戯れ言たれる侏儒
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Doctors Blog

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日々新型インフルエンザ患者さんを診察しその合間に季節型インフルエンザワクチンを接種しています。
いよいよ新型インフルエンザワクチン接種も始まります。
町医者は風邪医者なんだなとつくづく思い知らされます。

これからの季節、風邪の患者ばかりみる(口を含めた肉体ばかり使って頭を使わない)脊髄反射の診療が続きます。
そんな中、医学雑誌を読むことが逆に一服の清涼剤になるから不思議です。

医学生時代はもちろん普段勉強していなかった(出欠をとらない系統講義はほとんど出ていなかった)のですが、試験前だけは乾いた砂に水が吸収されるような妙な感覚を覚えたものでした。

さてMedical Tribuneに3回シリーズで統計学と臨床試験に関する記事が掲載されています。

国立病院機構東京医療センター
臨床研究センター臨床疫学室室長  尾藤 誠司

東京北社会保険病院
臨床研究センターセンター長    名郷 直樹

の両先生の対談です。

第1回の内容は

試験に出る統計用語
http://blog.m3.com/reed/20091006

で勉強しました。

今日はその2回目で勉強しました。

 

対談シリーズ(全3回)/臨床試験を正しく理解し,活用するために 第2回

臨床試験の結果は,論文や学会発表によって直接現場の医師に届けられるだけでなく,情報媒体や製薬企業が関係する情報提供などのフィルターを介して間接的にも発信される。
エビデンスに基づくガイドラインもその一形態だ。
多様な形で提供される情報を読み解く際に注意が必要なのは,臨床試験の実施者が必ずしも中立的な立場にあるとは限らないという点だ。
発信者の立場と意図を理解することが求められる。

 

ガイドラインを出す責任は重い
名郷 
■臨床試験の結果は,実地医家が診療の指標とするガイドラインにも反映されます。
先生は,ガイドラインを読む際にはまず何に注意されますか。

尾藤 
ガイドラインをつくる主体がだれか,リコメンデーションを出す主体が何者かという点ですね。

名郷 
■ガイドラインはその学会や団体の決意の表れですからね。
米国では,医療に対するステートメントは,その分野に精通したプロフェッショナル集団が信念を持って出すものだという理解がベースにあります。
1995年に米国の政府機関であるAHCPR※が腰痛治療ガイドラインを発表したとき,リコメンデーションが偏っているとして脊椎外科医の猛反発を受け,AHCPRは予算を削減されたうえ,ガイドライン作成からの撤退を余儀なくされました。
ガイドラインを出すということには,それほどの覚悟が必要です。

尾藤 
■特に,グレードAのリコメンデーション()を出すということは,「この疾患に対する治療のスタンダードはこれだ」と言い切るわけですから,その責任は重大です。

 


名郷 
■わが国のガイドライン作成に当たる方々にも,そういう強い覚悟で臨んでいただきたいですね。
※Agency for Healthcare Policy and Research;現在はAHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality)と改称

理想を掲げたガイドラインと現実にはギャップも
名郷 
■ただ,逆に「覚悟」が過剰というケースはありませんか。
例えば,緊急度が非常に高く危険が伴う治療,ごく限られた施設でしか行えない治療にグレードAのリコメンデーションが付けられ,「これがスタンダードだ」と言われても,大多数の医師は受け入れられないでしょう。

尾藤 
エビデンス・プラクティス・ギャップという事態ですね。
医師の知識不足や技術不足,地理的な事情,患者の拒否感など理由はさまざまですが,ギャップは確かに存在します。
おそらくその学会はそうした状況に忸怩たる思いを抱いており,なんとかしてギャップを埋めなければならないという強い意思から,グレードAのリコメンデーションを出すのだろうと思います。

名郷 
■その意思は立派ですが,専門医がそろった学会がイニシアチブを取ると,とにかくやるという方向でギャップを埋めようとしがちです。
それはある意味危険なことです。

尾藤 
専門家集団が考えた理想的な医療というのは,永田町で決められた法律みたいで現実を見ていないと感じる部分がある。
それよりも現実に沿ったガイドラインを考えるべきではないかということですね。

名郷 
■ええ。エビデンスは十分だけれども,いろいろな状況に照らし合わせて現実に難しいと思えば,あえてグレードBにするという選択もあるでしょう。
推奨度を控えめにすることは,理想論を叫ぶだけの専門家より,ある意味プロフェッショナリズムと言えるのではないかと思います。

第三者機関による評価やeffect sizeも参考に
尾藤 
■リコメンデーションのグレード付けについては,それぞれの立場からの意見があると思います。
しかし,理由はどうあれ団体によってグレードが違うということは,情報の受け手には迷惑なことです。
極端な話,その団体にガイドラインと心中するほどの強い覚悟があれば,たとえエビデンスレベルがIV(表)であっても,グレードAのリコメンデーションを付けるということもありうるわけです。
あまりにも乱暴な例ですが。

名郷 
■かといって,エビデンス一辺倒というのも危険です。客観的に妥当性を評価する仕組みが必要です。

尾藤 
■わが国には,第三者機関による医療機能評価と情報提供を目的とした日本医療機能評価機構という財団法人が提供するMindsという情報サービスがあります。
ここでは,エビデンスの数,レベル,検索方法,リコメンデーションのグレード付け,患者への配慮などの評価基準をクリアした質および信頼性の高いガイドラインだけが提供されています。

名郷 
■ただ,Mindsは試験デザインについては非常に厳しく評価していますが,effect sizeについては議論されていない点が気になります。

尾藤 
■それはMindsだけの問題ではなく,ガイドラインでは概してeffect sizeが軽視されています。ガイドラインの根本的な弱点ですね。

名郷 
一番腑に落ちないのは,effect sizeを考慮しない大規模臨床試験やそれを根拠とするガイドラインに踊らされ,医療費削減が叫ばれているこのご時世に,effect sizeが非常に小さい慢性疾患の一次予防に莫大な予算が割かれていることです。

尾藤 
■そうですね。
effect sizeを考慮し,出ていくコストと得られる利益を勘案して医療政策を決定するというやり方は,残念ながら今の日本ではなされていません。
意識の改革が必要ですね。

利益相反は「あってはならないもの」ではない
尾藤 
■次に,製薬企業の主導による大規模臨床試験の功罪について考えてみたいと思います。
ご存じのように,循環器領域における最近の大規模臨床試験と言えば,ほとんどがスタチンとアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)に関するもので占められています。
なぜそういうことになっているかというと,現在の医療界では
スタチンとARBが売れなければ商業ベースが成り立たないからです。

名郷 
■その点は理解できます。
しかし,製薬企業の関与が大きいと,利益相反という問題が必ず出てきます。
製薬企業から資金提供を受けた試験と資金提供を受けていない試験では,前者のほうにポジティブデータが多いという報告もあります。

尾藤 
■そういう傾向は必ずあると思います。
まあ,少しでも利益相反があってはならないというわけではないのでしょうけれど。
現実問題として,スポンサーなくしてあれだけの規模のデータを収集することは不可能です。
産官学連携でも必ず利益相反がありますが,連携は推進すべきものです。
ただ,そこには確かに利益相反というものが存在することを認識し,それが試験の結果にどの程度の影響を与えるのかということを考え,その影響を差し引いて結果を読むことが必要です。
某民放テレビの情報番組で「これはいいですよ」というのと同じで,スポンサー付きの番組で紹介される情報は,そのスポンサーの利益となる情報なのです。
それをどこまで批判的に見ることができるかということですね。

名郷 
■なるほど。製薬企業がかかわる以上,いいデータは出やすくなるし,悪いデータは出にくくなるという面は必ずある。
それを割り引くことを前提とした結果と考えなければならないわけですね。
製薬企業の医薬情報担当者(MR)が持ってくる情報はどうでしょう。
これも割り引く必要がありますか。

尾藤 
■もちろんMRからの情報にも利益相反はありますが,そこはなるべく妥当な情報を提供しようという流れに最近はなってきているように思います。
MR個々人や企業側はすごく努力されていると思います。
ただ,MRの立場としては,古い薬の情報を持ってくることはほとんどありません。
受け手の医師側が,新しい薬の情報とこれまで蓄積された古い薬の知識を総合し,患者さんのために最もふさわしい薬を選ぶということをしなければならないわけですが,そのプロセスが省かれることが多々あるように思います。
例えば,医師が十分に吟味した結果としてARBが売れているならいいのですが,
新しいもののほうがいいとの思い込みからARBを処方している医師が多いとすれば,利益相反より根深い問題だと思います。

名郷 
■実績のあるベテランよりぽっと出の新人のほうがいいというのは,考えてみれば不思議な話ですね。

出典 Medical Tribune 2009.10.8
版権 メディカル・トリビューン社

 

<コメント>

実績のあるベテランよりぽっと出の新人のほうがいいというのは,考えてみれば不思議な話・・・言いえて妙ですね。


<きょうの一曲>
Backstreet Boys - I Want It That Way
http://www.veoh.com/browse/videos/category/music/watch/v409076WTW2Pb3e

 

その他
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 「井蛙内科/開業医診療録(3)」
~2009.10.15

http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~

http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 

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