戯れ言たれる侏儒
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高齢者高血圧の降圧治療

戯れ言たれる侏儒 / 2009.12.26 00:23 / 推薦数 : 0

日経メディカル2009年12月号特別編集版「スペシャルレポート」の記事で勉強しました。

第32回日本高血圧学会総会(2009.10)の特別企画「JSH2009ガイドラインを検証する」では、公表後の同ガイドラインの認知状況や主な変更点などが紹介されました。
その他に、学会に寄せられた意見を踏まえ、今後の検討課題について議論が交わされました。
その一つとして「高齢者高血圧」が議論されました。

##高齢者高血圧は積極的な降圧治療が基本
■JSH2009ガイドラインにおける高齢者高血圧の治療に関する内容に関する概説と検証は、大阪大学大学院老年・腎臓内科学教授の楽木宏実氏が担当した。
同ガイドラインでは、「高齢者でも最終降圧目標達成のために積極的に治療すること」を基本姿勢として強調しており、降圧療法の対象年齢に上限を設けていないことが特徴だ。

■降圧目標に関しても、「いずれの年齢層でも140/90mmHg未満の降圧により予後改善が期待される。65歳未満から治療中の患者において、65歳になって降圧を緩める必要はない」と明記している。
その理由は、降圧薬治療介入に関する大規模試験はSBP160mmHg以上、DBP90〜100mmHg以上を対象としたものがほとんどで、I度高血圧に関するエビデンスはわずかしかない。
しかし、疫学的には70歳以上でも、140/90mmHg以上で心血管疾患のリスクが増加することは明らかだ。
また、降圧療法による心血管疾患発症リスクの軽減は年齢によらないというデータもあり、薬物療法を行うかどうかは別として、少なくとも管理対象にはなると判断した。(楽木氏)

■ただし、75歳以上でSBP160mmHg以上の場合は、降圧の最終目標は140/90mmHgとしながらも、150/90mmHg未満を中間目標として慎重に降圧を行うべきと付記している。

■75歳以上のII度以上高血圧で、140/90mmHgを降圧目標とすることに関して介入試験のエビデンスはない。
例えば、日本人の高齢高血圧患者を対象にしたJATOS試験では、降圧目標を140mmHg未満に設定した場合と140〜160mmHgに設定した場合で、イベント発生に差はみられていない。
このため、ガイドライン作成委員会では150mmHg未満を目標にすべきとの意見も出たが、厳格な降圧を否定するものではないとの見方から、疫学研究の成績を重視してこの形にまとまったという。(楽木氏)

■高齢者での厳格な降圧がこれまで懸念されてきた背景には、過度な降圧でイベントがかえって増加するJ型現象の可能性が指摘されてきたことがある。

■しかしJSH2009ガイドラインでは、「一般には過降圧の危険性はまれである」としている。
J型現象が生じる恐れのある対象患者のプロファイルやその血圧値、失神や転倒・骨折に対する降圧の影響などについては、今後の重要な検討課題といえる。(楽木氏)

#併用療法の新知見に期待
■ 高齢者高血圧の薬物療法では、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、少量利尿薬を第一選択薬とし、一般に常用量の2分の1から開始して、降圧効果が不十分な場合はこれらを併用する(図1)。
薬剤の選択は、患者の病態や合併症、臓器障害、QOLなどを考慮して行う。

図1 高齢者高血圧の治療計画

■高齢者における第二選択薬に関するエビデンスはこれまで十分ではなかったが、心血管系疾患の危険因子を有する高齢者高血圧患者を対象に、併用療法での第二選択薬の組み合わせを群間比較する試験が国内でいくつか進行中だ。
その1つであるCOPE試験はCa拮抗薬+利尿薬、Ca拮抗薬+β遮断薬、Ca拮抗薬+ARBの併用を比較するもので、2009年11月に終了予定。
また、ARB+利尿薬とARB+Ca拮抗薬を比較するCOLM試験は2011年8月に終了の見込みだ。
これらの試験の結果を通じて、わが国の高血圧治療ガイドラインはさらに一歩進化すると思われる。(楽木氏)

■なお、楽木氏は日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン作成委員会の事務局長としてガイドライン発表後に学会に寄せられた様々な意見に対応しているが、JSH2009ガイドラインに対する評価は高く、「公表以後、内容に関して大きな変更はない」という。
ただし、細かな訂正内容については、同学会のホームページで随時告知している。

■また、JSH2009ガイドラインの主要ポイントを抜粋し、治療方針を理解しやすくするためのフローチャート、若干の注釈・訂正などを加えた「高血圧治療ガイドライン2009ダイジェスト」が2009年9月に発行されている

出典 NM online 2009.12.24
版権 日経BP社

<関連サイト>
高血圧治療ガイドライン2009ダイジェスト

http://www.jpnsh.org/guideline_n.html

「高血圧治療ガイドライン2009」正誤表
http://www.jpnsh.org/files/cms/62_1.pdf

今回の講演は

特別企画2:ガイドラインシンポジウム 10月3日
座長: 荻原 俊男 大阪府立急性期・総合医療センター
島本 和明 札幌医科大学医学部 内科学第二講座
JSH2009 ガイドラインを検証する
SP2-1 高血圧治療ガイドライン(リスク評価と血圧管理計画)
今井 潤 (Imai, Yutaka) 東北大学大学院臨床薬学
SP2-2 第一選択薬と併用療法
島田 和幸 (Shimada, Kazuyuki) 自治医科大学 循環器内科
SP2-3 糖尿病、メタボリックシンドロームを伴う高血圧の治療
島本 和明 (Shimamoto, Kazuaki) 札幌医科大学 医学部 内科学第二講座
SP2-4 CKDを伴う高血圧の治療
伊藤 貞嘉 (Ito, Sadayoshi) 東北大学 大学院医学系研究科 内科病態学講座腎・高血圧・内分泌学分野
SP2-5 高齢者高血圧の治療
楽木 宏実 (Rakugi, Hiromi) 大阪大学大学院 医学系研究科 老年・腎臓内科学
の中にあります。

主要講演プログラム一覧
http://jsh32.umin.ne.jp/PDF/program_main.pdf
教育セッション(予防)に

座長: 木村 玄次郎 名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学
EP-3 MRに誤魔化されない臨床試験のみかた
山崎 力 (Yamazaki, Tsutomu) 東京大学 医学部 臨床疫学システム講座

という面白いタイトルの教育講演があったようです。
<きょうの一曲>
シューベルト ピアノ三重奏曲1番
(メニューイン兄・妹&モーリス・ジャンドロン)
(1/2) Schubert - Piano Trio No.1 - I. Allegro moderato
http://www.youtube.com/watch?v=ZR5pWFZpx2g&feature=related
(2/2) Schubert - Piano Trio No.1 - I. Allegro moderato
http://www.youtube.com/watch?v=k8HIzv61ZKE&feature=related
Piano Trio No. 1 Schubert - andante con moto
http://www.youtube.com/watch?v=GBuHBQaYZoU



マチス 「花瓶とビンと果物」
http://dognorah.exblog.jp/1155658/
(とてもマチスの絵とは思えないような作品です。エルミタージュ美術館所蔵とのこと。)


 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 


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