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きょうは少し趣向を変えてサノフィ・アベンティス社の新聞広告記事でATISの勉強しました。
ATISはAtheroTrombosISの略語で、脳や心臓、足の血管に血栓が詰まる病気の総称です。
この統一概念は池田康夫先生が命名しました。
以下は座談会の内容です。

■エイティスとは

■エイティスは全身の血管の病気
永田
頭の血管の場合は、くびの血管(頸動脈)と頭の中の比較的大きな血管で動脈硬化が起こりますが、最近
は頸動脈の動脈硬化が多くみられ、手術も多く行われています。こうした患者さんでは、心臓や足の血管も狭い(狭窄)場合がとても多く、とくに心臓に血液を送る冠動脈の病変を合併する方が3割程度みられます。
さらに、くびの手術の後の死因で一番多いのは心筋梗塞で、毎年5%位の方が亡くなられます。ですから、頭やくびの手術のときは、循環器や末梢血管の先生方に相談する必要があります。
古森
下肢の動脈が詰まって症状が出ている患者さんを診るとき、エイティスの一部分症であるということを念頭に置いて、必ずくびや心臓など他の部位の動脈硬化の合併症がないかを診ます。
実際に、とくに脳、心臓、足と3カ所の動脈硬化症の合併はおよそ5〜10%もあるということが分かっています。
また、末梢の動脈が詰まる疾患のある人では、冠動脈の動脈硬化症で亡くなられる頻度が高いという報告もあります。
小川
心筋梗塞や狭心症で心臓の血管を調べるときにも頭と末梢の血管の検査を行いますが、心臓以外の血管障害がかなり多く見つかります。
冠動脈疾患のある人の超音波検査をすると、ほとんどの人の頸動脈にも病変があるということが分かっています。
■欧米化している日本人の疾病構造
永田
日本人はくびの血管よりも頭に入った中の血管が詰まる人が大変多かったのですが、最近では頭の中の血管が詰まる人は少なくなり、くびの狭窄の人が多くなっています。
食事などライフスタイルの欧米化とともに、変化してきていると考えられます。
小川
日本人の冠動脈疾患の頻度は欧米人より低いのですが、その数は年々少しずつ高くなってきています。
また、昔は日本人は3本の冠動脈のうち1本だけに病変を起こす人が多かったのですが、最近は、2本、3本と病変を起こす多枝病変が明らかに増えてきています。
さらに、病変の壁の動脈硬化の度合いも、昔と比べていまは目に見えてひどくなってきています。
■危険因子を管理して発症予防を
小川
心筋梗塞を起こす危険因子で一番にあげられるのは高血圧で、次に喫煙、糖尿病と続きます。最近注意が必要なのは、30〜50歳代と若いときに心筋梗塞を発症する人で、三つの因子に加えてコレステロールや中性脂肪が高い脂質異常症の人が増えています。
また、危険因子には男女差があり、女性の場合には喫煙と糖尿病が大変強い因子になってますので、とくに注意が必要です。
永田
エイティスという概念で全部つながってはいますが、多少、起こる場所によって危険因子は異なってきます。
頭では基本的に高血圧が重要で、コントロールすれば3割方で脳梗塞などの発症が減ります。
コレステロールや糖尿病も危険因子としてはっきりしていますが、治療してどのくらい脳梗塞が減るかを比較すると、高血圧に比べていくらか少ないといえます。
古森
末梢動脈が狭窄したり閉塞したりすると、歩くと足が痛くなる間欠性跛行という症状が出て、さらに進むと何も運動しないのに安静時に痛みが出る(安静時疼痛)、あるいはひどいものは壊疽や壊死につながる重症虚血肢という状態になります。
間欠性跛行の患者さんが重症虚血肢になるリスクは、糖尿病があると4倍、喫煙が3倍、脂質異常症が2倍になるという報告がありますので、これらのコントロールが重要です。
永田
エイティスの脳梗塞に加えて、小さな脳梗塞のラクナ梗塞も高血圧が基盤となるので、高血圧の管理がまず重要だといえます。
また、最近増えている糖尿病は動脈硬化を進めて頸動脈狭窄症や頭の後ろの方の動脈を狭窄させます。
さらに、脳梗塞とラクナ梗塞の間のBADという細い動脈に起こる梗塞も糖尿病の人に多くみられるので注意が必要です。
小川
心臓でも高血圧と糖尿病は一番注意が求められますが、禁煙も非常に効果があります。
最近病院は禁煙になっていますので、発作が多くあった患者さんでも入院すると軽快することがよく見受けられます。
■予兆を見逃さず早めの受診と適切な検査を
小川
心筋梗塞は突然に起こる場合が多いですが、全体の半数位では何らかの症状が出ています。
胸が締め付けられるような圧迫感があったという人が多くみられますが、胃の症状と思い込んだりしてなかなか病院に来ていただけません。
一番怖いのは、そうした症状が次第に頻繁に起こるようになったり、痛みが強くなってきても、受診されない方です。早めに受診すれば心筋梗塞にならずにすんだ例は多く見受けられます。
永田
脳のエイティスには一過性脳虚血発作という疾患があり、一時的に1時間位手足の麻痺が出たり、話しにくくなるなどの症状が出ます。
これは緊急の事態ですからすぐに病院に来ていただく必要があります。その段階の前に見つけるのはなかなか難しいのですが、危険因子がある中年以上の方は脳ドックを受けることをお勧めします。
古森
足が痛いとき整形外科に行く患者さんが多いのですが、足の脈まで診てもらえず、末梢動脈の病気が見逃されることもあります。危険因子があってある程度高齢の患者さんに対しては、まず脈がふれているかを診て、足の血圧と上肢の血圧の比をとる検査をするという簡単な方法で病変の有無を診断します。
問題があれば頸動脈や末梢血管の超音波検査を行います。
永田
頸動脈のIMTという血管壁の厚さを測る超音波検査は、心臓疾患などのリスクが評価できますし、超音波のなかではくびの検査が一番簡単にできるものだと思います。
■動脈硬化は改善できるか
永田
いろいろな薬物療法によって、頸動脈のプラークの退縮やIMTの値の減少は可能性があります。
ただし、年齢も一つの大きな危険因子なので長い目でみるとまた悪くなってくるようではありますが、とりあえずは良く効くという薬もあります。
小川
頸動脈と同様に心臓でも動脈硬化の退縮は確かにあります。
とくに、コレステロールを十分に抑えると目に見えて退縮します。
また、アンジオテンシンIIに作用する降圧剤を使用すると、血管の機能が良くなるということはありえます。
そして、予防のためには抗血小板薬は非常に重要な役割を果たすと考えられます。
古森
末梢動脈のプラークの退縮についてまでは研究が進んでいませんが、ステントなどの血管内治療やバイパス手術などの外科的治療の後に、抗血小板薬やスタチンなどを長期に投与すると治療成績が良くなるという結果は報告されています。
冠動脈疾患の抑制も含めて、術後の薬物療法のフォローは非常に重要なポイントだと思います。
■抗血小板薬による再発防止と全身の血管管理
古森
軽度の間欠性跛行では運動療法や薬物療法、高度の間欠性跛行や重症虚血肢では、ステントなどの血管内治療やバイパス手術などの血行再建術を行います。
そうした外科的な治療の局部的血行を良くするために、また、治療によって血流が良くなったとしても、全身的な血栓の予防のために主に抗血小板薬の投与を続けていきます。
小川
冠動脈疾患の治療においても、局所だけではなく全身のトータルな治療に効果がある抗血小板療法は必須といえます。
抗血小板薬により、ステントを入れたり、バイパス手術を行うなど外科的治療後の心筋梗塞の再発も防げますし、脳や末梢動脈の血栓の形成を制御することもできます。
また、心臓に限って考えても、3本ある冠動脈のうちの1本にステントで治療した場合、残りの2本のどちらかに血栓が詰まる可能性も高くあります。
こうした新しい病変を防ぐためにも抗血小板薬は有効です。
永田
既に脳梗塞の症状がある方では、頸動脈の狭窄が70%以上の場合には抗血小板薬の投与に加えて、心臓のように外科的治療を行いますが、それより狭窄度が低い方へは、基本的に抗血小板薬による内科的治療を柱に全身の血管の管理が行われています。
出典
http://www.asahi.com/ad/clients/ATIS/discussion.html
版権
朝日新聞社
<コメント>
一般市民向けの啓蒙記事のため諸先生方には時間の無駄遣いをさせてしまいました。
このATISという概念は、以下の<番外編>のCSAの講演の際に紹介されて初めて耳にした言葉です。
新聞読者の方が先に知っていたという訳です。
ネットを含む種々の知識の入手法の発達で患者さんから逆に教えて貰うことも多く、冷や汗を時々かいています。
さて、このATISという概念ですが、どうやら国産の用語のようです。
細かくいえば血栓の発生メカニズムは各々異なる訳ですから、少し乱暴な概念のような気もします。
同じ抗血小板剤の適応疾患として、製薬メーカー主導の概念のような気もします。
はたして普及するのでしょうか。
<番外編>
冠攣縮性狭心症(CSA)・講演会 その7
■減少していた異型狭心症を経験する機会が再び増加した。
これにはARB旋風によるCCBの処方減少が関与していると思われる。
■スパスムは内膜・中膜・外膜が一緒に収縮するのか?
(OCTでの観察で外膜は収縮していな可能性がある)
■DES留置が誘発冠スパスムを生むか?
(DESとBMSではステント留置枝、多数枝スパスムについては差はない。しかし誘発スパスムはBMSに多い傾向。つまり、DES例は誘発スパスムを起こしにくいかも知れない。)
■冠攣縮性狭心症の頻度
(臨床現場の狭心症の4割にスパスムが関与)
■日本の循環器科医はCAGとPCIが忙しい!
<きょうの一曲> O Holy Night
o holy night (These are the special times concert)
http://www.youtube.com/watch?v=7Jr-2eyRtV4&feature=related
Mariah Carey - O Holy Night
http://www.youtube.com/watch?v=OvKF__2r5Tw&feature=related
O Holy Night!
http://victorian.fortunecity.com/rodin/485/holynight.html
讃美歌第二編219番 さやかに星はきらめき
Hymn No.148 O Holy Night!/Minuit, Chretiens
http://www.soundpie.com/hymn/219.htm

2009.12.19撮影
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。