戯れ言たれる侏儒
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CKDの降圧治療戦略

戯れ言たれる侏儒 / 2009.12.19 00:10 / 推薦数 : 0

ベニジピンを発売している協和発酵キリンがスポンサーになった第32回日本高血圧学会総会(2009.10.3:大津)でのランチョンセミナー「慢性腎臓病の降圧治療戦略」の記事で勉強しました。
一定のバイアスがかかっている可能性は排除できません。

##慢性腎臓病の降圧治療戦略
##降圧薬の組み合わせで臨床効果に違いがあるか
慢性腎臓病(CKD)は,末期腎不全だけでなく,心血管疾患の発症リスクであり,CKD合併高血圧に対する降圧治療はますます重要である。
その降圧目標はきわめて厳格であり,第一選択薬のレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬単独投与では達成しえない症例が散見されることも事実である。
今回のCKDの降圧治療における降圧薬の併用の在り方についての2つ講演では,カルシウム(Ca)拮抗薬では薬剤により腎機能保護作用に違いがあることが明らかにされた。

#講演 I
CKD患者のARB併用療法におけるCa拮抗薬の選択―尿蛋白を抑制するために―
日本大学内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野 阿部 雅紀氏 
■「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009」(日本腎臓学会編)において,CKDならびに糖尿病性腎症患者の降圧目標は130/80mmHg未満(尿蛋白1g/日以上は125/75mmHg未満)とされている。
第一選択薬としてはRA系阻害薬が推奨されているが,これらの単独投与では降圧目標を達成できないことが多い。
そこで,第二選択薬として腎輸出細動脈を拡張し,尿蛋白抑制作用を有するCa拮抗薬の選択を考慮すべきとされている。

■CKD患者の多くは,腎輸入細動脈が拡張し,腎輸出細動脈が収縮しているため,糸球体内圧は上昇している。
糸球体高血圧はさらに病態を悪化させるため,T型,N型 Caチャネルに作用して腎輸出細動脈を拡張するCa拮抗薬が有用とされる。

■同氏らは,最高用量のARBを内服しても血圧140/90mmHg以上かつ尿蛋白300mg/gCr以上を示すCKD stage3〜5の患者47例をL/T型Ca拮抗薬であるベニジピン投与群,L型Ca拮抗薬であるアムロジピン投与群にランダムに割り付け,6か月間観察し,血圧および尿蛋白への影響を評価した。
その結果,血圧はベースラインと比べて両群とも有意に低下したが,尿蛋白はベニジピン群で有意に低下したのに対し,アムロジピン群では有意な低下が認められなかった。

■また,同様の背景を有するCKD(stage3〜5)合併高血圧患者216例をベニジピン投与群,L/N型Ca拮抗薬であるシルニジピン投与群にランダムに割り付け,12か月間観察し,血圧および尿蛋白への影響を評価した。
投与量は,ベニジピン2~8mg/日(平均7.9±0.1mg/日),シルニジピン5~20mg/日(同18.5±0.4mg/日)であった。

■その結果,血圧は両群ともに有意に低下し,投与12か月後において両群間で有意差は認められなかった。
尿蛋白は両群ともに投与3か月後からベースラインに比べて有意な低下が認められたが,投与12か月後の尿蛋白の低下率は,ベニジピン群においてシルニジピン群に比較して有意に大きかった(図1)。
また,糖尿病合併例での検討においても,両群とも有意な尿蛋白抑制作用を示したものの,投与6か月以降の低下率は,ベニジピン群においてシルニジピン群に比較して有意に大きかった(図2)。N型Caチャネルは神経終末に存在し,神経を介して腎細動脈への作用を及ぼすため,糖尿病のような神経障害を来す病態では,作用が減弱した可能性が考えられた。



■これらの結果から,同氏は,CKDの降圧治療では,RA系阻害薬の併用薬として,尿蛋白抑制作用の観点から,Ca拮抗薬のなかでもベニジピンの有効性が高く,その効果は,特に糖尿病合併例で高い可能性があることを指摘した。

#講演 II
臓器保護を考えたこれからの高血圧治療
滋賀医科大学腎臓・神経内科科長 血液浄化部部長 宇津 貴 氏 
■加齢,肥満,メタボリックシンドローム(MetS),糖尿病などの心血管疾患の危険因子は,CKDの危険因子でもある。
また,CKDは心血管疾患の発症リスクとなることから,降圧治療において,CKDの合併,病態を考慮することは重要である。
同氏は,RA系阻害薬による微量アルブミン尿の抑制はCKDにおける腎機能低下の抑制,心血管疾患の発症リスクの低下に有効であるが,一方でCKDでは食塩感受性が亢進し,RA系阻害薬の降圧効果が減弱するため,ナトリウム(Na)排泄作用を有するCa拮抗薬などとの併用が有用であるとした。

■「高血圧治療ガイドライン2009」(日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編)において,RA系阻害薬は,CKD,糖尿病などの降圧治療における第一選択薬として推奨され,微量アルブミン尿,蛋白尿を抑制することが期待されている。
しかし,食塩摂取が過剰な例では,その降圧効果は減弱することが多い。

■同氏らが2型糖尿病患者を対象に行った検討では,微量アルブミンの減少が得られた患者群において,腎機能低下に加え心血管疾患の発症も抑制された。

■また,ARBで治療中の2型糖尿病合併高血圧患者を対象とした検討では,24時間Na排泄量と夜間血圧(日中との比率)が相関し,食塩摂取量が多くなるほど,夜間の降圧が障害されていることが示された。
CKD,糖尿病,MetSなどを合併する高血圧では食塩感受性が亢進することから,RA系阻害薬の単独投与では血圧管理が困難であるだけでなく,夜間に十分な降圧が得られない可能性が示唆された。

■このため,食塩感受性が亢進したCKD患者の降圧治療においては,減塩の徹底とともにRA系阻害薬とNa排泄作用を有する薬剤の併用が望ましいという。
Ca拮抗薬のベニジピンは,高血圧自然発症ラット(SHR)による検討において,アムロジピンと比較し低用量からNa排泄作用を示すことが確認されており(図3),MetS患者を対象とした同氏らの検討においても,ベニジピン投与によりNa排泄が亢進し,食塩感受性が改善されることが示された(図4)。
ベニジピンのこのような作用は,T型Caチャネルを阻害し,腎輸出細動脈を拡張することに加え,副腎でのアルドステロン産生を抑制し,尿細管でのNaの再吸収を抑制するためと考えられる。

■ベニジピンのようにNa排泄作用,食塩感受性改善作用を有するCa拮抗薬は,CKDの降圧治療において,RA系阻害薬との併用に有用であり,臓器保護作用も期待される。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view/perpage/1/order/1/page/0/id/M42500641/year/2009

<コメント>
「CKD診療ガイド(日本腎臓病学会編)」では「特に蛋白尿の存在が重要」ということになっています。
講演会でも「蛋白尿は腎臓の悲鳴」と繰り返し言われます。
ガイドラインでも「蛋白尿は腎臓病の糸球体、尿細管および尿路の障害が考えられる」と述べられています。
CKDの定義は「腎臓の障害(蛋白尿など)、もしくはGFR・・・」となっており意外と蛋白尿の重み付けはあいまいです。

昨日、当院から腎臓専門医へ紹介状を書いた60代の女性がいます。
10年前から骨粗鬆症で治療していました。
当初、腎機能は全く異常なく尿蛋白も陰性でした。
5年前よりクレアチニンがじわじわ上がり始めたため処方していた アルファカルシドール1.0μgを中止しました。
全経過で尿蛋白は陰性(尿アルブミン定量では59.6mg/g cr)で12月の検査ではBUN19.2mg/dl、クレアチニン1.62mg/dl、eGFR25mL/min/1.73㎡でした。
血圧もむしろ低血圧(100/60mmHg前後)で糖尿病なし。
貧血なし。
シスタチンC 1.94mg/dl (〜0.95)、尿NAG 6.7U/L(~7.4)。
以前本人が低タンパク米などの蛋白制限に取り組んでも効果なし。

さて腎臓専門医からはどのような返事がいただけるでしょうか。
楽しみです。

このような症例の場合、蛋白尿の有無で心合併症の発生頻度は明らかにことなるのでしょうか。

平山 郁夫 清涼寺多宝塔
http://www.oi-bijutsukan.com/item-0709002.html

<きょうの一曲>  O Holy Night
Celtic Woman / Chloe Agnew - ''O Holy Night''
http://www.youtube.com/watch?v=cZ-8jYpa1-o&feature=related

O Holy Night!
http://victorian.fortunecity.com/rodin/485/holynight.html
 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 

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