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第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表をとりあげた記事で勉強しました。
一般人口における突然死のリスクと左室拡張不全の関係
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/aha2009.cgi/html/06_975.html
出典 Medical Tribune Congress News Wave 2009.11.19
版権 メディカル・トリビューン社
一般人口における突然死のリスクと左室拡張不全の関係
年間18万〜25万人が心臓突然死(SCD)で亡くなる米国では,SCDの原因究明と予防に向けた大規模な疫学研究が盛んに行われている。
そのひとつであるオレゴン突然死研究(Oregon SUDS)を推進するUy-Evanado氏らは,同研究により,左室拡張不全(LVDD)が新たなSCDリスク予測因子として浮上したことを報告した。
SCDの「ケース」と「コントロール」の心エコーデータを比較
■Oregon SUDSは,SCDの発生状況の調査と原因因子の解明を目的に,2002年にオレゴン州ポートランド(人口100万人)で開始された研究である。
れまでの約8年間に報告されたSCD疑い例は3,000例以上にのぼり,2,400例以上が剖検などによりSCDと判定されている。
■今回Uy-Evanado氏らは,これらのSCD事例のうち,死亡時年齢35歳以上かつ死亡につながった心停止とは無関係な理由で行われた心エコー検査の記録がある121例(ケース群;平均69±14歳,男性66%,BMI 29.0±8.5kg/m2)と,ケース群と人口統計学的因子を一致させた心停止の既往のない冠動脈疾患(CAD)患者141例(コントロール群;平均68±11歳,男性63%,BMI 29.9±6.9kg/m2)の心エコーデータを比較し,SCDと関連する因子の検索を行った。
収縮機能が正常な場合,LVDDの存在によりSCDのリスクは3倍に
■その結果,重度の左室収縮不全〔LVSD;ここでは左室駆出率(EF)≦35%と定義〕の存在が確認された患者は,ケース群22%,コントロール群18%であり,両群に有意な差は認められなかった〔P=0.44, χ2検定(以下同)〕。
また,左室肥大(LVH;左室壁厚≧1.2cm)の頻度はケース群がやや高めであったが,有意差は認められなかった(33% vs. 25%;P=0.14)。
■これに対し,LVHと左房拡大(LAE;左房径>4cm)を併せ持つ左室拡張不全(LVDD)の頻度は,ケース群26%,コントロール群15%であり,前者が有意に高率であった(P=0.03)。
しかし,収縮機能が正常なサブグループにおけるLVDDの頻度は,ケース群が26%,コントロール群が11%と著明であった(P=0.04)が,LVSDを有するサブグループではケース群とコントロール群のLVDD頻度に差は認められなかった(表1)。

CADの既往の有無は結果の大勢に影響せず
■以上の結果より,左室収縮機能が正常な人々においては,左室拡張機能の低下がSCDの独立した予測因子となることが示唆された。
■ただし,今回の解析は「一般人口でのSCDリスク」と謳いつつも,コントロール群は全例がCAD有病者であった。
一方,ケース群にはCADの有無による縛りがなく,同群のCAD有病率は55%であったことから,その両者を同列で比較することの妥当性に対する疑問が会場から寄せられた。
しかし,この点についてUy-Evanado氏らは,ケース群のうちCADを有する患者(N=66)のみを抽出してコントロール群と比較した補足データを示し,その場合も全体での解析と傾向は変わらなかったことを説明し,「大勢への影響はないと考えている」と答えた。
<監修者 兵庫県立尼崎病院 佐藤幸人部長のコメント>
■収縮能が保持された患者は一般に心不全患者の約半数を占め,高齢の女性に多いとされている。
■予後に関しては
(1)収縮能保持心不全患者の予後が収縮機能障害心不全患者と比較してもほぼ同等に悪いこと,
(2)収縮機能障害患者の生存率は年代を追って改善傾向があるが,収縮能保持(拡張機能障害)心不全患者では改善が認められないこと,
が報告されている(N Engl J Med 2006; 355: 251-259)。
Trends in prevalence and outcome of heart failure with preserved ejection fraction.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16855265
■しかし,従来の収縮能保持心不全患者の集計は死亡という項目については検討しているが,死亡のモードのひとつである突然死に関して疫学的に検討したものはほとんど報告がなかった。
イルベサルタンを用いて収縮能保持患者へ介入したI-PRESERVE試験においても検討されていない(N Engl J Med 2008; 359: 2456-2467)。
Irbesartan in patients with heart failure and preserved ejection fraction.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19001508
■その意味で,拡張障害と突然死の意義を検討した本発表の意義は大きい。
しかし上述されているように症例の選択にやや問題があり,今後,種々の母集団での検討が必要である。
また,拡張能障害と収縮能保持心不全とでは意味合いも異なり,検査法により,それぞれの概念や検出感度も異なってくるため検討が困難な領域でもある。
例えば最近報告された安定冠動脈病変合併の収縮能保持患者の突然死を検討した報告では,年齢,狭心症発作,収縮能がやや低いこと,利尿剤の使用―が突然死のリスクであり,冠動脈再建術は突然死を減少させると報告している(Am J Cardiol 2008; 101: 457-461)。
Sudden cardiac death in patients with stable coronary artery disease and preserved left ventricular systolic function.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18312757
<関連サイト>
The Oregon Sudden Unexplained Death Study (Ore-SUDS)
http://www.oregonsuds.org/SUDS.htm
<きょうの一曲>
グラシェラ・スサーナ Graciela Susana - 粋な別れ (LIVE)
http://www.youtube.com/watch?v=yv4lKjdk1aQ&feature=related
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。