上の冠動脈疾患には心拍数低下薬が有用か
同試験は,33か国781施設の参加によりランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験として行われた。
対象は,心筋梗塞既往などの冠動脈疾患患者,または左室駆出率が40%未満の左室機能不全患者で,ivabradine5mg(7.5mgまで増量)投与群(5,479例)とプラセボ群(5,438例)にランダムに割り付けられた。追跡期間の中央値は19か月。至適治療が実施されたうえで,試験薬が投与された。
割り付け時の服薬率は,レニン・アンジオテンシン系抑制薬91%,β遮断薬87%,抗血小板薬94%,脂質低下薬76%など。
試験開始時の平均心拍数は71.6拍/分で,ivabradine群は試験開始12か月後に6拍/分低下した。
心血管疾患関連死亡および心不全,心筋梗塞による入院を含む複合1次エンドポイントの発生は,ivabradine群15.4%,プラセボ群15.3%で,両群間に差は認められなかった(ハザード比1.00,P=0.94)。
死亡関連項目や心不全関連,冠動脈疾患関連項目のいずれも両群に有意差はなかった。
ベースライン時の心拍数が70拍/分以上の患者に限定して評価したところ,1次エンドポイントには有意差がなかったが,2次エンドポイントの致死性,非致死性心筋梗塞による入院は36%(P=0.001),冠動脈血行再建術は30%(P=0.0016),それぞれプラセボ群に比べivabradine群で有意なリスク低下が認められた。
さらに,全例を心拍数70拍/分をカットオフ値として比較したところ,70拍/分以上の患者(2,693例)は70拍/分未満の患者(2,745例)に比べ,心血管死が34%,心筋梗塞による入院が46%,心不全による入院が53%,血行再建術が38%,それぞれ有意に増加していた。
試験統括者のFox氏は「冠動脈疾患患者の半数程度は70拍/分以上で,これらの患者はivabradine投与により心筋梗塞や血行再建術のリスクを低下できる」とコメントし,今後心拍数管理にも留意した診療が求められる点を強調した。
※Morbidity-mortality evaluation of the If inhibitor ivabradine in patients with coronary disease and left ventricular dysfunction
出典 Medical Tribune 2008.10.2
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
Morbidity-mortality evaluation of the If inhibitor ivabradine in patients with coronary disease and left ventricular dysfunction
がどうして
BEAUTIFUL試験
なのかよくわかりません。
少し調べてみたら
ということがわかりました。
かなり苦しいです。
ivabradineによる心拍低下療法の心予後改善は?:BEAUTIFUL試験
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=5782
では
著者は、複合エンドポイントに変化がみられなかった原因について「基礎疾患ごとに必要とされる心拍数の低下の程度が異なる可能性がある。心拍数は、心筋梗塞や狭心症などそれが直接的に影響する疾患よりも、心不全など生理的反応に影響を及ぼす疾患でより低下する可能性がある」と考察している。
という著者のコメントが紹介されています。
Ivabradine for patients with stable coronary artery disease and left-ventricular systolic dysfunction (BEAUTIFUL): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
Lancet. 2008 Sep 6;372(9641):807-16. Epub 2008 Aug 29.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18757088?ordinalpos=2&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum
<関連サイト>
BEAUTIFUL STUDY
http://www.beautiful-study.com/static/html/index.asp
Pure heart rate reduction with ivabradine
http://www.beautiful-study.com/static/html/healthcare/about_ivabradine.asp
Figure 1. Ivabradine provides effective, baseline-dependent heart rate reduction
The BEAUTIFUL study: Ivabradine and the reduction of cardiovascular events
http://www.news-medical.net/news/2008/08/31/41024.aspx
Procoralan(ivabradine)*で心臓発作減少 欧州心臓学会で新臨床研究発表
http://japan.asiaprnews.com/2009-08-31/200351.html
BEAUTIFUL for some: No overall advantage of ivabradine, but high-heart-rate patients may benefit
http://www.theheart.org/article/898825.do
BEAUTIFUL: Ivabradine did as well as placebo
http://www.cardiologytoday.com/view.aspx?rid=31727

アンリ・マティス 「夢」 油彩/カンヴァス 1940年
http://www.fujitv.co.jp/events/art-net/go/113.html
<きょうの一曲>
Ennio Morricone - Amapola
http://www.youtube.com/watch?v=EVyiC5kJSrY&feature=related
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
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