戯れ言たれる侏儒
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ちょっと古いMedical Tribuneの記事ですが、第53回日本心臓病学会でのシンポジウム「拡張不全と収縮不全」で勉強しました

 

拡張不全の病態,背景などを報告
近年,左室駆出率(LVEF)の低下を伴わない拡張不全型心不全の存在が明らかとなった。
慢性心不全の半数近くを占めるという調査報告もある。

女性や高齢者に多いことから,今後さらなる増加が予想され,研究の進展が強く望まれている。
大阪市で開かれた第53回日本心臓病学会(会長=大阪大学大学院循環器内科学・堀正二教授)では,シンポジウム「拡張不全と収縮不全」(座長=兵庫医科大学循環器内科・増山理教授,秋田大学内科学第二・伊藤宏教授)が持たれ,拡張不全の病態,予後,治療などに関する最新の研究データが報告された。

 

~ 収縮不全との表現型相違 ~ 
心不全移行期のMMP上昇が原因

高血圧性収縮不全・拡張不全の表現型の相違には,心不全移行期におけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性の上昇が原因として関与していると考えられる成績が,大阪大学大学院循環器内科学の坂田泰史氏らにより報告された。

収縮不全モデルで活性化
坂田氏らは,高血圧性収縮不全・拡張不全の発症メカニズムの違いを明らかにするうえで有用なラットモデルを確立している。
Dahl食塩感受性ラットに対して異なる時期に高食塩負荷を行うことにより,血圧上昇期,代償性肥大期を経て,肺うっ血を伴う心不全期に移行した後,収縮不全,拡張不全という異なる表現型を呈するようになるモデルだ。
 
両モデルの心不全期における血行動態や肺うっ血の程度には差が見られない。
また,心不全期における心肥大や線維化の程度にもほとんど差がない。
しかし,心形態の経時的変化には違いが認められる。
すなわち,両モデルは代償性肥大期まではともに,求心性リモデリングから求心性肥大へと移行していくが,心不全移行期においては,収縮不全モデルではさらに遠心性肥大に移行していくのに対して,拡張不全モデルでは心拡大が生じなかった。
このことから,心不全移行期において,表現型の相違を規定するなんらかの因子が関与していると推測された。
 
心拡大は心筋の細胞外マトリックスの破綻によると考えられており,MMPは細胞外マトリックスを基質とする。
そこで同氏らは,高血圧性収縮不全・拡張不全モデルの心不全移行期における表現型の相違におけるMMPの関連を検討した。
その結果,収縮不全モデルでは拡張不全モデルに比べ,MMPが強く活性化されており,この活性化は心拡大や心不全が起こる前から認められることがわかった。
また,収縮不全モデルの心不全はACE阻害薬により防止されたが,その際,心拡大が起こる前のMMP活性が抑制されていたという。

 

左室肥大なくても求心性変化により発症
兵庫医科大学循環器内科の中尾伸二氏らは,拡張不全における左室の形態や機能学的特徴を検討。
拡張不全は左室肥大がなくても,左室形態の求心性変化によって発症しうること,左室流入血流速波形は急性期においても多くが偽正常化にとどまることなどを明らかにした。

求心性変化も 3 分の 1 以上で
収縮不全では左室は遠心性リモデリングを呈し,左室流入血流速波形は偽正常化から拘束型波形へ変化することが知られている。
しかし,拡張不全における左室形態や機能学的特徴はいまだ不明な点が多い。
そこで,中尾氏らはまず,拡張不全における左室形態の評価を行った。
急性左心不全例で心肥大は36%に見られたが,求心性変化も40%に認められた。
慢性心不全例ではそれぞれ37%,34%,75歳以上に限ると37%,39%で求心性変化のほうがやや高率だった()。

 


こうした成績から,拡張不全は左室肥大(心筋重量増大)がなくても,求心性の左室形態の変化,すなわち左室壁厚の増大や左室内腔の減少によって発症する可能性があり,その傾向は高齢者で顕著になることが示唆された。
 
同氏らはさらに,拡張不全における機能学的特徴を心エコードプラ法により検討した。
その結果,拡張不全群の急性期において,拡張能の指標である左室流入血流速波形の早期流入波(E波)と心房収縮波(A波)の比(E/A)は平均1.3と 1 を超え,拡張障害が認められたものの,収縮不全群の平均1.6に比べると有意に低値であった。
また,E/Aが1.5を超えるような著明な拡張障害は拡張不全群では20%と,収縮不全群の52%に比べて明らかに少なかった。
したがって,拡張不全では収縮不全と異なり,拘束型波形(E/A<2 )になることは少なく,偽正常化にとどまって,拘束型波形に変化しない症例が多いと推察された。
なお,慢性期にE/Aが 1 未満になっても,左室拡張終期圧を反映する血中B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)濃度が高値を示す症例が認められた。
これは,慢性期においても左房圧上昇が持続することが原因と考えられたという。

 

HCM,貧血,Af/AFなどが規定因子に
国立国際医療センター研究所遺伝子診断治療開発研究部の眞茅みゆき氏らは,慢性心不全増悪入院例を対象としたわが国の多施設共同型コホートJCARE-CARDで,拡張不全の規定因子として肥大型心筋症(HCM),貧血,心房細動・粗動(Af/AF),高血圧,年齢が認められたことを明らかにした。

予後やQOLに差見られず
眞茅氏らはまず,JCARE-CARDにおいて収縮不全,拡張不全の頻度や患者背景について解析した結果を報告した。
対象は,2004年 1 月?05年 6 月に登録された2,674例(弁膜症含まず)のうち,治療がほぼ終了した1,332例(男性883例,女性449例)。
 
LVEFについて検討すると,40%以下が60%,41?49%が17%,50%以上が23%。LVEF 50%以上の収縮機能保持例を拡張不全とすると,その割合が約 4 分の 1 を占めることがわかった。
収縮不全と拡張不全で男女の割合を比べると,収縮不全は男性に,拡張不全は女性に多かった。
年齢は収縮不全の平均66歳に比べ,拡張不全では73歳と高く,75歳以上が55%を占めた。
基礎心疾患は,収縮不全では虚血性心疾患,拡張型心筋症(DCM)が,拡張不全では高血圧,HCM,不明がより高率であった。
合併心疾患は収縮不全では心筋梗塞,心室粗動/心室頻拍(VF/VT),拡張不全ではAfが多い傾向が見られた。
心電図所見は左脚ブロックが拡張不全よりも収縮不全で多かった。
重症度(NYHA分類)は入院時,退院時とも,収縮不全と拡張不全の間で有意差はなかった。
さらに,収縮不全,拡張不全の規定因子について多変量解析を行うと,収縮不全ではDCM,左脚ブロック,心筋梗塞既往,虚血性心疾患,拡張不全ではHCM,貧血,Af/AF,高血圧,年齢が規定因子になることが示された。
 
さらに,予後について,福岡市の 5 つの医療機関の230例を対象に検討したところ,2 年半のフォローアップで死亡,再入院とも,収縮不全と拡張不全の間で明らかな差は見られなかった。
健康関連QOLにも差はなく,また精神症状(不安,抑うつ)は収縮不全,拡張不全とも20?30%で認められ,有意差はなかった。

 

 

β遮断薬の有効性を確認 特に虚血性心疾患例で顕著
名古屋市立大学大学院臨床機能内科学の武田裕氏らは,拡張不全の病態に心臓交感神経の亢進が関連していると考えられるデータを踏まえ,前向き試験でβ遮断薬の有効性を検討。

血中B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値や心不全症状が改善する成績が得られたという。

NYHA分類や運動耐容能が改善
心不全では一般に心臓交感神経が亢進しているが,拡張不全では明らかにされていない。
このため,武田氏らはまず,拡張不全における心臓交感神経亢進の有無を調べるため,拡張不全(LVEF>45%)の34例にMIBG(メタヨードベンジルグアニン)心筋イメージングを行った。
その結果,血中BNP値は心縦隔比と逆相関し,MIBG洗い出し率(WR)と相関した。
こうした関係は,基礎心疾患が虚血性,非虚血性いずれの場合でも認められた。
以上から,拡張不全の病態に心臓交感神経の亢進が関係している可能性が示唆された。
 
そこで次に,拡張不全40例でβ遮断薬(カルベジロール)が血中BNP値や症状に及ぼす影響を前向きに検討した。
ランダムにβ遮断薬群(19例),対照群(21例)に分け,1 年間フォローアップしたところ,β遮断薬群のBNP値は 1 年後有意に低下したが,対照群では明らかな変化は見られなかった。
NYHA心機能分類もβ遮断薬群では投与前の平均2.37から 1 年後には1.56へと有意な改善が認められたが,対照群ではわずかな低下にとどまった。
運動耐容能もβ遮断薬群においてのみ 1 年後に有意な改善が認められた。
両群の差は,特に虚血性心疾患を基礎心疾患とする症例でより顕著だった。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=ARVD&perpage=0&order=0&page=1&id=M3842121&year=2005&type=allround

出典  Medical Tribune  2005.10.20
版権  メディカル・トリビューン社

 

 
<医学雑誌斜め読み>
Vol.3 No1 2009 J Cardiol Jpn Ed P78~88
鼎談 心筋疾患を語る(第29回心筋生検研究会)
■Brugada症候群
○1990年代では、病理学的所見には、大きく分けて器質的所見がないとする説とARVCのような非特異的所見がみられるとしり説が出されていた、
○臨床的に心房細動が多くの症例でみられることもわかっていたので、洞房結節の病理所見をまとめて結果、高率に繊維化がみられた。
○V1〜3誘導でST上昇が特徴であることから、右室系の外膜側に脂肪浸潤が多いのではないかという仮説にたって検討した結果、脂肪浸潤は外膜から内膜に向かって簾状に浸潤している所見がみられた。(由谷親夫先生)
■私がポックリ病心で検索時に、ARVC的な脂肪化をみた例は10例中2例で、洞結節や房室伝導系に病変がみられる例の方が多いのです。
それゆえ、ポックリ病を一つの特殊な不整脈としてまとめてしまうのは危険だと思います。(岡田了三先生)
■岡田先生に伺っておきたいことはポックリ病のことです。
ウーと唸り声をあげて、青年が死んでしまうポックリ病はBrugada症候群のことではないですか。(関口守衛先生)
■単発性のPVCの症例の生検においても顕著な心筋脂肪組織をみつことが少なからずあります。
したがって、心筋生検標本の中に脂肪組織浸潤をみたら、不整脈との関連を考える必要があります。(関口守衛先生)

<コメント>
岡田了三先生、関口守衛両先生が話されていたのでつい読んでしまいました。
かつて話題になっていたポックリ病も先生方は学会の講演でいろいろお話されていました。
現在では世界的に、どういった概念でまとめられているのか興味深いところです。

不勉強でよくわかりませんが、最近は不整脈に関する病理学的なアプローチはどうなっているのでしょうか。

昔、松本で脈管学会が開催されたことがありました。
朝早く、浅間温泉の宿で一人で温泉につかっていたら岡田了三先生が朝風呂に入りにみえました。
まさに裸の付き合いをしたのが懐かしい思い出です。
もちろん、偉い先生ですので言葉はかけれませんでしたが。

その学会には心電図のテキストでも有名な和田敬先生も出席してみえたような記憶があります。

 

 

 

 

 

 


http://www.asahi.com/komimi/gallery/071210pandatsu/1009.html


我が家の迷いパンダネコです。


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