戯れ言たれる侏儒
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中心収縮期血圧

戯れ言たれる侏儒 / 2009.07.06 00:44 / 推薦数 : 0

中心血圧とは主に大動脈起始部の血圧を指します。

収縮期血圧には「心臓が押し出す駆出圧」と「心臓にはね返って来る反射圧」の2つがあります。
中心血圧では反射圧の方が高いのですが、通常の上腕で測る血圧の場合、遅れてくる反射圧は肩の辺りで吸収されて駆出圧しか測定できませんでした。
駆出圧を「善玉血圧」、反射圧を「悪玉血圧」と呼ぶ場合もあるようです。

従来の上腕にカフを巻いて測定する血圧と比較して心血管イベントの発症率をより強く説明できるとの発表が最近多くなされています。
測定にはカテーテルを用いた直接法の他、At Cor Medical社製のSphygmo CorやOmron Healthcare社製のHEM-9000AIのようにトノメトリ法を用いて測定した脈波形解析より中心血圧を推定する間接法があります。
2007年には中心血圧に関する合意文書が米国心臓学会(AHA: American Heart Association)より発表され、今後さらに中心血圧への注目が集まると期待されています。

第31回日本高血圧学会総会(2008.10.9~11, 札幌)での発表内容の記事で勉強しました。

中心収縮期血圧による高血圧診断参照値は130mmHg
近年、心臓が血液を送り出す部位(大動脈起始部)の血圧(中心血圧)が、心血管病の鋭敏な予知指標であることが明らかになってきている。
これを橈骨動脈脈波から非侵襲的に測定する装置が開発され、心血管病リスク評価の新しい手段として注目されているが、測定値のどのレベルから異常と判定すべきかはまだ不明である。
3月20日〜22日に大阪で開催された第73回日本循環器学会・学術集会のFeatured Researchセッションで、愛媛大学老年医学の小原克彦氏が高血圧の可能性を示す中心血圧のレベルを、愛媛大学統合医科学の田原康玄氏が、各種降圧薬の中心血圧に及ぼす影響について検討した成績を報告した。

収縮期の血圧波は、心臓からの駆出が形成する波(駆出波)と、それが末梢血管で反射されて戻ってくる反射波によって形成される。
このため、収縮期血圧の波形は単純な逆V字型を描かず、上昇時または下降時に波線の傾斜が変化する屈曲点を生じる。

屈曲点がどの位置に出現するかは測定部位によって異なり、橈骨動脈の血圧波では、ピーク形成後の下降曲面に出現する。
この屈曲点の血圧が大動脈起始部における収縮期血圧(SBP)の近似値を示すことから、橈骨動脈トノメトリを用いて屈曲点の値(SBP2)を測定する装置が開発された(オムロン ヘルスケア HEM-9000AI)。
小原氏らはこの装置を用い、正常血圧者と高血圧患者を対象に上腕SBPと中心SBPの関係を検討した。

小原氏らはまず、大動脈起始部で直接測定したSBPとSBP2の関係を、多数例を対象に検討した。
その結果、両者は個々の被験者においてほぼ一致しただけでなく、全体でみても強い相関を示した。

この結果を踏まえ、高血圧患者2806例を対象に、上腕SBPと橈骨動脈SBP2の関係を検討したところ、両者の間にも有意な相関が認められた。
さらに、全被験者のうち降圧薬治療を受けていない1049例を対象に解析した結果、一般的な高血圧診断基準値である上腕SBP140mmHgに相当するSBP2は、130mmHgであることが明らかになった。

この結果はSBP2が130mmHg以上であれば高血圧の可能性が高いことを示すが、小原氏は、これを診断基準として確立するためには、SBP2と心血管病リスクの関係を長期に追跡する必要があると述べた。
 
中心血圧は高血圧治療を評価する指標にもなりうると考えられるが、降圧薬の中心血圧に及ぼす影響については、まだ十分な情報がない。
田原氏らは症候性心血管病の既往がない健康診断受診者657人を対象に、各種降圧薬の作用について検討した。
被験者の57%が高血圧に罹患しており、29%が降圧薬による治療を受けていた。
この研究でも中心SBPの代替指標として橈骨動脈SBP2が用いられた。

この研究においても、上腕SBPと橈骨動脈SBP2の間には強い相関が認められた。そ
こで次に、橈骨SBP2と上腕SBPの差(ΔSBP)に影響を及ぼす因子について解析したが、身長および心拍数とΔSBPは有意な逆相関を示した。

降圧薬も有意な因子であったが、その影響は薬剤によって異なり、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬、α遮断薬はΔSBPを減少させるのに対し、β遮断薬は逆にΔSBPを増大させることが示唆された。
降圧薬によるΔSBPの変化は、中心血圧と上腕血圧に対する降圧効果の違いを反映する。

田原氏はこの成績にもとづき、中心血圧に対する降圧効果は薬剤によって異なる可能性があり、降圧治療を正しく評価するためには、上腕SBPとともに橈骨動脈SBP2を測定する必要があると締めくくった。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2009/200903/510053.html
NM online 2009.3.30

 

<中心血圧 関連サイト>
Ankle Blood Pressure Test May Spot Hidden Heart Risks
http://health.usnews.com/articles/health/healthday/2009/03/10/ankle-blood-pressure-test-may-spot-hidden-heart.html

 

CAFE
Conduit Artery Function Evaluation
http://circ.ebm-library.jp/doc_html/aha2005/CAFE.html
(AHA 2005.11.13~16)
上腕血圧への影響に大きな差はなかったが,非侵襲的測定法で検討した中心動脈収縮期圧,中心動脈圧はamlodipine(+perindpril)群の方がatenolol(+bendroflumethiazide)群より低下した。

 

中心血圧測定装置(中心血圧計)

http://www.omron.co.jp/r_d/technology_bpm.html
(オムロンのサイトです)

オムロンデジタル自動血圧計 HEM-9000AI

http://www.healthcare.omron.co.jp/medical/product/sph02/hem9000ai_1.html?p=sph02

<関連記事>
喫煙者は正常血圧でも中心血圧が上昇している
喫煙者は、上腕血圧が正常血圧であっても中心血圧が高く、循環器疾患のリスクとなっていることが明らかとなった。
獨協医科大学循環器内科の南順一氏が、10月9日から札幌市で開催されている第31回日本高血圧学会総会で発表した。
 
中心血圧高値は高血圧性臓器障害の要因といわれており、喫煙者の中心血圧が高かったことは、上腕部の血圧が正常範囲であっても循環器疾患が進展している可能性があり、注意が必要といえそうだ。

南氏らは、健常男性において、喫煙がメタボリックシンドロームやAI(Augumentation index)、中心血圧に及ぼす影響を評価した。対象は、同院の1泊2日人間ドック受診者のうち、130/85mmHg以下の正常血圧であった健常男性443人(平均年齢52.9歳)。これを、非喫煙者、過去喫煙者、現喫煙者(20本/日以下)、現喫煙者(20本/日以上)の4群に分類し検討した。上腕血圧はカフ・オシロメトリック法で、中心血圧は橈骨動脈脈波から収縮期後方血圧として算出した。
測定は喫煙者においても少なくとも6時間禁煙後に行った。メタボリックシンドロームの判定はNCEP-ATPIII(ウエスト周囲径のカットオフ値は85cm)で行った。患者背景は4群においてほとんど変わらなかったが、非喫煙群と比較して喫煙3群が有意に高かったのがメタボリックシンドロームの割合で、非喫煙群で3.4%であったのに対し、過去喫煙群で9.1%、現喫煙群(20本/日以下)で12.4%、現喫煙群(20本/日以上)で23.2%と有意に高かった。喫煙本数が増えるにつれてAIも高かった。
各血圧項目については、上腕血圧が4群において差がなかったのに対し、AIは非喫煙群に対し、過去喫煙群は高い傾向にあり、現喫煙群2群は有意に高かった。
中心血圧も、非喫煙群に対し、現喫煙群2群は有意に高く、過去喫煙群でも非喫煙群に対して有意差が見られた。
また、過去喫煙群を詳細に解析した結果、禁煙後5年未満に対し、5年以上経過した場合に中心血圧が有意に低下することも明らかとなり、禁煙後5年未満はまだメタボリックシンドロームや中心血圧上昇によって循環器疾患リスクとなっていること、5年以上になるとリスクが有意に軽減していくと考えられた。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2008/200810/508139.html
NM online 2008.10.11

佐間田 敏夫  ミヤマキリシマ咲く(大分県九重連山) S4
http://www.ichimainoe.co.jp/index/samada_toshio.html 

<医学雑誌斜め読み> 
「脈圧・平均血圧・中心血圧の意味」
自治医大さいたま医療センター循環器科 平田浩三講師
出典 日本医事新報 No.4445 2009.7.4 P76~78
版権 日本医事新報社
■心臓の拍動によってもたらされる血圧拍動(順行波)は、単に心臓から末梢に向かって一方向に伝播するだけではなく、血管径の異なる動脈のあらゆる接合点(分岐部)で反射拍動(反射波)を生じる。
■反射波の生じる主な部位は、全身に分布している細動脈と動脈の接合点であるが、生じた無数の反射波は全体として、腹部大動脈分岐部付近より生じた1個の波として観察される。
■身体各所で測定する血圧波形は、この順行波と反射波の重合したものである。
■反射波は末梢側にも中枢側にも同様に伝播し、脈圧を増大させるが、末梢側へは順行波と時間差なく重合し、中枢側においては反射点(腹部大動脈分岐点)と中心血管(上行大動脈)の距離の分遅れて重合する。
■この時間差によって末梢血圧と中心血圧が異なる値をとることが、近年の研究で明らかとなている。
■心血管のリスクファクターとしての中心血圧の独立性と、末梢血圧に対する優位性が確認されている。
○ The CAFE Investigators,for the Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial(ASCOT) Investigators:
Circulation 113:1213,2006
○ Roman MJ, et al:
Hypertension 50:197,2007

 

 

 

 

 

 

 

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