戯れ言たれる侏儒
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心血管疾患の治療ガイドライン

エビデンスが弱いことが多い
デューク大学(ノースカロライナ州ダーラム)のPierluigi Tricoci博士らは,心血管疾患(CVD)の治療ガイドラインを検討したところ,現在の推奨事項は弱いエビデンスや専門家の見解に大きく依拠していることがわかったとJAMA(2009; 301: 831-841)に発表した。

エビデンスの強さと推奨事項の種類で等級分け
Tricoci博士らによると,治療ガイドラインは,特定の患者の状況に対して適切な医療を決定する際に医師の助けとなるよう作成され,EBMの標準とされることが多い。
米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は,CVD患者の治療に関する推奨事項を提供するために,20年以上,治療ガイドラインを発表してきた。
 
このACC/AHAのガイドラインは現在,エビデンスの強さと推奨事項の種類に基づいて等級分けされた構成となっている。
エビデンスの強さの分類は,推奨事項を裏づける研究の有無と種類という客観的に表されるものと,大多数の専門家の見解を組み合わせており,
A(強いエビデンス),
B(中間),
C(弱いエビデンス)
に分けられている。
 
推奨グレードは,推奨事項の強さを示し,その研究データの相対的な強さと弱さに関する判定だけでなく,そのエビデンスによって確認されたリスクと便益という相対的な重要性に関する価値判断も盛り込まれている。
推奨グレードには I (治療または手技が有効であるとするエビデンスに基づく)から,II,II a,II b,III(治療または手技が無効であるとするエビデンスに基づく)まである。
 
CVDに関する研究発表が増えたことが,ガイドラインの推奨グレードの確実性と裏づけとなるエビデンスを増やしたかどうかはわからない。

現在の推奨事項を評価
Tricoci博士らは,ACC/AHAのガイドラインの推奨グレードの変遷を検討し,現行のガイドラインの推奨事項のエビデンスが十分であるか否かを評価した。
 

中略
 

同博士らは「ACC/AHAのガイドラインの推奨グレードの大部分が,弱いエビデンスや専門家の見解に基づいているとするわれわれの知見から,ガイドラインを作成するために利用できる信頼のおけるデータ源が不足していることが浮かび上がった。この問題を解決するために,医学研究団体は臨床研究を能率的に実施し,エビデンスが十分でない分野に焦点を当て,臨床研究の資金を増やす必要がある。また,ガイドライン作成の過程を改善し,弱いエビデンスに基づいた推奨グレードが臨床の現場に及ぼす影響に関する情報を加える必要がある。最後に,医師は強固なエビデンスによって裏づけられていない推奨グレードを考慮するときには注意が必要である」と結論している。

根拠のあるデータで判断を
アラバマ大学(UASOM,アラバマ州バーミングハム)のTerrence M. Shaneyfelt,Robert M. Centorの両博士は,同誌の論評(2009; 301: 868-869)で「ガイドラインが存在し続けるには,大きな変化が求められる。しかし,ガイドライン作成者の多くが,自身の方法に固執していると思われるため,十分な変化が起こる可能性は低いであろう。作成されるものがみな偏った,ほとんど適切でない大多数の見解であるならば,ガイドラインを完全に無視しなくてはならなくなるであろう。ガイドラインの作成過程に適切な変化のエビデンスが見られない限り,医師と政策立案者はガイドラインのコンプライアンス要求を拒否しなければならない。医師ならば,根拠のある直接的なデータに基づいて臨床での判断を下すほうがよい」と述べている。
出典 Medical Tribune 2009.5.28(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
ガイドライン(GL)といえば日本循環器学会機関誌のCirculation Journalで時々「循環器病の診断と治療に関するガイドライン」が毎年発行されます。
(ちなみにエビデンスレベルは余り表記されていません)
日本循環器学会HPにも、GLがアップされています。

「循環器病の診断と治療に関するガイドライン」
http://www.j-circ.or.jp/guideline/index.htm

きちんと書棚に並べて、診断や治療で迷った時に取り出して参考にすればよいのですが実際はなかなかそうはいきません。

GLはあくまでもGLです。
臨床が対象である限りはエビデンスばかりではGLが成り立ちません。
斯界のエクスパートが叡智を絞って作り上げられたというrespectを忘れないようにしながら、ある程度の批判精神も持ちながら利用すればよいのではないかなと思います。

道路が変わってしまって地図が古くなってしまっていることもあります。
医学の進歩に沿って頻回な改訂をしていただければ、それはそれでいいのかなと思います。
出来れば「limitation」のコメントもつけていただければわかりやすいのですが。

 

<医学雑誌 斜め読み>
心臓突然死の予見と予防  その1
東邦大学医療センター大橋病院
杉 薫 教授
日本医事新報 No.4284 2006.6.3 P57~70
■突然死の定義
1時間以内に突然の意識消失が先行する、心臓に起因した自然死
■頻度
米国 40〜50万例
日本   8〜9万例
(突然死は10万〜11万例といわれており、突然死の死因お大多数は心臓突然死ということになる)
■不整脈は正常洞調律以外の全ての心拍ということになります。
<コメント>
そうすると、異所性調律も不整脈ということになる。
表1では頻脈性不整脈と徐脈性不整脈の分類が出ている。
しかし当然のことながら異所性調律はこの分類には入ってこない。

NHBLIでの定義は
What Is an Arrhythmia?
An arrhythmia is a problem with the speed or rhythm of the heartbeat. During an arrhythmia, the heart can beat too fast, too slow, or with an irregular rhythm. A heartbeat that is too fast is called tachycardia. A heartbeat that is too slow is called bradycardia.
http://www.nhlbi.nih.gov/health/dci/Diseases/arr/arr_whatis.html
となっており、この定義にあてはめれば異所性調律は不整脈ではないということになります。

■房室ブロックで脈が遅くなって、そのあとQT間隔が延長して心室細動を発症し突然死を起こすことがある。

■致死性不整脈の予知には、失神の既往が一番大切になる。

■TWA(T wave alternabs,T波の交互脈)が陽性で、加算平均心電図でLP(late potential,心室遅延電位)が陽性の方は、有意に致死的不整脈が多い。
逆にいえば両者が陰性の場合には致死的不整脈は起こらない。
以上は」心筋梗塞の症例を検討した結果。
DCMではLPは指標にならない。

 
 
 
<きょうの一曲>
Wes Montgomery - Windy
http://www.youtube.com/watch?v=VBGZgyl72_g&feature=related

 


アニー・ピュイバロー  「ローズ色の花束」
http://www.suiha.co.jp/cms/work.cgi?ano=1150697954&wno=1151888817

 

その他
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~
http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。

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