戯れ言たれる侏儒
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兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤幸人部長が書かれた記事で勉強しました。
内容は、糖尿病を合併していない高血圧患者での厳格な降圧はどういった臨床的意義があるかという内容です。
周知のごとく、JSH2009では糖尿病合併例の降圧目標値は若年者・中年者に比較して拡張期で5mmHg、高齢者と比較して収縮期・拡張期ともに10mmHg低い数値となっておりより厳格な降圧目標を設定されています。
 

アルブミン尿は心不全患者においても強い予後予測因子
CHARM試験サブ解析から

究の背景:
クレアチニン値やeGFRは心不全患者の予後に関連
アルブミン尿が心血管イベントの予測因子であることは一般住民,高血圧患者において既に多数報告されており,特に高血圧患者では代理指標として薬剤の効果判定にも用いられている。
一方,心不全患者において腎機能が心機能とは独立した予後規定因子であることは心腎連関として広く知られているが,そのほとんどはクレアチニン値や推算糸球体濾過量(eGFR)での検討であり,心不全患者においてアルブミン尿が予後規定因子であるか否かは不明であった。

CHARM試験はアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタン投与が慢性心不全患者において有用であることを報告した研究であるが,今回そのサブ解析としてアルブミン尿の予後予測指標としての意義が検討された(Lancet 2009;374:543-550
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19683640)。

研究のポイント:
アルブミン尿の出現・悪化で心血管イベントや総死亡のリスクは上昇
(1)
アルブミン尿が検討されたのは2,310例の北米患者であり,顕性アルブミン尿を男女ともに尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が 25mg/mmoL以上と定義し,微量アルブミン尿をUACRが男性2.5~25mg/mmoL,女性3.5~25mg/mmoLと定義した。
その結果,患者の58%はアルブミン尿が陰性であり,30%が微量アルブミン尿,11%が顕性アルブミン尿であった。
CHARM試験では,収縮能が保持された心不全患者についても検討されたが,収縮能が低下した患者群と保持された患者群では,同程度の頻度にアルブミン尿が見られた。

アルブミン尿が見られた患者では収縮期血圧,血清クレアチニン,HbA1cが有意に高く,eGFRは有意に低かった。
観察開始時の心不全症状が有意に多く認められ,高血圧,糖尿病の合併が有意に多く,貧血傾向にあった。

(2)アルブミン尿陰性の患者と比較すると,微量アルブミン尿,顕性アルブミン尿の患者はともに,総死亡,心臓死,心臓死+心不全+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中などのエンドポイントにおいて,Cox比例ハザードモデルでのハザード比が有意に高値であった。
一次複合エンドポイント(心血管死+心不全による入院)および総死亡の発生について,尿中アルブミンのレベル別にKaplan-Meier曲線を用いて解析したところ,いずれも顕性アルブミン尿群で最も高率で,次いで微量アルブミン尿群,アルブミン尿陰性群の順であった()。

この結果は,患者背景因子,クレアチニン,eGFR,HbA1cを補正しても同様であった。
アルブミン尿陰性群と比較した補正ハザード比も明らかにされた。
それによると,一次複合エンドポイントについては,微量アルブミン尿群で1.43(95%信頼区間1.21〜1.69, P<0.0001),顕性アルブミン尿群で1.75(同1.39〜2.20, P<0.0001),総死亡については,微量アルブミン尿群で1.62(同1.32〜1.99, P<0.0001),顕性アルブミン尿群 で1.76(1.32〜2.35, P=0.0001)であり,いずれもアルブミン尿が悪化するほどリスクが有意に上昇することがわかった。

また,収縮能が低下した患者群と保持された患者群に分けて比較しても,同程度のハザード比であった。

(3)アルブミン尿の経過は約半数の患者でしか追跡できず,経過中カンデサルタンの投与はアルブミン尿の抑制,出現を抑制しなかった。


佐藤幸人部長の考察:

鋭敏な指標だが,介入方法は今後の課題
今回,大規模な症例数で尿中アルブミンが心不全患者の心血管イベントの独立した予測因子であるという事象が報告された。
論文ではUACRが正常範囲であってもそのレベルが高くなるほど,段階的にリスクが上昇することも示されており,かなり鋭敏な指標であることがわかる。
尿中にアルブミンが漏れる機序の一部は論文の考察中に述べられているように血行動態の異常である腎うっ血を反映すると考えられるが,今後の検討課題である。

さらに今回は,カンデサルタンのアルブミン尿抑制効果は不明であったが,軽症であればACE阻害薬やARB,利尿薬などの投与で尿中アルブミンが低下するのか,さらに長期間観察すればよいのかも今後の課題である。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr090808.html?ap

出典 MT pro 2009.8.20
版権 メディカル・トリビューン社

 

 

その他
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 「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~
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