戯れ言たれる侏儒
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降圧目標135/85mmHgは効果なし? 糖尿病患者などでも同様の結果に
コスタリカの研究者が発表
高血圧治療における降圧目標は140~160/90~100mmHg以下が臨床現場での定説であったが,日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2009」(JSH2009)をはじめ,近年のガイドラインでは135/85mmHgとするものが少なくない。
しかし,新しい降圧目標は本当に有益なのか。

この疑問に答えるべく,コスタリカ大学(コスタリカ・サンペドロ)教授のJose Agustin Arguedas氏らが調査を行ったところ,降圧目標を下げても死亡率低下や疾患の改善に対する有効性はないとの結果が出た。
詳細はCochrane Database Syst Rev 7月8日オンライン版に掲載されている。

死亡率のリスク比は0.92で有意差に至らず
Arguedas氏らは, 電子データベースのMEDLINE(1966~2008年の記録),EMBASE(1980~2008年の記録),CENTRAL(2008年までの記録)に掲載された論文やガイドライン,臨床試験などから,140~160/90~100mmHgと135/85mmHgに該当する血圧が治療によって得られた群と対照群をランダムに抽出し,その効果を比較した。

一次エンドポイントは総死亡率,総重篤有害事象,総心血管イベント(心筋梗塞,脳卒中,うっ血性心不全,末期腎不全),二次エンドポイントは収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の平均血圧値と副作用による治療中止。
異なる降圧目標を比較した臨床試験は,SBPを対象にしたものはなかったが,DBP対象は7件(対象者数2万2,089例)見つかっている。

その結果,たとえ降圧目標を140~160/90~100mmHgから135/85mmHgに下げても,死亡率は有意に改善されないことが示された(リスク比0.92,95%信用区間0.86~1.15)。
また,心筋梗塞(同0.90,0.74~1.09),脳卒中(同0.99,0.79~1.25),うっ血性心不全(同0.88,0.59~1.32),主要心血管イベント(同0.94,0.83~1.07),末期腎不全(同1.01,0.81~1.27)と,各疾患の改善との関連性も見出されていない。

また,糖尿病患者と慢性腎疾患患者を対象とした解析でも,降圧目標による死亡率と疾患の状態への影響は認められなかった。

以上の結果から,同氏らは「降圧目標を140~160/90~100mmHgから下げたとしても,死亡率や各疾患は改善しない」と結論。
ただし,今回検討した7試験のうち6試験で総重篤有害事象や副作用のための治療中止に関する情報が不足していたため,「完全に評価できたわけではない」とも述べている。
また,各ガイドラインが糖尿病患者と慢性腎疾患患者に対してさらに低い降圧目標を推奨していることから,現在はこの点について研究を行っているという。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0907/090747.html?ap

出典 MT pro 2009.7.21
版権 メディカル・トリビューン

 

<コメント その1>
これってどのように評価すればよいのでしょうか。
メーカー主催の降圧剤の講演会ではこんな話は聞けません。
そんな講師は、たとえ最初にお呼びがかかっても2度目以降はお声がかかりません。

私は、MRさんの研究会に時々お呼びがかかりますが、こういった裏話的(オフレコ)な話を織り交ぜて講演します。
講演後の反応は概して好評ですが、少し考えてみればこれは外交辞令であることが分かります。
それは同じメーカーからは2度とオファーがないからです。

そりゃそうですよね。
折角メーカーから「洗脳」されたMRさんに「雑音」を聞かせては、企業としての立場がありません。
<コメント その2>
一時Jカーブ現象という言葉が一世を風靡しました。
今回の論文はJカーブ現象ではなく「底打ち現象」「踊り場現象」といったところですが、アルファベットを使った専門用語があるのでしょうか。


大昔読んだ文献でも「夜間に血圧を下げ過ぎると脳梗塞の発生頻度が増加する」と書いてありました。
印象深いのは第1回高血圧学会会長のK教授のグループの論文で、やはり同じようなことが書いてありました。

しかし、現在は夜間高血圧(nonn-dipper)の概念が広がりlower the betterという風潮です。

糖尿病領域でもACCORD試験で過度の降圧が夜間の低血糖を引き起こしている可能性が指摘されています。
ACCORD試験と死亡率増加
http://wellfrog3.exblog.jp/11827920

何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」ということでしょうか。

<Jカーブ関連サイト>
脳梗塞の再発予防では、降圧療法が推奨される
http://www.jsts.gr.jp/guideline/055-056.pdf
■Jカーブ現象、すなわち過度の降圧に伴い再発率が上昇するか否かは、報告により一定しない。
Hasson, et al. Lancet;1998,351:1755-1762
■TIAあるいは軽度の脳卒中において収縮期血圧130mmHgおよび拡張期血圧80mmHgまでは血圧が低いほど再発リスクは低下し、Jカーブ現象はないとする報告がある。
Rogers A et al. BMJ1996;313,147
■一方、Jカーブ現象があるとする報告では、最も再発率が低い拡張期血圧はラクナ梗塞80〜84mmHg、アテローム血栓性脳梗塞85〜89mmHgであった(降圧薬の種類別の解析なし)。
Irie K et al. Strike 1993;24:1844~1849


ACE阻害薬で冠動脈疾患例を降圧するとJカーブが現れる?
NM online 2004.3.28
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/298308.html
■2004年3月27日のポスターセッションにおいて、京都大学循環器内科の由井芳樹氏は、わが国で行われたJMIC-Bのサブ解析を報告した。
■冠動脈疾患合併高血圧例に対するCa拮抗薬とACE阻害薬の有用性を比較したJMIC-Bだが、ACE阻害薬群では収縮期血圧と心事故発生率の間に、一見するとJカーブ(一定以上の降圧によりイベントが増加する現象)が現れるという結果に、多くの参加者が集まった。
■JMIC-Bは、冠動脈疾患合併の高血圧患例においてCa拮抗薬の心事故抑制作用がACE阻害薬と同等だと明らかにした無作為化試験(Hypertens Res 2004; 27:181)だが、今回は到達血圧と心事故発生率の関係が検討された。
まず拡張期血圧と心事故発生率だが、Jカーブは認められなかった。しかし収縮期血圧では、130mmHg未満まで降圧できた群では「140mmHg以上150mmHg未満」の群に比べ心事故が有意に増加していた。
そこで収縮期血圧と心事故発生率の関係を薬剤別に見ると、Ca拮抗薬服用例ではJカーブは「130mmHg未満群」における心事故の有意な増加は認められなかったが、ACE阻害薬服用例では有意な増加を認めた。
■従来、心事故におけるJカーブ現象は、主として拡張期血圧との関係で指摘されてきた。しかし本検討では拡張期ではなく、収縮期血圧と心事故の関係でJカーブが認められている。
何故、このような結果となったのか。座長である国立循環器病センター内科高血圧腎臓部門の河野雄平氏が質問した。

■これに対し「薬剤の特性の違いが出たと考えられます」と由井氏は答えた。

 「本試験の『心事故』には胸痛が含まれているので、抗狭心症薬でないACE阻害薬では胸痛出現が増加したのでしょう」。

 これを受けて自治医科大学循環器内科の刈尾七臣氏が、胸痛を除外すれば血圧は低いほどベントが減少していたか質問した。
「そうなると思う」が由井氏の答えだった。
<コメント>
降圧剤別にJカーブの有無が分かれるということで興味がわきましたが、ちょっと肩すかしの結果dした。

わが国の高血圧治療とEBM
http://www.lifescience.jp/ebm/opinion/199910/index.html
■evidenceを重視するという意味では,HOT studyから結論が導かれるはずであったJカーブの有無の問題があります。Cruickshankのいう虚血性心疾患の既往のある症例では拡張期血圧を85mmHg以下に下げることの是非を検証するために行われた臨床試験でした。
しかしこの試験では降圧目標を80, 85, 90mmHg の3群に分けた訳ですが,実際には予想したようには分かれず,3群が一塊になってしまった。そのかわり実際の到達値と心血管イベントの発症との関係をみるという姑息的手段で解析したわけです。
その結果,ご存じのように至適降圧拡張期レベルを83mmHgとしながらも,拡張期血圧を75mmHg以下に下げても安全であると結論づけています。
わたしはもともと心臓を専門とする立場からJカーブは存在しないという考え方を強く支持していましたが,このHOTの成績は万人を納得させるに足る科学的なものではないと思います。
HOT studyの結果を待たずともJカーブが存在しないとの臨床試験は少なくありません。
■また研究者によっては血圧をもっと下げた場合にはJカーブはかならず出現するという人もいますが,このような議論は非現実的です。
高血圧患者の拡張期血圧を70mmHg以下に下げ続けることは一般的には行いません。
もし下げたいと思う臨床医がいるとすれば,それ以下に下げることの善し悪しは個々の患者の合併症やリスク因子を考慮して各々の医師が決断を下し,自己の責任において決定すべきことがらです。
これがIndividual Therapyというべきものです。

高齢者では血圧の下がりすぎはよくないと聞きましたが?
http://www.gik.gr.jp/~skj/ht/htfaq.php3

冠動脈疾患(虚血性心疾患)と診断された方では拡張期血圧の過度の低下により逆に心筋梗塞や脳卒中などの心血管事故や死亡率が増加することが示されており(Jカーブ現象)、臓器障害を既にもっている方の場合の過度の降圧には注意が必要です。

J カーブ理論と The lower, the better
http://www.lifescience.co.jp/cr/zadankai/0402/2.htm


降圧目標は125/75mmHg、それ以下に下げる場合は慎重に
(第28回日本高血圧学会総会)
http://www.gclew.com/gakkai/28th_jsh/contents/0918_2.php
■プロスペクティブ研究61件のメタ解析の結果から、どの年齢層においても血圧は低ければ低いほどイベント発生率が低下することが明らかにされている。
一方、虚血性疾患を合併した患者には至適血圧があり、血圧がそれより高くても低くても心筋梗塞の発症率が上昇するとしたJカーブ現象の是非については決着が付いていない。
■長谷部氏らが実施したASAHI研究では、拡張期血圧が低いほど冠動脈病変重症度が高度であるにもかかわらず重篤なイベントの発生率が低かったが、収縮期血圧は125mmHg未満の群で重篤なイベントの発生率が高かった。
Jカーブ現象を検討する目的で実施されたHOT研究では、拡張期血圧75mmHg未満、収縮期血圧125mmHg未満で、心筋梗塞の発症リスクが若干増大しており、INVEST研究では、拡張期血圧が70mmHg以下の群では心筋梗塞の発症リスクが上昇している。
■また、心筋梗塞発症例における二次予防について検討したASAHI-2研究では、70歳未満の群では収縮期血圧の低下とともに心筋梗塞や狭心症の発症リスクは低下したが、70歳以上の群では収縮期血圧120mmHg未満の群でこれらの心イベントの発症リスクが増大した。
また、70歳以上の群では拡張期血圧70mmHg未満になると心イベントの発症リスクが有意に上昇した。
■これらの知見から長谷部氏は、降圧目標は125/75mmHgを目安として、これ以下に下げる場合には慎重に観察する必要があるだろうと述べ、今後はインターベンションをはじめ、スタチン、抗凝固薬や抗血小板薬、硝酸薬などの影響、さらには年齢や動脈硬化病変の重症度の影響などを検討する必要があることを指摘して、講演を締めくくった

<きょうの一曲>
妹尾 美里
http://www.misatosenoo.com/

 

3歳よりピアノを始める。
武蔵野音楽大学器楽学科ピアノ科卒業。
クラシックを伊東京子氏(p)に師事。
卒業後、ミッシェル・ペトルチアーニの音楽に出会い、衝撃を受けジャズに転向。
<コメント>
確かにミッシェル・ペトルチアーニと見(聴き)紛う演奏です。

 

<きょうのサイト>
Google Earth で 月を探索
http://www.youtube.com/watch?v=N-W6bKXGZEc&feature=featured

cafe montmartre
http://cafemontmartre.jp/
高野雲の個人サイト、カフェ・モンマルトルは、音楽に魅せられたこだわりのページです。すべての好奇心旺盛な人たちのために!

快楽ジャズ通信
http://kairaku-jazz.seesaa.net/

 

 


 

その他
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~
http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。

 

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