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第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表をとりあげたの記事で勉強しました。
久留米大学医学部 心臓・血管内科 溝口ミノリ 先生のピオグリタゾンが頸動脈プラークに及ぼす影響についての発表です。
急性の血管傷害を起こした患者の責任プラークの病理解析では,マクロファージ浸潤による広範囲の炎症が認められます。
演者らは,以前に,18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いた陽電子放出型断層撮影(FDG-PET)により,アテローム性プラーク内の炎症の描出と定量化に成功し,スタチン投与による炎症抑制の評価をFDG-PETにより行っています。
今回の発表は、インスリン感受性改善薬のピオグリタゾンが,2型糖尿病患者の頸動脈アテローム性炎症抑制に与える影響をFDG-PET/CT技術を用いて評価したものです。
ピオグリタゾンは頸動脈プラークに対する抗炎症作用を有することが示唆されたという結論です。
##ピオグリタゾンは2型糖尿病における頸動脈プラークの炎症を減少させるがSU薬は減少させない:連続FDG-PET/CTを用いたランダム化プロスペクティブ試験
#FDG-PETにより炎症反応の変化を視覚化
■PPAR-γ活性化作用を有するピオグリタゾンは,血糖値とともに脂質プロファイルを改善することが知られており,PROactive試験では,ピオグリタゾンはプラセボと比べ脳卒中発症率を著明(47%)に減少させることが確認されている。
これには、ピオグリタゾンの抗炎症作用による頸動脈プラークの安定化が関与していると思われる。
■演者らは、2型糖尿病患者31例(年齢70歳,男性24例,女性7例)において血管FDG取り込みをPET/CTで測定し,これらの患者をピオグリタゾン群16例(15~30mg/日)とSU薬群15例(1~4mg/日)にランダム化して4か月治療し,再度FDG-PET/CTを施行して,炎症への影響を比較した。
撮像法 略
#炎症反応の変化とHDLコレステロールに相関
■ベースラインにおける年齢,男女比,肥満度,血圧,脂質プロファイル,血糖値,炎症マーカー,TBR,心血管疾患,投薬の種類などの背景は,両群で同等であった。
HbA1cは,4か月の治療で,ピオグリタゾン群がベースラインの6.5±0.6%から6.0±0.3%に,SU薬群が同6.3±0.6%から6.1±0.5%に,それぞれ有意(P=0.000,P=0.001 t検定)に低下した。
■高感度C反応性蛋白質(hsCRP)値は,SU薬群がベースラインの0.70±0.04mg/dLから1.16±0.07mg/dLに増大した。
一方,ピオグリタゾン群では0.88±0.05mg/dLから0.50±0.03mg/dLに低下した(P=0.036)。
これに応じて,ΔTBR(target to background ratio、糖の吸収補正のための動脈/静脈SUVの比)は,SU群では0.11とベースラインと比べ差がなかった。
一方,ピオグリタゾン群では−0.23と,ベースラインと比べ有意(P<0.01)に低下し,PET/CT画像においても炎症反応の抑制が確認された(図)。
ピオグリタゾン群におけるTBRの低下は,HDLコレステロールの上昇と相関する傾向にあった(r=-0.489,P=0.054) 。

■今回の知見は,ピオグリタゾンが頸動脈プラークに対する抗炎症作用を有することを示している。
こうした作用は,ピオグリタゾン投与により脳卒中が著明に減少することを説明する重要な機序の1つだと示唆された(溝口ミノリ 氏)。
<監修者 兵庫県立尼崎病院 佐藤幸人部長のコメント>
■同様の比較検討は2型糖尿病患者において,頸動脈,冠動脈の超音波検査所見で検討され,それぞれCHICAGO試験(JAMA 2006; 296: 2572-2581),PERISCOPE試験(JAMA 2008; 299: 1561-1573)として報告されているが,いずれもピオグリタゾンが有意に動脈硬化の進行を抑制した。
■また,2型糖尿病患者における心血管イベント抑制を検討したPROactive試験においてピオグリタゾンはプラセボと比較して有意に複合エンドポイント(総死亡+非致死性心筋梗塞+脳卒中)を低下させている(Lancet 2005; 366: 1279-1289)。
■ピオグリタゾンの糖尿病改善効果以外の作用機序としては,現在までにPPARγ活性作用,抗炎症作用,アディポネクチン増加作用,血管内皮機能の改善などが考えられている。
■本発表は,ピオグリタゾンの作用機序のひとつとして,抗炎症作用をhsCRPとFDG-PETを用いて検討した。
他に抗炎症作用を示したデータとして,PERISCOPE試験でもピオグリタゾンはSU薬と比較して,経過中のhsCRP抑制が強力であることが示されている。
■もうひとつ,ピオグリタゾンの特徴としてHDLコレステロール値を上昇させることがCHICAGO試験でも報告されているが,今回の検討でも同様の作用であった。
ピオグリタゾンの糖尿病改善効果以外の作用が再確認されたと同時に,臨床指標としてFDG-PET,hsCRPが適切であることを示した検討である。
<SUVの関連サイト>
骨・腫瘍の核医学診断
http://nuclear.med.hokudai.ac.jp/kougi/NuclMed/20090126Bone.pdf
(SUV;atandardized uptake value についてはこのサイトのP17に説明があります)
<番外編>
#AED10万台を無料改修 不具合の恐れ、日本光電
医療機器製造販売会社の日本光電工業(東京)は20日、緊急時に使用できなくなる恐れがあるとして、米国から輸入販売した自動体外式除細動器(AED)約10万7千台を無料改修すると発表した。薬事法に基づき都に届け出た。
奈良県の老人保健施設で4月、AEDが使用できなくなる不具合があり、80代の女性が死亡した。
死亡と不具合の因果関係は不明だが、同社は同様の不具合が起きる可能性は極めて低いとしている。
改修対象は、米カルディアック・サイエンス社製の「AED-9100」「AED-9200」「AED-9231」「AED-1200」で、医療、教育機関、民間企業など約7万7千施設に納入している。
国内にはAEDが二十数万台あり、半数近くが改修となる。
社員が来年5月以降、納付先に出向き、不具合を改善したソフトウエアに入れ替える。
当面の措置として、不具合を点検するための器具と点検マニュアルを納付先に配布する。
日本光電によると、問題のAEDはセルフテスト(自己診断)機能で故障を検出する仕組みだが、まれに検出できなくなる故障がある。

日本光電工業が無料改修を発表した自動体外式除細動器(AED)
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112001000817.html
出典 共同ニュース 2009.11.20
版権 共同通信社
<コメント>
当院には除細動器がありません。
一時期このAEDにも食指が動きました。
院内でAEDにする必要があるのかという疑問もありますが、ある業者が「先生が倒れた時のことを考えたらAEDがいいですよ」とアドバイスしてくれました。
説得力のある一言です。
多くの開業医の先生方も「自分が倒れた時用に」と考えているようです。
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