戯れ言たれる侏儒
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狭心症の診断に心電図検査より病歴聴取が大切という報告で勉強しました。
私は在局時代は今でいうサイトカイン、勤務医時代はホルター心電図を用いた無痛性心筋虚血(silent ischemia)の研究をしていました。
勤務していた病院ではまだCAGがなく、心電図所見とCAG所見との照合ができずに悔しい思いをしたことを思い出します。

狭心症が疑われる患者のECG検査
ロンドン胸部病院のAdam Timmis教授らは,狭心症が疑われる患者に対して心電図(ECG)検査を行っても,心疾患発症予測精度は低く,ルーチンの病歴聴取や診察を上回る有効性はないとBMJ(2008; 337: a2340)に発表した。
同教授は「心疾患や心筋梗塞発症リスクの高い患者をより多く検出するには病歴聴取よりも精度の高い検査法が必要だ」と述べている。

発症例の約半数は過去のECG検査で陰性に
■狭心症は最も一般的な冠動脈疾患で,英国では約100人に2人が発症する。
■患者は,胸痛クリニック(chest pain clinic)に紹介されて評価を受ける。
胸痛クリニックとは,狭心症が疑われる症状のある患者を,紹介後2週間以内に専門家が評価するクリニックである。

■安静時および運動負荷ECGによる迅速評価は,狭心症が疑われる患者に対して最も一般的に実施される非侵襲的検査であるが,心疾患発症リスクの予測能については不明である。

■Timmis教授らは,心疾患の既往歴がなく狭心症が疑われる患者で,主治医の紹介により6つの胸痛クリニックのいずれかを受診した8,176例を調査した。

■全例に臨床評価(年齢,性,人種,症状の持続期間,胸痛の種類,喫煙状況,高血圧の病歴,服用薬などのデータ検討)と安静時ECGを実施した。
さらに,運動負荷ECGの概要データのあるsummary群4,848例と,詳細なデータが残っているdetailed群1,422例を数年間追跡した。

■その結果,追跡期間中に発生した全冠動脈イベントの約半数(47%)は,運動負荷ECGが陰性で心疾患が指摘されなかった患者で発生していたことが判明した。
同教授らは「今回の結果から,運動負荷ECGは心疾患発症リスクの予測精度が低いことが示唆された」と述べている。

病歴聴取と診察の重要性再確認
■今回の研究では,将来の心疾患に関して,ルーチンの臨床評価がもたらす予測情報は,ECGで得られる情報とほぼ同等であることが判明した。

■病歴聴取および診察から得られる情報に比べて,安静時ECGに付加的なメリットはなかった。

■Timmis教授らは「過去に心疾患と診断されたことがない狭心症が疑われる患者の将来の冠動脈疾患リスクを判定するうえで,ECG検査は価値が低く,病歴聴取や診察を含むルーチンの臨床評価を上回る付加的な価値はほとんどない。この患者群に対するより効果的なリスク層別化の方法が求められる」と述べている。

■聖ミカエル病院(カナダ・トロント)のBeth Abramson部長は,同誌の付随論評(2008; 337: a2340)で「これらの知見から,詳細な病歴聴取と綿密な診察の重要性があらためて確認された。ECGの追加情報は一部の患者には役立つが,必ずしも全例のリスクを予測するものではない」と述べている。

出典 Medical Tribune 2009.3.26
版権 メディカル・トリビューン

<コメント>
以前は(いや現在もと言ったほうがいいのでしょうが)心電図による狭心症の診断が重要でした。
冠動脈造影が普及する以前には客観的根拠として絶対的といってもいい検査法でした。
運動負荷心電図については心電図学会で盛んに議論され、テキストまで出版されました。
その後、不安定プラークの破綻という概念の普及により、器質的狭窄のある安定狭心症の診断としての存在意義以外には心電図診断のポジションは低下して来たのかも知れません。
この論文の主な目的は「listen to the patient」という基本に戻れということなのでしょう。
確かにACSが起きるか起きないかということは、事前に心電図では診断出来ないかも知れません。

さて、以前にも触れたことがありますが、ある業者からワイヤレス12誘導心電計の購入を勧められています。
マスター負荷の階段昇降中にも無線でST変化がチェック出来、トレンドグラムも見れるのは魅力です。
このシステム(海外製で国内初という謳い文句)を知ってからは、普通の階段負荷試験が虚しく感じるようになってしまいました。

このシステムは一部の大学病院でも導入されているようで、業者の話では最近東京のT大でもデモしたとのことです。

開業医でのエルゴメーターもこの心電計を用いれば容易ですが、ドクターがかかり切りになってしまうのが難点です。

マスター負荷より、運動中の心電図変化が観察できるトレッドミルやエルゴメーターが診断能力が高いことは勿論です。

運動中の心電図モニターは出来ませんが、ホルターを被験者に装着していただいてエルゴメーターを行うというのはきっといけないことなのでしょうね。

 


<きょうの論文>
Obesity-Related Risk Factors of Cardiovascular Disease
Circ J 2009; 73: 2204 – 2205
http://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/73/12/2204/_pdf/-char/ja/

 

<きょうの1枚のイラスト>

http://med.astrazeneca.co.jp/nmo/nmo_statin04.html
倉林正彦.:Pharma Medica, 25(10),77-80,2007


<きょうのCD>
交響曲第5番 ケンペ&ミュンヘン・フィル(2XRCD)

ケンペ&ミュンヘン・フィルのブルックナー第4番と第5番がXRCD化!
http://www.hmv.co.jp/news/article/906190074
 


<きょうの一曲> Et pourtant
Et pourtant - Live in concert 2000 - Charles Aznavour
http://www.youtube.com/watch?v=AU1LBMra-vc&feature=related



鈴木信太郎 「アネモネ」 洋画 8号
http://item.rakuten.co.jp/g-modern/285/ 


その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 

 

 

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