戯れ言たれる侏儒
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< 厳格な血糖コントロールと心血管障害リスク... | メイン | 超音波による動脈硬化診断 >

最近のMRとの面会で、「クロピドグレルとPPIの併用」が話題になりました。
このMRはクロピドグレルの販売メーカーではなく、あるPPIを販売しているメーカーでした。
S社から何の連絡もないのは寂しいことですが、こういったことはありがちなことかも知れません。

このMRが言うにはPPIの中でもクロピドグレルとの併用に問題があるのとないのがあるということでした。

このMRのメーカーのPPIは併用に問題ないとのこと。

当地区の基幹病院の循環器部長はクロピドグレルとある種のPPIとの併用を循環器グループ内で禁止としたという話をしていました。

そもそも開業医はPPIは適応を厳重に遵守して投与しています。
クロピドグレルによる消化性潰瘍予防目的にPPIを処方することは、ありえないことです。

#急性冠症候群発症後、クロピドグレルにPPI併用は有害事象を有意に増加
急性冠症候群(ACS)患者でクロピドグレル(商品名:プラビックス)を服用している患者について、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用した人は、クロピドグレルのみを服用している人に比べ、死亡とACSによる再入院がおよそ1.25倍に増えることがわかった。
米国Denver VA Medical CenterのP. Michael Ho氏らの研究で明らかになったもので、JAMA誌2009年3月4日号で発表されている。

#退院後の複合リスクは1.27倍に
同氏らは、2003~2006年に急性冠症候群で、入院中および退院後にクロピドグレルを服用していた8,205人について、後ろ向きに調査を行った。
退院時または退院後にPPIを服用していたのは、63.9%(5,244人)、服用していなかったのは36.1%(2,961人)だった。

追跡期間中の死亡またはACSによる再入院の発生率は、PPI併用群で29.8%(1,561人)に対し、対照群では20.8%(615人)。
多変量解析後、死亡またはACSによる再入院に関するPPI併用群の対照群に対する補正後オッズ比は、1.25(95%信頼区間:1.11~1.41)だった。

また退院後のPPI患者について詳しく見てみると、PPIを併用していた期間の発生率が、クロピドグレル単独だった期間の発生率に比べ有意に高く、補正後ハザード比は1.27(95%信頼区間:1.10~1.46)だった。

#血管再生術実施率は1.49倍に、総死亡率には有意差なし
PPI併用群ではまた、対照群に比べ、ACS再発による入院率(補正後オッズ比:1.86、95%信頼区間:1.57~2.20)や血管再生術実施率(同:1.49、同:1.30~1.71)が有意に高率だった。
一方、原因を問わない死亡率は、両群で有意差はなかった(0.91、0.80~1.05)。

また、退院後にクロピドグレルを服用していなかった人の死亡・ACSによる再入院率と、PPIを服用していた人の同発生率に有意差はなかった(補正後オッズ比:0.98、95%信頼区間:0.85~1.13)。

同研究グループは、PPIがクロピドグレルの効果を減弱する可能性があるとしている。

Ho PM et al. Risk of adverse outcomes associated with concomitant use of clopidogrel and proton pump inhibitors following acute coronary syndrome.
JAMA. 2009 Mar 4; 301(9): 937-44.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19258584?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum

出典 Care Net.com  2009.3.17
版権 (株)ケアネット

<コメント>
当院には使用期限2011.9のプラビックスがあります。
添付文書(2007.10改訂)には相互作用の項目も含めてPPIとの併用のことは一切記載されていません。
一方、PPIの添付文書の相互作用の項目には、代謝酵素による影響について書かれているようです。

<関連サイト>
クロピドグレルとプロトンポンプ阻害薬の併用
http://blog.m3.com/reed/20090214/1

クロピドグレルとPPI併用の2試験
http://blog.m3.com/reed/20090301/_PPI_2_

クロピドグレルとプロトンポンプ阻害薬の併用は心筋梗塞の再発リスクを高める
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20090205hj001hj
■このような両剤の関連性が示されたのは今回が初めてではない。
昨年(2008年)、米国のMedco Heaalth Solutions社が1万6,000人を対象に実施した研究では、ステント留置後にクロピドグレルとPPIを併用した人の39.2%に重篤な心イベントが発生したのに対し、クロピドグレルの単独使用での発生率は26.2%であることが判明している。
■「クロピドグレルとPPIはいずれも肝臓で同じ酵素により代謝されるため、併用によりクロピドグレルの血小板凝集抑制効果が低下する可能性がある」と米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のChristopher Cannon博士は述べている。
Cannon氏は、個人の遺伝子構造により一部の人ではクロピドグレルの効果が低いことを示した研究グループの一人である。
■米国食品医薬品局(FDA)は、クロピドグレルの有効性に対する遺伝的因子および他の薬剤(特にPPI)の影響をさらによく理解するための研究を実施すると発表し、「医療従事者は、クロピドグレルを使用する患者についてPPIによる治療の開始ないし継続の必要性を再度検討する必要がある」と述べている。
[2009年1月28日/HealthDay News]
原文
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=623549

【日本臨床薬理学会】クロピドグレルの血小板凝集抑制、CYP2C19遺伝子多型が関与
http://www.yakuji.co.jp/entry8703.html
■クロピドグレルは、冠動脈血栓症やステント血栓症などの治療に使用されているが、血小板凝集抑制作用には個体差があることが知られている。
その原因としては、薬物代謝酵素のCYP2C19遺伝子の多型の関与が示唆されている。
■クロピドグレルは、CYP2C19によって活性代謝物となり、血小板表面に発現するP2Y12受容体に結合することで、血小板の凝集を抑制する。
これまで、CYP2C19の遺伝子多型がクロピドグレルの低反応に関与するとの研究成果が蓄積されてきている。
人種差も確認されており、遺伝子活性が欠損し代謝機能が低下している割合が、欧米では約3%であるのに対し、日本人では約20%とされている。

<コメント>
プラビックスは主にCYP3A4、CYP1A2、CYP2C19、CYP2B6で代謝されるようですが、オメプラールやタケプロン、パリエットといったPPIもCYP3A4、CYP2C19で代謝されます。
そのため競合阻害が起こっていると考えられるわけですが、PPI間で差異があるといわれると何だか頭の中が混乱してしまいます。

2009.7.12

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