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第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表をとりあげた以下の記事で勉強しました。
発表者は福井心臓血圧センター福井循環器病院循環器科/内分泌科
村上達明先生です。
この記事のコメンテーターは兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤幸人部長です。
アンジオテンシンII受容体拮抗薬服用2型糖尿病患者において長期のチアゾリジン系薬投与が糖尿病の改善の程度にかかわらず冠動脈の血管運動を改善する
インスリン抵抗性改善薬は抗動脈硬化作用を有することが示唆されており,村上氏らはチアゾリジン系薬(TZD)が冠動脈の血管運動を改善し,2型糖尿病患者の冠攣縮性狭心症を抑制したことを過去に報告している。
しかし,その長期の抗動脈硬化作用については明らかではなかったため,同氏らは1年以上の長期試験を実施し,TZDがアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)投与中の2型糖尿病患者でも,HbA1Cの改善とは独立して血管運動を改善したことを明らかにした。
冠動脈の冠血流予備能や血流依存性血管拡張反応を測定
村上氏らは,冠動脈造影を施行し,ARBを投与中の2型糖尿病患者22例を対象として,今回の研究を実施した。対象患者を無作為にTZD投与群とTZD非投与群に分け,TZD投与群にはトログリタゾン400mg/日またはピオグリタゾン30mg/日を1年以上投与し,TZD非投与群にはTZDなしの治療を1年以上実施した。
重症の冠動脈疾患患者やインスリン療法中の糖尿病患者,重症の肝・腎疾患患者などは対象から除外している。患者背景は,年齢,性,心筋梗塞の既往,糖尿病家族歴,喫煙,高血圧,肥満,高コレステロール血症のいずれにおいても,両群間に有意差を認めなかった。
治療期間の前後で,左冠動脈のATP負荷による冠血流予備能(CFR)や血流依存性血管拡張反応(FMD)を,定量的冠動脈造影や冠動脈内ドプラガイドワイヤによって測定した。
TZD投与群ではHbA1Cの低下にかかわらず血管運動が改善
TZD投与群では治療期間の前後において,血糖,HbA1C,インスリン,トリグリセライド,HDLの各値に有意な改善〔P<0.05,paired-t検定(以下同)〕が認められたが,TZD非投与群では有意な変化はなかった。一方,心拍数,収縮期血圧,拡張期血圧,平均血圧は両群とも有意な変化がなかった。
ATP負荷によるCFRは,TZD投与群では有意な改善(P=0.020)が認められたのに対し,TZD非投与群では有意な変化は認められなかった。また,ATP負荷によるFMDもTZD投与群でのみ有意な改善(P<0.001)が認められた(図1)。

TZD投与群におけるCFRやFMDの変化を,HbA1Cの低下が0.5%以上だったレスポンダーと0.5%未満だったノンレスポンダーに分けて解析すると,HbA1Cの低下にかかわらず血管運動が改善していることがわかった(図2)。

ARBを服用している2型糖尿病患者において,TZDの長期投与が糖代謝の改善とは独立して冠動脈の血管運動を改善することが示唆され,村上氏は「2型糖尿病患者の冠動脈疾患治療にTZDが有益である可能性がある」と述べた。
<佐藤幸人先生のコメント>
■演者らは以前,チアゾリジン薬であるトログリタゾンを用いて同様の検討を行っている(Am J Cardiol 1999; 84: 92-94)。
Effects of troglitazone on frequency of coronary vasospastic-induced angina pectoris in patients with diabetes mellitus.
Am J Cardiol. 1999 Jul 1;84(1):92-4
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/10404859
■そのなかで,スパズムを伴う糖尿病患者において内皮機能の改善が認められ,狭心症の頻度が減少したことから,インスリン抵抗性の改善が内皮機能障害の改善に関連すると考察している。
現在トログリタゾンは,肝障害の副作用から販売中止となっており,本発表はインスリン抵抗性を改善するチアゾリジン薬としておもにピオグリタゾンのデータであると思われる。
■ピオグリタゾンは2型糖尿病患者における心血管イベント抑制効果(総死亡+非致死性心筋梗塞+脳卒中)を検討したPROactive試験においてプラセボと比較して有意に複合エンドポイントを低下させた(Lancet 2005; 366: 1279-1289)。
Secondary prevention of macrovascular events in patients with type 2 diabetes in the PROactive Study (PROspective pioglitAzone Clinical Trial In macroVascular Events): a randomised controlled trial.
Lancet. 2005 Oct 8;366(9493):1279-89.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16214598
■そのなかで非致死性心筋梗塞,急性冠症候群,冠動脈血管再建術の初発イベントはピオグリタゾン投与によりそれぞれハザード比0.83,0.78,0.88と抑制されており,冠動脈イベントを減少させた。
■グリメピリドとの比較試験であるPERISCOPE試験(JAMA 2008; 299: 1561-1573)では,2型糖尿病患者において,冠動脈の超音波検査所見にて有意に動脈硬化の進行が抑制された。
Comparison of pioglitazone vs glimepiride on progression of coronary atherosclerosis in patients with type 2 diabetes: the PERISCOPE randomized controlled trial.
JAMA. 2008 Apr 2;299(13):1561-73.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18378631
■ピオグリタゾンのどのような作用機序が心血管イベント抑制につながるのか今後の検討が待たれ,血糖改善効果によらない作用機序の1つとして本発表は意義深い。
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/aha2009.cgi/html/08_5252.html
<きょうの一曲>
Stand Alone サラ・ブライトマン×久石 譲
http://www.youtube.com/watch?v=mYiOfsqUexY
NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』オリジナル・サウンドトラック
http://www.emimusic.jp/st/compi/sakanoue/
その他
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(一般の方または患者さん向き)
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があります。
第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表をとりあげた以下の記事で勉強しました。
発表者はKarolinska University Hospital,(Stockholm, Sweden)のKarolina Szummer 氏です。
この記事のコメンテーターは兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤幸人部長です。
##心筋梗塞後のスタチン使用は腎機能低下患者のほぼすべてで生命予後を改善する: Swedish Web-system for Enhancement and Development of Evidence-based care in Heart disease Evaluated According to Recommended Therapies (SWEDEHEART)からのデータ
Statin Use After Myocardial infarction improves survival in nearly all with renal dysfunction: data from the Swedish Web-system for Enhancement and Development of Evidence-based care in Heart disease Evaluated According to Recommended Therapies(SWEDEHEART)
スタチンは心筋梗塞後の二次予防として推奨されており,Pravastatin Pooling ProjectやCARE,TNTなど複数の試験の後付け解析において,軽度~中等度の腎機能不全症例でのスタチン投与の恩恵が報告されている。
その一方で,血液透析患者においてスタチンの心イベント一次予防効果を検討した試験(AURORA,4D)では恩恵は示されていない。
この発表ではスウェーデンにおける冠動脈疾患患者の大規模データベース解析により,心筋梗塞後の二次予防としてのスタチン投与の影響を腎機能との関連が検討された。
その結果,1年間のスタチン投与により,腎不全/透析症例を除くほとんどの腎機能低下患者で全死亡が改善された。
#5万例以上のデータを傾向スコア分析により解析
■SWEDEHEARTはスウェーデン全国71病院の冠動脈医療部門で,連続症例のみを登録したデータベースで,今回の研究では2003~06年に心筋梗塞入院後,死亡せずに退院し,クレアチニン値データの存在する5万3,094例のデータを解析した。
退院時のスタチン服用患者は全体の72.3%(3万8,363例)で,非服用患者は27.7%(1万4,731例)であった。
■MDRD簡易式を用いて推定糸球体濾過量(eGFR)を算出し,腎機能低下レベルにより,正常(eGFR≧90:患者の比率22.5%),軽度低下(同60~89:46.6%),中等度低下(同30~59:26.5%),重度低下(同15~29:3.2%),腎不全(同<15または透析例:1.1%)の5段階に分類した。
平均eGFRは73±28mL/分/1.73m2で,腎不全群の51.5%が透析を受けていた。
■ベースラインの患者背景と入院中の治療・合併症データから48の変数を選択し,ロジスティック回帰モデルを作成して,スタチン投与状況に関する傾向スコアを推定した。
得られた傾向スコアと退院時の投薬状況により補正したCox回帰モデルにより,退院時のスタチン投与と1年間の生命予後との相関を検討した。
#全体的に1年死亡率が低下
■腎機能別の背景比較では,腎機能低下の重症度が進むにつれ,男性の割合と喫煙者の割合は低下傾向にあり,年齢,合併症,心血管イベントの既往は増加傾向にあった。
スタチン投与群と非投与群での背景比較では,スタチン投与群のほうが若齢で男性の比率が高かったが,合併症と心血管イベントの傾向に関してはばらつきが見られた。
傾向スコアによる調整後,スタチン投与群と非投与群の背景はほぼ同等となった(表)。

■退院時のスタチン投与率は,腎機能低下の重症度が進むにつれ低下する傾向にあった(軽度低下群から順に,84%,77%,58%,44%,52%)。
調整前の1年死亡率は,腎機能低下の重症度が進むにつれ増大したが,いずれの腎機能分位でも,スタチン投与により改善された(図1)。

傾向スコアと退院時の投薬状況で調整後の1年死亡率は,腎機能低下軽症群から重症群まではスタチン投与により改善され,軽症であるほどその恩恵は大きかったが,腎不全群での恩恵は不明瞭であった(図2)。
全体では退院時のスタチン投与により,生命予後が30%改善された(ハザード比:0.70,95%信頼区間:0.66~0.75,P<0.001)。

■腎機能低下を認める心筋梗塞入院既往者のほとんどで,退院時のスタチン療法により全死亡に関する恩恵が認められた。
腎不全群における恩恵は不明瞭であるものの,退院時にスタチン投与を開始していない患者が,中等度腎機能低下症例で40%,重度低下症例で50%以上存在しており,これらの患者にスタチンを投与することで,全体的な生命予後の改善が見込まれる。
(Szummer氏)
<佐藤幸人部長のコメント>
■心血管イベントの2次予防のためにスタチンは投与されるが,透析患者が対象となった場合,その効果は認められないという結果が最近アトルバスタチンの4D試験(N Engl J Med 2005; 353: 238-248),ロスバスタチンのAURORA試験(N Engl J Med 2009; 360: 1395-1407)から報告された。
Atorvastatin in patients with type 2 diabetes mellitus undergoing hemodialysis.
N Engl J Med. 2005 Jul 21;353(3):238-48.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16034009
Rosuvastatin and cardiovascular events in patients undergoing hemodialysis.
N Engl J Med. 2009 Apr 2;360(14):1395-407.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19332456
■腎機能が悪いとスタチンの心血管イベント抑制効果は弱いのかという疑問のもとで,今回の発表がなされたが,腎機能別に見てもベースラインの腎機能にかかわらず,生命予後効果は認められた。
したがって,二次予防の観点からは腎機能にかかわらずスタチンを投与すべきということになる。
■もうひとつ,腎機能に着目したスタチンの話題として,スタチンに腎保護作用はあるかという点がある。
安定狭心症患者に対するアトルバスタチンの高用量投与を検討したTNT試験(N Engl J Med 2005; 352: 1425-1435)のサブ解析では,慢性腎臓病(CKD)患者においてアトルバスタチン投与がeGFRを改善することが報告されている(Clin J Am Soc Nephrol 2007; 2: 1131-1139)。
Intensive lipid lowering with atorvastatin in patients with stable coronary disease.
N Engl J Med. 2005 Apr 7;352(14):1425-35.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/15755765
Effect of intensive lipid lowering with atorvastatin on renal function in patients with coronary heart disease: the Treating to New Targets (TNT) study.
Clin J Am Soc Nephrol. 2007 Nov;2(6):1131-9.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17942759
■スタチンのアルブミン尿改善作用を示したものとして,メタ解析を行ってアルブミン尿改善効果を報告した論文があるが(Ann Intern Med 2006; 145: 117-124),このメタ解析では生存率への影響は検討されていない。
Meta-analysis: the effect of statins on albuminuria.
Ann Intern Med. 2006 Jul 18;145(2):117-24.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16847294
■最新のCKD患者における前向き試験のメタ解析では,スタチン群ではプラセボ群と比較して副作用の増加を伴うことなく,心血管イベントの抑制が見られ,蛋白尿の減少も見られたが,GFRの改善と全死亡の改善は認められないという結果であった(BMJ 2008; 336: 645-651)。
Effects of statins in patients with chronic kidney disease: meta-analysis and meta-regression of randomised controlled trials.
BMJ. 2008 Mar 22;336(7645):645-51.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18299289
■したがって,現在,海外では,スタチンの腎保護作用はある可能性が高いが,結論を出すには早すぎ,今後CKD患者を対象とした前向き大規模試験が必要であると考えられている(J Am Coll Cardiol 2008; 51: 2375-2384)。
Managing dyslipidemia in chronic kidney disease.
J Am Coll Cardiol. 2008 Jun 24;51(25):2375-84.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18565393

「あるお店」へのアプローチ 2009.11.25撮影

「いただきます!」 2009.11.25撮影
<きょうの一曲>
Bruckner 7th, Adagio - Jochum, RCO (1/3)
http://www.youtube.com/watch?v=NZL6bNqBNwM&feature=related
Bruckner 7th, Adagio - Jochum, RCO (2/3)
http://www.youtube.com/watch?v=qmhnLGidTCo&feature=related
Bruckner 7th, Adagio - Jochum, RCO (3/3)
http://www.youtube.com/watch?v=45HVlZ2ICGA&feature=related
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があります。
肥満は周知のように血管病(CVD)危険因子です。
成人のBMIと死亡率の関係については「Uカーブ」を描き,BMIが低くても死亡率が高まることが報告されています。
第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表をとりあげた以下の記事で勉強しました。
##肥満は長期的な心血管死亡リスク,低体重は非心血管死亡リスクの独立した予測因子:Framingham Offspring Cohortより
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/aha2009.cgi/html/16_1466.html
出典 Medical Tribune Congress News Wave 2009.11.24
版権 メディカル・トリビューン社
この発表はフラミンガム子孫コホートにおける死亡とBMIとの関係を検討したものです。
低BMI層における死亡率の上昇は非CVD死亡の増加に基づくものであり,低BMIはCVD死亡の危険因子ではないという結果でした。
コメンテーターは兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤幸人部長です。
#極端な低BMI層での総死亡率上昇の原因は非CVD死亡の増加
■フラミンガム子孫コホートに対する観察研究は,1970年代初めに開始された。
今回の検討では,同コホートのうち登録時に癌に罹患していなかった4,609人が対象とされた。登録時の年齢は20〜59歳,51%が女性,CVD罹病歴のある人は1.4%であった。
追跡期間中央値は33年(最長36年)であり,その間に258人(うち女性74人)がCVDにて死亡し,770人(同306人)がCVD以外の原因にて死亡した。
■これらの人々の年齢・性,収縮期血圧値および降圧治療,脂質値(総コレステロール・HDLコレステロール),喫煙習慣の有無,糖尿病の有無,CVD既往歴の有無について補正したFine & Gray競合リスクモデルを用い,CVD死および非CVD死とBMIとの関係を検討した。
■その結果,正常体重層(BMI 20〜25kg/m2)におけるCVD死亡リスクを1とした場合,過体重層(25〜30kg/m2)と肥満層(>30kg/m2)のハザード比(HR)はそれぞれ1.18,1.46と上昇,低体重層(<20kg/m2)のHRは0.81と低下し,BMIとCVD死亡率の間には有意な直線性(linearity)が認められた(P=0.037,linear trend検定)。
■一方,非CVD死亡とBMIの間には直線性は認められなかったが,低体重層のHRは1.44と有意に高かった(P=0.026 vs. 正常体重層)。
すなわち,CVD死亡率はBMIの増加に依存して直線的に上昇する一方,非CVD死亡はBMIのきわめて低い一帯でのみ高くなる。
したがって,両者を併せた総死亡のグラフは図のような「Uカーブ」を描くが,低BMIがCVD死亡の増加をもたらすわけではないことが明らかとなった。

#BMIを是正しても他の危険因子が是正されなければ大きなリスク低下は望めない
■次にPencina氏らは,自らが考案したNet Reclassification Improvement(NRI)という指標を用い,CVD死亡リスクの予測因子にBMIを加えることによって,予測精度がどのように変化するかを評価した。
NRIとは,新たな危険因子候補(この場合はBMI)以外の危険因子の存在状況に基づいて判定されたCVD死亡リスクのカテゴリーが,新たな危険因子候補を加えることによってどう変化するのかをみるものである。
以下 結果は略(表 参照)
■この数字は,CVD死亡の危険因子としてのBMIの独立性は低いことを意味する。さらに,非CVD死亡に対して行った同様の解析では,NRIはほとんどゼロに近く,非CVD死亡の危険因子としての独立性はきわめて低いことが示唆されたという。
■以上により,BMIの増加は将来のCVD死亡リスクを直線的に高めるとともに,極端な低BMIは非CVD死亡リスクを高めるが,たとえこれらの因子が改善されても,併存する他の危険因子が改善されない限り,大きな効果は期待できないことが示唆された。
<佐藤部長のコメント>
■一般住民を対象にした場合,肥満は高血圧,糖尿病,脂質異常症,睡眠時無呼吸,ある種の癌,心血管病変の下地となると考えられている。
■一方で一度心血管病変を発症すると,疫学的に今度は低体重が予後不良因子となるという逆転現象が観察され,obesity paradoxと呼ばれている。
Obesity and cardiovascular disease: risk factor, paradox, and impact of weight loss.
J Am Coll Cardiol 2009; 53: 1925-1932
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19460605
The obesity paradox: fact or fiction?
Am J Cardiol 2006; 98: 944-948
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16996880
■心不全について考えてみると,心不全の発症リスクは肥満の程度が重くなるにつれて増すことが一般住民のデータにより確認されている。
Obesity and the risk of heart failure.
N Engl J Med 2002; 347: 305-313
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/aha2009.cgi/html/16_1466.html
■末期心不全患者は,低体重,低栄養状態となり,癌患者のようにカヘキシー(悪液質)になるために,低体重のほうが予後不良という一見逆の結果になる。
Prognostic importance of weight loss in chronic heart failure and the effect of treatment with angiotensin-converting-enzyme inhibitors: an observational study.
Lancet 2003; 361: 1077-1083
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/12672310
■このような背景からBMIと死亡について循環器領域では混乱が認められている。
本発表では,低BMI層における死亡率の上昇は非CVD死亡の増加に基づくものであり,低BMIはCVD死亡の危険因子ではないことが確認された。
■今後,このような質の高い母集団での長期観察が混乱の解明には必要である。
また,欧米での肥満はBMI 30以上を対象にすることが多いが,日本人はBMIが25程度から耐糖能異常が始まるといわれており,日本人での同様の検討が必要である。
その他
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(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
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井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
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(内科医向き)
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第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表をとりあげた以下の記事で勉強しました。
Pre-diabetes is Associated With Masked Hypertension
前糖尿病は仮面高血圧と相関する
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/aha2009.cgi/html/07_5146.html
発表者は
Columbia University Medical Center, New York, NY, USA
石川 譲治 先生
です。
兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤幸人部長がコメントされています。
■仮面高血圧は,診療所血圧が140/90mmHg未満と正常範囲であるが,24時間自由行動下血圧(ABP)が135/85mmHg以上と高血圧を呈するもので,心血管イベントリスクの増大と相関することが知られているものの,仮面高血圧が生じる機序は詳しく解明されていない。
石川氏らは,非糖尿病の範囲での血糖値上昇〔空腹時血糖値(FPG)126mg/dL未満〕や前糖尿病状態(FPG:100~125mg/dL)と仮面高血圧が相関するか否かを検討し,非糖尿病者におけるFPGと仮面高血圧,前糖尿病状態と仮面高血圧との間に有意な相関を認めたと報告した。
#正常血圧群と仮面高血圧群に分類して比較
■診療所高血圧と糖尿病のいずれも罹患していない健康者475例において,診療所血圧測定(水銀血圧計で1診察当たり3回測定×診察回数3)と単回の24時間ABP測定(SpaceLabs 90207により昼間・夜間ともに28分おき),空腹時血糖値測定(正常値は<100mg/dL,前糖尿病は100~125mg/dLと定義)を行った。
24時間ABP測定における覚醒時間帯は,被験者の日誌と手首のactigraphyにより特定した。
■血圧測定の結果をもとに,被験者を正常ABP群と仮面高血圧群に分類し,背景と血糖・血圧・腎機能などに関する変数を比較した。統計学的有意差(P<0.05)の検定にはnon-paired t検定とχ2検定を用いた。
結果(表)
#FPGと仮面高血圧,前糖尿病状態と仮面高血圧の間に有意な相関
■交絡因子を調整後のロジスティック回帰分析の結果,FPGと仮面高血圧の間〔FPG 10mg/dL上昇ごとのオッズ比(OR):1.35, 95%信頼区間(CI):1.01~1.80,P=0.044〕,前糖尿病状態と仮面高血圧の間(OR:2.29,95%CI:1.17~4.51,P=0.016)に,それぞれ有意な相関が認められた。
■血圧とFPGの組合せにより,仮面高血圧の罹患率を比較した結果,前高血圧/前糖尿病合併群が51.2%,前高血圧のみの群が34.5%,前糖尿病のみの群が10.3%,いずれも正常な群が3.8%であった(図)。

■前糖尿病と非糖尿病者におけるFPGは,仮面高血圧の罹患と相関することが確認された。
今回の知見は,前高血圧に前糖尿病を合併する患者群では,診療所血圧測定とABPモニタリングの併用で,心血管リスクをより正確に階層化できることを示している(石川氏)。
<佐藤幸人部長のコメント>
■近年は心血管イベントという共通のエンドポイントが設定可能なことより両者の関連を調べる研究が盛んである。
例えばARBカンデサルタンを収縮能が保持された心不全に投与したCHARM preserved(Lancet 2003; 362: 777-781)試験や,高血圧患者におけるカンデサルタン vs. アムロジピンの効果を検討したCASE-J(Hypertension 2008; 51: 393-398)ではカンデサルタン投与による新規糖尿病の発症抑制が報告された。
2型糖尿病合併高血圧に対する介入試験も多く報告され,今や高血圧と糖尿病は個々に考えるのではなく同時に考えてゆく必要がある。
■一方で,pre-hypertensionを対象にカンデサルタンを投与したTROPHY試験(N Engl J Med 2006; 354: 1685-1697)では,カンデサルタン投与により顕著高血圧への進展抑制がみられ,その効果は薬剤投与中止後も数年間観察されることがわかっている。つまり,介入するのであれば早期が望ましいと思われる。
<私のコメント レガシー効果>
■そのような視点から,より早期,より軽症と一般的には捉えられがちな病態の段階で早期診断,早期治療する必要がある。
一般に仮面高血圧は医師が疑わなければ,24時間血圧測定なども行われず,診断もされにくい。
本演題のように仮面高血圧の背景因子や,規定因子が判明すれば,正確に自由行動下の血圧を評価する強い動機となり,臨床的に有用である。
<関連サイト>
CHARM preserved
Lancet 2003; 362: 777-781
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/13678871
CHARM
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2000082.html
CASE-J
Hypertension 2008; 51: 393-398
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18172059
Ca拮抗薬の優れた降圧効果を証明:CASE-J試験
http://blog.m3.com/reed/20081104/1
CASE-Jサブ解析
http://blog.m3.com/reed/20080831/CASE-J_
CASE-J試験(桑島先生の論文から)
http://blog.m3.com/reed/20081104/1
CASE-J(循環器トライアルベース)
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2002499.html
TROPHY試験
N Engl J Med 2006; 354: 1685-1697
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16537662
TROPHY(循環器トライアルベース)
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2002457.html
<きょうの一曲>
Eric Clapton Tears in Heaven Unplugged High Quality Live TV Recording
http://www.youtube.com/watch?v=7g2IlaDLVLo&feature=related
Eric Clapton: Tears in Heaven on Classical guitar
http://www.youtube.com/watch?v=Os_AZHmmTa4&feature=related

鈴木信太郎「熱海」10号 (1895~1989年)
http://www.shihoudou.co.jp/new/2009/20090325.html
1895年に八王子で生まれた鈴木信太郎は、幼い頃に病を患い、
終生杖や車椅子を必要とする生活を余儀なくされました。
しかし奈良や長崎、北海道、伊豆など全国を精力的に巡り、椅子や地面に座って低い視点から描いた作品により独自の風景世界を開きました。
また、花や果物、人形などをモチーフに、愛らしくも透明感のある 色彩を放つ作品も多く残しています。
二科会や一陽会を舞台に活躍した昭和を代表する画家。没後20年を経た現在でもその作品は多くの方々に愛され続けています。
(上記サイトより転載)
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表をとりあげた記事で勉強しました。
一般人口における突然死のリスクと左室拡張不全の関係
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/aha2009.cgi/html/06_975.html
出典 Medical Tribune Congress News Wave 2009.11.19
版権 メディカル・トリビューン社
一般人口における突然死のリスクと左室拡張不全の関係
年間18万〜25万人が心臓突然死(SCD)で亡くなる米国では,SCDの原因究明と予防に向けた大規模な疫学研究が盛んに行われている。
そのひとつであるオレゴン突然死研究(Oregon SUDS)を推進するUy-Evanado氏らは,同研究により,左室拡張不全(LVDD)が新たなSCDリスク予測因子として浮上したことを報告した。
SCDの「ケース」と「コントロール」の心エコーデータを比較
■Oregon SUDSは,SCDの発生状況の調査と原因因子の解明を目的に,2002年にオレゴン州ポートランド(人口100万人)で開始された研究である。
れまでの約8年間に報告されたSCD疑い例は3,000例以上にのぼり,2,400例以上が剖検などによりSCDと判定されている。
■今回Uy-Evanado氏らは,これらのSCD事例のうち,死亡時年齢35歳以上かつ死亡につながった心停止とは無関係な理由で行われた心エコー検査の記録がある121例(ケース群;平均69±14歳,男性66%,BMI 29.0±8.5kg/m2)と,ケース群と人口統計学的因子を一致させた心停止の既往のない冠動脈疾患(CAD)患者141例(コントロール群;平均68±11歳,男性63%,BMI 29.9±6.9kg/m2)の心エコーデータを比較し,SCDと関連する因子の検索を行った。
収縮機能が正常な場合,LVDDの存在によりSCDのリスクは3倍に
■その結果,重度の左室収縮不全〔LVSD;ここでは左室駆出率(EF)≦35%と定義〕の存在が確認された患者は,ケース群22%,コントロール群18%であり,両群に有意な差は認められなかった〔P=0.44, χ2検定(以下同)〕。
また,左室肥大(LVH;左室壁厚≧1.2cm)の頻度はケース群がやや高めであったが,有意差は認められなかった(33% vs. 25%;P=0.14)。
■これに対し,LVHと左房拡大(LAE;左房径>4cm)を併せ持つ左室拡張不全(LVDD)の頻度は,ケース群26%,コントロール群15%であり,前者が有意に高率であった(P=0.03)。
しかし,収縮機能が正常なサブグループにおけるLVDDの頻度は,ケース群が26%,コントロール群が11%と著明であった(P=0.04)が,LVSDを有するサブグループではケース群とコントロール群のLVDD頻度に差は認められなかった(表1)。

CADの既往の有無は結果の大勢に影響せず
■以上の結果より,左室収縮機能が正常な人々においては,左室拡張機能の低下がSCDの独立した予測因子となることが示唆された。
■ただし,今回の解析は「一般人口でのSCDリスク」と謳いつつも,コントロール群は全例がCAD有病者であった。
一方,ケース群にはCADの有無による縛りがなく,同群のCAD有病率は55%であったことから,その両者を同列で比較することの妥当性に対する疑問が会場から寄せられた。
しかし,この点についてUy-Evanado氏らは,ケース群のうちCADを有する患者(N=66)のみを抽出してコントロール群と比較した補足データを示し,その場合も全体での解析と傾向は変わらなかったことを説明し,「大勢への影響はないと考えている」と答えた。
<監修者 兵庫県立尼崎病院 佐藤幸人部長のコメント>
■収縮能が保持された患者は一般に心不全患者の約半数を占め,高齢の女性に多いとされている。
■予後に関しては
(1)収縮能保持心不全患者の予後が収縮機能障害心不全患者と比較してもほぼ同等に悪いこと,
(2)収縮機能障害患者の生存率は年代を追って改善傾向があるが,収縮能保持(拡張機能障害)心不全患者では改善が認められないこと,
が報告されている(N Engl J Med 2006; 355: 251-259)。
Trends in prevalence and outcome of heart failure with preserved ejection fraction.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16855265
■しかし,従来の収縮能保持心不全患者の集計は死亡という項目については検討しているが,死亡のモードのひとつである突然死に関して疫学的に検討したものはほとんど報告がなかった。
イルベサルタンを用いて収縮能保持患者へ介入したI-PRESERVE試験においても検討されていない(N Engl J Med 2008; 359: 2456-2467)。
Irbesartan in patients with heart failure and preserved ejection fraction.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19001508
■その意味で,拡張障害と突然死の意義を検討した本発表の意義は大きい。
しかし上述されているように症例の選択にやや問題があり,今後,種々の母集団での検討が必要である。
また,拡張能障害と収縮能保持心不全とでは意味合いも異なり,検査法により,それぞれの概念や検出感度も異なってくるため検討が困難な領域でもある。
例えば最近報告された安定冠動脈病変合併の収縮能保持患者の突然死を検討した報告では,年齢,狭心症発作,収縮能がやや低いこと,利尿剤の使用―が突然死のリスクであり,冠動脈再建術は突然死を減少させると報告している(Am J Cardiol 2008; 101: 457-461)。
Sudden cardiac death in patients with stable coronary artery disease and preserved left ventricular systolic function.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18312757
<関連サイト>
The Oregon Sudden Unexplained Death Study (Ore-SUDS)
http://www.oregonsuds.org/SUDS.htm
<きょうの一曲>
グラシェラ・スサーナ Graciela Susana - 粋な別れ (LIVE)
http://www.youtube.com/watch?v=yv4lKjdk1aQ&feature=related
その他
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
井蛙内科/開業医診療録(3)~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表をとりあげたの記事で勉強しました。
久留米大学医学部 心臓・血管内科 溝口ミノリ 先生のピオグリタゾンが頸動脈プラークに及ぼす影響についての発表です。
急性の血管傷害を起こした患者の責任プラークの病理解析では,マクロファージ浸潤による広範囲の炎症が認められます。
演者らは,以前に,18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いた陽電子放出型断層撮影(FDG-PET)により,アテローム性プラーク内の炎症の描出と定量化に成功し,スタチン投与による炎症抑制の評価をFDG-PETにより行っています。
今回の発表は、インスリン感受性改善薬のピオグリタゾンが,2型糖尿病患者の頸動脈アテローム性炎症抑制に与える影響をFDG-PET/CT技術を用いて評価したものです。
ピオグリタゾンは頸動脈プラークに対する抗炎症作用を有することが示唆されたという結論です。
##ピオグリタゾンは2型糖尿病における頸動脈プラークの炎症を減少させるがSU薬は減少させない:連続FDG-PET/CTを用いたランダム化プロスペクティブ試験
#FDG-PETにより炎症反応の変化を視覚化
■PPAR-γ活性化作用を有するピオグリタゾンは,血糖値とともに脂質プロファイルを改善することが知られており,PROactive試験では,ピオグリタゾンはプラセボと比べ脳卒中発症率を著明(47%)に減少させることが確認されている。
これには、ピオグリタゾンの抗炎症作用による頸動脈プラークの安定化が関与していると思われる。
■演者らは、2型糖尿病患者31例(年齢70歳,男性24例,女性7例)において血管FDG取り込みをPET/CTで測定し,これらの患者をピオグリタゾン群16例(15~30mg/日)とSU薬群15例(1~4mg/日)にランダム化して4か月治療し,再度FDG-PET/CTを施行して,炎症への影響を比較した。
撮像法 略
#炎症反応の変化とHDLコレステロールに相関
■ベースラインにおける年齢,男女比,肥満度,血圧,脂質プロファイル,血糖値,炎症マーカー,TBR,心血管疾患,投薬の種類などの背景は,両群で同等であった。
HbA1cは,4か月の治療で,ピオグリタゾン群がベースラインの6.5±0.6%から6.0±0.3%に,SU薬群が同6.3±0.6%から6.1±0.5%に,それぞれ有意(P=0.000,P=0.001 t検定)に低下した。
■高感度C反応性蛋白質(hsCRP)値は,SU薬群がベースラインの0.70±0.04mg/dLから1.16±0.07mg/dLに増大した。
一方,ピオグリタゾン群では0.88±0.05mg/dLから0.50±0.03mg/dLに低下した(P=0.036)。
これに応じて,ΔTBR(target to background ratio、糖の吸収補正のための動脈/静脈SUVの比)は,SU群では0.11とベースラインと比べ差がなかった。
一方,ピオグリタゾン群では−0.23と,ベースラインと比べ有意(P<0.01)に低下し,PET/CT画像においても炎症反応の抑制が確認された(図)。
ピオグリタゾン群におけるTBRの低下は,HDLコレステロールの上昇と相関する傾向にあった(r=-0.489,P=0.054) 。

■今回の知見は,ピオグリタゾンが頸動脈プラークに対する抗炎症作用を有することを示している。
こうした作用は,ピオグリタゾン投与により脳卒中が著明に減少することを説明する重要な機序の1つだと示唆された(溝口ミノリ 氏)。
<監修者 兵庫県立尼崎病院 佐藤幸人部長のコメント>
■同様の比較検討は2型糖尿病患者において,頸動脈,冠動脈の超音波検査所見で検討され,それぞれCHICAGO試験(JAMA 2006; 296: 2572-2581),PERISCOPE試験(JAMA 2008; 299: 1561-1573)として報告されているが,いずれもピオグリタゾンが有意に動脈硬化の進行を抑制した。
■また,2型糖尿病患者における心血管イベント抑制を検討したPROactive試験においてピオグリタゾンはプラセボと比較して有意に複合エンドポイント(総死亡+非致死性心筋梗塞+脳卒中)を低下させている(Lancet 2005; 366: 1279-1289)。
■ピオグリタゾンの糖尿病改善効果以外の作用機序としては,現在までにPPARγ活性作用,抗炎症作用,アディポネクチン増加作用,血管内皮機能の改善などが考えられている。
■本発表は,ピオグリタゾンの作用機序のひとつとして,抗炎症作用をhsCRPとFDG-PETを用いて検討した。
他に抗炎症作用を示したデータとして,PERISCOPE試験でもピオグリタゾンはSU薬と比較して,経過中のhsCRP抑制が強力であることが示されている。
■もうひとつ,ピオグリタゾンの特徴としてHDLコレステロール値を上昇させることがCHICAGO試験でも報告されているが,今回の検討でも同様の作用であった。
ピオグリタゾンの糖尿病改善効果以外の作用が再確認されたと同時に,臨床指標としてFDG-PET,hsCRPが適切であることを示した検討である。
<SUVの関連サイト>
骨・腫瘍の核医学診断
http://nuclear.med.hokudai.ac.jp/kougi/NuclMed/20090126Bone.pdf
(SUV;atandardized uptake value についてはこのサイトのP17に説明があります)
<番外編>
#AED10万台を無料改修 不具合の恐れ、日本光電
医療機器製造販売会社の日本光電工業(東京)は20日、緊急時に使用できなくなる恐れがあるとして、米国から輸入販売した自動体外式除細動器(AED)約10万7千台を無料改修すると発表した。薬事法に基づき都に届け出た。
奈良県の老人保健施設で4月、AEDが使用できなくなる不具合があり、80代の女性が死亡した。
死亡と不具合の因果関係は不明だが、同社は同様の不具合が起きる可能性は極めて低いとしている。
改修対象は、米カルディアック・サイエンス社製の「AED-9100」「AED-9200」「AED-9231」「AED-1200」で、医療、教育機関、民間企業など約7万7千施設に納入している。
国内にはAEDが二十数万台あり、半数近くが改修となる。
社員が来年5月以降、納付先に出向き、不具合を改善したソフトウエアに入れ替える。
当面の措置として、不具合を点検するための器具と点検マニュアルを納付先に配布する。
日本光電によると、問題のAEDはセルフテスト(自己診断)機能で故障を検出する仕組みだが、まれに検出できなくなる故障がある。

日本光電工業が無料改修を発表した自動体外式除細動器(AED)
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112001000817.html
出典 共同ニュース 2009.11.20
版権 共同通信社
<コメント>
当院には除細動器がありません。
一時期このAEDにも食指が動きました。
院内でAEDにする必要があるのかという疑問もありますが、ある業者が「先生が倒れた時のことを考えたらAEDがいいですよ」とアドバイスしてくれました。
説得力のある一言です。
多くの開業医の先生方も「自分が倒れた時用に」と考えているようです。
白衣・仮面高血圧は持続性高血圧への進展リスクが高い:PAMELA study
原著:Long-term risk of sustained hypertension in white-coat or masked hypertension.
(白衣高血圧あるいは仮面高血圧における持続性高血圧に対する長期リスク)
Mancia G, Bombelli M, Facchetti R, Madotto F, Quarti-Trevano F, Polo Friz H, Grassi G, Sega R.
Hypertension. 2009;54(2):226-232.
http://hyper.ahajournals.org/cgi/reprint/54/2/226
白衣高血圧(WCHT)と仮面高血圧(MHT)は持続性高血圧(SHT)状態へ進展するリスクが高いのかを検討した。PAMELA studyの参加者うち1,412例において,診察室血圧,24時間自由行動下血圧,家庭血圧を測定し,10年後の血圧状態を再評価した。
<猿田享男先生のコメント>
■家庭血圧測定あるいは24時間自由行動下血圧測定の普及に伴って,白衣高血圧(WCHT)や仮面高血圧(MHT)が発見される頻度が高くなり,これらの高血圧の予後が注目されている。
これまでの諸家の検討では,WCHTに比しMHTのほうが予後が悪いとされているが,多数例で長期間にわたって予後を検討した研究は少ない。
■本研究はイタリアにおいて年齢25~74歳の住民を対象としたPAMELA studyの参加者の中の1,412名において,診察室血圧,24時間自由行動下血圧および家庭血圧を測定して,正常血圧者(NT),WCHT,MHTおよび持続性高血圧(SHT)かを判定し,10年後におけるSHTへの移行率を検討した。
■WCHTは診察室血圧>140/90mmHgかつ平均24時間血圧<125/79mmHgまたは家庭血圧<132/82mmHg,MHTは診察室血圧<140/90mmHg,平均24時間血圧125/79mmHg以上または家庭血圧132/82mmHg以上,SHTは診察室血圧,平均24時間血圧または家庭血圧が閾値を超えた場合,NTは閾値未満の場合とされた。
■ 初回検査時,NT 758名(54.1%),WCHT 225名(16.1%),MHT 124名(8.9%),SHT 293名(20.9%)であった。
10年後の再評価時には,NTの18.2%,WCHTの42.6%,MHTの47.1%がSHTへ移行し,WCHTとMHTとがNTに比し,有意にSHTへ移行しやすいことが判明した。年齢・性別補正後もこの両群のSHTへの移行率は有意に高かった。
■これまでWCHTはMHTに比し予後が比較的によいと考えられてきたが,本研究はそれを否定する成績であり,10年間という長期間にわたる観察であることから,本研究の意義は大きい。
MHTもWCHTもNTに比し血圧の動揺性が大きいことや,24時間の血圧平均値がNTに比し両群とも高値であることなどが,NTに比しSHTへの移行率が高い一因と考えられる。
<関連サイト>
Ambulatory blood pressure normality: results from the PAMELA study.
J Hypertens. 1995 Dec;13(12 Pt 1):1377-90.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8866899
Ambulatory blood pressure normalcy: the PAMELA Study.
J Hypertens Suppl. 1991 Dec;9(3):S17-23.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1797995
ISHハイライト | 循環器 | Pfizer 医薬関係者のための情報サイト
New data from The PAMELA Study
http://physician.pfizer.co.jp/cardiology/report/ish/2006/ish.php
■イタリアのDr. G. ManciaはFranz-Volhard Award受賞講演においてPAMELA研究の内容を中心に病院・診療所における随時血圧以外の家庭血圧や24時間血圧の意義について,特に心血管疾患との関連について報告した。
■Milano-Monza groupは,これまで高血圧と虚血性心疾患・心不全・糖尿病・メタボリックシンドローム,肥満,睡眠時無呼吸症候群の関連など多くの病態を研究してきた。その1つである疫学観察研究にPAMELA研究がある。
Monzaの3,200人の住民を対象に1990年より開始し,家庭血圧や24時間血圧の心血管疾患発症の関連を検討したものである。
24時間血圧,家庭血圧,診療所随時血圧と心血管疾患発症の関連をみると,夜間血圧>24時間血圧>日中血圧>家庭血圧>診療所での随時血圧の順で心血管疾患発症をより強く反映することを明らかにした。
すなわち,心血管疾患の発症や死亡の危険性の予知因子として,24時間血圧測定が随時血圧や家庭血圧より有用であることが示された。
一方,最近注目される,診療所での血圧は正常で,家庭血圧が高値を示す仮面高血圧や,逆に,病院における血圧は高いが,病院外では正常血圧を示す白衣高血圧の心血管疾患との関連をみると,PAMELA研究では仮面高血圧,白衣高血圧の頻度は各々9%,12%で,心血管疾患死は高血圧>仮面高血圧>白衣高血圧>正常血圧の順に多いことが判明した。
このことは,やはり仮面高血圧が心血管疾患の重要な危険病態で,真の高血圧と言うべきものであり,高血圧に準じた治療が必要であることを示している。
また,PAMELA研究では,心血管疾患発症にBMI,総コレステロール,血糖値が高血圧とともに関連することを明らかにし,これら,肥満・脂質代謝異常,糖代謝異常と高血圧が密接に関連するメタボリックシンドロームが心血管疾患発症に密接に関わることを示した。
このようにメタボリックシンドロームが心血管疾患危険因子として重要であり,PAMELA研究では10年後に再評価を行い,メタボリックシンドロームで24時間血圧,家庭血圧,随時血圧別にみて,高血圧への進展などを検討することになっており,今後の各危険因子やメタボリックシンドロームと高血圧の関連が前向き疫学調査で解明されることが期待される。
このように,Manciaは,血圧のパラメーターとして,随時血圧に加えて24時間血圧と家庭血圧測定の意義をPAMELA研究の成績を介して紹介し,これら血圧測定法の有用性を強調した。
Ambulatory blood pressure normalcy: the PAMELA Study.
J Hypertens Suppl.1991 Dec ; 9(3):S17-23.
http://www.atgcchecker.com/pubmed/1797995
<自遊時間>
昨日のラグビー早慶戦を観られた先生も多かったのではないでしょうか。
実にいい試合でしたね。
6大学でも慶応でもない私ですが、すっかりどちらともなく応援してしまいました。

http://sankei.jp.msn.com/sports/other/091123/oth0911232010024-n1.htm
11月1日にTVでやっていた野球の早慶戦にもドラマがありました。
早慶戦(東京六大学野球)
http://www.daiichikantei.co.jp/daiichi-now/2009/11/05/post-18.html
私は何故か明治大学の応援歌が大好きです。
<きょうの一曲> 矢切の渡し
矢切の渡し 細川たかし
http://www.youtube.com/watch?v=ZiPlO-K5oDQ&feature=related
ちあきなおみの - 矢切りの渡し
http://www.youtube.com/watch?v=XEntqjfq2PU&feature=related
森昌子 矢切の渡し 1984 Masako Mori Yagiri no Watasi
http://www.youtube.com/watch?v=OZt5MyTeE9E&feature=related
<コメント>
ちょっと古い曲で恐縮です。
名曲ですね。
昔勤務していた病院の院長のおはこ(十八番)の曲です。
尊敬に値する先生でしたが今春に他界されました。
この曲を聴く度に院長がマイクを握っている元気な頃のお姿を思い出します。
#PCIは臨床試験除外心筋梗塞患者でも有益
無作為化比較対照試験から通常は除外されるST上昇心筋梗塞患者においても、primary PCIは血栓溶解療法よりも院内死亡率を低下させるとの研究論文が、「American Journal of Cardiology」10月15日号に掲載された。
■ドイツ、ルードヴィヒスハーフェン心臓センターのOliver Koeth氏らは、臨床試験登録に適格な患者11,806人と、年齢75歳以上、12時間以上の来院遅延、来院時前の心肺蘇生術施行、心原性ショック、腎機能障害、脳卒中既往などで不適格とみなされる患者9,369人について転帰を比較した。
■適格患者に比べて、不適格患者では院内死亡率が高く(4.9% vs. 20.1%)、非致死的脳卒中の発生率も高かった(0.4% vs. 1.5%)。
また、早期再灌流治療を受けた不適格患者では、院内死亡リスクの低下が認められ(オッズ比0.62)、primary PCIの有益性が最も高かった(オッズ比0.52)。
■著者らは
「以上の成績から、これら高リスク患者においてはprimary PCIがより好ましい再灌流治療法と思われる。血管形成術施行設備の有無にかかわらず、医療施設間のネットワークを確立し、施設到着からprimary PCI施行までの時間的損失を可能な限り短縮させるために、病院および搬送システムの改善に最大限の努力をすべきである。しかし、primary PCIが3時間以内に施行できない場合には、血栓溶解療法が依然として有用な選択肢である」
と結論している。
出典 Health Day News 2009.10.15
原著
Clinical Benefit of Early Reperfusion Therapy in Patients With ST-Elevation Myocardial Infarction Usually Excluded from Randomized Clinical Trials (Results from the Maximal Individual Therapy in Acute Myocardial Infarction Plus [MITRA Plus] Registry)
http://www.ajconline.org/article/S0002-9149(09)01177-1/abstract
<番外編>
#冠動脈ステントの3割が破損~J&J社のCypherステントは壊れやすい
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=36602
177のステント治療冠動脈病変を評価したところ、51病変(29%)でステント破損が認められました。
<コメント>
これって事実なんでしょうか、誹謗中傷のたぐいでしょうか。
<きょうの一曲> 喝采
ちあきなおみ 喝采
http://www.youtube.com/watch?v=iuj-a66q-oA&feature=related
石原裕次郎 喝采
http://www.youtube.com/watch?v=aq8STCImrNI&feature=related
あさみちゆき 「喝采」を歌う
http://www.youtube.com/watch?v=TCz13uuMDJo&feature=related
喝采 徳永英明 (Tokunaka Hideaki)
http://www.youtube.com/watch?v=3KhULkM9nXg&feature=related
第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表からの記事で勉強しました。
自治医科大学循環器内科の松井芳夫先生が発表しました。
演題の内容は、
「未投薬高血圧患者を対象として,家庭血圧測定による早朝高血圧と左室肥大との関連を検証し,早朝高血圧患者では求心性左室肥大が多い」
というものです。
##早朝高血圧は未投薬高血圧患者における左室リモデリングの強力な予測因子である
■未治療高血圧患者において自由行動下血圧測定で検出される早朝高血圧は将来の脳卒中リスクに対する強力な予測因子であることが報告されている(Kario K, et al. Hypertens Res 2006; 29: 581-587)。
Morning hypertension: the strongest independent risk factor for stroke in elderly hypertensive patients.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17137213
■また,既治療患者でも家庭血圧測定で検出される早朝高血圧が左室肥大と関連していることが報告されている(Shibuya Y, et al. Hypertens Res 2007; 30: 903-911)。
Morning rise of blood pressure assessed by home blood pressure monitoring is associated with left ventricular hypertrophy in hypertensive patients receiving long-term antihypertensive medication.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18049021
#早朝起床時・夜間就寝時の収縮期血圧の平均と差で高血圧を分類
■2週間以上の間隔を空けた2回の外来受診における随時血圧の平均値が140/90mmHg以上の未投薬患者356例を対象として,今回の研究を実施した。
<コメント>
随時血圧の平均値・・・もう少し詳細が知りたいところです。
■研究への登録時に問診や血液検査のほか,心エコー検査や脈波解析を行い,朝晩の家庭血圧測定を14日間続けてもらって,そのデータから高血圧の診断を白衣高血圧(家庭正常血圧),早朝血圧上昇型,持続性高血圧,早朝高血圧に分類した。
■各診断型の分類は,早朝起床時(M)と夜間就寝時(E)の収縮期血圧(SBP)の平均である「ME平均」と,差である「ME差」を使用し,次のように定義した。
すなわち,
ME平均<135mmHgかつME差<15mmHgが白衣高血圧,
ME平均<135mmHgかつME差≧15mmHgが早朝血圧上昇型,
ME平均≧135mmHgかつME差<15mmHgが持続性高血圧,
ME平均≧135mmHgかつME差≧15mmHgが早朝高血圧
である(図1)。

<コメント>
早朝高血圧の定義は未だにコンセンサスは得られていないようです。
そのあたりに演者は腐心しているようです。
ME差のカットオフ値15mmHgは75パーセンタイル値を参考にしているとのことです。
白衣高血圧は分類に入っていますが夜間高血圧、家庭高血圧、職場高血圧が考慮出来ない点にこの報告の限界があるかも知れません。
早朝血圧上昇型と早朝高血圧とのグループ分けも、早朝起床時(M)と夜間就寝時(E)の2点測定だけでどうして出来るのか頭の悪い私には理解困難です。
「早朝起床時」もいわゆる起床直後のベッドサイドでの測定か否か、早朝とは何時なのかとか言い出したら切りがありません。
しかし「朝はトイレに行った後、食事前での測定」か否かは知りたいところなんですが。
言葉から早朝血圧上昇型は正常血圧、早朝高血圧は高血圧という分類かとも早合点してしまいましたが、最初の定義からは早朝血圧上昇型も高血圧です。
#早朝高血圧群では求心性左室肥大例が48.6%
■各診断型の患者背景を比較した結果,早朝高血圧群(N=74)は白衣高血圧群(N=102)に比べ,高齢,男性が多い,飲酒習慣のある者が多い,高血圧の罹病期間が長いなどの特徴があった。
<コメント>
このことは高血圧の専門家には常識かも知れませんが、私には新鮮なインフォメーションでした。
■早朝高血圧群はほかの群よりも動脈スティフネスが亢進しており,左室重量係数や左室相対的壁厚も高値であった。
各群において左室重量係数と左室相対的壁厚から左室形態を分類すると(図2),早朝高血圧群では求心性左室肥大例が48.6%を占め,白衣高血圧群の7.8%(P<0.001),早朝血圧上昇型群の20.0%(P=0.007),持続性高血圧群の30.0%(P=0.003)と比べ,その割合が有意に高かった(図3)。

■白衣高血圧群に対する早朝高血圧群の求心性左室肥大のオッズ比は,年齢,性,高血圧罹病期間,喫煙,飲酒習慣,糖尿病,外来随時SBP,心拍数を補正したうえで6.5(P<0.001)であった。
<コメント>
従来、午前中の心血管イベントが多いことが強調されて来ました。
その原因の主なものはPAI-1の低下であるというお話をある教授に聞いたことがあります。
ACE阻害薬と線溶能・インスリン感受性
http://blog.m3.com/reed/20090917
早朝高血圧が動脈スティフネスの亢進や求心性左室肥大に関与しているという今回の結果は素晴らしい研究と思います。
交感神経緊張がどのように関与しているのか、なぜこういった結果が出るのか。
カテコラミンと心肥大を博士号取得のための研究テーマとした私には大いに興味があります。
【監修者のコメント】
早朝高血圧には2つのタイプがあり,(1)夜間低値の血圧が早朝覚醒前後に急激に上昇するモーニングサージと,(2)夜間降圧のないnon-dipperや夜間昇圧を示すriserに認められる早朝高血圧とがある。近年,24時間自由行動下血圧測定(ABPM)や家庭血圧自己測定により早朝血圧が心血管イベント発症のリスクとなることが知られるようになった。自治医科大学は早朝血圧に関する一連の研究で有名であるが,今回は未治療高血圧患者において平均血圧とモーニングサージとにしたがって患者を4分割し,心肥大の形態と程度について詳細に検討したものである。
その結果,平均血圧は低値であっても早朝血圧上昇型であれば心肥大を形成することや,持続的な血圧上昇に加えて早朝高血圧が認められるとより著明に心肥大を合併することも確認された。
心肥大は血圧値とは独立した予後予測因子であることが報告されており(JAMA 2004; 292(19): 2343-2349,Circulation 2006; 113: 67-73),今後の高血圧治療は(1)収縮期血圧の低下のみならず,(2)早朝高血圧などの血圧変動パターン,さらには(3)心肥大の有無まで配慮して抑制していく必要があると思われる。
<兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤幸人部長のコメント>
早朝高血圧には2つのタイプがあり,
(1)夜間低値の血圧が早朝覚醒前後に急激に上昇するモーニングサージと,
(2)夜間降圧のないnon-dipperや夜間昇圧を示すriserに認められる早朝高血圧とがある。
近年,24時間自由行動下血圧測定(ABPM)や家庭血圧自己測定により早朝血圧が心血管イベント発症のリスクとなることが知られるようになった。
自治医科大学は早朝血圧に関する一連の研究で有名であるが,今回は未治療高血圧患者において平均血圧とモーニングサージとにしたがって患者を4分割し,心肥大の形態と程度について詳細に検討したものである。
その結果,平均血圧は低値であっても早朝血圧上昇型であれば心肥大を形成することや,持続的な血圧上昇に加えて早朝高血圧が認められるとより著明に心肥大を合併することも確認された。
心肥大は血圧値とは独立した予後予測因子であることが報告されており(JAMA 2004; 292(19): 2343-2349,Circulation 2006; 113: 67-73),今後の高血圧治療は
(1)収縮期血圧の低下のみならず,
(2)早朝高血圧などの血圧変動パターン,さらには
(3)心肥大の有無まで配慮して抑制していく必要がある
と思われる。
Regression of electrocardiographic left ventricular hypertrophy during antihypertensive treatment and the prediction of major cardiovascular events.
JAMA. 2004 Nov 17;292(19):2396-8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/15547161
Electrocardiographic strain pattern and prediction of new-onset congestive heart failure in hypertensive patients: the Losartan Intervention for Endpoint Reduction in Hypertension (LIFE) study.
Circulation. 2006 Jan 3;113(1):67-73. Epub 2005 Dec 19.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16365195
<コメント>
2種類ある早朝高血圧のnon-dipperとriserと報告の中の早朝血圧上昇型と早朝高血圧とのそれぞれの関連が私にはよく理解出来ません。
<関連サイト>
[PDF] 高血圧治療ガイドライン2009 (JSH2009)のポイント
http://www.lifescience.jp/ebm/cms/ms/no.13/topics.pdf
(非常に役立つサイトです。一番重要な血圧測定について触れられているかと思って読んだのですが、欠落していたのが残念です。)
<きょうの一曲>
The Beatles - And I Love Her
http://www.youtube.com/watch?v=96YQdiMV-Jc&feature=related
第82回米国心臓協会学術集会(AHA2009Orlanndo,Florida,November14-18,2009))
での発表からの記事で勉強しました。
演題の内容は、急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)に対して緊急に行うprimary PCIでの薬剤溶出ステント(DES)使用による再狭窄やステント血栓症のリスクについて報告されたRCTのメタアナリシスです。
#薬剤溶出ステントは急性心筋梗塞患者の再梗塞リスクを減少させる:ネットワークメタアナリシス
■緊急ではない待機的なPCIでは,DESの有用性が証明されている。
しかし,STEMIに対して緊急に行うprimary PCIでは,再狭窄やステント血栓症のリスクをめぐって,その評価が定まっていない。
■そこでUniversity of Michigan Cardiovascular Center, Ann Arbor, MI, USAのMeier氏らは,この点について検討されているランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスを実施し,DESとベアメタルステント(BMS)ではステント血栓症のリスクに差はないものの,再梗塞や標的血管再血行再建術(TVR)に対してはDESのほうが有用であり,なかでもパクリタキセル溶出ステント(PES)よりシロリムス溶出ステント(SES)が有用とする結果を報告した。
#15件のRCT,対象患者総数は7,698例のメタアナリシス
■Meier氏らは2001年から2009年5月までに報告されているRCTの成績を医学文献データベースや学会記録集から検索した。
検索したのは,急性STEMI患者を対象として,DESとBMS,またはDES同士を比較しているRCTである。
■報告の題名や抄録から条件に合致するRCTを選び出し,さらに本文の精読や著者への問い合わせにより内容を確認した結果,DESとBMSを比較する14件のRCT,SESとPESを比較する1件のRCTが残った。
■主要評価項目をTVR,副次評価項目を再梗塞,ステント血栓症,死亡として,ランダム効果モデルにより集約的なオッズ比を計算した。
また,論文中で直接比較していない治療群間の差を推定するネットワークメタアナリシスの手法により,SESとPESの比較を行った。
#急性STEMI患者でもDESがBMSより有用
■解析の結果,BMS群に対するDES群のTVRのオッズ比は0.42となり,BMSよりもDESのほうがTVRの減少に有利であることが示された(図1)。

■使用されたDESの種類ごとにRCTを分けて解析しても結果は一貫しており,同オッズ比は,PESとSESが使用された5件のRCTでは0.36,PESが使用された5件のRCTでは0.57,SESが使用された4件のRCTでは0.34であった。
■SESとPESを比較するRCTは1件のみだったため,以上のオッズ比と信頼区間を利用してネットワークメタアナリシスによりSES群とPES群を比較すると,PES群に対するSES群のTVRのオッズ比は0.54となり,PESよりもSESのほうがTVRの減少に有利であることが示唆された(図2)。

■そのほかに今回の解析では,再梗塞についてもBMSよりDESのほうが有利であることが示された(BMS群に対するDES群のオッズ比0.72)。
一方,ステント血栓症(0.88)や死亡(0.92)に関しては明らかな差が認められなかった。
■以上の結果から,急性STEMIにおいてもTVRや再梗塞の抑制という点でDESがBMSより有用であり,PESよりSESのほうがより効果的であることが示唆された。
ただし,メタアナリシスには出版バイアスや研究レベルのデータのみという限界がある。
また,Meier氏は本解析において15件中3件のRCTの成績が論文として未発表であること,いずれのRCTも追跡期間が1年以内と短いことを指摘し,結果の解釈には慎重さを求めた。
<兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤幸人部長のコメント>
■急性心筋梗塞において,ステントを病変部位に留置することで,バルーンのみで手技を終了した場合と比較して急性期の再閉塞,慢性期の再狭窄を抑制し再インターベンションも抑制することが報告されている(N Engl J Med 2002; 346: 957-966,Int J Cardiol 2008; 126: 37-44)。
Comparison of angioplasty with stenting, with or without abciximab, in acute myocardial infarction.
N Engl J Med. 2002 Mar 28;346(13):957-66.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/11919304
Coronary stenting versus balloon angioplasty for acute myocardial infarction: a meta-regression analysis of randomized trials.
Int J Cardiol. 2009 Apr 17;133(3):394-6; author reply 396.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17544528
■しかし,DESとBMSの比較検討は従来,おもに安定狭心症を対象にしたものであり,急性心筋梗塞での検討報告はそれほど多くない。
急性心筋梗塞患者において薬剤溶出ステントを使用することは,長期予後,特に死亡率の抑制に関しては不明であり,ステント血栓症が遅れて生じることにより,かえって長期予後は悪いのではないかとの懸念もあった。
■過去に同様の検討を報告したものとして,HORIZONS-AMI試験の成績がある(N Engl J Med 2009; 360: 1946-1959)。
Paclitaxel-eluting stents versus bare-metal stents in acute myocardial infarction.
N Engl J Med. 2009 May 7;360(19):1946-59.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19420364
STEMI患者が薬剤投与後にPESとBMSに割り付けられた結果,PES群ではBMS群と比較して,12か月後の再狭窄を抑制し,TVRも有意な減少がみられた。
■急性心筋梗塞患者を対象とした後ろ向きの報告として,DES群とBMS群の比較が行われ,2年後の死亡率はDES群の方がBMS群と比較して有意に低く,再インターベンション施行率も同様に有意に低かったという報告もある(N Engl J Med 2008; 359: 1330-1342)。
Drug-eluting or bare-metal stents for acute myocardial infarction.
N Engl J Med. 2008 Sep 25;359(13):1330-42.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18815397
■本発表は,これらの結果と合致しており,さらにSESとPESを比較した点で新しい。
本発表は,これらの結果と合致しており,さらにSESとPESを比較した点で新しい。
STEMI患者が薬剤投与後にPESとBMSに割り付けられた結果,PES群ではBMS群と比較して,12か月後の再狭窄を抑制し,TVRも有意な減少がみられた。
急性心筋梗塞患者を対象とした後ろ向きの報告として,DES群とBMS群の比較が行われ,2年後の死亡率はDES群の方がBMS群と比較して有意に低く,再インターベンション施行率も同様に有意に低かったという報告もある(N Engl J Med 2008; 359: 1330-1342)。
■本発表は,これらの結果と合致しており,さらにSESとPESを比較した点で新しい。
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/aha2009.cgi/html/10_4502.html
出典 Medical Tribune
Congress News Wave 2009.11.20
<コメント>
国際学会に限らないことかも知れませんが翌日には学界発表の主な内容が記事になって学会場で配布されます。
その早さには驚きますが、佐藤先生が早くもコメントを書かれているのには尚ビックリします。
<きょうの一曲> ロコモーション
Grand Funk - The Loco-Motion (1974)
http://www.youtube.com/watch?v=drZZ28Kcga0
Grand Funk Railroad-The Locomotion
http://www.youtube.com/watch?v=TN9f2pl8uU4&feature=related
Mark Farner (Grand Funk Railroad) - The Locomotion
http://www.youtube.com/watch?v=TN9f2pl8uU4&feature=related
Carole King - Locomotion
http://www.youtube.com/watch?v=0hdMbr1rZic&feature=related
The Loco-Motion lyrics
http://www.youtube.com/watch?v=llYN039ixy8&feature=related
Kylie Minogue - The Locomotion with Lyrics
http://www.youtube.com/watch?v=FenenIodcIk&feature=related
ロコモーション♪グランド・ファンク!
http://plaza.rakuten.co.jp/ruzerukabu/diary/200908020000/
(キャロル・キングが作曲したと知ってこれまたビックリしました)

http://www.grandfunkrailroad.com/latestnews.htm