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循環器疾患を診療する限り、糖尿病診療は避けて通れません。
それどころか糖尿病診療についての十分な素養を身につけていないといけないと思われます。
このあたりのことについては
循環器専門医が診る糖尿病治療のあり方
http://blog.m3.com/reed/20090927/2
2型糖尿病治療と循環器専門医
http://blog.m3.com/reed/20091110/1
でもとりあげました。
重複するところも多いと思いますが、今一度勉強してみました。
##循環器内科領域における2型糖尿病治療
―糖尿病専門医に聞く,循環器医が知っておくこと,すべきこと―
わが国の糖尿病患者数は増加の一途をたどっており,虚血性心疾患をはじめとする循環器疾患患者における糖尿病合併例の増加も問題になっている。
ここ数年の大規模臨床試験からは,糖尿病治療が循環器疾患の予後に重要な関連を持つことが明らかになっており,循環器領域においても糖尿病を適切に治療することが要求されている。
司会:
池田 宇一 氏 信州大学大学院医学系研究科循環器病態学 教授
コメンテーター:
小田原 雅人 氏 東京医科大学 内科学第三講座 主任教授
出席者(発言順):
山本 一也 氏 飯田市立病院 循環器内科 部長
櫻井 俊平 氏 社会医療法人財団慈泉会相澤病院 循環器内科 統括医長
笠井 宏樹 氏 信州大学医学部附属病院 循環器内科 外来医長
堀込 充章 氏 NHOまつもと医療センター松本病院 循環器科
#循環器科でも増加する糖尿病合併患者
■厚生労働省による1997年の糖尿病実態調査では,糖尿病が強く疑われる人が690万人,糖尿病の可能性が否定できない,いわゆる予備群の人が680万人で,合わせて1,370万人でした。これが2002年には1,620万人になり,さらに2007年には2,210万人に上ることが報告されています(図1)。(小田原)

■CCUに搬送されてきた患者さんに耐糖能試験をすると,すでに糖尿病と診断された人を除いても3分の1が糖尿病,3分の1が耐糖能異常(IGT)で,正常な人は3分の1しかいなかった(Norhammar A, et al: Lancet 359: 2140-2144, 2002)。(小田原)
#早期の血糖管理が長年にわたり心血管リスクを抑制:Legacy Effect
■2型糖尿病患者を対象に血糖コントロールによる合併症の抑制効果について検討した代表的な臨床試験にUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)がありますが,その1997年の報告では,SU薬やインスリンにより血糖コントロールした強化療法群と,食事療法のみで管理した従来療法群との間では,糖尿病関連の全エンドポイント,細小血管症について有意差が出たにもかかわらず,心筋梗塞の抑制については有意差が出ませんでした。
循環器医にとっては,この試験の印象が強く残っており,これが現在に至るまで,血糖コントロールの考え方に影響しているかもしれません。(池田)
■この報告のなかで,強化療法群は従来療法群に比べて心筋梗塞発症の相対リスクは16%も低下していますが,p値は0.052でわずかに有意水準に達しなかったわけです。
確かに,このことが積極的に血糖コントロールをしても心筋梗塞の抑制にはつながらないのだという,誤ったメッセージとして伝わった可能性もあります。
しかし,UKPDSはその後も10年間(中央値8.5年)フォローアップされ,昨年,その成績が報告されました。
これによると強化療法群は従来療法群に比べて心筋梗塞発症の相対リスクは15%減少し,p値は0.01で,その効果に有意差が認められています(表)。(小田原)

■また1997年以降はそれまでの従来療法群も強化療法群に移行し,同じ治療を行ったにもかかわらず,1997年の報告で認められた強化療法群における糖尿病関連の全エンドポイント,細小血管症,心筋梗塞の抑制効果はそのまま維持されていました。
なお,1997年の報告では,強化療法群と従来療法群の平均HbA1Cの差はわずか0.9%。
つまり,強化療法群における当初のHbA1C 0.9%の低下が,その後10年間にわたって好影響を及ぼし続けたことになります。
これは「Legacy Effect(遺産効果)」とも呼ばれ,比較的早期からの血糖コントロールが長期的にきわめて大きなベネフィットになることを意味します。
#ADA/EASD治療アルゴリズムで第一段階に配されるSU薬とインスリン
■米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)は,2006年に初めて両学会のコンセンサスによる2型糖尿病治療のアルゴリズムを発表していますこれが,UKPDSの長期フォローアップ成績など,その後報告されたいくつかの大規模臨床試験の成績を受けて,2008年に改訂されました。
改訂のおもなポイントは,まず,治療法を第1段階「十分に検証された中心的治療法」と第2段階「十分には検証されていない治療法」に分け,前者にメトホルミンやインスリン,SU薬を配し,後者にはピオグリタゾンやグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アゴニストを置いたことです。治療のステップ1として,生活習慣の改善とメトホルミンの投与を推奨している点は従来通りですが,これによりHbA1C7%未満が達成できない場合のステップ2には,まず基礎インスリンかSU薬の追加を推奨しています(図2)。(小田原)

■高齢で動脈硬化の進展している人の場合には,目標血糖値を少し高めに設定し,血糖降下も緩徐に行うということでよいのではないかと思います。(小田原)
#日本人の2型糖尿病治療におけるSU薬の有用性
■ADA/EASDのアルゴリズムでは第一選択薬はメトホルミンですが,これは欧米では肥満が多く,糖尿病の病態として,インスリン抵抗性の亢進が主になっているからです。
しかし,肥満が少なく,インスリン分泌の低下が主となっている日本人では,メトホルミンよりSU薬の投与を先に持ってきてよいようにも思います。(池田)
■国際糖尿病連合(IDF)のガイドラインでは,アジア人で肥満のない2型糖尿病例ではSU薬を第一選択にしてよいと記されています。(小田原)
■ADA/EASDコンセンサスにおいては,低血糖のリスクが高いという理由で,SU薬のなかでもグリベンクラミド(ダオニール®)以外の薬剤が推奨されています。(小田原)
■グリメピリド(アマリール®)は12週間でHbA1Cを約1.3%低下させたと報告されています(豊田隆謙ほか: 臨床医薬 13: 4457-4478, 1997)。
また,グリメピリドは,心筋の虚血プレコンディショニングを阻害しない(Klepzig H, et al: Eur Heart J 20: 439-446, 1999)などのメリットがあることも報告されています。(小田原)
■SU薬の二次無効というのは,実は経口血糖降下薬としてほぼSU薬しか使われていなかったころの経験をもとに使われていた表現です。しかし,最近ではSU薬だけが二次無効を引き起こすわけではないことがわかってきております。(小田原)
出典 Medical Tribune 2009.11.26
版権 メディカル・トリビューン
<コメント>
グリメピリド(アマリール®)を発売しているメーカーがスポンサーの座談会です。
<きょうの一曲> Chicago
Frank Sinatra - Chicago
http://www.youtube.com/watch?v=NoKn7vkSMBc
FRANK SINATRA , MY KIND OF TOWN
http://www.youtube.com/watch?v=vOA22sHwbu4&feature=related

http://ecx.images-amazon.com/images/I/413P31VZHBL.jpg
<自由時間>
当院には何故か外国の患者さんが時々来院します。
こちらは気負い込んで片言英語で意思疎通を図ろうとするのですが、大概は流暢な日本語で返事をしてくれます。
最近ではウクライナ、スリランカ、インド、ブラジルの方が来院しました。
昨日は、独身の頃から以前に来院していた女性が、子供を2人連れてワクチン接種に来院されました。
ご主人はシカゴの方です。
勿論日本語はOKでした。
お節介な私はシカゴ出身として診察中にも拘らず机のパソコンを繋いで、「シカゴ」をかけて聴かせてしまいました。
ナースの冷たい目線を感じながら・・・。
フランク・シナトラについてはかなりきな臭いことがウイキペディアに書かれています。
真偽のほどは分かりません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/フランク・シナトラ
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
コメント
コメント一覧
大変勉強になる記事をありがとうございます。
私も同じことを感じます。循環器科で、特に心血管イベントを起こした患者さんで正常血糖(糖尿病でも、IGT/IFGでもない)の患者さんが非常に少ないことです。
先生が書かれているように、SU剤のなかではアマリール(グリメピリド)が「心筋プレコンディショニング」を阻害しないので、心筋虚血のリスクの高い患者さんに使い易いですね。
意外な落とし穴は、食前血糖だけは良いものの食後高血糖を起こしている例が結構多いことです。そういう症例は心筋梗塞を起こしやすく、私も何度か痛い目に遭っています。わが国ではαGIが非常に多用される傾向にあり、症例を選ぶべきだと常々思っておりますが、αGIは食後高血糖の明らかな症例には非常に有用です。
コメントありがとうございました。
食後高血糖についてはよくわからないことがあります。
グルコーススパイクの糖毒性については、よく胃切後の食後高血糖ではどうかということが取り沙汰されます。
先日もある糖尿病研究会でもそんな質問がありました。
その時にはその質問に対する明快な回答がなかったような記憶があります。
胃切後の患者さんに細小血管障害や大血管障害が多いという報告はあるのでしょうか。
そしてこれらの方のインスリン分泌はどうなっているのでしょうか。
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