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近年,わが国の若年者で急性心筋梗塞(AMI)患者が増加傾向にあります。
しかし,何が危険因子となっているのかは意外と明らかになっていないようです。
このことは、高LDL血症や低HDL血症や糖尿病などの危険因子のない中高年での心筋梗塞発症例にもあてはまることです。
2年前の2007年の第39回日本動脈硬化学会のシンポジウム「若年者急性心筋梗塞のリスクファクターの特徴」(座長=山口大学大学院器官病態内科学・松崎益徳教授,京都大学大学院循環器内科学・木村剛・准教授)で,わが国の若年者AMIの特徴としてメタボリックシンドロームの合併率が高く,肥満や脂質異常症が危険因子となっていることなど,最新の知見が報告されました。
きょうはその記事で勉強しました。
日本人若年AMI 肥満や脂質異常症が危険因子に
〜若年性AMI・メタボリックシンドローム〜
合併率高く,MACE発生率も高い
横浜栄共済病院循環器内科の野末剛氏らは,若年性AMIの臨床的特徴と予後を検討した結果,若年性AMI患者は高率にメタボリックシンドロームを合併しており,死亡率は低いが,主要心血管イベント(MACE)発生率が高いため,危険因子のコントロールが重要だと報告した。
small dense LDL-Cがマーカーに
対象は,1997〜2006年に発症から24時間以内に同院に搬送されたAMI患者(535例)のうち50歳以下(42例)で,緊急経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が成功した39例(男性37例,女性 2 例;平均年齢43±6歳)。
39例の臨床的な特徴は,肥満,低HDLコレステロール(HDL-C),高トリグリセライド血症だったが,総コレステロール,LDLコレステロール(LDL-C)は正常。糖尿病合併率28%,平均空腹時血糖値99±29mg/dL。高血圧合併率は59%,収縮期血圧130±22mmHg,拡張期血圧82±18mmHg。
メタボリックシンドロームの合併率は30歳以下100%,35歳以下75%,40歳以下73%,45歳以下68%(全体で49%)で,同シンドロームの診断基準項目数とともに,統計学的に有意ではないが,若年者ほど高い傾向が認められた。
メタボリックシンドローム群は全員男性で,非メタボリックシンドローム群と比べ,年齢,ヘモグロビン値が有意に高く,喫煙率は両群ともに79%と高率だった。
退院時の薬物療法は,スタチンが平均40%, ACE阻害薬またはアンジオテンシン II 受容体拮抗薬(ARB)は平均60%と少なかった。
メタボリックシンドロームと非メタボリックシンドロームの両群とも90%がST上昇型MIで,発症から来院までの時間と再灌流までの時間に差は認められなかった。
標的血管は両群ともに 5 割が左前下行枝,4 割が右冠動脈だった
。
病変枝数は,同シンドローム群のほうが非同シンドローム群よりも有意に多かった(1.4±0.6対1.1±0.3)。
両群のMACE,MI,標的病変部再血行再建(TLR),狭心症発症,冠動脈バイパス術(CABG)の割合に有意差は認められず,死亡率は全体で 0%だったが,MACE発生率は40%と高かった。
また,small dense LDL-Cを調べると,メタボリックシンドローム群のほうが非メタボリックシンドローム群よりも有意に高く,脂質低下薬を服用していない群で特に高く,同シンドローム診断基準項目数の増加に伴い上昇した。
高感度C反応性蛋白(CRP)は,安定狭心症,急性冠症候群(ACS)のいずれの群でも,同シンドローム群のほうが有意に高かった。
以上から,野末氏は「若年性AMI患者は高率にメタボリックシンドロームを合併しており,small dense LDL-Cが有効なマーカーとなる可能性が示唆された。
同シンドローム群と非同シンドローム群の予後に差はなく,若年性AMIの死亡率は低いが,MACEは40%以上と高いため,危険因子のコントロールが重要だ」と結論した。
〜若年・中年男性AMI〜
肥満が発症の独立した危険因子に
近年,若年男性の冠動脈硬化と肥満との関連性が指摘されている。
京都第一赤十字病院循環器科の白石淳医長らは検討の結果,肥満のない若年男性のAMI症例では基礎疾患が存在することがあるが,それらの症例を除くと大部分の症例で肥満が認められ,若年,中年男性において,肥満はAMI発症の独立した危険因子であったと報告した。
女性では喫煙が危険因子
2000年 1 月〜05年12月に京都府内の16病院が参加する京都心筋梗塞研究会に登録された2,230例のうち,発症時年齢が40歳未満の男性33例を肥満群〔body mass index(BMI) ≥ 25〕21例と非肥満群(BMI<25)12例に分けて検討した。
その結果,非肥満群のうちBMI 24未満の 4 例で,なんらかの基礎疾患(川崎病 2 例,バージャー病 1例,薬物乱用 1 例)を有し,肥満群と比べて基礎疾患保有率が有意に高かった。
また,非肥満群では左前下行枝を責任血管とする割合が高く,肥満群では右冠動脈を責任血管とする割合が高かった。
病変枝数は両群で差は認められなかった。
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)前のTIMIグレードは,非肥満群のほうが肥満群よりも有意に高かったが,PCI後のTIMIグレードは両群で有意差はなかった。
以上から,若年男性のAMI発症に肥満が関与している可能性が示唆された。
次に,2000年 1 月〜04年 6 月に同研究会に登録された1,260例(AMI群)と京都府民健康栄養調査に登録された3,775人(対照群)を対象に,肥満およびその他の冠危険因子について,性,年齢(若年層20〜40歳,中年層40〜60歳,高齢層60〜80歳,超高齢層80〜100歳)により検討した。
その結果,男性ではBMIが,超高齢層を除く,若年,中年,高齢層でAMI群のほうが対照群よりも有意に高く,特に若年層で顕著だった。
女性ではBMIが,高齢層でAMI群のほうが対照群よりも有意に高かったのに対し,若年,中年,超高齢層では両群で差は見られなかった。
また,男性では若年になるほどAMI群の肥満の頻度が対照群よりも有意に高かった。
一方,女性では高齢層でのみ, AMI群の肥満の頻度が対照群よりも有意に高かった。
多変量解析の結果,肥満は男性の若年層(オッズ比4.73)と中年層(同2.06)でAMI発症の独立した危険因子であった。
また,喫煙は男性の高齢層,女性の中年層,高齢層でAMI発症の独立した危険因子で,特に女性で強力な危険因子であった。
〜若年者AMIの冠動脈責任病変リモデリング〜
収縮性リモデリングが特徴
大阪市立大学大学院循環器病態内科学の片岡亨氏らは,これまでにAMIの冠動脈責任病変リモデリング様式について検討し,AMIでは拡張性リモデリング(ER)が55%を占め,収縮性リモデリング(CR)は25%であること,ERは70歳以上の高齢者に多く,CRは55歳以下の若年者に多いことを報告している。
今回,日本人AMI患者の危険因子と冠動脈責任病変リモデリング様式の特徴を若年者と高齢者で検討した結果,若年者AMIでは肥満と脂質異常症が危険因子であり,CRが冠動脈責任病変リモデリングの特徴だった(Ehara S, Kataoka T, et al. Am J Cardiol 2007, in press)。
脂質異常が内皮細胞障害を惹起
インターベンション前に血管内超音波(IVUS)画像が得られたAMI患者を年代別に,若年者群(55歳以下)21例,中間層群(55〜70歳)30例,高齢者群(70歳以上)36例の 3 群に分類して,冠動脈責任病変リモデリング様式の特徴を検討した。
リモデリングインデックス(RI)を責任病変の血管径を近位対照血管径で除した値とし,RI>1.05をER,RI<0.95をCR,0.95 ≤ RI ≤ 1.05を中等度リモデリング(IR)と定義した。
その結果,若年者群では中間層群や高齢者群に比べて,脂質異常症が有意に多かったが,高血圧,糖尿病は3 群間に有意差はなかった。
喫煙率は若年者群で高い傾向にあった。
総コレステロールと中性脂肪は若年群で有意に高値を示した。HDLコレステロールは高齢者群で高い傾向が見られたが有意差はなかった。body mass index(BMI)は若年群25.5,中間層群24.2,高齢者群22.0と,若年群で有意に上昇した。
冠動脈責任病変リモデリング様式については,若年者群ではCRが約50%と多く,高齢者群や中間層群ではERが多かった。
以上から,片岡氏は「若年者AMIでは,冠危険因子としては肥満,脂質異常症が,冠動脈責任病変リモデリングとしてはCRが関与していた。
若年者AMIでは,脂質異常が内皮細胞障害を惹起し,平滑筋細胞の増殖がCRを促進する可能性が考えられる。
反復的な内皮細胞障害により急速に平滑筋細胞が増殖して内皮細胞が再生されない場合,血栓が形成され,不安定狭心症やAMIが生じると推測される。
将来的には高齢者の肥満がAMIの危険因子となる可能性がある」と指摘した。
〜若年発症冠動脈疾患患者〜
脂質代謝異常関連因子が冠血行再建術の予後予測に重要
京都大学大学院循環器内科の古川裕氏らは,若年者冠疾患の危険因子と若年冠疾患患者における心血管イベントの予測因子を明らかにすることを目的に検討を行った。
その結果,若年発症冠動脈疾患患者では中高年発症例と比べて男性,家族歴などの先天的な素因のほか,肥満,喫煙など生活習慣や脂質代謝異常に関連する冠危険因子の保有率が高いという特徴があった。
また,同疾患患者の冠血行再建術の予後規定因子としては,脂質代謝異常関連因子の重要性が示唆された。
約9,000例を解析
参加30施設で2000〜02年に初回冠血行再建術を施行した冠動脈疾患患者の予後と心血管イベントを追跡したCREDO-Kyoto登録症例9,877例から悪性腫瘍患者を除外した9,381例を,若年者(55歳以下)1,264例(13.5%)と中高齢者(56歳以上)8,117例(86.5%)に分けて検討した。
若年者群は中高齢者群よりも,男性,肥満〔body mass index(BMI)25以上〕,現在の喫煙,冠動脈疾患の家族歴などの危険因子の保有率が有意に高かった。
脂質代謝異常に関連する総コレステロール高値,LDLコレステロール(LDL-C)高値,トリグリセライド高値,HDLコレステロール(HDL-C)低値などの割合も,若年者群のほうが中高齢者群よりも有意に高かった。
また,メタボリックシンドローム様の危険因子集積の割合も,若年者群のほうが中高齢者群よりも有意に高かった。
糖尿病の有病率は両群で差はなく,高血圧,脳血管疾患,末梢動脈疾患の有病率は中高齢者群のほうが若年者群よりも有意に高かった。
次に,9,381例のうち登録前 1 年以内に心筋梗塞を発症した1,226例を対象に検討した。
その結果,若年者群のほうが中高齢者群よりも男性,肥満,現在の喫煙,冠動脈疾患の家族歴, HDL-C低値以外の脂質代謝異常に関連する危険因子の保有率が有意に高かった。
また,若年者群のメタボリックシンドローム様の危険因子集積は中高齢者群の 3 倍の保有率だった。
糖尿病の有病率は両群で差はなく,高血圧,脳血管疾患,末梢動脈疾患の有病率は中高齢者群のほうが若年者群よりも有意に高かった。
さらに,院内死亡を除外した9,313例を対象に多変量解析を行った結果,腎機能障害とLDL-C高値が,若年者における総死亡,心血管死の有意な独立した予測因子であった。
また,末梢血管疾患合併とHDL-C低値が若年者における心筋梗塞発症の有意な独立した予測因子であった。
〜40歳未満の若年AMI〜
喫煙が血栓形成を促進
大阪警察病院心臓センター循環器科の上田恭敬部長らは,これまでに高齢AMI患者の責任病変を血管内視鏡で検討した結果,90%以上に黄色プラークが認められ,血栓が形成されることを示している。
今回,若年AMIの血管内視鏡的な特徴と臨床的特徴との関係を検討した結果,特に40歳未満の若年AMIでは喫煙が血液側の血栓形成促進因子として重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
禁煙により血液側の要因を修正
50歳未満の若年AMI患者66例と50歳以上の高齢AMI患者827例,計893例を対象に血管内視鏡的な特徴と臨床的特徴との関係を検討した。
血管内視鏡検査を受けたのは若年AMI患者66例中20例。
黄色プラークが破綻して表面に血栓形成を伴ったものをdisrupted yellow plaque with thrombus(dYP & T)と定義した。
臨床的特徴としては,若年AMI群は高齢AMI群よりも,男性,脂質異常症,現在の喫煙,肥満の割合が有意に多く,総コレステロール値,LDLコレステロール値,トリグリセライド値が有意に高かった。
一方,高齢AMI群は若年AMI群よりも,多枝病変,薬物療法を受けている割合が多かった。
血管内視鏡検査を受けた20例中14例(70%)で責任病変にdYP & Tが認められた。
50歳未満の若年AMI患者を,さらに40歳未満と40〜50歳に分けて検討すると,dYP & T保有率は40歳未満のほうが低かった(44%対91%,P=0.05)。
また,両群の臨床的特徴を比較すると,40歳未満では現在喫煙している者の割合が多かった(88%対62%,P=0.05)。
以上から,50歳未満の若年AMI患者ではdYP & T保有率が低かったが,喫煙,肥満,高コレステロール血症の割合が有意に多く,これらの因子の動脈硬化促進因子を抑制することで病変形成を抑制できると考えられる。
また,特に40歳未満のAMI患者ではdYP & T保有率が低く,現在喫煙している者の割合が有意に高かったことから,若年AMIでは喫煙が血液側の血栓形成促進因子として関与しており, AMI発症に不安定プラークよりも血液の不安定性(vulner-able blood)が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
上田部長は「禁煙により血液側の要因を修正することで短期間でも心筋梗塞発症抑制効果があるのではないか」と述べた。
〜家族性高コレステロール血症〜
若年CADは高コレステロール血症関連の身体症状が特徴
国立循環器病センター研究所バイオサイエンス部の斯波真理子室長らは,家族性高コレステロール血症(FH)ヘテロ接合体例のうち若年冠動脈疾患(CAD)の特徴を検討した結果,40歳未満でCADを発症した群では高コレステロール血症に関係する身体症状を呈し,40歳以上でCADの既往がある群では生活習慣の関与が示唆された。
またFHに対する遺伝子解析の結果,CAD発症率が高いLDL受容体遺伝子異常が示唆され,これらの結果と病態との関連を調べることにより治療計画に有用な可能性があると述べた。
C338S, D433Hで高率に発症
FHは,LDL受容体遺伝子異常による遺伝疾患であり,FHヘテロ接合体例は高コレステロール血症,アキレス腱黄色腫,若年性動脈硬化症を主徴とする。
斯波室長らが同センター代謝内科外来でフォロー中のFH患者を検討した結果,発症年齢のピークが男性で30〜40歳代,女性で50歳代と,金沢大学大学院脂質研究講座の馬渕宏特任教授らが約20年前に報告した結果と比べて若年に移行していた。
また,FHヘテロ接合体例の初診時の総コレステロール(T-C)はほとんどが220mg/dL以上で,スタチン系薬を中心とした治療後も目標の180mg/dLに下がっている例はきわめて少数であった。
次に国立循環器病センター代謝内科外来でフォロー中のFHヘテロ接合体例184例のうち,40歳未満でCADを発症した男性(M群)16例と50歳以上でトレッドミル,負荷心電図などでも異常が認められない男性(N群)18例の特徴を検討した。M群のCAD発症年齢は平均35歳,16例中11例がAMI,5例が狭心症。1 枝病変 2例,2 枝病変 8 例,3 枝病変6 例であり,病態はかなり重篤だった。
また,M群では, 未治療時のT-CとLDLコレステロール(LDL-C)が高値で,皮膚黄色腫が高頻度,アキレス腱厚が厚いなど,高コレステロール血症に関係する身体症状を呈していた。
次に,40歳以上でCADの既往がある群54例(CAD+群)とCADの既往がない群94例(CADー群)を比較したところ,CAD+群は未治療時のT-CとLDL-Cが高値であるうえに,LDL-C以外の危険因子数,body mass index(BMI),ウエスト周囲径,HbA1cが高値であるなど,生活習慣の関与が示唆された。
さらに,FHヘテロ接合体例70例についてLDL受容体遺伝子の遺伝子解析を行った結果, 42例(60%)に遺伝子変異(エクソン上の点変異39%,フレームシフト 6 %,スプライス15%)が存在し,エクソン 7 〜12で変異の集積が認められた。C338S保有 7例全例とD433H保有 3 例中 2 例がCADを発症しており, C338S保有 7例中 5 例が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療後にCADを再発した。
また,C338S保有例では, CAD未治療時のT-Cは高値を示していた。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=CREDO&perpage=0&order=0&page=1&id=M4036111&year=2007&type=allround
出典 MT pro 2007.9.6
版権 メディカル・トリビューン社

Baie des anges, Nice-Raoul Dufy
http://hamoblo.com/kinren/index.php?type=1&entryId=1023
<きょうの一曲> Desperado
Linda Ronstadt - Desperado
http://www.youtube.com/watch?v=djP8zIwCp3I&hl=ja
The Eagles & Linda Ronstadt -Desperado
http://www.youtube.com/watch?v=xHS1Jey4clk&feature=related
The Eagles - Desperado (live)
http://www.youtube.com/watch?v=vsLylyEoLDo&feature=related
その他
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
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