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第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表からの記事で勉強しました。
自治医科大学循環器内科の松井芳夫先生が発表しました。
演題の内容は、
「未投薬高血圧患者を対象として,家庭血圧測定による早朝高血圧と左室肥大との関連を検証し,早朝高血圧患者では求心性左室肥大が多い」
というものです。
##早朝高血圧は未投薬高血圧患者における左室リモデリングの強力な予測因子である
■未治療高血圧患者において自由行動下血圧測定で検出される早朝高血圧は将来の脳卒中リスクに対する強力な予測因子であることが報告されている(Kario K, et al. Hypertens Res 2006; 29: 581-587)。
Morning hypertension: the strongest independent risk factor for stroke in elderly hypertensive patients.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17137213
■また,既治療患者でも家庭血圧測定で検出される早朝高血圧が左室肥大と関連していることが報告されている(Shibuya Y, et al. Hypertens Res 2007; 30: 903-911)。
Morning rise of blood pressure assessed by home blood pressure monitoring is associated with left ventricular hypertrophy in hypertensive patients receiving long-term antihypertensive medication.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18049021
#早朝起床時・夜間就寝時の収縮期血圧の平均と差で高血圧を分類
■2週間以上の間隔を空けた2回の外来受診における随時血圧の平均値が140/90mmHg以上の未投薬患者356例を対象として,今回の研究を実施した。
<コメント>
随時血圧の平均値・・・もう少し詳細が知りたいところです。
■研究への登録時に問診や血液検査のほか,心エコー検査や脈波解析を行い,朝晩の家庭血圧測定を14日間続けてもらって,そのデータから高血圧の診断を白衣高血圧(家庭正常血圧),早朝血圧上昇型,持続性高血圧,早朝高血圧に分類した。
■各診断型の分類は,早朝起床時(M)と夜間就寝時(E)の収縮期血圧(SBP)の平均である「ME平均」と,差である「ME差」を使用し,次のように定義した。
すなわち,
ME平均<135mmHgかつME差<15mmHgが白衣高血圧,
ME平均<135mmHgかつME差≧15mmHgが早朝血圧上昇型,
ME平均≧135mmHgかつME差<15mmHgが持続性高血圧,
ME平均≧135mmHgかつME差≧15mmHgが早朝高血圧
である(図1)。

<コメント>
早朝高血圧の定義は未だにコンセンサスは得られていないようです。
そのあたりに演者は腐心しているようです。
ME差のカットオフ値15mmHgは75パーセンタイル値を参考にしているとのことです。
白衣高血圧は分類に入っていますが夜間高血圧、家庭高血圧、職場高血圧が考慮出来ない点にこの報告の限界があるかも知れません。
早朝血圧上昇型と早朝高血圧とのグループ分けも、早朝起床時(M)と夜間就寝時(E)の2点測定だけでどうして出来るのか頭の悪い私には理解困難です。
「早朝起床時」もいわゆる起床直後のベッドサイドでの測定か否か、早朝とは何時なのかとか言い出したら切りがありません。
しかし「朝はトイレに行った後、食事前での測定」か否かは知りたいところなんですが。
言葉から早朝血圧上昇型は正常血圧、早朝高血圧は高血圧という分類かとも早合点してしまいましたが、最初の定義からは早朝血圧上昇型も高血圧です。
#早朝高血圧群では求心性左室肥大例が48.6%
■各診断型の患者背景を比較した結果,早朝高血圧群(N=74)は白衣高血圧群(N=102)に比べ,高齢,男性が多い,飲酒習慣のある者が多い,高血圧の罹病期間が長いなどの特徴があった。
<コメント>
このことは高血圧の専門家には常識かも知れませんが、私には新鮮なインフォメーションでした。
■早朝高血圧群はほかの群よりも動脈スティフネスが亢進しており,左室重量係数や左室相対的壁厚も高値であった。
各群において左室重量係数と左室相対的壁厚から左室形態を分類すると(図2),早朝高血圧群では求心性左室肥大例が48.6%を占め,白衣高血圧群の7.8%(P<0.001),早朝血圧上昇型群の20.0%(P=0.007),持続性高血圧群の30.0%(P=0.003)と比べ,その割合が有意に高かった(図3)。

■白衣高血圧群に対する早朝高血圧群の求心性左室肥大のオッズ比は,年齢,性,高血圧罹病期間,喫煙,飲酒習慣,糖尿病,外来随時SBP,心拍数を補正したうえで6.5(P<0.001)であった。
<コメント>
従来、午前中の心血管イベントが多いことが強調されて来ました。
その原因の主なものはPAI-1の低下であるというお話をある教授に聞いたことがあります。
ACE阻害薬と線溶能・インスリン感受性
http://blog.m3.com/reed/20090917
早朝高血圧が動脈スティフネスの亢進や求心性左室肥大に関与しているという今回の結果は素晴らしい研究と思います。
交感神経緊張がどのように関与しているのか、なぜこういった結果が出るのか。
カテコラミンと心肥大を博士号取得のための研究テーマとした私には大いに興味があります。
【監修者のコメント】
早朝高血圧には2つのタイプがあり,(1)夜間低値の血圧が早朝覚醒前後に急激に上昇するモーニングサージと,(2)夜間降圧のないnon-dipperや夜間昇圧を示すriserに認められる早朝高血圧とがある。近年,24時間自由行動下血圧測定(ABPM)や家庭血圧自己測定により早朝血圧が心血管イベント発症のリスクとなることが知られるようになった。自治医科大学は早朝血圧に関する一連の研究で有名であるが,今回は未治療高血圧患者において平均血圧とモーニングサージとにしたがって患者を4分割し,心肥大の形態と程度について詳細に検討したものである。
その結果,平均血圧は低値であっても早朝血圧上昇型であれば心肥大を形成することや,持続的な血圧上昇に加えて早朝高血圧が認められるとより著明に心肥大を合併することも確認された。
心肥大は血圧値とは独立した予後予測因子であることが報告されており(JAMA 2004; 292(19): 2343-2349,Circulation 2006; 113: 67-73),今後の高血圧治療は(1)収縮期血圧の低下のみならず,(2)早朝高血圧などの血圧変動パターン,さらには(3)心肥大の有無まで配慮して抑制していく必要があると思われる。
<兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤幸人部長のコメント>
早朝高血圧には2つのタイプがあり,
(1)夜間低値の血圧が早朝覚醒前後に急激に上昇するモーニングサージと,
(2)夜間降圧のないnon-dipperや夜間昇圧を示すriserに認められる早朝高血圧とがある。
近年,24時間自由行動下血圧測定(ABPM)や家庭血圧自己測定により早朝血圧が心血管イベント発症のリスクとなることが知られるようになった。
自治医科大学は早朝血圧に関する一連の研究で有名であるが,今回は未治療高血圧患者において平均血圧とモーニングサージとにしたがって患者を4分割し,心肥大の形態と程度について詳細に検討したものである。
その結果,平均血圧は低値であっても早朝血圧上昇型であれば心肥大を形成することや,持続的な血圧上昇に加えて早朝高血圧が認められるとより著明に心肥大を合併することも確認された。
心肥大は血圧値とは独立した予後予測因子であることが報告されており(JAMA 2004; 292(19): 2343-2349,Circulation 2006; 113: 67-73),今後の高血圧治療は
(1)収縮期血圧の低下のみならず,
(2)早朝高血圧などの血圧変動パターン,さらには
(3)心肥大の有無まで配慮して抑制していく必要がある
と思われる。
Regression of electrocardiographic left ventricular hypertrophy during antihypertensive treatment and the prediction of major cardiovascular events.
JAMA. 2004 Nov 17;292(19):2396-8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/15547161
Electrocardiographic strain pattern and prediction of new-onset congestive heart failure in hypertensive patients: the Losartan Intervention for Endpoint Reduction in Hypertension (LIFE) study.
Circulation. 2006 Jan 3;113(1):67-73. Epub 2005 Dec 19.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16365195
<コメント>
2種類ある早朝高血圧のnon-dipperとriserと報告の中の早朝血圧上昇型と早朝高血圧とのそれぞれの関連が私にはよく理解出来ません。
<関連サイト>
[PDF] 高血圧治療ガイドライン2009 (JSH2009)のポイント
http://www.lifescience.jp/ebm/cms/ms/no.13/topics.pdf
(非常に役立つサイトです。一番重要な血圧測定について触れられているかと思って読んだのですが、欠落していたのが残念です。)
<きょうの一曲>
The Beatles - And I Love Her
http://www.youtube.com/watch?v=96YQdiMV-Jc&feature=related