戯れ言たれる侏儒
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厳格な血糖コントロールと心血管障害リスクとの関連性は未だ不明
2つの大規模糖尿病試験のレビューにより、厳格な血糖コントロール(血糖管理強化療法)と心血管障害リスクとの関連については未だ明確にされていないことが示され、米ニューオーリーンズで開催された米国糖尿病協会(ADA)年次集会で発表された。
2型糖尿病は極めて多様性に富んだ疾患であり、治療は個々の患者に合わせて調整する必要があると専門家らは指摘している。
米国で約2,400万人が罹患する2型糖尿病は、腎疾患、四肢切断、失明および心疾患などの重篤な合併症を引き起こすことがある。

国際糖尿病センター(ミネアポリス)のRick Bergenstahl博士によると、「眼、腎、神経の細小血管障害を予防する上で血糖管理が中枢的な役割を果たすことは十分に確証されているが、心臓などの大血管に対する効果については十分に理解されておらず、決定的な結論に達していない」という。

第1の分析の対象となった昨年(2008年)報告されたACCORD試験では、管理状態のよくない2型糖尿病患者に厳格な血糖管理を実施しても心血管イベントリスクを軽減する効果はなく、むしろ死亡リスクを増大させる可能性のあることが示された。
この試験は、厳格な治療を実施した群に20%の死亡リスク増大が認められたことから早期に中止されており、当時は低血糖が死亡率増大の原因ではないかと推測された。

しかし今回の追跡分析の結果、最初からHbA1c(グリコヘモグロビン)値(2~3カ月の平均血糖値)を急速かつ持続的に低下させることができた人はリスクが低く、最初の時点で血糖値を急速に低下させることができなかった人はリスクが高いことが判明したと、ACCORD血糖管理グループのメンバーで、米オレゴン健康科学大学(ポートランド)医学部教授のMatthew C. Riddle博士は説明している。

もう1つの大規模糖尿病試験であるVADT試験の追跡分析からは、糖尿病と診断された後、早い時期から徹底的な治療を開始した場合は良好な経過をたどる比率が高く、診断から15年以上経過してから厳格な治療を開始すると有害である比率が高かった
診断後20年以降に厳格な治療を開始した場合、少なくとも高齢男性を中心とする集団では心血管障害リスクが増大することもわかった
ACCORD試験と同様、厳格な血糖管理による心血管イベントへの有益な効果は認められていないという。

しかし、厳格な血糖管理が必ずしも有害というわけではないという。
米国臨床内分泌学会(AACE)と米国内分泌学会(ENDO)の元会長であるHelena W. Rodbard博士は、「血糖値は正常範囲に近いほどよく、われわれは一貫してそのように勧告している。ただし、良好な血糖管理を早い時期から開始する必要がある」と述べている。

HealthDayNews 2009.6.9

http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=9059

出典 Care Net.com
版権 (株)ケアネット

 

<コメント>
診断から15年以上経過・・・
発症(発病)から診断までは症例によってさまざまです。
「したがって診断から15年以上」というくくりも無理があるような気がしてしまいます。

診断から15年以上経過してから厳格な治療を開始すると有害である比率が高かった・・・
これは、「通常の糖尿病コントロール」をしていて、15年以上経過してから「厳格な治療」をするという意味に解釈されます。
「通常の糖尿病コントロール」を15年経過後も引き続き行った場合と、放置群との心血管イベントの差異はどうなんでしょうか。

 

<番外編 その1>
第10回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR2009)
2009年6月10日〜6月13日 Copenhagen, Denmark

心血管疾患リスク高いほどOA発症リスクも上がる?
心血管疾患(CVD)リスクが高いほど、変形性関節症(OA)発症リスクも上がることが大規模コホート研究から明らかになった。英国Keele UniversityのU.Kadam氏らによる研究の結果。6月10日から13日までデンマークで開催された第10回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR2009)で発表された。

研究は、30年以上のフォローアップ期間を有するスウェーデンの「Malmo Preventive Project cohort Study」のデータを用いて行われた。

まず、8749人の女性、1万4821人の男性におけるCVDリスク因子を測定し、リスクスコアに沿って参加者のCVDリスク分類を行った。
リスクスコアは、年齢、肉体労働者か否か、CVD家族歴、肥満、喫煙、血糖値、コレステロール値、血圧により計算した。

そのうえで、膝または股関節の関節形成術を受けた患者データから抽出して、比較を行った。その結果、対象女性の5.1%(445人)、男性の3.5%(519人)にOAイベントが生じていた。

CVDリスクとOA発症の関連を調べたところ、CVDリスクが高いほど、OAを発症するリスクが高いことが明らかになった。
この傾向は特に女性において顕著だった。
女性のCVD高リスク群のOA発症リスクは、CVD低リスク群に比べて3.5倍(2.6-4.7)、男性のCVD高リスク群のOA発症リスクは1.7倍(1.3-2.2)となっていた。

また、女性を年齢で分けて解析したところ、CVD高リスク群でも、若年の方がOA発症リスクが高かった。
一方、BMIやコレステロール値とOA発症リスクの関連はみられなかったが、この点についてはさらなる検討が必要とした。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/eular2009/200906/511210.html
出典 NM online 2009.6.17  日経メディカル別冊
版権 日経BP社

 

<番外編 その2>
降圧薬と心血管系疾患の予防
BP-Lowering Drugs and Prevention of Cardiovascular Disease
降圧薬については、どれを使用すべきか、またどのような患者に投与すべきかが不明確である。
英国の研究者らは患者464,000を組み入れた147件のランダム化試験のメタアナリシスを実施し、冠動脈性心疾患(coronary heart disease:CHD)関連のイベントと脳卒中の予防におけるさまざまなクラスの降圧薬の有効性を判定した。
高血圧患者と、高血圧以外の適応症に対して降圧薬が用いられた患者の両方を解析に組み入れた。メタアナリシスの主要な結果は以下の通りである。

プラセボまたは治療なしと比較した場合、CHDイベントはβ遮断薬によって、最近(過去2年間に)心筋梗塞(myocardial infarction:MI)を発症した患者では31%、最近のMIがないCHD患者では13%、CHDの既往のない患者では15%減少した。最近のMIがない患者では、CHDの既往の既往があっても他の降圧薬がβ遮断薬同様にCHDイベントの予防に同等に有効であった。
プラセボまたは治療なしと比較した場合、CHDイベントと脳卒中は降圧薬によって有意に減少した(収縮期血圧10mmHgまたは拡張期血圧5mmHgの低下に標準化した場合、それぞれ22%と41%)。
5つのクラスの薬物(thiazide系利尿薬、β遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting–enzyme:ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、およびカルシウムチャネル遮断薬)により、CHDイベントの発生率はいずれも同じように低下した。
カルシウムチャネル遮断薬は他の薬物より脳卒中の予防に有効であったが、いずれの薬物も治療なしより有効であった。
CHDイベントと脳卒中の相対的減少は、血管系疾患の既往のない人々とCHDまたは脳卒中の既往のある人々で同等であった。
治療開始前の血圧(収縮期血圧で110mmHg、拡張期血圧で70mmHgまで)にかかわらず、CHDイベントおよび脳卒中のリスクは降圧薬によって有意に低下した。
非心臓選択的β遮断薬を除く各クラスの降圧薬により、心不全のリスクは有意に低下した。
プラセボまたは治療なしと比較した場合、全死因死亡率は降圧薬により有意に低下した(13%低下)。
癌の発生率あるいは血管関連でない死亡率に変化はみられなかった。

コメント:
MI後2年間のβ遮断薬の保護効果と、脳卒中の予防におけるカルシウムチャネル遮断薬の保護効果を除き、すべての降圧薬はCHDイベントおよび脳卒中の発生率に同様の効果をもたらした(ある与えられた血圧において)。
血管系疾患の既往がある者でもない者でも、また治療開始前の血圧にかかわらず、リスクは低下した。
著者らは、「血圧がいくつであろうと、心血管のリスクが十分に高いすべての人々に対して、血圧降下の利益がある」と結論付けている。

— Paul S. Mueller, MD, MPH, FACP
Published in Journal Watch General Medicine June 25, 2009
Citation(s):

Law MR et al. Use of blood pressure lowering drugs in the prevention of cardiovascular disease: Meta-analysis of 147 randomised trials in the context of expectations from prospective epidemiological studies. BMJ 2009 May 19; 338:b1665.

http://dx.doi.org/10.1136/bmj.b1665
Use of blood pressure lowering drugs in the prevention of cardiovascular disease: meta-analysis of 147 randomised trials in the context of expectations from prospective epidemiological studies.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19454737?dopt=Abstract


<番外編 その3>
生活習慣病3疾患の性別患者数
2008年7月から9月の期間内で、降圧薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬を処方された患者数を集計。年代、診療科などでは区別していない。これらの患者数データから、どのようなことが言えるだろうか?
http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/oparts/jmiri/pdf/02.pdf

討論のポイント
男性は「糖尿病治療薬」の服用者が多く、女性は「脂質異常症治療薬」の服用者が多い。
〔データ〕
男性
【高血圧】81.2%(97272人)
【糖尿病】26.5%(31697人)
【脂質異常症】35.1%(41974人)
      
女性
【高血圧】80.1%(96885人)
【糖尿病】19.1%(23094人)
【脂質異常症】45.6%(55221人)

このデータは、実患者数を反映している? 
どのようなメカニズムが想定されるか。

「女性では、「糖尿病治療薬」を単独で服用している人が、男性に比べて少ない。
〔データ〕
糖尿病薬を単独服用 
男性 9464人(31697人中)=29.9%
女性 4940人(23094人中)=21.4%

女性が糖尿病にだけ罹患するケースは少ない? それは、なぜ?


「脂質異常症治療薬」を飲んでいる患者の約半数が、「降圧薬」を併用している。
また、「糖尿病治療薬」を飲んでいる患者の約3割が、「降圧薬」を併用している。
〔データ〕
【脂質異常症】
男性 20662人(41974人中)=49.2%
女性 27750人(55221人中)=50.2%
【糖尿病】
男性 10381人(31697人中)=32.8%
女性  6802人(23094人中)=29.5%

「脂質異常症」の方が、糖尿病よりも高血圧症を合併しやすい? なぜ?
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/oparts/jmiri/leaf_18.jsp

 

降圧薬の年代別患者数シェア
2008年10月から12月の期間内で、対象となる降圧薬(Ca拮抗薬、ARB、利尿薬など)を1つでも服用した実患者数を示す。これらの患者数データから、どのようなことが言えるだろうか?
http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/oparts/jmiri/pdf/03.pdf

討論のポイント
「0から49歳」の若年層以外で、降圧薬として処方された患者が最も多いのは、【Ca拮抗薬】。
特に年齢が「65から79歳」「80歳以上」の患者層では、全体の7割近くに処方されている。
このデータは、実患者数を示している? 
【Ca拮抗薬】が最も多いのはどういう理由からか?
「80歳以上」の患者層で、【利尿薬】の処方患者割合が、他の患者層に比べて多い。
このデータは、実患者数を示している? この患者層に処方者数が多いのは、降圧薬以外の目的で処方されている?

「0から49歳」の若年層に限ってみると、降圧薬として処方された患者が最も多いのは、【ARB】。
このデータは、実患者数を示している? この年齢層だけ【Ca拮抗薬】よりも処方患者数が多いのはどういった理由からか?
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/oparts/jmiri/

<コメント>
この記事を読んで「データマイニング」という言葉を思い出しました。

C型肝炎の薬物療法とデータマイニング
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/folder/297141.html

<番外編 その4>
ピオグリタゾンに糖尿病患者におけるステント留置後の差異狭窄予防効果
インスリン抵抗性改善薬のピオグリタゾンに、2型糖尿病患者におけるベアメタルステント留置後の再狭窄の予防効果があるとの研究論文が、「Journal of the American College of Cardiology: Cardiovascular Interventions」6月号に掲載された。

高木循環器科診療所(京都市)の高木力氏らは、糖尿病合併患者で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)としてベアメタルステント留置を受ける患者97人を対象とした検討を行った。
処置後に無作為に48人に対しPPARγ(peroxysome proliferator-activated receptor γ)作動薬のピオグリタゾン30mg/日を投与し、49人は対照群としてピオグリタゾン非投与とした。
血管造影および血管内超音波検査(IVUS)画像をベースライン(試験開始時)および処置後6カ月に比較検討のために調べた。
研究の一次エンドポイント(主要評価項目)は、6カ月後における血管造影により判定した再狭窄と、治療対象血管に対する血管再疎通療法の再施行とし、二次エンドポイント(副次評価項目)は、IVUS検査により測定したステント内新生内膜容積とした。

その結果、再狭窄率は対照群の35%に対し、ピオグリタゾン群では17%であった。
治療対象血管に対する血管再疎通療法の再施行については、ピオグリタゾン群では12.5%、対照群では29.8%であった。
6カ月後の経過追跡時において、ステント内新生内膜容積は対照群に比してピオグリタゾン群では小さかった。

著者らは「ピオグリタゾンはステント内新生内膜増殖を抑制し、それにより2型糖尿病患者におけるPCI後6カ月時点での血管造影上および臨床的な再狭窄を低下させる。再狭窄および治療対象血管に対する血管再疎通療法の再施行に対するピオグリタゾンの有する付加的効果は、薬剤溶出性ステント挿入後のステント血栓症と同様に更なる検討が必要である」と述べている。
A Prospective, Multicenter, Randomized Trial to Assess Efficacy of Pioglitazone on In-Stent Neointimal Suppression in Type 2 Diabetes
J Am Coll Cardiol Intv, 2009; 2:524-531
http://interventions.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/2/6/524

 

 

 

 

 

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