戯れ言たれる侏儒
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non HDL

戯れ言たれる侏儒 / 2009.10.31 00:29 / 推薦数 : 0
最近、「スタチンによる動脈硬化退縮」をテーマとした講演会を聴きにいきました。
スポンサーはアストラゼネカでここでいうスタチンとは当然クレストールです。

さて講演の中でLDL/HDL比すなわちL/H比がしきりに取り上げられ、regressionを目指すためにはその比を1.5以下にする必要があることがしきりに強調されました。
non HDL/HDLで計算される動脈硬化指数(A.I.)がいつの間にやらL/H比に置き換わってしまったことについては以前にもこのブログで触れました。
会場でその点について演者に質問しようとしたのですが、タイムアウトでもやもや感だけが残りました。
要するにnon HDL/HDLよりL/H比が動脈硬化のマーカーとしてすぐれているというエビデンスがあるのかということを知りたかったのです。

もしご存知の先生がありましたら不学な私に教えていただけますでしょうか。
ある脂質の権威の教授は指標としてのnon HDLの重要性を訴えられておられ総コレステロールが特定健診の検査項目から省略(割愛?)されたことを嘆いておられます。
昨日、リバロを扱っているメーカーのMRさんがLIVES STUDY EXTENSIONの調査用紙を回収に来ました。
彼との雑談の中で、彼が日本ではL/H比が主流で世界的にはnon HDLが主に用いられているという話が出ました。
何だか頭の中が混乱して来ました。

「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」をパラパラと見てみましたが、L/H比はおろか随分以前から提唱されている動脈硬化指数(A.I.)についても触れられていません。
一体どうなっているんでしょうか。

その彼がカバンから徐に取り出した文献がJACCに載ったJAPAN-ACSの翻訳冊子でした。

July21,2009,Volume54,No.4 293-302
このスタディーではL/H比が用いられていますがnon HDLも取り入れられています。
少し驚いたのはその検査内容の充実ぶりです。

HDL亜分画
PLP-C
Small dense LDL
アポ蛋白
MDA-LDL
リン脂質
Lp(a)
hs-CRP
PTX3
など。

PTX3については昨日とりあげました。
これらのマーカーの多くはスタチン使用により有意に改善されておりストロングスタチンのすごさを再認識しました。



冒頭の講演会で配布されたパンフです。

IVUSによりプラーク退縮効果を検討したREVERSAL,CAMEROT,ACTIVATE,ASTEROID))の4試験を対象としたメタ解析の結果です。
L/H比1.5以下で動脈硬化退縮が期待できることが示唆されるという結果です。
海外データということで外国でもこのパラメーターが使われていることがわかります。
Nicholls SJ,et al.:JAMA 2007;297(5):499-508

図中右の「治療戦略」の元文献は
倉橋正彦:Pharma Medica 2007;25(10):77-80
です。


相変わらずのセンスのいい広告です。
COSMOS がど真ん中に鎮座していますが、そんなにいい結果だったのでしょうか。

<参考>
COSMOS試験
http://blog.m3.com/reed/20090410/COSMOS_


<コメント>
訴求力がある図ですがnの数だけ変化率順に並べただけで検定はされていないようです。
元文献
von Birgelen C.et al.:Circulation 2004;110:1579-1585


<コメント>
L/H比1.5は5mgでは達成されないことを言いたいのかも知れません。
しかし症例数は2.5mは2714例、5mは30例と圧倒的に国内では2.5mgが使用されていることが露呈しました。
元文献
吉田茂:ProgMed 2007;27(5):1159-1189
いずれも資料請求先 アストラゼネカ社  2009.8作成

<関連サイト>
LDL-C/HDL-C比がプラーク形成の指標
http://blog.m3.com/reed/20080221/LDL-C_HDL-C_
動脈硬化退縮の時代へ 1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080119/1
LDL-C低下療法では「HDL-C同時上昇」を目指す
http://blog.m3.com/reed/20081207/LDL-C_HDL-C_
冠動脈プラークの退縮と薬物療法
http://blog.m3.com/reed/20080316/1
動脈硬化とHDL
http://blog.m3.com/reed/20090129/_HDL
高脂血治療とエビデンス
http://blog.m3.com/reed/20080124/1
プラークと薬剤介入
http://blog.m3.com/reed/20080129/1
LDL-C・血圧の厳格管理と冠動脈硬化症
http://blog.m3.com/reed/20090415/LDL-C_
どうするLDL-C測定?
http://blog.m3.com/reed/20090829/_LDL-C__
 
<番外編>

講演会で配布されたCOSMOSの文です。
Editorial p????・・・イミフです。
 

 
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JAPAN-ACSでは,血管炎症マーカーとして高感度CRP(hs-CRP)のみならずペントラキシン3(PTX3)が検証されました。

JAPAN-ACS
http://blog.m3.com/reed/20080330

きょうはこのペントラキシン3(PTX3)について勉強しました。

ペントラキシン3(Pentraxin 3, PTX3)
PTX3は、体内の炎症により現れる炎症性タンパク質です。
動脈硬化/血管中のプラーク形成/進行/破綻の過程には、損傷された組織、および炎症部位に浸潤した白血球や肥満細胞、マクロファージなどから放出される多くの炎症メディエーターの関与が知られていますが、PTX3もその一つです。
よく知られている炎症性タンパク質としてC反応性タンパク質(CRP)がありますが、PTX3もCRPと同じペントラキシンファミリーに分類されます。CRPが肝臓で産生されるのに対し、 PTX3は、動脈硬化と密接な関係を持つ血管内皮細胞、血管平滑筋、マクロファージ、好中球から、短時間に、直接産生されるという特徴をもっています。
また、PTX3は、心疾患リスクファクター(コレステロール、喫煙、ヘモグロビンA1c等)に影響を受けない有用なマーカーである可能性が、最近の研究で示唆されています。
さらに、こうした研究に加え、ヒト内皮細胞にスタチンを作用させることで、最も発現抑制される遺伝子がPTX3であること、また、心筋梗塞のみならず、心筋壊死が既に起こっている不安定狭心症で、PTX3値が上昇することなども報告されています。
出典
PTX3 ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院との共同研究の開始
http://www.ppmx.com/corporate/news/20070918_PR.html
#〜バイオマーカー 〜 急性炎症性のPTX3,PDMP
非侵襲的で治療評価指標としても利用できる予知マーカーと言えば末梢血のバイオマーカーだ。費用効果的にも優れ,ACS予知のスクリーニング法としておおいに期待される。
 
佐賀大学循環器・腎臓内科の野出孝一教授は,動脈硬化病変の成立や進展においては,慢性炎症反応として単球やリンパ球が関与するのに対して,ACSでは急性炎症反応として好中球,血小板などの関与が強いと推測。ACS予知に当たっては,好中球や血小板に関連したバイオマーカーが有用との見方を示した。
その1つは,好中球などから直接産生され,C反応性蛋白と異なり血管特異性の高い炎症性蛋白のPentraxin 3(PTX3)。
一方の血小板マーカーは血小板由来マイクロパーティクル(PDMP)だ。前者はプラークの不安定化または破綻,後者は破綻後のマーカーとして有用性が高いとした。
現在,両マーカーの値とACS発症の関連についてコホート試験を進めている。
出典 Medical Tribune 2008.5.8
版権 メディカル・トリビューン社

#新規血管炎症性マーカーPentraxin3 (PTX3)は不安定狭心症の診断に有効である
http://www.lsbm.org/news/2006/1117.html
■急性心筋梗塞の前段階である不安定狭心症は心電図変化も少なく、また有効な血液マーカーが少なく、その診断には循環器専門医による詳細な問診によることが多い。  
LSBMの当時大学院生だった森川滋博士は血管内皮細胞においてピタバスタチンによって最も抑制される遺伝子としてcDNAマイクロアレイによる解析からPentraxin 3 (PTX3)は同定されてきた。  PTX3はC反応性蛋白(CRP)とファミリーを形成している。
肝臓で発現しているCRPと異なり血管内皮細胞や平滑筋細胞、白血球に特異的に発現している。いわばPTX3は血管CRPといえる。

■PTX3は動脈硬化の中でも症状の安定した'慢性'動脈硬化症では特に増加しないが、状態が不安定である'急性'動脈硬化症で増加する新たな血管炎症性マーカーである。


新しいメディエーター,Pentraxin 3の炎症反応における役割
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/29/3/29_107/_article/-char/ja
■1994年,Long Pentraxinとして最初に発見されたPentraxin 3 (PTX3)は免疫や炎症において重要な役割を担っている。
■Pentraxin類はLong PentraxinとShort Pentraxin (CRP : C反応性蛋白,SAP:血清アミロイドP)に分類されるが,その共通点はC-端末Pentraxinドメインを有することであり,その違いはLong Pentraxinにunrelated long N-端末ドメインが存在することである。
■PTX3は炎症に反応して,血管内皮細胞やマクロファージなどの全身の細胞より産生される為,肝臓のみにより産生されるShort Pentraxinと異なり,局所的な感染や炎症に敏感に反応する指標として役立つと考えられる。
■また正常な状態では,血液中のPTX3レベルは極めて低いが,一旦激しい炎症が起こるとそのレベルは急激に上昇する。
■臨床において,PTX3の血清レベルが特定の炎症性疾患の重症度,治療や予後などと相関するとの報告がされている。

#Establishment of Pentraxin 3 (PTX3) ELISA System for the evaluation of Acute Coronary Syndrome
Kenji Inoue
Department of Cardiology, Juntendo Nerima Hospital, Tokyo, Japan
http://www.j-circ.or.jp/english/sessions/reports/71st/sym01.htm#subhead1
■Pentraxin 3 (PTX3) is a potential biomarker for identifying patients with acute coronary syndrome (ACS). PTX3 belongs to the same family as C-reactive protein (CRP) and is primarily expressed in endothelial cells, macrophages, and dendritic cells. Dr. Kenji Inoue, Juntendo Nerima Hospital, Tokyo, found that PTX3 is suppressed by pitavastatin in endothelial cells. He subsequently investigated PTX3 as a marker for cardiovascular disease (CVD) using a highly sensitive ELISA system developed in his laboratory.

中略

■According to Dr. Inoue, PTX3 meets the criteria for a CVD risk predictor established by the 2002 CDC/AHA Workshop in Inflammatory Markers and CVD. These studies show that PTX3 is an ideal marker for unstable angina. The standardized ELISA system allows controlled measurement and the established normal values guide interpretation of results. PTX3 is an independent predictor associated with CVD clinical endpoints in observational and clinical studies.


Figure 1. PTX3 levels were significantly higher in patients who had interventions.

■The prognostic value of PTX3 is being assessed in patients admitted to the emergency department for chest pain. So far, 67 patients have been evaluated. Of these, the four patients with the highest PTX3 values (19.43–55.46 ng/mL) have had very poor clinical outcomes (Figure 3). Because of the small number of patients, it is difficult to draw conclusions from these preliminary data.

Figure 3. Very poor clinical outcomes were found in the four patients with the highest PTX3 values.

■Dr. Inoue concluded that the PTX3 assay system developed at his hospital is highly specific. The plasma PTX3 level is increased in patients with acute atherosclerosis but not in those with chronic, or stable, atherosclerosis. Thus, the PTX3 level may reflect the degree of stability of a patient’s atherosclerotic plaque.

Figure 2. PTX3 was higher in patients with effort angina pectoris (EAP) and significantly higher in patients with unstable angina pectoris (UAP) than in subjects without angina.

#Pentraxin 3 as a Novel Marker or Stent-Induced Inflammation and Coronary Restenosis.
Norihiko Kotooka
Department of Cardiovascular and Renal Medicine, Saga University Faculty of Medicine, Saga, Japan
http://www.j-circ.or.jp/english/sessions/reports/71st/sym01.htm#subhead2
■Pentraxin 3 (PTX3) is present in advanced atherosclerotic lesions and plasma levels are increased in acute myocardial infarction (AMI) and vasculitis. Coronary stenting produces a significant inflammatory reaction, resulting in the immediate release of leukocyte integrin (Mac-1) and C-reactive protein (CRP) with subsequent neointimal thickening and restenosis. The aim of this study, presented by Dr. Norihiko Kotooka, Saga University Faculty of Medicine, was to establish the clinical significance of plasma PTX3 levels in the pathophysiology of the inflammatory process following coronary stenting.

中略

■Dr. Kotooka concluded that coronary stenting resulted in increased plasma PTX3 levels in association with an inflammatory response. PTX3 may be a useful marker for evaluation of stent-induced Mac-1 mediated inflammatory reactions and restenosis.


血管炎症マーカー Pentraxin3 ( PTX3 / TSG-14 )
http://www.ppmx.com/rd/Diagnostic-Agents_J/PTX3.html
■動脈硬化、プラーク形成・進行と破綻の過程に、多くの炎症メディエーターが関与しています。
その中でもよく研究されている炎症タンパク質がC-reactive protein (CRP)で、炎症マーカーとして広く利用されています。

■このCRPやSAP(Serum amyloid P component)は、Pentraxin FamilyのShort Pentraxinに分類され、肝臓で合成されることがわかっています 。

■Pentraxin3(PTX3)は、Pentraxin familyのLong Pentraxinに分類され、IL-1やTNFの刺激で、動脈硬化と密接な関連をもつ血管内皮細胞や血管平滑筋マクロファージや、白血球などから直接産生されます。

■ヒト臍帯内皮細胞にスタチンを作用させることで、最も発現抑制される遺伝子がPTX3であること、そして、心筋梗塞患者では早期にPTX3値が上昇することなども報告されています。


 

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METEOR試験

戯れ言たれる侏儒 / 2009.10.29 00:17 / 推薦数 : 0

2年前のちょっと旧聞に属する大規模臨床試験で恐縮ですが、たまたまスタチンの動脈硬化退縮効果を調べていて見つけたMETEOR試験で勉強しました。

Crouse JR 3rd et al for the METEOR study group: Effect of rosuvastatin on progression of carotid intima-media thickness in low-risk individuals with subclinical atherosclerosis: the METEOR trial. JAMA. 2007; 297: 1344-53.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17384434?dopt=Abstract

METEOR は、頸動脈疾患の早期徴候である頸動脈肥厚があり、冠動脈疾患(CHD)発症リスクが低い人においてアテローム性動脈硬化に対する効果を示した最初の試験です。
METEOR 試験では、クレストールⓇ(一般名:ロスバスタチン)40 mg が2 年間投与された群は、プラセボ投与群と比較してアテローム性動脈硬化の進展が有意に抑制されました。
また、投与前値との比較では、プラセボ投与群ではアテローム性動脈硬化の有意な進展が認められましたが、クレストールⓇ投与群では有意な進展は認められませんでした。

第56 回米国心臓病学会(ACC)年次学術集会で発表されたデータによると、LDL コレステロール(LDLC)という悪玉コレステロールの値が中等度に高く(平均154 mg/dL)、アテローム性動脈硬化性疾患の発症は確認されていない患者にクレストールⓇ40 mg を投与したところ、アテローム性動脈硬化のマーカー1である頸動脈内膜中膜肥厚の最大値平均が0.0014mm/年減少し、それに対してプラセボ投与群では0.0131mm/年の進展が認められました(p<0.0001)。
クレストールⓇ40mg の忍容性は良好でした。

今回、動脈硬化の初期で、CHD 発症リスクが低い患者を対象としたMETEOR 試験が終了したことにより、冠動脈疾患を有しCHD 発症リスクが高い患者を対象としたASTEROID 試験と合わせて、アテローム性動脈硬化の初期病変から高度病変までクレストールⓇの効果が認められたことになります。

主任試験責任医師であり、Medicine and Public Health Sciences(医学及び公衆保健科学)教授ならびに
Wake Forest University School of Medicine General Clinical Research Centre(ウェイク・フォレスト大学医学部一般臨床研究センター)副所長であるJohn R. Crouse, III(ジョン R. クロース3 世)医学博士は次のように述べています。
「アテローム性動脈硬化が比較的軽度な患者において、ロスバスタチンを投与することによって疾患の進展を遅延させるあるいは抑制する可能性が示されました。METEOR 試験により、脂質異常症に対するロスバスタチンの効果がアテローム性動脈硬化に対して有益な効果をもたらすことが確認されました。」
出典
[PDF] 「初期の動脈硬化に対して効果を認めた最初の試験」
http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/070327.pdf
<コメント>
最大CIMT(頸動脈内膜-中膜肥厚)の年間変化率が一次エンドポイントです。


METEOR
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2002559.html
■GALAXYは「動脈硬化の発症に関与する脂質および炎症マーカーに対する効果」,「動脈硬化の進展抑制に対する効果」,「心血管疾患の発症率や死亡率の低下に対する効果」を評価する試験の三段階に分かれているが,METEORはこの2番目に位置づけられる。
■強力なLDL-C低下で頸動脈病変の改善効果を証明しているが,本試験の特徴は,低リスク患者を対象にしている点である。
無症候性の頸動脈硬化をどのように評価するかという点と,このような低リスクの患者のLDL-Cを78mg/dLにすることに意味があるのかという点については今後の大きな議論を呼ぶものと思われる。
ここには,医療経済の問題も含まれており,慎重な議論が必要であると思われる。

<関連サイト>
日本人の安定期冠動脈疾患患者において初めて動脈硬化退縮を実現―クレストールCOSMOS試験―
http://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/2009/09_03_22.html
http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/090322.pdf
■第73回日本循環器学会総会・学術集会(大阪)で、日本人の安定期の冠動脈疾患を有する高コレステロール血症患者を対象に、クレストール(ロスバスタチン)による動脈硬化退縮効果を検討したCOSMOS(コスモス)試験が発表されました。
COSMOS試験の結果、一次エンドポイントである冠動脈プラーク体積は5.07%の減少が確認されました(p<0.0001 vs 投与前)。
これにより、クレストールは日本人の安定期冠動脈疾患患者において、初の動脈硬化退縮を実現させたことになります。
■COSMOS試験はクレストールを2.5mg/日から投与を開始し、LDL-Cを80mg/dL未満に低下するまで漸次増量させて(最大20mg/日)、76週間投与後の冠動脈プラーク体積の変化をIVUS(血管内超音波法)を用いて検討した試験です。
投与後のLDL-Cは82.9mg/dLまで低下、HDL-Cは55.2mg/dLまで上昇、LDL-C/HDL-C比は1.56まで低下しました。
■試験を発表した順天堂大学医学部循環器内科学の代田浩之教授は「これまで、日本人の急性期冠動脈疾患患者を対象にスタチンによる冠動脈プラークの体積変化が検討された報告はありましたが、COSMOS試験は、安定期冠動脈疾患患者を対象とした初めての試験です。この結果を受け、これからの脂質異常症治療には、日本人においても動脈硬化の退縮を目指した治療が重要であると考えます。また退縮を実現するためには積極的なLDL-CとHDL-Cの管理を進めていくこと、つまりLDL-C/HDL-C比1.5を目指した治療が重要であると考えます」と語っています。
■COSMOS (COronary atherosclerosis Study Measuring effects Of Rosuvastatin using intravascular ultrasound in Japanese Subjects) 試験

動脈硬化退縮の時代へ 1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080119/1

動脈硬化退縮の時代へ 2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080120/1

COSMOS試験
http://blog.m3.com/reed/20090410/COSMOS_

Effect of Rosuvastatin Therapy on Coronary Artery Stenoses Assessed by Quantitative Coronary Angiography. A Study to Evaluate the Effect of Rosuvastatin on Intravascular Ultrasound-Derived Coronary Atheroma Burden
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/CIRCULATIONAHA.108.773747v1

-クレストール®のアテローム性動脈硬化の積極的治療
を検討したASTEROID試験-
http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/080401.pdf

高脂血症・動脈硬化臨床研究の動向1/6
http://www.lifescience.jp/ebm/doukou/doukou_0101/1.html
■PLAC-IやMAASをはじめとするコレステロール低下療法による冠動脈造影試験が盛んに行われている。
その結果,治療により冠動脈の狭窄化が有意に抑制されていることが判明した。

治療効果は有意であり,LDL-Cを25%以上低下させることにより,狭窄度の進展抑制効果があることが示された。
しかし,抑制の程度は極めて僅少であった。
それにもかかわらず心血管イベントの発症率は有意に減少していることは他の試験からも明らかである。
Fusterらは心筋梗塞や不安定狭心症などのAcute coronary syndrome(ACS)で死亡した症例の責任病変を検討したところ,その約75%はプラークの破綻に伴う血栓形成によるものであったとしている 。
さらにプラークの程度も軽症のものが多く,狭窄率が50%以下のものが多いことを報告している。
この事実を踏まえて,ACSの抑制はプラークの退縮効果というよりプラークの安定化によるのではないかと考えられている。

http://www.tokai-cvf.or.jp/p/p_statistics5.html

http://med.astrazeneca.co.jp/disease/bbweb/bbweb10.html


出典 Nikkei Medical 2008.1
版権 日経BP社
<きょうの一曲>
chega de saudade - Gal Costa
http://www.youtube.com/watch?v=3or_wthpOkE&feature=related

 

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食塩感受性と臓器障害

戯れ言たれる侏儒 / 2009.10.28 00:46 / 推薦数 : 0

ARBと利尿剤の合剤が相次いで登場する昨今、ARB単独投与にして予期せぬ、すなわち期待以上の降圧を来す症例に遭遇するようになって来ました。
エプレレノンも治療抵抗性高血圧に3〜4剤目の薬剤として追加して思わぬ降圧を得られることもあります。
日本人に食塩感受性が高い症例が多いことは以前から知られていましたが、今後はそういった意識を持った降圧療法が重要になってきそうです。
きょうはそのあたりの勉強をしました。
メタボリックシンドローム患者
血圧管理には食塩制限が特に重要
テュレーン大学(米ルイジアナ州ニューオーリンズ)内科のJing Chen博士らは,中国人を対象にした研究から,メタボリックシンドローム患者の血圧は食塩摂取に感受性が高いことを明らかにし,同シンドロームの危険因子を複数有する患者では食塩摂取量の制限が特に重要であるとする研究結果をLancet(2009; 373: 829-835)に発表した。

食塩への感受性が高い
メタボリックシンドロームは,心血管疾患や糖尿病の発症リスクを増加させる複数の医学的異常が存在する病態である。
成人の5人に1人が発症し,有病率は加齢とともに増加する。
食事中の食塩に対する感受性が高い人,あるいはサブグループの同定は臨床的にも公衆衛生上も重要な意義があり,食塩制限介入の効果が最も出やすいと見られる患者に的を絞ることができる。
 
小規模臨床試験では,インスリン抵抗性がナトリウム(Na)貯留と細胞外液の体積増加をもたらすことから,Na摂取量に応じて血圧が上昇することが示唆されている。
インスリン抵抗性は,メタボリックシンドロームの原因機序になると考えられているため,同シンドローム患者は食事中の食塩への感受性が高い。
Chen博士らは今回,メタボリックシンドロームと,食塩に対する血圧の感受性との関連性を調べた。
 
非糖尿病の中国人1,906例(年齢16歳以上)を対象に低Na食を7日間,続けて高Na食(低Na食の6倍)を7日間摂取させた。
代謝系の危険因子に関する情報がない者や,食事介入を完遂できなかった者は研究から除外した。血圧はそれぞれの介入のベースライン時,2,5,6,7日目に測定した。
メタボリックシンドロームは,(1)腹部肥満(2)血圧上昇(3)高トリグリセライド値(4)HDLコレステロール低値(5)高血糖―のうち3つ以上に該当する場合と定義した。
平均動脈圧が低Na食摂取期間中に5mmHg超低下するか,高Na食摂取期間中に5mmHg超増加したものを高食塩感受性とみなした。

国レベルの対策を
Chen博士らは,完全なデータが得られた1,881例中283例(15%)がメタボリックシンドロームであることを見出した。
これらの患者の血圧値は,高Na食と低Na食の両期間で食塩摂取量の変化に対し高い感受性を示した。
メタボリックシンドロームに関する危険因子のない者と比べた場合,4〜5個の危険因子のある者では,高Na食摂取中に高い食塩感受性を示すリスクが3.5倍高かった。
 
同博士らは「今回の結果により,メタボリックシンドロームでは食塩に対する血圧の反応が強まることが示唆された。
同シンドロームの危険因子を複数有する患者では特に,食塩摂取量の制限が重要となるだろう」と結論している。
 
中国疾患管理予防センター(北京)のGonghuan Yang氏は,同誌の付随論評(2009; 373: 792-794)で「もし,中国の国民で食塩感受性の高血圧が他の国よりも多いのであれば,食塩摂取量の制限を国家的取り組みとすべきだ。対策としては,食塩摂取と高血圧の関連に関する情報提供,食品表示,新たな低塩中華料理の創作,小児に低Na食の食習慣を勧めていくことなどが考えられる」と述べている。
出典 Medical Tribune 2009.6.25
版権 メディカル・トリビューン社

 

食塩感受性が死亡リスクを高める
正常血圧者における研究が示す
インディアナ大学(インディアナ州インディアナポリス)高血圧研究センターのMyron Weinberger所長らは,米国立心肺血液研究所(NHLBI)の助成による“正常血圧者と高血圧者における食塩感受性,脈圧,死亡”試験の結果をHypertension(37supp:429)に発表。
食塩感受性が高血圧と同程度に死亡リスクも高めると報告した。

独立した死亡リスク
これまでの研究で,食塩感受性が高血圧症者の死亡リスク,さらに心臓発作リスクや心血管リスクを高めることがわかっている。正常血圧者においても,食塩感受性は死亡リスクを高めることを示した研究は今回が初めて。
アフリカ系米国人や白人,男性,女性でも同じ結果であった。
 
NHLBIのClaude Lenfant長官は,「今回の試験結果は,毎日の食塩摂取量に米国人がもっと気を付けるべきであるとする新たな根拠である」と述べ,食塩感受性者は正常血圧であっても健康を守るため減塩するように勧めている。
残念ながら,食塩感受性の簡単な検査方法はないため,正常血圧の米国人すべてが,国の勧告するNa 2.4g/日以下に従ったほうがよいという。
 
筆頭研究者のWeinberger所長は「食塩感受性が高血圧の有無に関係なく,死亡リスクを高める」とし,「これまでの研究で,食塩感受性者では加齢に伴い,高血圧発症リスクが高くなることがわかっている。米国は食塩にあふれた環境にあり,この問題に拍車をかけている。食塩感受性者は減塩して,死亡リスクや心血管疾患リスクを低下させる必要がある」と述べた。

正常血圧者の26%に感受性
Weinberger所長は,一部の米国人で食塩感受性リスクが高いことを指摘。食塩感受性高リスク群は,高齢者,アフリカ系米国人,食塩感受性または高血圧の家族歴などである。
同所長はこれまでの研究に基づき,米国人正常血圧者の約26%,高血圧者の約58%が食塩感受性者であると推定している。
食塩感受性は高血圧のほかに,左室肥大や腎障害の発症リスクを高める。
 
今回の研究で,同所長らは25年前に実施された初回の高血圧研究の参加者(当時18〜80歳)708例をフォローアップ。
596例を探し当て,生存者を再調査し,死亡者については死因を確認した。食塩感受性を判定するため,食塩水を飲ませた後,利尿薬を投与。
その後,体内の塩分量が増減する 2 日間にわたって血圧と尿量を測定した。

#Na摂取量を1日2.4g以下に
研究対象者(596例)のうち123例(約21%)が25年後,心血管疾患その他の原因で死亡していた。
食塩感受性正常血圧群の死亡率は高血圧群と同等で,食塩非感受性正常血圧群のみが有意に高い生存率を示した。
 
収縮期血圧,拡張期血圧,脈圧のいずれの値でも同様の結果であった。さらに,body mass index(BM I),収縮期・拡張期血圧,脈圧など長年リスクファクターとされてきた要因も死亡リスクを高めていた。
 
Weinberger所長は「25年以上前に研究を始めたとき,われわれは体が血圧をコントロールするメカニズムの詳細を知ろうとした。いまや,これらのメカニズムの一部が死亡リスクになることがわかった」としている。
 
今回の知見から,加齢に伴う死亡リスクや高血圧症発症リスクを抑制するために,厳しい減塩をする必要はないと考えられる。Na摂取量を2.4g/日まで減らせば大きな恩恵が得られるだろう。DASH試験で示されたように,Na摂取量を1.5g/日まで減らせば恩恵はさらに大きくなるだろう。同試験では,Na摂取量が少ないほど血圧値が低かった。
 
同所長は「食卓で料理にかける塩は食事から摂取するNa量の10%にすぎない。食塩摂取量を減らすには,調理済み食品,保存食品,加工食品に含まれるNaに注意する必要がある。食品表示をチェックし,チーズ,缶詰野菜などNa含有量の高い加工食品に用心すべきだ」と呼びかけている。
出典 Medical Tribune 2001.4.26
版権 メディカル・トリビューン社

 

座談会 食塩過剰摂取と高血圧の問題にどう対処するか
出典 Medical Tribune  2006.9.28
版権 メディカル・トリビューン社
■日本人の食塩摂取量は,1987年くらいまでは年々減少し,1日11.7gになっていました。
ところが,バブル景気とともに増加し,1995年には13g台に達しました。
その背景には,食生活の変化,特にコンビニエンスストアやファーストフード店など外食産業の発達と利用機会の増加があったと思われます。
しかし1996年に減塩キャンペーンが実施されて,2004年には再び10.7gまで低下してきています(図1)。

それでも,世界的にみると,日本人が食塩を最も多く摂っている民族の一つであることに変わりはありません。
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)では,高血圧や高血圧に基づく心血管病を予防するために,食塩制限の必要性がこれまで以上に強調され,目標値もJSH2000の7g/日以下より低い6g/日未満に設定されました。
しかし我が国の食塩摂取量は,残念ながら,そのレベルに遠く及ばないのが現状です。
■1988年にINTERSALTという大規模疫学調査が実施され,食塩摂取量が多いほど高血圧の頻度が高まることが確認されています(図2)。

■食塩摂取が循環血液量を増加させ,血圧を上昇させることはよく知られています。
また,Naイオンの増加によって血管抵抗が増し,血圧を上昇させる機序も想定されています。
ただし,摂取した食塩を排泄しきれず,食塩依存性の血圧上昇度が大きい方,すなわち食塩感受性の方もおり,食塩が血圧上昇に及ぼす影響は一律ではありません。
食塩感受性の方は特に食塩摂取に注意する必要があります。
■食塩を排泄しきれない理由は,糸球体におけるNa濾過能の低下,あるいは尿細管におけるNa再吸収能の亢進です。
糸球体のNa濾過能は糸球体数と糸球体個々の濾過面積,濾過膜層の水透過性の3つの積からなり,この値が小さいほど食塩感受性が亢進します。
糸球体数は20歳を過ぎる頃から減り始めるため,食塩感受性は若年者では低く,加齢に伴って高まります。
高齢以外の食塩感受性亢進因子としては,腎障害,女性,糖尿病,肥満などが挙げられます。
■日本人は,食塩感受性の割合が欧米白人に比べて高く,本態性高血圧症患者の約40%を占めると考えられます。
食塩感受性高血圧は心血管事故の独立した危険因子であり,その点からも,減塩は積極的に推進すべきであると考えます。
■JSH2004では,減塩によって得られる降圧の目安を,食塩摂取量6g/日の達成で収縮期血圧約5mmHgの低下としています。
■食塩摂取量が増えると心肥大が増悪し,減塩によってそれが退縮することが臨床的にも知られています。
食塩非感受性のモデルである高血圧自然発症ラットを使った実験でも,食塩制限によって,血圧の低下は認めないものの心肥大が退縮したというデータがあります。
■腎障害が進行した患者では,食塩摂取量が多いと糸球体高血圧が促進され,腎機能の低下がさらに進行すると考えられます。
■減塩は夜間血圧にも影響を及ぼします。
一般的に,食塩感受性高血圧患者は夜間の降圧を認めないnon-dipper型を呈します。
食塩感受性高血圧では,腎のNa処理能が低下しているために昼間だけではNaの排泄が不十分で,そのため夜間の血圧を上昇させ,圧-利尿によってNaを排泄する必要がある訳です。
夜間も高い血圧が持続するのはそのための代償機転と考えられます。
しかし,減塩によって夜間血圧は低下し,dipper型へシフトさせます。
■利尿薬は食塩感受性を改善しますので,結果的に減塩と同様の効果が期待できると思います(図3)。

利尿薬は,血圧の食塩感受性を非感受性にすることによって血圧を低下させると考えられます。
つまり,食塩摂取量が多い状況で大きな降圧効果を発揮するのです。

■RA系抑制薬は,血圧を食塩感受性にシフトさせる点から,利尿薬との併用が有効と考えられます。

■圧-利尿曲線の観点から,降圧効果が相乗的に増強される組み合わせとしてはRA系抑制薬と利尿薬がベストではないでしょうか。実際,RA系抑制薬だけでは降圧効果が十分でなかった患者にサイアザイド系利尿薬を少量追加しただけで,著明な降圧の増強作用を得た経験が少なからずあります。
RA系抑制薬と利尿薬は,前者による食塩に依存した体液貯留,後者によるRA系の亢進を互いに抑制し合う点でも,相乗的に降圧効果が増強されると考えられます。
副作用の軽減という観点からも,少量の利尿薬であれば,カリウム低下やインスリン感受性の低下をARBが相殺してくれるという利点があります(表1)。

■最近,減塩にも利尿薬にも,分子レベルでAT1受容体の数をダウンレギュレートする作用のあることが注目されています。
これは,減塩下あるいは利尿薬投与下では,ARBを投与すると,血圧が相乗的に低下するのみならず,アンジオテンシン II の臓器障害作用も強力に抑制されることを意味します。
したがって,RA系抑制薬が本来有する優れた臓器保護作用が,利尿薬の併用によってさらに効果的に発揮されている可能性も強いと思います。

参考  木村モデル

 

 

第25回日本高血圧学会特集 会長講演(東大・藤田敏郎教授)
生命科学研究基盤に テーラーメード医療実践へ
出典 Medical Tribune  2002.11.7
版権 メディカル・トリビューン社
■食塩感受性高血圧患者では食塩負荷により腎血管抵抗が上昇する。
■食塩感受性高血圧の臨床的特徴とは,高頻度の臓器障害,特に腎障害が見られ,インスリン抵抗性が亢進していることである。
■腎におけるLOX-1(血管内皮細胞における主要な酸化LDL受容体)の遺伝子発現は食塩感受性ラットにおいてのみ認められる。
■AIIを注入して作成した高血圧ラットではLOX-1発現が亢進するが,同時に抗酸化物質を投与すると,LOX-1発現が抑制されることもわかり,A IIによる動脈硬化進展過程にLOX-1が仲介していることが証明された。
■AIIに拮抗し血管保護作用を有するとされるアドレノメデュリン(AM)については,AM欠損マウスでは酸化ストレスが著しく亢進しており,同マウスの大動脈をカフで被包すると新生内膜増生が起こるが,AM遺伝子導入によりそれは抑制された。
■AIIに拮抗し血管保護作用を有するとされるアドレノメデュリン(AM)については,AM欠損マウスでは酸化ストレスが著しく亢進しており,同マウスの大動脈をカフで被包すると新生内膜増生が起こるが,AM遺伝子導入によりそれは抑制された。
■食塩感受性ラットでは食塩負荷によりインスリン感受性が低下するが,カリウムの投与により,インスリン感受性は回復する。
■食塩負荷により亢進する腎LOX-1発現や増加する尿蛋白も,カリウム投与で抑制された。
■利尿薬の脳卒中予防効果を示したSHEP研究では,降圧度は正常カリウム血症群と同等であったにもかかわらず,低カリウム血症群では脳卒中予防効果が全く認められなかったことから,カリウムには降圧を超えた効果がある可能性も示唆される。
■食塩感受性高血圧の代謝病態としては,食塩感受性,インスリン抵抗性,酸化ストレスの 3 者が相互に関与しており,それらに各種環境因子が影響して,心血管疾患発症へとつながっていく。■食塩感受性高血圧と関連する遺伝子多型としては,これまでに 4 つの候補遺伝子(アンジオテンシノーゲン,ACE,α-アデュシン,G蛋白β3サブユニット)が報告されているが,関連性について肯定,否定の報告が相半ばしている。

 

座談会 食塩と高血圧
日本人の高血圧治療に新たな可能性を拓く選択的アルドステロンブロッカー(SAB)
出典 Medical Tribune 2008.4.3
版権 メディカル・トリビューン社
■アルドステロンは,発見から半世紀を経て脳・心・腎に直接障害をもたらす心血管系リスクホルモンとして再び注目されているが,その有害作用はナトリウム(Na)の存在下で発揮されることが明らかにされている。
■2001年に報告されたDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)-Sodium研究では,1日の食塩摂取量を8gから6g,4gへと減少させるに連れ,血圧がほぼ直線的に下降することや,同程度の食塩摂取量で低脂肪,高カリウム(K)食をとると,さらに血圧低下が著しいという結果が示されました[Sacks FM, et al: N Engl J Med 344(1): 3-10, 2001]。
■食塩感受性高血圧は食塩非感受性高血圧に比べ,心血管系イベントの発症頻度が有意に高いという報告もあります[Morimoto A, et al: Lancet 350(9093): 1734-1737, 1997]。
■食塩感受性に関する遺伝子,たとえばアンジオテンシノーゲンM235Tアリル(多型)の保有頻度を検討した報告では,日本人は白人に比べ有意に高いことがわかりました[Katsuya T, et al: Hypertens Res 26(7): 521-525, 2003]。
■富山,栃木,大阪では食塩摂取量が3〜4g/日も違うのに血圧はほぼ同レベルでした。
つまり,誰もが食塩中毒患者と言えるような文明国だけでは正しい比例関係は認められません。
INTERSALT(INTERnational study on SALT and blood pressure)研究の結果をみると,ケニア,パプアニューギニア,シングー,ヤノマモの人々の食塩摂取量は3g/日以下であり,収縮期血圧(SBP)は110mmHg以下となっています(図1)。
食塩摂取量が極端に少ないヤノマモの人々のSBPは94mmHgであり,こうした地域のデータを加えて始めて「食塩と高血圧」の関係が明白になったわけです。


心-腎連関とARB:今なぜ心-腎連関なのか?
出典 Medical Tribune 2009.2.19
版権 メディカル・トリビューン社
■食塩感受性により食塩が循環器系に貯留し,その結果,食塩感受性に圧負荷が加わって食塩感受性高血圧が発症する。
これが刺激となり,組織の酸化ストレス上昇による一酸化窒素(NO;nitric oxide)と酸化ストレスのバランス異常,組織のレニン―アンジオテンシン―アルドステロン(RAA;renin-angiotensin-aldosterone)系の亢進,交感神経系の活性化,慢性炎症などが引き起こされ,最終的にCVD,腎不全,心不全に至る。
■non-dipper型の高血圧は,「Na排泄能低下により食塩感受性高血圧となってNaが貯留するため,夜中も血圧を高く保って圧利尿によりNaを排泄せざるを得ない病態と解釈される。
■一部の疾患を除き,non-dipper型の日内変動を呈する病態は,すべて食塩感受性高血圧(腎のNa排泄能低下)に由来すると考えられ,心-腎連関は食塩感受性とほぼ同一の病態と捉えることが出来る。

特別企画
第62回日本循環器学会総会・学術集会ランチョンセミナー
ストレスと高血圧
出典 Medical Tribune  1998.6.11
版権 メディカル・トリビューン社
■食塩感受性のある個体で食塩摂取後の腎臓からのNa排泄能が速やかでないのは,腎臓血管抵抗が下がらないからである。
正常であればNa負荷により腎血管が拡張(すなわち腎血管抵抗低下)することにより腎血流量が増加し,Na排泄は増える。ところが食塩感受性者では逆に腎血管抵抗が上がってしまい,腎血管が収縮し腎血流が増加しないためにNa排泄が悪くなる。
このような腎血管のパラドキシカルレスポンスは神経・内分泌因子によって起こると考えられている。
■Deterらの研究でも,食塩感受性者ではそもそもがストレスに敏感であり,食塩感受性は同時にストレス感受性ということでもある。
■交感神経活動をNE(ノルエピネフリン)のturnover rateで見ると,食塩負荷によりturnover rateは上昇する(つまり腎交感神経活動が亢進する)。
腎交感神経活動の亢進がNa排泄を低下させることは,食塩を負荷しても除神経により,Naは体内に貯留することなく,血圧も上昇しない。

 

 

第30回記念シンポジウム
過去30年間の高血圧研究―日本人研究者の貢献大きい
出典 Medical Tribune  2007.12.6
版権 メディカル・トリビューン社
■メタボリックシンドロームはインスリン抵抗性が交感神経系,RAS,アルドステロンなどを亢進させ,多因子的に腎におけるNa再吸収を亢進させることで,食塩感受性高血圧を発症させる。
■メタボリックシンドローム型の高血圧は食塩感受性であり,減塩による降圧効果が高い。
■アンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子多型と高血圧の関係については, AGT遺伝子TT型が高血圧家族歴(Ishikawaら)とnon-dipper型血圧変動(Katsuyaら)と関連することが報告されている。
また,日本人におけるAGT遺伝子などの食塩感受性高血圧のリスクアレル保有率は,白人と比べて有意に高いと報告された(Katsuya,Ogihara)。
■ミレニアム・ゲノム・プロジェクトでは,RGS2遺伝子を高血圧関連遺伝子の候補遺伝子として検討。
大迫研究(Katsuyaら)ではRGS2遺伝子AA型が有力な高血圧発症関連SNPであり,RGS2遺伝子多型によりCa拮抗薬とACE阻害薬に対する反応性が異なることが示された。

 

食塩と高血圧の関係はどこまで解明されたか
http://www.geocities.jp/t_hashimotoodawara/salt7/salt7-ferment-1.html
■食塩感受性の定義が確立されていないし,食塩感受性を簡単に調べる方法がない。
また,食塩感受性の再現性についても研究されていない。
■食塩感受性になりやすい人として,黒人,肥満者,老人があげられている。
中でもアメリカに住んでいるアフリカ系の黒人は奴隷売買時代に炎熱の過酷な状況下でアフリカからアメリカに連れてこられ,厳しい労働に耐えてこられたのは食塩を体内に蓄積させる能力がすぐれた者で,彼らの子孫が生き残ったという歴史を背負っていることから,遺伝的に食塩を蓄積しやすいため食塩感受性となり高血圧になりやすいと考えられている。
■食塩感受性は肥満とも関係があり,食塩感受性者の体重増加と高血圧発症の食塩閾値との間には相関があるという報告がある。

■食塩摂取量が少ないと食塩感受性は現われないで高血圧症もいないことから,高血圧者が現われ始める食塩摂取量の閾値があると考えられている。

■現在のところ食塩にして3~6 gの問に閾値があると考えられている。
このことから考えると,4~5 gぐらいまで食塩摂取量を下げた生活を生れたときから続けていると生涯高血圧にはならないと考えられるが,文明社会でこの程度まで食塩摂取量を下げることは,ほとんど食塩を使わない食生活をしなければならないことを意味し,到底,実行できるものではない。

 

 

 

 

 

東大保健管理センター 安東克之講師 論文 
出典 日医雑誌 第130巻・第6号 2003.9.15

 

 

<きょうの一曲>
Gary Burton & Makoto Ozone "Afro Blue"
http://www.youtube.com/watch?v=TKA7Jm8BB_w&feature=related

梅原龍三郎 カンヌ
http://www.oida-art.com/buy/detail/7907.html

 

 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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最近セララの講演会にでかけました。

選択的アルドステロンブロッカーの臨床的意義
http://blog.m3.com/reed/20091018/1

セララは結構使用制限(禁忌)の多い降圧剤です。
*高カリウム血症の患者もしくは本剤投与開始時に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えている患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある。]
*微量アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者[高カリウム血症を誘発させるおそれがある。]
*中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/分未満)のある患者[高カリウム血症を誘発させるおそれがある。]
*重度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスCの肝硬変に相当)のある患者[高カリウム血症等の電解質異常が発現するおそれがある。]
*イトラコナゾール、リトナビル及びネルフィナビルを投与中の患者
などです。

一昨年のセララ発売記念講演会(東京)にも出席しましたがスピロノラクトンとの降圧効果の比較やtitrationがよくわかりませんでした。
今回の講演会ではスピロノラクトン25mgがエプレレノンの50mgにほぼ匹敵という話もありました。
あまり単剤では使用されませんが、単剤同士の比較ではセララ100mgとアムロジピン5mgがほぼ同等の降圧効果という話も聞けました。
さらにはセララ投与により中性脂肪が低下するという脂質代謝に与える影響がトピックスとして紹介されました。
その他に、PA患者の40%は中性脂肪が高く、それにはヒト脂肪細胞からのミネラルコルチコイド放出因子が分泌されることが関与しているという話でした。
さて、フロアーからも今話題の「アルドステロン・ブレークスルー」の質問があり、「どのようなタイプの人にアルドステロン・ブレークスルーが起きやすいか予測できますか」という問いに対しては、演者は「今のところ分かっていません」と答えていました。

きょうはこのあたりのことを勉強しました。
アルドステロンエスケープ:
アルドステロンは、最初は、Na+再吸収を増加させ、尿中Na+排泄量が低下して、体重が増加するが、長期的には、逆に、尿中Na+排泄量が増加して、体重が、正常化する。  

アルドステロンブレークスルー:
ACE阻害剤を内服すると、血症アンジオテンシンII(AII)濃度は、抑制されるが、半数以上の患者さんでは、血漿アルドステロン濃度は、いったん低下した後、治療前より、むしろ、上昇することがある。
これは、アンジオテンシンII(AII)は、ACE以外の経路で、産生される為、アンジオテンシンII(AII)が増加して、アルドステロンも増加することが理由と考えられている。
また、アルドステロンは、AIIを介さないで、産生されることも、考えられる理由の一つ。  
アルドステロンブレークスルーは、長期間(6カ月以上)、ACE阻害剤や、AII受容体拮抗剤(ARB)など、RAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)を抑制する薬剤を投与し、いったん低下していた血漿アルドステロン濃度が、再び、上昇し始める現象。 アルドステロンブレークスルーにより、血漿アルドステロン濃度が上昇しても、正常範囲内であり、高血圧になることはないが、臓器障害は進展し易くなると言われる。
<出典> アルドステロン http://hobab.fc2web.com/sub4-aldosterone.htm

<関連サイト>
アルドステロン・ブレークスルー http://blog.m3.com/reed/20080704/1

アルドステロン レクチャー&クイズ http://www.aldosterone.jp/lecture_quiz/
エビデンスボックス http://www.aldosterone.jp/evidence_box/
エキスパートインタビュー http://www.aldosterone.jp/expert_interview/
アルドステロンディクショナリー http://www.aldosterone.jp/dictionary/ 学会レポート

[PDF] 高血圧の病態と管理
http://www.jc-angiology.org/journal/pdf/2006/457.pdf  
■抗アルドステロン薬であるスピノロラクトンやエプ レレノンは,肥満関連の高血圧の発症を抑制するこ とから,メタボリックシンドロームにおける高血圧の発 症にアルドステロンが深く関与していると考えられ る。
アルドステロンは,その上流にあるレニンやアン ジオテンシンとは独立して内臓肥満やメタボリックシ ンドロームに関連する。Bochudらの一般住民を対象に した調査では,メタボリックシンドロームの構成因子 数と血中アルドステロン値は比例関係にあることが示 され,その関係はレニン値とは独立していた。
アルド ステロンが上昇する機序としては,脂肪細胞から放出 されるミネラルコルチコイド放出因子の増加,アルドス テロンの分泌を抑制するナトリウム利尿ペプチドの減 少,酸化脂肪酸の副腎への直接的な作用が考えられて いる。
また,睡眠時無呼吸症候群では交感神経活性化 や副腎を介さないで,アルドステロン値が高い。
アルドステロンは,炎症反応をはじめ血栓作用,血管内皮 細胞傷害など多彩な面においてアンジオテンシンIIと同 等ないしそれ以上の効果を有するため,メタボリック シンドロームにおけるキープレイヤーの一つといえる。
アルドステロンブレイクスルーは,RAAS阻 害薬の臓器保護効果を減弱させる。
メタ ボリックシンドロームにおいては,RAASによる調節と は独立してアルドステロンの産生が亢進しているため, 配慮すべき問題である。
事実,ACE阻害薬やARBへアル ドステロン受容体拮抗薬を追加することで,さらなる降 圧や臓器保護効果が確認されている。RAAS阻害薬は 有効であるが万全ではない。反応性を吟味しながら,ほ かの薬剤も併用しながら使用していくのが好ましい。

■抗アルドステロン薬の有用性
一般的に、ACE 阻害薬投与下でも心不全患者の予後改善は十分ではなく、さらなる改善が期待されています。
その原因の一つに、初期にはACE 阻害薬でアルドステロンは抑制されるが、長期投与ではアルドステロンはその阻害からのがれ、アルドステロン濃度が上昇してくる、いわゆるアルドステロンエスケープ(ブレイクスルー)現象が認められることがあげられています。
この現象は、アンジオテンシン受容体拮抗薬でも認められることが報告されています。
アルドステロンの分泌は、アンジオテンシンⅡ以外に、ACTH、血清カリウム濃度、ナトリウム利尿ペプチド、エンドセリンなどによっても調整されており、アルドステロンエスケープ現象の機序の解明はまだ十分に明らかではありませんが、抗アルドステロン薬がACE阻害薬やARB併用下でも心不全治療に有用である可能性があります。

心臓とアルドステロン
http://medical.radionikkei.jp/igakushoten/final/pdf/S170411.pdf
■一般的に、ACE 阻害薬投与下でも心不全患者の予後改善は十分ではなく、さらなる改善が期待されています。
その原因の一つに、初期にはACE 阻害薬でアルドステロンは抑制されるが、長期投与ではアルドステロンはその阻害からのがれ、アルドステロン濃度が上昇してくる、いわゆるアルドステロンエスケープ(ブレイクスルー)現象が認められることがあげられています。
この現象は、アンジオテンシン受容体拮抗薬でも認められることが報告されています。
アルドステロンの分泌は、アンジオテンシンⅡ以外に、ACTH、血清カリウム濃度、ナトリウム利尿ペプチド、エンドセリンなどによっても調整されており、アルドステロンエスケープ現象の機序の解明はまだ十分に明らかではありませんが、抗アルドステロン薬がACE阻害薬やARB併用下でも心不全治療に有用である可能性があります。

~ 砂田賞~
http://www.okayama-u.ac.jp/user/oma/igakukaishou_pdf/H20/H20-6.pdf
■アルドステロンブレイクスルー現象は、高血圧治療に
使用されるAngiotensin-converting enzyme(ACE)阻害薬・Ang II type 1 receptor blockers(ARB)の長期投与によって生じる血中Aldo濃度の再上昇現象として認識され、Aldoの再上昇による心・腎・血管障害が臨床的に問題となる。
このブレイクスルー現象の機序の詳細については不明であるが、Ang II type 2 receptor(AT2R)・ACTH・電解質・エンドセリンなどの種々の因子の関与が想定されてきた。
今回我々は、ヒト副腎皮質細胞H295Rを用いて、Ang II刺激下でのAldo産生に及ぼすARB(Candesartan:以下CV)の長期的な影響について検討し、
1)Aldo分泌抑制からのエスケープ現象の有無と、
2)その発生機序におけるBMP-6の関与
について検討した。

中略

以上の結果から、BMP-6は、Ang IIによるERK活性化を増強して
Aldo産生を促進するが、Ang IIの長期刺激により副腎皮質におけるBMP-6システムは抑制されると考えられた。
これに対して、ARBの慢性投与では、副腎皮質細胞において本来抑制されるべき「Ang IIによるBMP-6システムの抑制」が解除されることにより、Aldo産生抑制が減弱する可能性が示唆された。

The Incidence and Implications of Aldosterone Breakthrough: Areas of Uncertainty
http://cme.medscape.com/viewarticle/561424_4

Aldosterone Breakthrough During Angiotensin II Receptor Antagonist Therapy in Stroke-Prone Spontaneously Hypertensive Rats
http://hyper.ahajournals.org/cgi/content/abstract/40/1/28
■These results suggest that aldosterone breakthrough occurs during long-term AT1A therapy, mainly by an AT2-dependent mechanism. Residual aldosterone may attenuate the cardioprotective effects of AT1A.

Aldosterone Breakthrough During Angiotensin II Receptor Blockade in Hypertensive Patients With Diabetes Mellitus
http://www.nature.com/ajh/journal/v20/n12/abs/ajh2007324a.html
■Aldosterone breakthrough was seen to be equal in hypertensive patients with diabetes mellitus treated with candesartan or valsartan.
Aldosterone blockade therapy may be effective in preventing renal injury in hypertensive patients with aldosterone breakthrough.

Aldosterone breakthrough caused by chronic blockage of angiotensin II type 1 receptors in human adrenocortical cells: Possible involvement of bone morphogenetic protein-6 actions
http://endo.endojournals.org/cgi/content/abstract/en.2007-1476v2
■The breakthrough phenomenon was attenuated by neutralization of endogenous BMP-6 and ALK-2.
Collectively, these data suggest that changes in BMP-6 availability and response may be involved in the occurrence of cellular escape from aldosterone suppression under chronic treatment with ARB.

Aldosterone breakthrough during therapy with angiotensin-converting enzyme inhibitors and angiotensin II receptor blockers in proteinuric patients with immunoglobulin A nephropathy.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17014562

Aldosterone breakthrough during ras blockade: A role for endothelins and their antagonists?
http://www.springerlink.com/content/p326407780737834/
■Therefore, findings suggesting a role for the ET-1 system as an aldosterone secretagogue, along with the potential usefulness of endothelin antagonists for the prevention of “aldosterone breakthrough,” are discussed.

<コメント>
英文検索をしてみて「Aldosterone breakthrough 」の諸外国の執筆者の少ないことに気づきました。
先述の講演会でエプレレノンの保険適応は日本と米国のみで、米国での薬価は非常に高い。
従って実質的には日本でのみ使用されているのが現状であり、日本発信の研究が望まれるという話を思い出しました。

<温故知新>
以下はNikkei Medical 2003.2.10の裏表紙に掲載された広告です。

様々な大規模臨床試験が発表され、その時々に話題となります。しかし、それらの中にはその後に結果が覆される試験も出て来ます。
結局はメタ解析を重視すべきでしょうがメタ解析自体にはスポンサーがつかず意外と地味な扱いがされてしまうようです。
MEGAスタディの解析
http://blog.m3.com/reed/20080215/MEGA_

新春座談会
循環器疾患診療の現在,
そして未来へ 21世紀への飛翔! Part.II
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2000dir/n2370dir/n2370_01.htm

メタ解析 
http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?メタ解析%E3%80%80

スポンサー付きのメタ解析
http://wellfrog.exblog.jp/tags/メタ解析/

メタアナリシス meta-analysis 
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/meta-analysis/index.html

メタアナリシス
http://ja.wikipedia.org/wiki/メタアナリシス

 

その他
ふくろう医者の診察室 
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 井蛙内科/開業医診療録(3)
~2009.10.15
http://wellfrog3.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科/開業医診療録~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 

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当院のような無床診療所は大学病院と違って原則的に予約診療は行っていません。
逆に1〜3か月後の予約診療に患者さんがよく納得するなと感じてしまいます。
これは大病院と診療所の権威(?)の差と思っています。
診療所では検査をお願いする(?)のも院長は平身低頭です。
「最近健診をやったから結構です」と頭ごなしにいわれるのも日常茶飯事です。
自然と卑屈になっていきます。

きちんと服薬してもらえるケースはむしろ稀です。
「きょうはあれとあれは余っているから要りません」
数週間遅れて来院される患者さんの弁はきまって「きちんと飲んでいたのにおかしいですね」
小学生でもわかる算数なのですが、こちらもそれ以上は追求せずに黙って処方日数の調整をしてしまいます。
「あれとあれは○○分。これは△分ですね」
こういったことを繰り返すうちに気づいたら私と患者の立場は逆転し、隷属状態になっている自分に気づくというわけです。

患者さんはきちんと服薬しているという前提で診療をしているわけですが、この前提が間違っているわけですから真っ当な外来診療が出来ているわけがありません。

少し古い記事ですが、こんな私には大いに参考になりました。

CAD患者の服薬コンプライアンスは悪い
半数が延命効果のある薬剤服用を中止
デューク大学(ノースカロライナ州ダーラム)のKristin Newby准教授らは7年にわたる研究を行い,冠動脈疾患(CAD)患者の約半数は延命効果のあるβ遮断薬,抗高脂血症薬などの薬剤を継続して服用していないとする研究結果をCirculation(2006; 113: 203-212)に発表した。

#持続的服用率改善の努力を
近年,入院患者に対して退院時に適正な予防薬を処方することに焦点が当てられてきた。
しかし,Newby准教授は「これらの薬剤の長期にわたる持続的な服用による改善効果にも注意が向けられなければならない」としている。
同准教授らは,有病率の変化とエビデンスに基づく二次予防薬剤の服用とその一貫性の変化を調査した。
その結果,1995〜2002年にCAD患者に対する延命効果が証明されている治療薬の服用状況が改善したことが判明した。
 
しかし,服用状況は最善とは言えず,これらの薬剤を服用しないと生存率が低下するにもかかわらず,コンプライアンスは低かった。
 
同准教授らは心血管疾患を扱うデュークデータバンクを利用して,デューク大学で心臓への処置を受け,50%以上閉塞した冠動脈を1 枝以上持つ患者,または冠動脈バイパス術を受けた患者 3 万1,750例の服薬コンプライアンスを分析した。
毎年の調査で,全例がアスピリン,β遮断薬,抗高脂血症薬の服用状況を報告し,研究期間中に 2 回以上連続して調査書の記入を依頼された。
「持続的服用」とは 2 回以上連続した調査で薬剤の服用を報告し,研究期間終了まで服用を報告し続けることと定義された。
ACE阻害薬の服用に関しては心不全の既往の有無別に報告された。それぞれの薬剤と複数の薬剤の服用は毎年増加した。2002年までに,患者の
(1)83%がアスピリン
(2)61%がβ遮断薬
(3)63%が抗高脂血症薬
(4)54%がアスピリンとβ遮断薬(5)39%がこれら 3 種類の薬剤すべて
−を服用していると報告した。
 
しかし,研究期間中の継続的服用は低いことが判明した。
患者の
(1)71%がアスピリン
(2)46%がβ遮断薬
(3)44%が抗高脂血症薬
(4)36%がアスピリンとβ遮断薬
(5)21%が 3 種類すべて
−を継続して服用した。
 
心不全の既往がない患者のうち,39%は2002年にACE阻害薬を服用していると報告したが,継続的な服用は20%だった。
心不全の既往がある患者のうち,同薬服用は同年に51%で,継続的な服用は39%だった。

#高リスク患者が継続していない
これらの治療法のいずれであっても継続的に服用していれば生存率の上昇に関連していた。
しかし,ACE阻害薬を服用していても心不全の既往のない患者にはこの関連は見られなかった。
高齢患者,心不全患者,喫煙者,糖尿病患者は薬剤服用を継続する傾向が非常に低かった。
Newby准教授は「これらの患者群はアウトカムが悪いというリスクが最も高く,そのため治療を継続することで便益が得られる可能性が最も高い患者群とも言える」と指摘。対策として,薬剤師や医療従事者を通じてコンプライアンスに関する教育的なインターベンションプログラムを行うことを提案している。
 
また,患者の大部分はノースカロライナ州とバージニア州南部から来ているため,全米の人口を代表するものではない可能性があるという。
 
同准教授は「CAD患者とその家族および医療従事者は臨床上のアウトカムを改善する療法に精通し,薬剤を定期的に服用する重要性を理解すべきで,薬剤の確実な処方と服用に加え,CADの長期にわたる管理を通じて継続的に服用させなければならない」としている。
 
研究者,臨床医,看護師,薬剤師,政策立案者,患者と家族から成るチームはエビデンスに基づく二次予防療法を改善し,長期にわたる継続を徹底する解決策を探り続けるべきであると結論付けている。

出典 Medical Tribune 2006.3.23
版権 メディカル・トリビューン社

 

<きょうの一曲>
Procol Harum - A Whiter Shade Of Pale
http://www.youtube.com/watch?v=p8jJ1ORIOes&feature=channel

 

 

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##3枝病変にはバイパス術を 冠動脈疾患治療に関する議論が再燃
薬剤溶出ステント(DES)の使用成績が期待通りではなかったことが契機となり,冠動脈疾患に対する至適治療を巡る議論が再燃している。
ベルン大学病院心血管外科のThierry Carrel教授らは「バルーン拡張術適用症例の増加とともに,不適切と考えられる症例にまで同術が適用されるケースも増えており,依然として治療選択に関する患者への十分な情報提供がなされていない」とTherapeutische Umschau(2009; 66: 293-300)で指摘した。

#左主幹部狭窄もバイパス術が基本
最新の知見から,特に重度の冠動脈疾患患者(左主幹部狭窄または3枝病変を有する患者)では,外科的血行再建が長期的観点からは優れていることが明らかにされた。
 
Stent or Surgery Trial(SoS試験)では,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)群に比べて冠動脈バイパス術(CABG)群で術後6年生存率が有意に高く(死亡率:10.9%対6.6%),再介入を余儀なくされた症例も明らかに少なかった。
過去2年間に実施された6件の大規模試験でも,3枝病変患者について同様の結果が得られている。
 
ただし,Carrel教授は「PCIよりCABGのほうが優れているかどうかは術後数年経過後に初めて評価可能となるが,選択患者を対象とした前向き比較試験の多くでは,その点の検討が不十分なままである」と研究上の問題点についても指摘している。
 
外科的手技が優れている理由は明らかで,単一の病変を対象とするカテーテル治療とは異なり,バイパス術では標的とした領域内で発見された新規病変に対しても処置を施すことができ,確実に血行を再建できる。
長期成績も良好で,例えばバイパス血管として内胸動脈を使用した場合の開存率は,手術の10〜15年後でも90%を上回っている。
 
これらのデータを根拠として,欧米のガイドラインでは,左主幹部狭窄が認められる患者に対するPCIの適用は,CABGが絶対禁忌の場合に限ることを明記している。

#インフォームド・コンセントが重要
しかし,医療現場ではこうしたガイドラインの勧告内容が遵守されないことも多く,欧州では左主幹部狭窄患者の約3割にPCIが施行されている。
しかも,これらの多くは3枝病変などの危険因子を抱えた患者である。
Carrel教授は「現在ではPCIもCABGも安全性に関してはほぼ同等で,術後早期死亡率はCABGでも0.6〜1%程度にとどまっている。したがって,もはや手技の安全性を理由にPCIを選択することはできない」と強調している。
 
治療選択肢が複数存在する場合には,いずれの方法についてもその長所と短所を詳しく説明し,患者が自身の考えで決断を下すことができるようにしなければならない。
 
同教授は「例えば,冠動脈造影検査を受けた患者が冠動脈インターベンションを専門とする心臓内科医の意見だけを聞いた場合,果たしてそれで十分なインフォームド・コンセントが保証されるのかどうか疑問である。心臓内科医と心臓外科医の双方が参加する学際的な症例検討会を導入する必要がある」と主張している。

出典 Medical Tribune 2009.10.22
版権 メディカル・トリビューン社

<関連サイト>
SYNTAX試験  3枝病変・左主幹部病変に対する治療
http://blog.m3.com/reed/20090225/SYNTAX___3_
■完全血行再建率はCABG群のほうがPCI群よりも有意に高かった。
退院時処方ではPCI群で抗血小板薬の使用が有意に多かった。
CABG群では15.0%が人工心肺不使用であり,97.3%に動脈グラフトが使用された。
PCI群では14.1%がPCIを2期的に行う必要があり,63.1%が分岐部病変であった。
■観察12か月後において,総死亡,総死亡+脳卒中+心筋梗塞については両群間に差が認められなかった。
しかし,主要心脳血管イベントの発生はPCI群で有意に高率であった。
その理由はおもに,再インターベンションの施行率がPCI群で有意に高かったことによる
■一方,脳卒中にだけ注目すると,CABG群で発症率が有意に高かった。
症状を伴ったCABG群のグラフト閉塞率(3.4%)とPCI群のステント血栓症(3.3%)の発生率は同等であった。
■病変部の複雑さを示すSYNTAXスコア別に解析した結果では,CABG群では病変部が複雑になりSYNTAXスコアが上昇しても主要心脳血管イベント発生率は変化がなかったが,PCI群では病変が複雑になるにつれ主要心脳血管イベント発生率が上昇し,CABG群との間に有意差が認められるようになった。
■LMT病変の患者だけで検討すると,12か月後の主要心脳血管イベント発生率はCABG群13.7%,PCI群15.8%と両群間で同等であった。
PCI群では再インターベンション施行率が有意に高かったが,これはCABG群で脳卒中発症率が有意に高かったことで,危険度が相殺されたことによる。
■LMTのみに限ると主要心脳血管イベント率に差が認められておらず,LMTのみの患者ではPCIが簡便ですぐれている可能性が高い。
またQOLの観点からは脳卒中の発症は重要であり,さまざまな試験においてCABG群で常に有意に発症頻度が高いことは考慮されるべきである(2%以上)。
そういう意味では今回もCABG群,PCI群ともに一長一短という結果とも取れる。
■病変がLMT単独,もしくはLMT+1枝病変であれば,PCIの成績はCABGのそれに劣るものではなかったり,また糖尿病を持っているかどうかで分けて見てみると,糖尿病のない患者では同じようにPCIの成績がCABGに劣っていなかったことなど,病変,患者の持つバックグラウンドなどを考慮すれば,PCIは許容される部分がある。
■最終的にはPCIのCABGに対する非劣性は認められず,DES時代の現在でもLMT,多枝疾患の冠動脈疾患患者のスタンダードな治療としてはCABGに優位性があることが証明される結果となった。
■デバイスや技術の進歩が速いPCIの分野ではエビデンスが実情に追い付かないという側面がある。

■PCIは狭窄部位,閉塞部位に直接挑む治療であるのに対して,CABGは病巣部に手を付けず別の血流路を創るという全く別の治療法である。
■現段階でPCI側が追い風としているのが多枝病変を対象としたオープンラベル試験のARTS IIである。
このARTS IIはもともとはベアメタルステント(BMS)とCABGのRCTであるARTS I と似通った症例にDESを施行した群との比較のため,症例背景も違い単純比較はできないが,3年目まですべての項目で差がなく,一般的には,PCI がバイパスに追い付いたことを示す成績と解釈されている。
■シロリムス溶出ステントを用いたSIRIUS試験の成績をもとに,糖尿病合併例ではPCIが適さないとされているが,既に理論的にその知見を否定することが可能だという。
SIRIUS試験は18mmのステントしかなかった当時の研究だが,種々の長さのステントを選択できるようになって以降はPCIの劣勢を指摘するデータはあまり見られない。
要はステントがしっかりと動脈硬化巣をカバーできているかが重要であり,血管超音波ガイド下のDES留置がびまん性を除いた糖尿病症例に有用である。
■ハイリスクの代表として透析患者が挙げられるが,透析に関しては,わが国のJapan PMSやJ-CypherからDESの成績が良好でないことは明らかである。
このため,現時点ではCABGで治療されるべきと言えるが,透析患者に対するCABGは感染症や脳卒中の頻度が高いのも事実で,透析に関しては現状では内科・外科ともによい答を出せない状況と捉えるべきである。


CABGかDESか(LMT病変)
http://blog.m3.com/reed/20081118/CABG_DES_LMT_1
j-Cypher registryの解析結果
■LMT群と非LMT群を比べると,LMT群では高齢者やショック,心不全,腎不全,Euro score高値を有する症例が有意に多かった。
■死亡率は,これら併存疾患で調整する前はLMT群で有意に高かったが,調整後は差がなくなった。
LMT病変に対するPCI施行例の予後を規定するのはおもに併存疾患であり,デバイスの影響は小さいことが示唆された。
■LMT群の成績をサブ解析すると,分岐部やtwo stentingは,補正後死亡率には有意な影響を及ぼさなかったが,標的病変再血行再建(TLR)率を有意に高くすることがわかった。
ステントテクニック(T-stenting,culotte法,crush法)によるTLR率の差は認められなかった。
■DESは,再狭窄がMACEにつながりかねないLMT病変の治療法として高い有用性が期待されている。
しかし,現時点では長期にわたって抗血小板薬を服用しなければならず,ステント血栓症を起こした場合には致命的になる可能性が高い。
「CABGかDESか」を追求する際には,ベアメタルステント(BMS)も含めて検討すべきである。 LMT病変へのBMS植え込みでは,CABGリスクが低くかつ解剖学的に植え込みに適した症例で良好な長期予後が期待できる。


 

その他
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 「井蛙内科/開業医診療録(3)」
~2009.10.15

http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~

http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 


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Medical Tribuneに3回シリーズで統計学と臨床試験に関する記事が掲載されています。

国立病院機構東京医療センター
臨床研究センター臨床疫学室室長  尾藤 誠司

東京北社会保険病院
臨床研究センターセンター長    名郷 直樹

の両先生の対談です。

第1回は
試験に出る統計用語
http://blog.m3.com/reed/20091006

第2回は
臨床試験の正しい理解と活用
http://blog.m3.com/reed/20091023

で勉強しました。
きょうはその最終回です。

対談シリーズ(全3回)/臨床試験を正しく理解し,活用するために 第3回
##臨床試験の知見を日常診療に生かす
2回までは,臨床試験を正しく読み解く際の注意点を取り上げてきた。
しかし,読み解いた情報を実臨床の場に導入する際には,また別の観点からの注意が必要である。
最終回の今回は,臨床試験と実臨床の場の違いを踏まえたうえで,医療の主役である患者にとって最良の診療を行うためのポイントについて考える。

#臨床試験は概して外的妥当性が低いことを念頭に
尾藤 
■臨床試験は観察研究と違い,限られた患者を対象としたものですから,内的妥当性が高い一方,外的妥当性は概して低い傾向にあります(図)。

したがって,その結果をそのまま実臨床の場に導入することには無理があると思います。
■そこで取りうる方策は,外的妥当性の高い別のデータと抱き合わせることです。
例えば,自分の病院の電子カルテのデータを解析してみてください。後ろ向き研究は質が悪いと言われますが,後ろ向きに収集されたデータは臨床上の事実ですので研究としての作為はありません。
さらに,対象は「選ばれた人」ではありませんので,外的妥当性は明らかに前向きデータより上です。
その結果と臨床試験の結果をすり合わせ,両者の折り合いを付けることにより,外的妥当性の低い臨床試験の弱点を補完できるでしょう。

名郷 
■なるほど。確かに後ろ向き研究は作為がないですよね。

尾藤 
■内的妥当性を高めるために位置付けられたプロトコルがあるわけではないので,なかには薬剤は処方されたけれども飲んだり飲まなかったりという患者さんもいると思いますが,それが現実の医療であり,そこから得られる情報は貴重です。
■ただ,後ろ向き研究の場合は,患者さんの背景因子や診断名を合わせることが少々面倒です。
例えば米国の退役軍人(VA)病院では,すべての病院の電子カルテが統一されており,ものすごい数のデータをさまざまな角度から検討していますが,こうした情報源は非常に貴重ですね。

#患者には臨床試験の結果を「翻訳」して説明する
名郷 
■先生は,臨床試験の結果を踏まえて治療方針を決定する際に,どのように患者さんに説明していますか。

尾藤 
■素人の方に数字をそのまま示しても,ほとんどの人はピンとこないと思いますので,effect sizeを「翻訳」してお伝えするようにしています。
例えば,降圧薬を2種類から3種類に増やすときなら,「薬を増やすと将来脳卒中になる可能性がちょっとだけ減ります」という感じで説明します。
「ちょっと」とか「半分ぐらい」とか,言い方はいろいろですが。

名郷 
■「10%が8%に減ります」ではわからないですよね。

尾藤 
■あと大事なことは,エビデンスにのっとった一般的な方向性を提示したうえで自分の意見を述べるということです。
「ガイドラインではこうなっています」というだけでは不誠実でしょうし,逆に自分の意見だけを言う医者は傲慢です。

名郷 
■わかります。
臨床試験の対照群には「何もしない」という選択肢しかありませんが,現実の臨床ではほかの治療を考える選択肢があります。
それなのに,臨床試験という極端な事例の結果だけを示して「はい,おしまい」というのは,不誠実以外の何ものでもありません。
臨床試験のeffect sizeを実臨床のeffect sizeに翻訳して患者さんに伝えることは,医者の誠意ですね。

#有害事象の説明は患者の利益を考えて行う
尾藤 
■「誠意」と言えば,まれな有害事象についてはどこまで説明すべきでしょうか。
プロセス的には,まれなものであっても説明することが誠意ある行動だと思うのですが,医療の立場としての心情では,明らかに有用な薬剤に対して患者さんに不必要な警戒心を抱かせたくありません。

名郷 
■例えばスタチンは非常に優れた薬剤ですが,横紋筋融解症についてお話しすると患者さんは不安になります。
それが原因となって治療の機会を逸するようなことになっては患者さんの利益にならない場合もあります。

尾藤 
■ええ。
リコメンデーショングレードがAとかBの治療については,あまり説明したくないというのが正直なところです。

名郷 
■モニタリングできるものについては,それでいいのではないでしょうか。
スタチンの横紋筋融解症の場合も,CPKのモニタリングを怠らなければ対処できます。
ただ,モニタリングできないものについては説明が必要ですね。

尾藤 
■アナフィラキシーやStevens-Johnson症候群などは予想しようがないですからね。
「100万分の1の確率で死ぬかもしれません」といっても現実味がないかもしれませんが,必ず一定の確率で起こります。
現実味が感じられなくても説明するのが誠意でしょうね。
こういう問題を医療者間で話し合うとき,とかく紛争回避という視点で物事を考えがちです。
そうすると,「なんでもかんでも説明しておけばいいじゃないか」となりがちです。
もちろん,紛争は患者さんにとっても不利益なことですので,これを回避しようとすることは間違いではありません。
しかし,常に有害事象への不安を抱きながら生活することもまた患者さんの不利益です。
そういうことも含め,広く患者さんの利益を確保するという視点で物事を見ることが大切だと思います。

#エビデンス・プラクティス・ギャップを埋める試験も重要
名郷 
■臨床試験のアウトカムのなかには,「これがほんとうに患者さんのためになるのだろうか」と思うものもあります。
極端な話,「死亡率が減った」といっても,長い目で見れば人は100%死にます。
ある時点で生きているか死んでいるかということだけでなく,死ぬまでのプロセスがどうだったかということも大切です。

尾藤 
■究極のアウトカムは患者さんの幸福です。
ただ,幸福は測れないし,医療は人の幸福に100%は責任を持てません。
だから周辺の医学的な尺度で固めているのでしょう。
ただ,HbA1Cが何パーセント下がったとか血圧が何mmHg下がったというときにも,それがどれだけ延命に寄与できるのか,どれだけ日常生活が改善されるのかを想像しながら治療することは大切ですね。

名郷 
■この「治療する」という行為において,今の医療界では薬剤の位置付けが大きすぎると思われませんか。

尾藤 
■それはあります。少なくとも一流と言われる医学雑誌の最近の内容は,著しく薬剤に偏っていると思います。
名郷 臨床試験も薬剤のトピックに関するものが圧倒的に多いですよね。

尾藤 
■おっしゃる通りです。
製薬業界は試験を行う資金を持っていますから,薬剤の試験がある程度多くなるのは仕方がないことだと思いますが,実際には医療的介入全体のなかで薬剤が占める割合は2割くらいだと思います。
残り8割は外科的介入や運動・食事などの生活,それに治療の継続性や周囲のサポート,定期的に医師と面談しているかどうかといったことも大切な要素ですが,残念ながらそういったことに関する検討は非常に少ないですね。
ただ,そうしたなかでも,糖尿病の患者さんの足の状態を定期的に観察するようにしたらアウトカムが向上したというような報告などが少しずつ出てきています。
こういうエビデンス・プラクティス・ギャップを埋めるためのエビデンスをつくろうという動きが出てきていることはたいへんよいことだと思います。

名郷 
■これからはエビデンス・プラクティス・ギャップを埋めるような研究も必要だということですね。
その際には,わが国の皆保険という制度をデータベースとして活用できれば,米国のVA研究に匹敵する素晴らしい研究ができると思います。
それにはまず医療情報を二次利用できる仕組みをつくることが必要ですが,ぜひ取り組んで欲しいですね。

尾藤 
■同感です。
国立病院機構で働いていると,情報を相互交換するネットワークの重要性を実感します。
幸いなことに,最近はかつての「医局の壁」が崩壊しつつあり,インタレストグループ,つまり興味を持ったもの同士のつながりが形成しやすくなってきています。
がん領域における日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)などはその最たる例であり,世界に誇るトップクラスのエビデンスを次々と出しています。
こうした緩やかな横の結び付きを利用した多施設研究こそが,これからの日本の目指すべき姿ではないかと思います。
ただし,そうした「緩やかな結び付きの集団」は,病院や大学などとは違い,事務局やデータセンター業務を担う組織基盤がありません。
したがって,現在わが国で稼働している数少ないインタレストグループのほとんどは,外部組織に高いお金を払って事務局業務を委託しています。
言い換えれば,お金のないグループには,大規模な共同研究はできないのが実状です。
こうした状況を打開し,既成の枠組みを離れた研究形態をわが国に根付かせるためには,運営のノウハウを持つ人材を内部で育成し,コストダウンを図るなどの工夫が必要でしょうね。

出典 Medical Tribune 2009.10.15
版権 メディカル・トリビューン社

<製薬会社資料コーナー>
製薬会社との間に利益相反はありません。
あくまでも勉強目的であり、使用の奨励やましてや反対の立場に立つものではないことをご理解下さい。
ミカルディス
第7回「虚血性心疾患患者への有用性が期待されるミカルディス」
http://nbi.m3.com/ck9a5739b172cbc8b4845a107d7fe179c6a73/contents/evidencenews/07/index.html?cid=20091038DI

■ミカルディスは、
RASを強力に抑制することにより、優れた降圧効果を発揮するARBであり、血管内皮前駆細胞(EPC)を増加させる可能性が示唆されている。
■ミカルディスはバルサルタンとの降圧効果を比較したMICADO試験で、より強い降圧効果が実証された。
■末梢血の中に骨髄由来の血管内皮前駆細胞(EPC)が多く含まれている患者では心血管イベントの発生率が低い。
Werner N et al. N Engl J Med 353:999-1007,2005
■同じARB間でもEPC増殖への影響は異なる。
■ミカルディスが他のARBと大きく異なる点とりて、PPARγの活性化作用が知れれている。
■ PPARγを阻害するGW9662を用いた実験系でミカルディスによるEPC 増殖促進作用は PPARγを介したものであることが推測された。

<きょうの一曲>
Harry Belafonte,Jamaica Farewell
http://www.youtube.com/watch?v=dyGuP3_ajZg&feature=related

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日々新型インフルエンザ患者さんを診察しその合間に季節型インフルエンザワクチンを接種しています。
いよいよ新型インフルエンザワクチン接種も始まります。
町医者は風邪医者なんだなとつくづく思い知らされます。

これからの季節、風邪の患者ばかりみる(口を含めた肉体ばかり使って頭を使わない)脊髄反射の診療が続きます。
そんな中、医学雑誌を読むことが逆に一服の清涼剤になるから不思議です。

医学生時代はもちろん普段勉強していなかった(出欠をとらない系統講義はほとんど出ていなかった)のですが、試験前だけは乾いた砂に水が吸収されるような妙な感覚を覚えたものでした。

さてMedical Tribuneに3回シリーズで統計学と臨床試験に関する記事が掲載されています。

国立病院機構東京医療センター
臨床研究センター臨床疫学室室長  尾藤 誠司

東京北社会保険病院
臨床研究センターセンター長    名郷 直樹

の両先生の対談です。

第1回の内容は

試験に出る統計用語
http://blog.m3.com/reed/20091006

で勉強しました。

今日はその2回目で勉強しました。

 

対談シリーズ(全3回)/臨床試験を正しく理解し,活用するために 第2回

臨床試験の結果は,論文や学会発表によって直接現場の医師に届けられるだけでなく,情報媒体や製薬企業が関係する情報提供などのフィルターを介して間接的にも発信される。
エビデンスに基づくガイドラインもその一形態だ。
多様な形で提供される情報を読み解く際に注意が必要なのは,臨床試験の実施者が必ずしも中立的な立場にあるとは限らないという点だ。
発信者の立場と意図を理解することが求められる。

 

ガイドラインを出す責任は重い
名郷 
■臨床試験の結果は,実地医家が診療の指標とするガイドラインにも反映されます。
先生は,ガイドラインを読む際にはまず何に注意されますか。

尾藤 
ガイドラインをつくる主体がだれか,リコメンデーションを出す主体が何者かという点ですね。

名郷 
■ガイドラインはその学会や団体の決意の表れですからね。
米国では,医療に対するステートメントは,その分野に精通したプロフェッショナル集団が信念を持って出すものだという理解がベースにあります。
1995年に米国の政府機関であるAHCPR※が腰痛治療ガイドラインを発表したとき,リコメンデーションが偏っているとして脊椎外科医の猛反発を受け,AHCPRは予算を削減されたうえ,ガイドライン作成からの撤退を余儀なくされました。
ガイドラインを出すということには,それほどの覚悟が必要です。

尾藤 
■特に,グレードAのリコメンデーション()を出すということは,「この疾患に対する治療のスタンダードはこれだ」と言い切るわけですから,その責任は重大です。

 


名郷 
■わが国のガイドライン作成に当たる方々にも,そういう強い覚悟で臨んでいただきたいですね。
※Agency for Healthcare Policy and Research;現在はAHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality)と改称

理想を掲げたガイドラインと現実にはギャップも
名郷 
■ただ,逆に「覚悟」が過剰というケースはありませんか。
例えば,緊急度が非常に高く危険が伴う治療,ごく限られた施設でしか行えない治療にグレードAのリコメンデーションが付けられ,「これがスタンダードだ」と言われても,大多数の医師は受け入れられないでしょう。

尾藤 
エビデンス・プラクティス・ギャップという事態ですね。
医師の知識不足や技術不足,地理的な事情,患者の拒否感など理由はさまざまですが,ギャップは確かに存在します。
おそらくその学会はそうした状況に忸怩たる思いを抱いており,なんとかしてギャップを埋めなければならないという強い意思から,グレードAのリコメンデーションを出すのだろうと思います。

名郷 
■その意思は立派ですが,専門医がそろった学会がイニシアチブを取ると,とにかくやるという方向でギャップを埋めようとしがちです。
それはある意味危険なことです。

尾藤 
専門家集団が考えた理想的な医療というのは,永田町で決められた法律みたいで現実を見ていないと感じる部分がある。
それよりも現実に沿ったガイドラインを考えるべきではないかということですね。

名郷 
■ええ。エビデンスは十分だけれども,いろいろな状況に照らし合わせて現実に難しいと思えば,あえてグレードBにするという選択もあるでしょう。
推奨度を控えめにすることは,理想論を叫ぶだけの専門家より,ある意味プロフェッショナリズムと言えるのではないかと思います。

第三者機関による評価やeffect sizeも参考に
尾藤 
■リコメンデーションのグレード付けについては,それぞれの立場からの意見があると思います。
しかし,理由はどうあれ団体によってグレードが違うということは,情報の受け手には迷惑なことです。
極端な話,その団体にガイドラインと心中するほどの強い覚悟があれば,たとえエビデンスレベルがIV(表)であっても,グレードAのリコメンデーションを付けるということもありうるわけです。
あまりにも乱暴な例ですが。

名郷 
■かといって,エビデンス一辺倒というのも危険です。客観的に妥当性を評価する仕組みが必要です。

尾藤 
■わが国には,第三者機関による医療機能評価と情報提供を目的とした日本医療機能評価機構という財団法人が提供するMindsという情報サービスがあります。
ここでは,エビデンスの数,レベル,検索方法,リコメンデーションのグレード付け,患者への配慮などの評価基準をクリアした質および信頼性の高いガイドラインだけが提供されています。

名郷 
■ただ,Mindsは試験デザインについては非常に厳しく評価していますが,effect sizeについては議論されていない点が気になります。

尾藤 
■それはMindsだけの問題ではなく,ガイドラインでは概してeffect sizeが軽視されています。ガイドラインの根本的な弱点ですね。

名郷 
一番腑に落ちないのは,effect sizeを考慮しない大規模臨床試験やそれを根拠とするガイドラインに踊らされ,医療費削減が叫ばれているこのご時世に,effect sizeが非常に小さい慢性疾患の一次予防に莫大な予算が割かれていることです。

尾藤 
■そうですね。
effect sizeを考慮し,出ていくコストと得られる利益を勘案して医療政策を決定するというやり方は,残念ながら今の日本ではなされていません。
意識の改革が必要ですね。

利益相反は「あってはならないもの」ではない
尾藤 
■次に,製薬企業の主導による大規模臨床試験の功罪について考えてみたいと思います。
ご存じのように,循環器領域における最近の大規模臨床試験と言えば,ほとんどがスタチンとアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)に関するもので占められています。
なぜそういうことになっているかというと,現在の医療界では
スタチンとARBが売れなければ商業ベースが成り立たないからです。

名郷 
■その点は理解できます。
しかし,製薬企業の関与が大きいと,利益相反という問題が必ず出てきます。
製薬企業から資金提供を受けた試験と資金提供を受けていない試験では,前者のほうにポジティブデータが多いという報告もあります。

尾藤 
■そういう傾向は必ずあると思います。
まあ,少しでも利益相反があってはならないというわけではないのでしょうけれど。
現実問題として,スポンサーなくしてあれだけの規模のデータを収集することは不可能です。
産官学連携でも必ず利益相反がありますが,連携は推進すべきものです。
ただ,そこには確かに利益相反というものが存在することを認識し,それが試験の結果にどの程度の影響を与えるのかということを考え,その影響を差し引いて結果を読むことが必要です。
某民放テレビの情報番組で「これはいいですよ」というのと同じで,スポンサー付きの番組で紹介される情報は,そのスポンサーの利益となる情報なのです。
それをどこまで批判的に見ることができるかということですね。

名郷 
■なるほど。製薬企業がかかわる以上,いいデータは出やすくなるし,悪いデータは出にくくなるという面は必ずある。
それを割り引くことを前提とした結果と考えなければならないわけですね。
製薬企業の医薬情報担当者(MR)が持ってくる情報はどうでしょう。
これも割り引く必要がありますか。

尾藤 
■もちろんMRからの情報にも利益相反はありますが,そこはなるべく妥当な情報を提供しようという流れに最近はなってきているように思います。
MR個々人や企業側はすごく努力されていると思います。
ただ,MRの立場としては,古い薬の情報を持ってくることはほとんどありません。
受け手の医師側が,新しい薬の情報とこれまで蓄積された古い薬の知識を総合し,患者さんのために最もふさわしい薬を選ぶということをしなければならないわけですが,そのプロセスが省かれることが多々あるように思います。
例えば,医師が十分に吟味した結果としてARBが売れているならいいのですが,
新しいもののほうがいいとの思い込みからARBを処方している医師が多いとすれば,利益相反より根深い問題だと思います。

名郷 
■実績のあるベテランよりぽっと出の新人のほうがいいというのは,考えてみれば不思議な話ですね。

出典 Medical Tribune 2009.10.8
版権 メディカル・トリビューン社

 

<コメント>

実績のあるベテランよりぽっと出の新人のほうがいいというのは,考えてみれば不思議な話・・・言いえて妙ですね。


<きょうの一曲>
Backstreet Boys - I Want It That Way
http://www.veoh.com/browse/videos/category/music/watch/v409076WTW2Pb3e

 

その他
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 「井蛙内科/開業医診療録(3)」
~2009.10.15

http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)2008.12.10~

http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
               

 

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#〜男性狭心症患者 〜 全死亡リスクは女性の2倍
アイルランド国立大学ゴールウェイ校(アイルランド・ゴールウェイ)のBrian S. Buckley博士らは狭心症患者の追跡調査を行った結果,男性患者では同じ条件の女性に比べて心筋梗塞のリスクが約2倍,虚血性心疾患による死亡リスクは約3倍に達することが判明したとBMJ(2009; 339: b3058)に発表した。

#高リスク者には積極的治療を
今回の研究は,狭心症を有する男女のリスクを評価するためにプライマリケアとセカンダリケアのデータを死亡記録と照合した初めての研究である。
英国では狭心症患者が多く,虚血性心疾患の初発症状であることが多い。
最新のデータでは,イングランドでは16歳以上の男性の4.8%,女性の3.4%,スコットランドではそれぞれ6.6%,5.6%が狭心症を有していた。
そのため狭心症の診断が確定した場合,その後のリスクについて理解することは患者と医師の双方にとって重要である。
 
Buckley博士らは,1998年1月〜2001年12月にスコットランドの40プライマリケア施設で狭心症と新規に診断された患者1,785例(平均年齢62歳)を対象に検討した。
糖尿病や高血圧などの背景因子を記録し,喫煙や肥満などの心血管系危険因子も評価した。地域的な生活レベルの差の分類には患者居住区の郵便番号を用いた。
 
5年間追跡した結果,男性,高齢,喫煙者の各項目は心筋梗塞リスク増加と関連していた。
また男性,高齢者,肥満,喫煙者の各因子は心疾患または他の原因で死亡するリスク増加と関連していた。
 
経皮的冠動脈形成術(PTCA)あるいは冠動脈バイパス術(CABG)など,閉塞した動脈を開通させる治療を受ける傾向も女性より男性で強かった。
しかし,興味深いことに,いずれの治療を受けても生存率は有意に向上しなかった。
 
同博士らは「新規に狭心症と診断された人では,男性,高齢,喫煙,肥満などの多くの因子がその後の多くの心血管アウトカムリスクに大きく関与する。
今回の研究で危険因子の適切な管理と最適な予防的薬物療法の重要性が明らかになったことから,狭心症患者に対してはこれらの治療を積極的に進めるべきである」と述べている。

出典 Medical Tribune 2009.10.8
版権 メディカル・トリビューン社


<製薬会社資料コーナー>
製薬会社との間に利益相反はありません。
あくまでも勉強目的であり、使用の奨励やましてや反対の立場に立つものではないことをご理解下さい。

アテレック(シルニジピン)
持田製薬 2009.10 資料

シルニジピンの糖尿病合併高血圧症例に関する特定使用成績調査結果
永濱 忍、他:診療と新薬 2009;46;473〜491


<結語>
シルニジピンは糖尿病合併高血圧の治療において、血圧、心拍数、尿蛋白、尿酸値を低下させ、有用性の高い薬剤であることが確認された。

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