戯れ言たれる侏儒
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< 内臓脂肪蓄積による炎症とTリンパ球 | メイン | 循環器専門医が診る糖尿病治療のあり方 >

脳血管障害は日本人の死因の3位です。
そのなかで脳梗塞が占める割合は高く,寝たきり原因の1位,認知症原因の2位でもあり,その予防が医学的にも社会経済的にも重要となって来ています。

2年前の2007年に開かれた第39回日本動脈硬化学会(会長=大阪市立大学大学院病理病態学・上田真喜子教授、大阪)のシンポジウム「頸動脈プラークの病態・画像診断と脳梗塞の予知」(座長=大阪市立大学大学院循環器病態学内科・穂積健之講師,国立循環器病センター放射線診療部・山田直明医長)で,頸動脈超音波検査やMRIが脳梗塞の予知に有用であるという報告がされました。

きょうはその記事で勉強しました。

循環器領域でも心臓病が専門の先生方には興味のない内容と思われます。

私のように頸動脈エコーを実際に行っている実地医家には興味深い内容でした。

 

頸動脈超音波検査やMRIで描出される
頸動脈プラークから脳梗塞を予知する時代へ  
〜MPRAGE(DTI)〜
頸動脈と弓部大動脈に描出される
高信号プラークが脳虚血症候と相関
 
座長の山田医長らは,MRIの 1 つのアプローチ法である反転回復型3次元高速T1強調グラジエントエコー(MPRAGEまたはDTI)により描出される頸動脈の高信号プラークが脳虚血症候と強く相関することを示したうえで,それと上行弓部大動脈で描出される高信号プラークを合わせると脳虚血症候との相関がさらに強くなることを明らかにした。

心血管イベントとも高い相関
山田医長らは,頸動脈の動脈硬化性病変が疑われてMPRAGEが施行された223例394本(塞栓原性心疾患は除外)を,描出されたプラークの信号強度により高信号(近接する筋肉の 2 倍を超える場合)群と低信号(近接する筋肉の 2 倍以下の場合)群に分け,過去 6 か月以内の脳虚血症候の頻度を比較した。
すると,狭窄率の重症度にかかわらず,高信号群は低信号群に比べて脳虚血症候の頻度が有意に高く,頸動脈高信号プラークは脳虚血症候に強く相関することが明らかになった。
また,頸動脈と上行弓部大動脈のMPRAGEが施行された連続55例103本を対象に,脳虚血症候と高信号プラークの関係を見た検討では,高信号プラークは総頸動脈分岐部〜内頸動脈に41%,弓部分枝に25%,上行弓部大動脈に48%認められ,頸動脈のみの高信号プラークを考慮するより,それと弓部大動脈の高信号プラークを合わせて考慮したほうが脳虚血症候とより強く相関することが示された()。  

さらに,同医長らは,MPRAGEにより頸動脈に高信号プラークが描出される群は低信号プラークが描出される群に比べて,心血管死,心筋梗塞の発症,再灌流療法の施行などが有意に多いことや生存曲線において心血管イベント未発症率が有意に低いことを確認しているほか,多重ロジスティック解析においてMPRAGEの頸動脈高信号プラークが心血管イベントの独立した予測因子であることも突き止めているという。  

以上から,同医長は「MPRAGEにより描出される頸動脈および上行弓部大動脈の高信号プラークが脳虚血症候や心血管イベントの予測に有用である」と示唆した。 

 〜冠動脈疾患,脳梗塞の予知〜
頸動脈超音波検査で評価した形態的な動脈硬化性変化が有用  

大阪市立大学大学院循環器病態内科学の杉岡憲一氏らは,これまでに経食道心エコー図検査により評価した形態的(大動脈弓プラーク厚),
機能的(大動脈壁硬化)な動脈硬化性変化が脳卒中の独立した危険因子であることを報告している。
今回は頸動脈超音波検査により評価した形態的,機能的な動脈硬化性変化が冠動脈疾患の重症度や無症候性脳梗塞を予測できるか否かを検討。
「頸動脈プラークや狭窄度などの形態的な動脈硬化性変化は冠動脈疾患の重症度や無症候性脳梗塞の予測に有用であることが示唆された」と報告した。

血液マーカーとの組み合わせに期待  
杉岡氏らは,
(1)心機能が保持された(左室駆出率45%以上),冠動脈有意狭窄(冠動脈径50%以上)のある連続104例(平均年齢66歳,男性73例)
(2)脳卒中症状を有さない50例(平均年齢64歳,男性33例)―を対象に頸動脈超音波検査を実施し,形態的(頸動脈プラーク=プラークスコア,狭窄度=%area stenosis)および機能的(頸動脈壁硬化)に評価した動脈硬化性変化が,(1)では冠動脈疾患の重症度を,(2)では無症候性脳梗塞の予測ができるか否かを検討した。  
その結果,
(1)では病変枝数が増えるにつれプラークスコアおよび%area stenosisが有意に増大したが,頸動脈壁硬化は病変枝数が増えてもほとんど変わらず,多変量ロジスティック回帰分析においてプラークスコアおよび%area stenosisが冠動脈多枝病変の独立した危険因子であることが示された。
(2)では頭部MRIにより14例に脳梗塞の所見が認められたが,同群では脳梗塞の所見が認められなかった群に比べプラークスコアおよび%area stenosisが有意に増大していることが明らかになった。  

以上から,同氏は,冠動脈疾患の重症度予測には頸動脈超音波検査により評価した形態的変化のほうが機能的変化より有用である可能性を示唆。
また,「たとえ無症状であっても,頸動脈超音波検査で高度なプラーク形成や狭窄が認められる例では,既に無症候性脳梗塞を発症している可能性がある」と述べた。  

さらに,同氏らは動脈硬化の予後予測マーカーとして注目されている血漿myeloperoxidase(MPO)が脳梗塞の予測因子である%area stenosisや潰瘍性プラークなどと相関することを確認しており,「今後,頸動脈超音波検査と血液マーカーの組み合わせが冠動脈疾患,脳梗塞の予知に貢献することを明らかにしたい」と結んだ。

脳梗塞発症リスクはDiffuse typeが最も高い  
2000年から,頸動脈超音波検査所見と心筋梗塞・脳卒中発症に関する多施設共同前向きオープン試験として進行している函館動脈硬化(HASCLE)研究。中島内科循環器科(北海道)の中島滋夫院長らは,同研究の一環として頸動脈硬化形態を新しい定量評価法に基づいて 4 タイプに分類し,脳梗塞との関連性を検討。
「頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)が厚くて壁不整指標(LINE)が短いDiffuse typeが,脳梗塞の既往と強く関連し,脳梗塞発症リスクが最も高かった」と報告した。

 

頸動脈超音波検査と脳梗塞はアテローム血栓性でのみ関連
従来IMTと脳梗塞の関連性を見た報告は多い。
中島院長らは,IMTに加えて動脈硬化の壁不整指標としてLINE(総頸動脈球部の分岐部から外膜面の距離25mmに相当する内膜面のトレースした線分長)に注目し(),HASCLE研究を開始。しかし,以前の横断研究では,IMTは既報通り厚いほど脳梗塞と関連したが,LINEは予想と異なり短いほど,つまり壁不整が見られないものほど脳梗塞と関連することが示された。  

そこで今回,同院長らはIMTとLINEを組み合わせて頸動脈硬化形態を全標本の中央値から,
(1)両者とも小さい場合をNormal
(2)IMTのみ大きい場合をPlaque
(3)LINEのみ大きい場合をDiffuse
(4)両者とも大きい場合をIrregular
―の 4 タイプに分類し,各タイプと脳梗塞の関連性を検討した。  
対象は,2000年11月〜03年 8 月にHAS CLE研究に登録された1,447例(平均年齢67.5歳,男性676例)。
IMTとLINEの中央値は0.875 mmと25.15mmで,Normalは376例(26.8%),Plaqueは352例(25.2%),Diffuseは224例(16.0%),Irregularは448例(32.0%)であった。
年齢,性,高血圧などの危険因子を補正した多変量ロジスティック回帰分析では,Normalに比べPlaque,Diffuse,Irregularのオッズ比は1.70,1.86,2.15といずれも高かったが,Diffuseが脳梗塞の既往と最も関連することがわかった。
前向き研究で経過観察しえた1,314例(平均年齢69.0歳,男性561例,平均観察期間4.28年)を対象に年齢,性を補正したCox比例ハザードモデルでも,ハザード比がDiffuseのみ有意に高く,Diffuseが脳梗塞の発症リスクであることが示された()。

また,脳梗塞病型別(アテローム血栓性,心原性,ラクナ)の検討では,アテローム血栓性のみNormalに比べDiffuse,Irregularのオッズ比が有意に高かった。  

以上の結果から,同院長は「頸動脈超音波検査はアテローム血栓性脳梗塞に関しては予測が可能で,頸動脈硬化形態がDiffuseであれば危険性が高いと判断できる」と考察した。

出典 Medical Tribune  2007.9.6
版権 メディカル・トリビューン社

<きょうの一曲>
あの日にかえりたい/山本潤子(ソングフォーメモリーズ)
http://www.youtube.com/watch?v=uLJaYImLRlw&feature=fvw



2009.9.20撮影 快晴
遠景は穂高・槍ヶ岳です。


その他
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~
http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。
 

 

 

 

 

 

 

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