戯れ言たれる侏儒
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食塩感受性と臓器障害

戯れ言たれる侏儒 / 2009.10.28 00:46 / 推薦数 : 0

ARBと利尿剤の合剤が相次いで登場する昨今、ARB単独投与にして予期せぬ、すなわち期待以上の降圧を来す症例に遭遇するようになって来ました。
エプレレノンも治療抵抗性高血圧に3〜4剤目の薬剤として追加して思わぬ降圧を得られることもあります。
日本人に食塩感受性が高い症例が多いことは以前から知られていましたが、今後はそういった意識を持った降圧療法が重要になってきそうです。
きょうはそのあたりの勉強をしました。
メタボリックシンドローム患者
血圧管理には食塩制限が特に重要
テュレーン大学(米ルイジアナ州ニューオーリンズ)内科のJing Chen博士らは,中国人を対象にした研究から,メタボリックシンドローム患者の血圧は食塩摂取に感受性が高いことを明らかにし,同シンドロームの危険因子を複数有する患者では食塩摂取量の制限が特に重要であるとする研究結果をLancet(2009; 373: 829-835)に発表した。

食塩への感受性が高い
メタボリックシンドロームは,心血管疾患や糖尿病の発症リスクを増加させる複数の医学的異常が存在する病態である。
成人の5人に1人が発症し,有病率は加齢とともに増加する。
食事中の食塩に対する感受性が高い人,あるいはサブグループの同定は臨床的にも公衆衛生上も重要な意義があり,食塩制限介入の効果が最も出やすいと見られる患者に的を絞ることができる。
 
小規模臨床試験では,インスリン抵抗性がナトリウム(Na)貯留と細胞外液の体積増加をもたらすことから,Na摂取量に応じて血圧が上昇することが示唆されている。
インスリン抵抗性は,メタボリックシンドロームの原因機序になると考えられているため,同シンドローム患者は食事中の食塩への感受性が高い。
Chen博士らは今回,メタボリックシンドロームと,食塩に対する血圧の感受性との関連性を調べた。
 
非糖尿病の中国人1,906例(年齢16歳以上)を対象に低Na食を7日間,続けて高Na食(低Na食の6倍)を7日間摂取させた。
代謝系の危険因子に関する情報がない者や,食事介入を完遂できなかった者は研究から除外した。血圧はそれぞれの介入のベースライン時,2,5,6,7日目に測定した。
メタボリックシンドロームは,(1)腹部肥満(2)血圧上昇(3)高トリグリセライド値(4)HDLコレステロール低値(5)高血糖―のうち3つ以上に該当する場合と定義した。
平均動脈圧が低Na食摂取期間中に5mmHg超低下するか,高Na食摂取期間中に5mmHg超増加したものを高食塩感受性とみなした。

国レベルの対策を
Chen博士らは,完全なデータが得られた1,881例中283例(15%)がメタボリックシンドロームであることを見出した。
これらの患者の血圧値は,高Na食と低Na食の両期間で食塩摂取量の変化に対し高い感受性を示した。
メタボリックシンドロームに関する危険因子のない者と比べた場合,4〜5個の危険因子のある者では,高Na食摂取中に高い食塩感受性を示すリスクが3.5倍高かった。
 
同博士らは「今回の結果により,メタボリックシンドロームでは食塩に対する血圧の反応が強まることが示唆された。
同シンドロームの危険因子を複数有する患者では特に,食塩摂取量の制限が重要となるだろう」と結論している。
 
中国疾患管理予防センター(北京)のGonghuan Yang氏は,同誌の付随論評(2009; 373: 792-794)で「もし,中国の国民で食塩感受性の高血圧が他の国よりも多いのであれば,食塩摂取量の制限を国家的取り組みとすべきだ。対策としては,食塩摂取と高血圧の関連に関する情報提供,食品表示,新たな低塩中華料理の創作,小児に低Na食の食習慣を勧めていくことなどが考えられる」と述べている。
出典 Medical Tribune 2009.6.25
版権 メディカル・トリビューン社

 

食塩感受性が死亡リスクを高める
正常血圧者における研究が示す
インディアナ大学(インディアナ州インディアナポリス)高血圧研究センターのMyron Weinberger所長らは,米国立心肺血液研究所(NHLBI)の助成による“正常血圧者と高血圧者における食塩感受性,脈圧,死亡”試験の結果をHypertension(37supp:429)に発表。
食塩感受性が高血圧と同程度に死亡リスクも高めると報告した。

独立した死亡リスク
これまでの研究で,食塩感受性が高血圧症者の死亡リスク,さらに心臓発作リスクや心血管リスクを高めることがわかっている。正常血圧者においても,食塩感受性は死亡リスクを高めることを示した研究は今回が初めて。
アフリカ系米国人や白人,男性,女性でも同じ結果であった。
 
NHLBIのClaude Lenfant長官は,「今回の試験結果は,毎日の食塩摂取量に米国人がもっと気を付けるべきであるとする新たな根拠である」と述べ,食塩感受性者は正常血圧であっても健康を守るため減塩するように勧めている。
残念ながら,食塩感受性の簡単な検査方法はないため,正常血圧の米国人すべてが,国の勧告するNa 2.4g/日以下に従ったほうがよいという。
 
筆頭研究者のWeinberger所長は「食塩感受性が高血圧の有無に関係なく,死亡リスクを高める」とし,「これまでの研究で,食塩感受性者では加齢に伴い,高血圧発症リスクが高くなることがわかっている。米国は食塩にあふれた環境にあり,この問題に拍車をかけている。食塩感受性者は減塩して,死亡リスクや心血管疾患リスクを低下させる必要がある」と述べた。

正常血圧者の26%に感受性
Weinberger所長は,一部の米国人で食塩感受性リスクが高いことを指摘。食塩感受性高リスク群は,高齢者,アフリカ系米国人,食塩感受性または高血圧の家族歴などである。
同所長はこれまでの研究に基づき,米国人正常血圧者の約26%,高血圧者の約58%が食塩感受性者であると推定している。
食塩感受性は高血圧のほかに,左室肥大や腎障害の発症リスクを高める。
 
今回の研究で,同所長らは25年前に実施された初回の高血圧研究の参加者(当時18〜80歳)708例をフォローアップ。
596例を探し当て,生存者を再調査し,死亡者については死因を確認した。食塩感受性を判定するため,食塩水を飲ませた後,利尿薬を投与。
その後,体内の塩分量が増減する 2 日間にわたって血圧と尿量を測定した。

#Na摂取量を1日2.4g以下に
研究対象者(596例)のうち123例(約21%)が25年後,心血管疾患その他の原因で死亡していた。
食塩感受性正常血圧群の死亡率は高血圧群と同等で,食塩非感受性正常血圧群のみが有意に高い生存率を示した。
 
収縮期血圧,拡張期血圧,脈圧のいずれの値でも同様の結果であった。さらに,body mass index(BM I),収縮期・拡張期血圧,脈圧など長年リスクファクターとされてきた要因も死亡リスクを高めていた。
 
Weinberger所長は「25年以上前に研究を始めたとき,われわれは体が血圧をコントロールするメカニズムの詳細を知ろうとした。いまや,これらのメカニズムの一部が死亡リスクになることがわかった」としている。
 
今回の知見から,加齢に伴う死亡リスクや高血圧症発症リスクを抑制するために,厳しい減塩をする必要はないと考えられる。Na摂取量を2.4g/日まで減らせば大きな恩恵が得られるだろう。DASH試験で示されたように,Na摂取量を1.5g/日まで減らせば恩恵はさらに大きくなるだろう。同試験では,Na摂取量が少ないほど血圧値が低かった。
 
同所長は「食卓で料理にかける塩は食事から摂取するNa量の10%にすぎない。食塩摂取量を減らすには,調理済み食品,保存食品,加工食品に含まれるNaに注意する必要がある。食品表示をチェックし,チーズ,缶詰野菜などNa含有量の高い加工食品に用心すべきだ」と呼びかけている。
出典 Medical Tribune 2001.4.26
版権 メディカル・トリビューン社

 

座談会 食塩過剰摂取と高血圧の問題にどう対処するか
出典 Medical Tribune  2006.9.28
版権 メディカル・トリビューン社
■日本人の食塩摂取量は,1987年くらいまでは年々減少し,1日11.7gになっていました。
ところが,バブル景気とともに増加し,1995年には13g台に達しました。
その背景には,食生活の変化,特にコンビニエンスストアやファーストフード店など外食産業の発達と利用機会の増加があったと思われます。
しかし1996年に減塩キャンペーンが実施されて,2004年には再び10.7gまで低下してきています(図1)。

それでも,世界的にみると,日本人が食塩を最も多く摂っている民族の一つであることに変わりはありません。
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)では,高血圧や高血圧に基づく心血管病を予防するために,食塩制限の必要性がこれまで以上に強調され,目標値もJSH2000の7g/日以下より低い6g/日未満に設定されました。
しかし我が国の食塩摂取量は,残念ながら,そのレベルに遠く及ばないのが現状です。
■1988年にINTERSALTという大規模疫学調査が実施され,食塩摂取量が多いほど高血圧の頻度が高まることが確認されています(図2)。

■食塩摂取が循環血液量を増加させ,血圧を上昇させることはよく知られています。
また,Naイオンの増加によって血管抵抗が増し,血圧を上昇させる機序も想定されています。
ただし,摂取した食塩を排泄しきれず,食塩依存性の血圧上昇度が大きい方,すなわち食塩感受性の方もおり,食塩が血圧上昇に及ぼす影響は一律ではありません。
食塩感受性の方は特に食塩摂取に注意する必要があります。
■食塩を排泄しきれない理由は,糸球体におけるNa濾過能の低下,あるいは尿細管におけるNa再吸収能の亢進です。
糸球体のNa濾過能は糸球体数と糸球体個々の濾過面積,濾過膜層の水透過性の3つの積からなり,この値が小さいほど食塩感受性が亢進します。
糸球体数は20歳を過ぎる頃から減り始めるため,食塩感受性は若年者では低く,加齢に伴って高まります。
高齢以外の食塩感受性亢進因子としては,腎障害,女性,糖尿病,肥満などが挙げられます。
■日本人は,食塩感受性の割合が欧米白人に比べて高く,本態性高血圧症患者の約40%を占めると考えられます。
食塩感受性高血圧は心血管事故の独立した危険因子であり,その点からも,減塩は積極的に推進すべきであると考えます。
■JSH2004では,減塩によって得られる降圧の目安を,食塩摂取量6g/日の達成で収縮期血圧約5mmHgの低下としています。
■食塩摂取量が増えると心肥大が増悪し,減塩によってそれが退縮することが臨床的にも知られています。
食塩非感受性のモデルである高血圧自然発症ラットを使った実験でも,食塩制限によって,血圧の低下は認めないものの心肥大が退縮したというデータがあります。
■腎障害が進行した患者では,食塩摂取量が多いと糸球体高血圧が促進され,腎機能の低下がさらに進行すると考えられます。
■減塩は夜間血圧にも影響を及ぼします。
一般的に,食塩感受性高血圧患者は夜間の降圧を認めないnon-dipper型を呈します。
食塩感受性高血圧では,腎のNa処理能が低下しているために昼間だけではNaの排泄が不十分で,そのため夜間の血圧を上昇させ,圧-利尿によってNaを排泄する必要がある訳です。
夜間も高い血圧が持続するのはそのための代償機転と考えられます。
しかし,減塩によって夜間血圧は低下し,dipper型へシフトさせます。
■利尿薬は食塩感受性を改善しますので,結果的に減塩と同様の効果が期待できると思います(図3)。

利尿薬は,血圧の食塩感受性を非感受性にすることによって血圧を低下させると考えられます。
つまり,食塩摂取量が多い状況で大きな降圧効果を発揮するのです。

■RA系抑制薬は,血圧を食塩感受性にシフトさせる点から,利尿薬との併用が有効と考えられます。

■圧-利尿曲線の観点から,降圧効果が相乗的に増強される組み合わせとしてはRA系抑制薬と利尿薬がベストではないでしょうか。実際,RA系抑制薬だけでは降圧効果が十分でなかった患者にサイアザイド系利尿薬を少量追加しただけで,著明な降圧の増強作用を得た経験が少なからずあります。
RA系抑制薬と利尿薬は,前者による食塩に依存した体液貯留,後者によるRA系の亢進を互いに抑制し合う点でも,相乗的に降圧効果が増強されると考えられます。
副作用の軽減という観点からも,少量の利尿薬であれば,カリウム低下やインスリン感受性の低下をARBが相殺してくれるという利点があります(表1)。

■最近,減塩にも利尿薬にも,分子レベルでAT1受容体の数をダウンレギュレートする作用のあることが注目されています。
これは,減塩下あるいは利尿薬投与下では,ARBを投与すると,血圧が相乗的に低下するのみならず,アンジオテンシン II の臓器障害作用も強力に抑制されることを意味します。
したがって,RA系抑制薬が本来有する優れた臓器保護作用が,利尿薬の併用によってさらに効果的に発揮されている可能性も強いと思います。

参考  木村モデル

 

 

第25回日本高血圧学会特集 会長講演(東大・藤田敏郎教授)
生命科学研究基盤に テーラーメード医療実践へ
出典 Medical Tribune  2002.11.7
版権 メディカル・トリビューン社
■食塩感受性高血圧患者では食塩負荷により腎血管抵抗が上昇する。
■食塩感受性高血圧の臨床的特徴とは,高頻度の臓器障害,特に腎障害が見られ,インスリン抵抗性が亢進していることである。
■腎におけるLOX-1(血管内皮細胞における主要な酸化LDL受容体)の遺伝子発現は食塩感受性ラットにおいてのみ認められる。
■AIIを注入して作成した高血圧ラットではLOX-1発現が亢進するが,同時に抗酸化物質を投与すると,LOX-1発現が抑制されることもわかり,A IIによる動脈硬化進展過程にLOX-1が仲介していることが証明された。
■AIIに拮抗し血管保護作用を有するとされるアドレノメデュリン(AM)については,AM欠損マウスでは酸化ストレスが著しく亢進しており,同マウスの大動脈をカフで被包すると新生内膜増生が起こるが,AM遺伝子導入によりそれは抑制された。
■AIIに拮抗し血管保護作用を有するとされるアドレノメデュリン(AM)については,AM欠損マウスでは酸化ストレスが著しく亢進しており,同マウスの大動脈をカフで被包すると新生内膜増生が起こるが,AM遺伝子導入によりそれは抑制された。
■食塩感受性ラットでは食塩負荷によりインスリン感受性が低下するが,カリウムの投与により,インスリン感受性は回復する。
■食塩負荷により亢進する腎LOX-1発現や増加する尿蛋白も,カリウム投与で抑制された。
■利尿薬の脳卒中予防効果を示したSHEP研究では,降圧度は正常カリウム血症群と同等であったにもかかわらず,低カリウム血症群では脳卒中予防効果が全く認められなかったことから,カリウムには降圧を超えた効果がある可能性も示唆される。
■食塩感受性高血圧の代謝病態としては,食塩感受性,インスリン抵抗性,酸化ストレスの 3 者が相互に関与しており,それらに各種環境因子が影響して,心血管疾患発症へとつながっていく。■食塩感受性高血圧と関連する遺伝子多型としては,これまでに 4 つの候補遺伝子(アンジオテンシノーゲン,ACE,α-アデュシン,G蛋白β3サブユニット)が報告されているが,関連性について肯定,否定の報告が相半ばしている。

 

座談会 食塩と高血圧
日本人の高血圧治療に新たな可能性を拓く選択的アルドステロンブロッカー(SAB)
出典 Medical Tribune 2008.4.3
版権 メディカル・トリビューン社
■アルドステロンは,発見から半世紀を経て脳・心・腎に直接障害をもたらす心血管系リスクホルモンとして再び注目されているが,その有害作用はナトリウム(Na)の存在下で発揮されることが明らかにされている。
■2001年に報告されたDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)-Sodium研究では,1日の食塩摂取量を8gから6g,4gへと減少させるに連れ,血圧がほぼ直線的に下降することや,同程度の食塩摂取量で低脂肪,高カリウム(K)食をとると,さらに血圧低下が著しいという結果が示されました[Sacks FM, et al: N Engl J Med 344(1): 3-10, 2001]。
■食塩感受性高血圧は食塩非感受性高血圧に比べ,心血管系イベントの発症頻度が有意に高いという報告もあります[Morimoto A, et al: Lancet 350(9093): 1734-1737, 1997]。
■食塩感受性に関する遺伝子,たとえばアンジオテンシノーゲンM235Tアリル(多型)の保有頻度を検討した報告では,日本人は白人に比べ有意に高いことがわかりました[Katsuya T, et al: Hypertens Res 26(7): 521-525, 2003]。
■富山,栃木,大阪では食塩摂取量が3〜4g/日も違うのに血圧はほぼ同レベルでした。
つまり,誰もが食塩中毒患者と言えるような文明国だけでは正しい比例関係は認められません。
INTERSALT(INTERnational study on SALT and blood pressure)研究の結果をみると,ケニア,パプアニューギニア,シングー,ヤノマモの人々の食塩摂取量は3g/日以下であり,収縮期血圧(SBP)は110mmHg以下となっています(図1)。
食塩摂取量が極端に少ないヤノマモの人々のSBPは94mmHgであり,こうした地域のデータを加えて始めて「食塩と高血圧」の関係が明白になったわけです。


心-腎連関とARB:今なぜ心-腎連関なのか?
出典 Medical Tribune 2009.2.19
版権 メディカル・トリビューン社
■食塩感受性により食塩が循環器系に貯留し,その結果,食塩感受性に圧負荷が加わって食塩感受性高血圧が発症する。
これが刺激となり,組織の酸化ストレス上昇による一酸化窒素(NO;nitric oxide)と酸化ストレスのバランス異常,組織のレニン―アンジオテンシン―アルドステロン(RAA;renin-angiotensin-aldosterone)系の亢進,交感神経系の活性化,慢性炎症などが引き起こされ,最終的にCVD,腎不全,心不全に至る。
■non-dipper型の高血圧は,「Na排泄能低下により食塩感受性高血圧となってNaが貯留するため,夜中も血圧を高く保って圧利尿によりNaを排泄せざるを得ない病態と解釈される。
■一部の疾患を除き,non-dipper型の日内変動を呈する病態は,すべて食塩感受性高血圧(腎のNa排泄能低下)に由来すると考えられ,心-腎連関は食塩感受性とほぼ同一の病態と捉えることが出来る。

特別企画
第62回日本循環器学会総会・学術集会ランチョンセミナー
ストレスと高血圧
出典 Medical Tribune  1998.6.11
版権 メディカル・トリビューン社
■食塩感受性のある個体で食塩摂取後の腎臓からのNa排泄能が速やかでないのは,腎臓血管抵抗が下がらないからである。
正常であればNa負荷により腎血管が拡張(すなわち腎血管抵抗低下)することにより腎血流量が増加し,Na排泄は増える。ところが食塩感受性者では逆に腎血管抵抗が上がってしまい,腎血管が収縮し腎血流が増加しないためにNa排泄が悪くなる。
このような腎血管のパラドキシカルレスポンスは神経・内分泌因子によって起こると考えられている。
■Deterらの研究でも,食塩感受性者ではそもそもがストレスに敏感であり,食塩感受性は同時にストレス感受性ということでもある。
■交感神経活動をNE(ノルエピネフリン)のturnover rateで見ると,食塩負荷によりturnover rateは上昇する(つまり腎交感神経活動が亢進する)。
腎交感神経活動の亢進がNa排泄を低下させることは,食塩を負荷しても除神経により,Naは体内に貯留することなく,血圧も上昇しない。

 

 

第30回記念シンポジウム
過去30年間の高血圧研究―日本人研究者の貢献大きい
出典 Medical Tribune  2007.12.6
版権 メディカル・トリビューン社
■メタボリックシンドロームはインスリン抵抗性が交感神経系,RAS,アルドステロンなどを亢進させ,多因子的に腎におけるNa再吸収を亢進させることで,食塩感受性高血圧を発症させる。
■メタボリックシンドローム型の高血圧は食塩感受性であり,減塩による降圧効果が高い。
■アンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子多型と高血圧の関係については, AGT遺伝子TT型が高血圧家族歴(Ishikawaら)とnon-dipper型血圧変動(Katsuyaら)と関連することが報告されている。
また,日本人におけるAGT遺伝子などの食塩感受性高血圧のリスクアレル保有率は,白人と比べて有意に高いと報告された(Katsuya,Ogihara)。
■ミレニアム・ゲノム・プロジェクトでは,RGS2遺伝子を高血圧関連遺伝子の候補遺伝子として検討。
大迫研究(Katsuyaら)ではRGS2遺伝子AA型が有力な高血圧発症関連SNPであり,RGS2遺伝子多型によりCa拮抗薬とACE阻害薬に対する反応性が異なることが示された。

 

食塩と高血圧の関係はどこまで解明されたか
http://www.geocities.jp/t_hashimotoodawara/salt7/salt7-ferment-1.html
■食塩感受性の定義が確立されていないし,食塩感受性を簡単に調べる方法がない。
また,食塩感受性の再現性についても研究されていない。
■食塩感受性になりやすい人として,黒人,肥満者,老人があげられている。
中でもアメリカに住んでいるアフリカ系の黒人は奴隷売買時代に炎熱の過酷な状況下でアフリカからアメリカに連れてこられ,厳しい労働に耐えてこられたのは食塩を体内に蓄積させる能力がすぐれた者で,彼らの子孫が生き残ったという歴史を背負っていることから,遺伝的に食塩を蓄積しやすいため食塩感受性となり高血圧になりやすいと考えられている。
■食塩感受性は肥満とも関係があり,食塩感受性者の体重増加と高血圧発症の食塩閾値との間には相関があるという報告がある。

■食塩摂取量が少ないと食塩感受性は現われないで高血圧症もいないことから,高血圧者が現われ始める食塩摂取量の閾値があると考えられている。

■現在のところ食塩にして3~6 gの問に閾値があると考えられている。
このことから考えると,4~5 gぐらいまで食塩摂取量を下げた生活を生れたときから続けていると生涯高血圧にはならないと考えられるが,文明社会でこの程度まで食塩摂取量を下げることは,ほとんど食塩を使わない食生活をしなければならないことを意味し,到底,実行できるものではない。

 

 

 

 

 

東大保健管理センター 安東克之講師 論文 
出典 日医雑誌 第130巻・第6号 2003.9.15

 

 

<きょうの一曲>
Gary Burton & Makoto Ozone "Afro Blue"
http://www.youtube.com/watch?v=TKA7Jm8BB_w&feature=related

梅原龍三郎 カンヌ
http://www.oida-art.com/buy/detail/7907.html

 

 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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