戯れ言たれる侏儒
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第82回米国心臓協会学術集会(AHA 2009)の「生体吸収性エベロリムス溶出ステント」の記事で勉強しました。

「生体吸収性エベロリムス溶出ステント」については

生体吸収性エベロリムス溶出ステントの2年後成績
ABSORB試験より
http://blog.m3.com/reed/20090331/ABSORB_

でもとりあげました。

##〜生体吸収性エベロリムス溶出ステント〜
##3年後の虚血性MACE発生率は3.4%
次世代ステントとして,生体吸収性ポリマーを使用した薬剤溶出ステント(DES)が注目を集めている。
エラスムス医療センター(オランダ・ロッテルダム)のPatrick W. Serruys氏らは,新規1枝冠動脈病変に生体吸収性エベロリムス溶出ステント(BVS)を留置する前向きオープン試験ABSORB※の3年間の追跡結果を報告。虚血性の主要有害心血管イベント(MACE)発生率は3.4%で,遅発性ステント血栓症は認められなかったことを明らかにした。

#内皮依存性血管反応が保持
DESの登場で再狭窄は激減したものの,遅発性ステント血栓症など課題も残る。BVSは,生体吸収性のポリ-L-乳酸の支持体に,抗増殖薬エベロリムスを含有するポリ-D,L-乳酸をコーティングしたステント。永久的な金属留置を避けることで,
(1)自然な血管治癒,正常な血管運動や遠隔期の内腔拡大
(2)抗血小板薬併用療法の期間短縮
(3)再血行再建術の施行容易化
―などを目指している。

解析対象は,安定/不安定狭心症,無症候性心筋虚血を伴い,3.0×12mmか18mmステントが使用可能な新規1枝病変を伴う29例。抗血小板薬併用療法は6か月以上施行とした。
病変長は8.66±3.97mm,最小血管径(MLD)1.10±0.26mm,径狭窄率(DS)は59±12%だった。

2年時の成績は論文化されており(Lancet 2009; 373: 897),(1)血管内エコー所見で,内腔がステント留置6か月後に減少を示した後,2年時にかけて拡大に転じ,留置後と内腔面積,プラーク面積などに有意差はない
(2)光干渉断層計による解析で,ステントストラット数が34.5%減少し,血管壁は内皮で滑らかに被覆されている
―などが判明した。

BVSのメリットの1つは,MRIやCTでの非侵襲的な追跡が可能になった点で,18か月後のマルチスライスCTによる平均面積狭窄率は34%,平均DSは19%,一方,定量的冠動脈造影での平均DSは28%であることが確認された。

また,血管反応性の検討からは,内皮依存性の血管運動能が保持されていることもわかった。

3年時の臨床成績を見ると,虚血性のMACEは,6か月時に認められた非Q波心筋梗塞の1例(3.4%)のみで,それ以降にイベント発生はなく,虚血性の標的病変再血行再建(TLR)もなかった。ステント血栓症も,2年以降一過性に生じた1例以外に発症はなかった。
心臓死以外の死亡は2例(6.9%),非虚血性のTLRは1例(3.4%),同標的血管再血行再建(TLR除く)は2例(6.9%)だった。

Serruys氏は,課題として内皮依存性血管運動の検討を挙げ,「遅発性ステント血栓症の予防にきわめて重要な可能性がある」と述べた。

※A bioabsorbable everolimus-eluting coronary stent system

出典 Medical Tribune 2009.12.17
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
#生体吸収型ステントは2年後も安全
3分の1は体内に吸収される、ABSORB試験の結果
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090402/143334/
■薬剤溶出型かベアメタルステントかに関わらず、金属製ステントを留置すると、血管腔の拡張が妨げられ、外科的な血行再建術が困難になり、マルチスライスCTやMRIによるイメージングの適用が難しくなる。

#エベロリムス溶出ステントは内径損失と重大な心有害事象が少ない
パクリタキセル溶出ステントと比較したSPIRIT III試験の結果
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jama/200805/506391.html
■エベロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントの有効性と安全性を比較する大規模な前向き単盲検試験SPIRIT IIIの結果、エベロリムス溶出ステントの方が内径損失と有害な心イベントは有意に少なく、標的血管不全の発生率については非劣性であることが示された。
米国Columbia大学医療センターのGregg W. Stone氏らの報告で、詳細はJAMA誌2008年4月23/30日号に掲載された。
■エベロリムスは、半合成のマクロライド系免疫抑制剤で、ラパマイシンのアナログだ。
エベロリムスを溶出する高耐久性フルオロポリマーでコートしたコバルトクロム合金製ステントは、予備的な研究において、シロリムス溶出ステント、パクリタキセル溶出ステントに比べ内皮化が早いと報告されている。
欧州で行われた小規模な研究と中規模な試験では、冠動脈疾患患者の臨床転帰と血管造影の結果を向上させることが示されている。
■8カ月時の病変内内径損失は、エベロリムス溶出ステント群(301病変)で、パクリタキセル溶出ステント群(134病変)に比べ有意に少なかった。
平均は0.14mmと0.28mm、差は-0.14(95%信頼区間-0.23から-0.05)。非劣性のP≦0.001で、優越性のP=0.004となった。
■ ステント内の内径損失も同様で、それぞれ0.16mmと0.31mm、差は-0.15(95%信頼区間-0.25から-0.04)。
非劣性のP<0.001、優越性のP=0.006だった。
■ステント留置から約半年間はエベロリムス群で心筋梗塞が少なく、その後はエベロリムス群で標的病変部の血行再建術再施行が少なかった。
■大規模な前向き研究で、エベロリムス溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントに比べ8カ月時の内径損失が少ないこと、9カ月時の標的血管不全の発生率においては非劣性であることが示された。

原文
Comparison of an Everolimus-Eluting Stent and a Paclitaxel-Eluting Stent in Patients With Coronary Artery Disease
JAMA. 2008;299(16):1903-1913.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/299/16/1903
#NEJM誌から
薬剤溶出ステントの方が1年間の再狭窄は有意に少ない
HORIZONS-AMI試験の結果
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200906/511010.html?ref=RL1
■ ST上昇心筋梗塞(STEMI)でプライマリPCIを受ける患者を対象に、薬剤溶出ステント(DES)の安全性と有効性をベアメタルステント(BMS)と比較する無作為化試験を行った結果、治療から12カ月間の再狭窄と血行再建術施行はDES群で有意に少ないことが示された。
心血管安全性には差は見られなかった。米Columbia大学のGregg W. Stone氏らの報告で、詳細はNEJM誌2009年5月7日号に掲載された。
■HORIZONS-AMI試験は、今回のSTEMI患者を対象にBMSとDESの安全性と有効性を比較する目的と同時に、ビバリルジンの安全性と有効性をヘパリン/GP IIb/IIIa阻害薬併用と比較する目的で実施された。こちらの結果は、2008年にNEJM誌に報告されている。
NEJM誌から
ビバリルジンはST上昇心筋梗塞の大出血リスクを低減
ヘパリン+GP IIb/IIIaとの比較試験の結果
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200806/506812.html
Bivalirudin during Primary PCI in Acute Myocardial Infarction
N Engl J Med 358:2218-2230,2008


<番外編 その1>
第82回米国心臓協会学術集会(AHA 2009)から。
##〜EFFECT試験〜
##診療実績の公表がAMI死亡率低下に寄与
患者・一般市民への心疾患診療実績の公表が,診療の質改善につながる可能性が,カナダ心血管転帰研究チームが実施したEFFECT※試験から判明した。
臨床評価科学研究所(カナダ・トロント)のJack V. Tu氏によると,総合評価で診療実績の公表による診療の質の有意な改善は示せなかったものの,公表により急性心筋梗塞(AMI)30日後死亡率の有意な低下が認められたという。

#公表が質改善活動を活性化
患者・一般市民への病院診療実績の公表は,診療の質改善策として,行政当局によって義務付けられつつある。
そこでTu氏らは,「診療実績の公表が心疾患の診療の質を改善する」との仮説を証明するため,オンタリオ州で初の大規模ランダム化比較試験EFFECTを実施した。

質評価には,AMIとうっ血性心不全(CHF)の「治療プロセスの質指標」を用いた。
AMIは左室機能の評価,30分以内の血栓溶解療法または90分以内のプライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)など12項目,CHFは連日の体重記録,左室不全に対するACE阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の使用など6項目の実施率から成る。

ベースライン(1999年4月~2001年3月)の同指標に関する診療実績公表時期により,参加施設を
(1)2004年1月に早期公表する I 群(解析対象42施設,実質的公表群)
(2)2005年9月に遅れて公表するII群(同39施設,対照群)
に割り付け,II群の公表前の2004年4月~05年3月までの変化を診療記録から検討した。
公表にはインターネットを用い,早期公表時には記者会見も行った。
早期公表はカナダでメディアの注目を集め,1,200万人以上がニュースを視聴したと推定された。

解析の結果,1次評価項目の複合AMI質指標の改善は, I 群が1.5%大きかったものの,両群に有意差はなかった。個別の12指標のうち,「CCU/ICUへ搬送前の救急部門での血栓溶解療法施行率」については, I 群の改善が有意に優れていた。

同じく1次評価項目の複合CHF質指標の改善も,早期公表群が0.6%大きかったものの両群に有意差はなかった。
個別の6指標のうち,「左室収縮不全に対するACE阻害薬またARBの使用率」は, I 群で有意に優れていた(P=0.02)。

一方,AMI 30日後死亡率は I 群で11.7%から9.8%に低下したのに対し,II群では12.2%のまま推移し, I 群の改善効果が有意に優れていた(P= 0.045)。
CHFの30日後および1年後死亡率は,群間に有意差はなかった。

2004年6日の調査によると,「早期公表に対応するためのAMI,CHFの治療変更実施」は,AMI 73.2%対46.7%,CHF 61.0%対50.0%と,ともに I 群で有意に高かった。しかし,II群でも予想以上に治療の質改善の取り組みが進んでおり,これが1次評価項目に有意差がなかった理由の1つと考えられるという。

指定討論者のコロラド大学デンバー校(コロラド州デンバー)のFrederick A. Masoudi氏は,同試験が臨床転帰にも焦点を当てた点などから,「質戦略のランドマーク試験」と評価。一般市民への診療実績公表は,質改善活動を活性化し,臨床転帰を改善した可能性があるとした。この試験の結果は,JAMA(2009; 302: 2330)に掲載された。

※Enhanced Feedback for Effective Cardiac Treat

出典 Medical Tribune 2009.12.17
版権 メディカル・トリビューン社

<番外編 その2>
##PCI前日のアトルバスタチン単回高用量投与で術中MIが有意に減少
待機的に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける患者に対し,前日にアトルバスタチンの単回高用量投与を行うことで周術期の心筋梗塞(MI)が有意に減少すると,イタリアのグループがJournal of the American College of Cardiologyの12月1日号に発表した。

PCI前に少なくとも7日間アトルバスタチンを投与することで,周術期のMI発症が減少する。
同グループは,PCI前のアトルバスタチンの単回高用量投与が周術期MIの発症率低下に有効かどうかを検討した。

対象は,待機的PCIを施行するスタチン治療歴のない668例。前日にアトルバスタチン80mgを単回投与する群338例と,非投与群の330例にランダムに割り付けた。

介入前6時間と介入後12時間に,クレアチニンキナーゼ心筋アイソザイム(CK-MB,正常上限値3.5ng/mL)と心トロポニン I 値(正常上限値0.10ng/mL)を測定。周術期MIの発症はCK-MBの正常上限値の3倍を超える上昇あるいは胸痛,STまたはT波の異常と定義した。

その結果,周術期のMI発症率は対照群の15.8%に対し,アトルバスタチン群では9.5%と有意に低かった〔オッズ比0.56,P=0.014〕。
PCI後のCK-MB最高中央値は対照群が3.20ng/mL,アトルバスタチン群が2.10ng/mLであった(P=0.014)。アトルバスタチン群では,心トロポニン I が正常上限値の3倍を超えた割合も有意に低かった(P<0.001)。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view/perpage/1/order/1/page/0/id/M42510625/year/2009

Novel approaches for preventing or limiting events (Naples) II trial: impact of a single high loading dose of atorvastatin on periprocedural myocardial infarction.
Briguori C, et al. J Am Coll Cardiol 2009; 54: 2157-2163.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19664895

出典 Medical Tribune 2009.12.17
版権 メディカル・トリビューン社

<きょうのドクターズライフ掲示板>
晩酌のパターンについて
http://community.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?boardId=7&messageId=1291015&messageRecommendationMessageId=1291015&topicListBoardTopicId=128990
(面白く読みました)


平山郁夫 『アンコールワットの月』
http://shop.yumetenpo.jp/goods/d/kakejikudo.com/g/HG-8028/index.shtml

<きょうの一曲>
Tony Bennett - Winter Wonderland HDTV
http://www.youtube.com/watch?v=rhcg25ShZgs


 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 


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