戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2012/05 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

< 低LDLコレステロールと脳出血死亡リスク... | メイン | リウマチ性弁膜疾患とスタチン >

利尿薬の最近の動向

戯れ言たれる侏儒 / 2009.05.29 00:03 / 推薦数 : 0

ARBと利尿剤との合剤が一つのブームになっています。
プレミネント(万有)に始まりエカード(タケダ)、コディオ(ノバルティス)そしてあらたにミカルディスも合剤発売の準備中です。
この合剤に関しては

ARBからARB/利尿剤合剤への切り替えで64%が降圧目標を達成
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2008/200810/508148.html

という報告もあれば

ARBと利尿薬の合剤で糖尿病が増加?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/makise/200612/502013.html

というわれわれが一番懸念している最悪のストーリーもあります。

この合剤ブームについては、口の悪い先生は特許切れ対策だと申します。
そこまでいわなくとも、低容量サイアザイド剤を新たに発売していただければいいだけで匙加減も専門医には楽しめるというものです。

さて私が医師になりたての頃、高血圧にはフルイトラン、場合によってはアルダクトンの追加が一般的でした。
もっともその前に初心の方にはまずトランキライザーを、でした。

他に方法がなかったということもありますが、今から考えてもそんなに間違った治療ではなかったということになります。

フルイトランでは尿酸上昇はほぼ必発で、記憶を辿れば血糖上昇も起こっていました。

先日、クローズドの会で、エカードの話題になった時に、糖尿病専門の若い先生が「サイアザイドはほとんど使ったことがないから催糖尿病性については実感がない」という発言でした。
時代の推移を感じます。

さて古くて新しい薬の利尿剤。
高血圧領域でも心不全領域でもRAS抑制剤に押されて日陰者にながらくなっていました。
しかしここに来て一躍、この薬剤を使いこなすのが循環器の名医という時代になってきました。

きょうはこの利尿剤で勉強しました。

利尿薬の最近の動向

ナトリウムや水分排泄を促進させることにより降圧作用をもたらす利尿薬としてサイアザイド薬が登場して50年が経過した。
利尿効果が優れた降圧薬ということで、それまで厳格な食塩制限が必須とされていた高血圧患者さんにとって、厳しい食塩制限をしなくても血圧を低下させることが可能ということで、発売当初から大変注目された薬剤である。
最初に合成された代表的なサイアザイド薬がクロロチアジドであり、近位尿細管における炭酸脱水酵素阻害に基づく利尿作用は弱く、主として遠位尿細管におけるナトリウム再吸収阻止作用によって利尿作用をもたらすことから、アシドーシスを生じ難く、理想的な利尿薬と考えられた。
優れた利尿作用を有する反面、その利尿に伴って低カリウム血症や低ナトリウム血症、脱水、高尿酸血症、耐糖能異常、高脂血症が生じやすいことや、光線過敏症といった副作用が生じることがあることも判明した。
そこで、その構造式を少しずつ変え利尿作用の増強と副作用の軽減を図る試みがなされたが、いずれもクロロチアジドに近いものであった。
サイアザイド薬の登場後、利尿薬の研究が進みサイアザイド薬とは構造が異なるがサイアザイド薬と類似した利尿薬、サイアザイド類似薬(インダパミド、トリパミド、メトラゾンなど)が開発され、降圧薬および浮腫の治療薬として幅広く使用されるようになった。

サイアザイド薬およびその類似薬が降圧薬の中でも主要薬剤として使用されている一方、本格的な利尿薬として世界的に使用されてきたのがフロセミドをはじめとするループ利尿薬である。
ループ利尿薬はその強力な利尿作用により、心不全さらに肝硬変やネフローゼ症候群といった浮腫疾患に対して欠かすことができない利尿薬である。
また、腎機能の低下が著しい高血圧に対して利尿薬を用いる場合にも、利尿作用の強いループ利尿薬が薦められる。

サイアザイド薬やループ利尿薬のほか、これらとやや異なるタイプの利尿薬として古くから用いられ、今なお幅広く使用されているのがアルドステロンなどの鉱質コルチコイドの作用を受容体レベルで阻止する鉱質コルチコイド受容体拮抗薬のスピロノラクトンである。
鉱質コルチコイド受容体拮抗薬はアルドステロンなどの鉱質コルチコイドの増量した高血圧症や浮腫疾患に特異的な優れた効果を示し、サイアザイド薬やループ利尿薬との併用で一層効果が増強される。

このようにサイアザイド薬およびその類似薬、ループ利尿薬そして鉱質コルチコイド受容体拮抗薬とは、利尿薬であっても適応となる病態が少しずつ異なり、それぞれの適応領域において優れた効果を発揮し、多用されてきた。
これらの利尿薬が適応となる疾患は多く、今なお日常臨床上欠かすことができない薬剤である。
これまでの長期間にわたる使用経験から、サイアザイド薬およびその類似薬は、使用量を増量するほど利尿作用が増強される反面、低カリウム血症、高尿酸血症、耐糖能異常や高脂血症といった副作用の頻度が高くなることがわかっている。
それゆえ、これらの薬剤の利点・欠点を十分に把握して、効果的に使用していくことが今後の課題である。

近年における医学、医療の著しい進歩により、諸病患の病院・病態がかなり解明されてきたが、循環器領域での1つのトピックスは、高血圧や浮腫の発症にきわめて重要な役割を果たしているアルドステロンが、高血圧と関係なく心血管障害の発症に大きく関与していることが判明してきたことである。
このようなアルドステロン作用を阻止するには、鉱質コルチコイド受容体拮抗薬の使用が必須であり、単独使用のほか、サイアザイド薬やループ利尿薬、さらにカルシウム拮抗薬やレニン・アンジオテンシン系阻害薬との併用で優れた効果が得られている。
このような時に、副作用の少ない鉱質コルチコイド受容体拮抗薬としてエプレレノンが降圧薬として販売されたことは注目すべきことである。
さらに、サイアザイド薬の投与量がかなり少なくても効果的であることが明らかにされたり、少量のサイアザイド薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬の合剤がいくつか販売されたりと利尿薬の使用に関して新しい展開がみられ、利尿薬が新しい時代を迎えているように思われる。

出典  Care Net.com 2009.5.12
版権 (株)ケア・ネット

 

<サイアザイド系利尿薬 関連サイト>

■利尿薬http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0019/1/0019_G0000049_0060.html
サイアザイド系利尿薬およびその類似薬・・・
○遠位尿細管においてNa再吸収を抑制することにより循環血液量を減少させて降圧効果をもたらす。
○クロルタリドンはSHEP、ALLHATで用いられ、心血管病の予防に有用であることが証明されている。
○いずれもNa排泄とともにK排泄を促進させ、低K血症をきたしやすい。その程度が強いと不整脈および突然死をきたしやすくなり、心血管系臓器保護効果が消失する可能性があることが報告されている。
○これらの副作用は常用量の1/4~1/2量の少量投与や、ARB、ACE阻害薬との併用でかなり予防できるが、血清Kの変化に注意し、低K血症時には塩化カリウムの補給や、スピロノラクトンあるいはトリアムテレンといったK保持性利尿薬の併用が必要である。
■降圧利尿薬とサイアザイド
http://blog.m3.com/reed/20080923/1

■[PDF] 高血圧治療における 利尿薬の用量について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1022-11c.pdf

■「薬の相談室」実例集
http://yama-yaku.or.jp/guest/soudan/078257.htm

■[PDF] 降圧薬
http://www.e-clinician.net/vol39/no408/pdf/sp15_408.pdf
○循環血液量の低下に伴ってレニン・アンジオテンシン(RIA)系が活性化されること、および交感神経系活性が充進することが、心・血管系へ何らかの影響を及ぼし、心肥大や血管障害の改善が生じ難いのではないかと考えられている。
○近年、世界各国で発表されている軽・中等症高血圧に対する治療成績で、脳血管障害が著しく減少しているにもかかわらず、虚血性心疾患が思ったほど減少していない一因として、基礎薬として使用されているサイアザイド系利尿薬の前述した
ような欠点が関係しているものと考えられている。
○R-A系が活性化されてアルドステロン産生が充進し、低K血症がもたらされるとともに、膵ラ氏島からのインスリン分泌が障害され、耐糖能異常が生じてくると考えられている。
○低K血症は、心・血管系に対して悪影響を及ぼすことが明らかにされている。
このほか循環血液量の減少は、腎血流を低下させ、糸球体濾過率の低下と近位尿細管における再吸収を充進させる結果、高尿酸血症、高窒素血症さらに血清クレアチニン上昇をきたし易い。
また機序の詳細は明らかでないが、循環血液量の減少が関係して高脂血症もきたし易い。
○血管系に対して悪影響を及ぼすことが明らかにされている。
このほか循環血液量の減少は、腎血流を低下させ、糸球体濾過率の低下と近位尿細管における再吸収を充進させる結果、高尿酸血症、高窒素血症さらに血清クレアチニン上昇をきたし易い。
また機序の詳細は明らかでないが、循環血液量の減少が関係して高脂血症もきたし易い。
○近年、世界各国で発表されている軽・中等症高血圧に対する治療成績で、脳血管障害が著しく減少しているにもかかわらず、虚血性心疾患が思ったほど減少していない一因として、基礎薬として使用されているサイアザイド系利尿薬の前述した
ような欠点が関係しているものと考えられている。
<コメント>
2002年に発表されたALLHATでサイアザイド系利尿薬が再評価されました。
上記の内容は、1992年時点の猿田享男先生の書かれたものです。
まるで「百害あって一利なし」の書き方になっています。
このサイアザイドも以下のごとく、諸先生の努力で用量設定の見直しがされつつあります。
この努力に敬意を表したいと思います。

■サイアザイド系利尿薬の承認用量を見直しへ 使用促進の起爆剤になるか
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0810/081032.html?ap
日本高血圧学会が低用量化を要望
国内外の高血圧治療ガイドラインで高い評価をされている利尿薬だが,わが国の臨床現場では敬遠されがちなのが実情。
医師が利尿薬の使用を躊躇する大きな要因と考えられるのが,代謝面などへの副作用だ。
委員の河野雄平氏によると,同じ降圧薬でも,ACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が用量と副作用の発現頻度との相関が弱いのに対し,利尿薬では用量依存性に副作用の発現頻度が上昇する。
このような点に配慮して,国内外の高血圧治療ガイドラインでは少量投与が推奨されているが,サイアザイド系利尿薬のわが国の承認用量は米国よりも多い。
このようななか,日本高血圧学会は,サイアザイド系利尿薬の適正用量は現行承認用量の半量から4分の1程度ではないかとの見解を示し,厚労省に低用量化を要望していた。

検討対象はヒドロクロロチアシドなど4剤
同検討会では今後,ヒドロクロロチアジド,インダパミド,クロルタリドン,トリクロルメチアジドのサイアザイド系利尿薬4剤(表)について,臨床データ,文献,総説などを収集し,有効性・安全性を評価して,承認用量の見直しを検討する。

具体的には,高血圧治療の専門家などからなるワーキンググループを別に組織して検討作業を進め,ワーキンググループの報告を検討会で吟味し,判断するという。
■Prevention of the glucose intolerance of thiazide diuretics by maintenance of body potassium.
http://diabetes.diabetesjournals.org/content/32/2/106.abstract
We conclude that the thiazide effect on glucose tolerance is a consequence of the resultant hypokalemia that the diuretic may create.

■Editorial Commentaries
Thiazide-Associated Glucose Abnormalities: Prognosis, Etiology, and Prevention
Is Potassium Balance the Key?
http://hyper.ahajournals.org/cgi/content/full/48/2/198
(なかなかここまでサイアザイドの催糖尿病性について論述された文献は見当たりません)

■Possible role for insulin receptors in the mechanism of thiazide induced glucose tolerance.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6599719

■Effects of low dose versus conventional dose thiazide diuretic on insulin action in essential hypertension
http://www.bmj.com/cgi/content/full/309/6949/226

<2009.5.31追記>
サイアザイド誘発性糖尿病は治療開始後初期に発症し,血清カリウム低下が介在している
http://www.takedamed.com/hpdr/rootDir/jsp/content/journal/journal.jsp
原著:Changes in serum potassium mediate thiazide-induced diabetes.
(血清カリウムの変化がサイアザイド誘発性糖尿病に介在している)
Shafi T, Appel LJ, Miller ER 3rd, Klag MJ, Parekh RS.
Hypertension. 2008;52(6):1022-1029.

60歳以上の収縮期高血圧患者を対象にクロルタリドンの効果を検討したSHEPの参加者のうち,試験開始前に糖尿病を有していなかった3,790例のデータから,血清カリウムの低下度と糖尿病の発症との関係を検討した。

サイアザイド薬は優れた利尿薬および降圧薬である反面,低K血症,高尿酸血症や耐糖能異常といった副作用が問題となっている。
市販されてから50年以上が経過し,副作用の発症機序も解明されてきたが,いまだ議論があるのが,低K血症と耐糖能異常の関係である。
サイアザイド薬の作用機序からみて低K血症の発症は当然であるが,その低K血症がいかに耐糖能異常の発症に関係しているかである。
これまでの研究で,インスリン分泌には膵臓のβ細胞の表面にあるATP感受性KチャネルやL型Caチャネルが関与しており,血糖が上昇すると,このKチャネルを閉じることによりインスリン分泌を促進させると考えられている。
血清Kの低下はこの機序に関係し,インスリン分泌を低下させて耐糖能異常を惹起すると想定されており,サイアザイド薬の投与で低K血症が著明になると,糖尿病が発症しやすくなる。
本研究は,60歳以上の収縮期高血圧患者を対象として,サイアザイド薬の効果をプラセボと比較したSHEP研究において,その開始前に糖尿病を有さなかったものを対象として,血清Kの低下度と糖尿病の発症との関係を再検討した成績である。

本研究で明らかにされたことは,サイアザイド薬投与群では糖尿病の発症が明らかに多く,その42%が1年目で発症し,それ以後の発症は少なくなること,投与前に比し血清Kが0.5mEq/L以上減少すると,糖尿病の発症が有意に高くなることである。
サイアザイド薬投与時には,血清Kが低下しないように,K補給の重要性が再度明瞭にされた研究である。
(編者:猿田享男先生)


<コメント>
非常に興味深く読ませていただきました。
今までの疑問が解けたのが半分。
やっぱり余り分かっていないんだなというのは半分。

カリウム補給が耐糖能発症対策になるということなのでしょうか。

カリウム値の解釈については開業医の場合に気をつけなけらばならないことがあります。
それは検体回収までの放置による溶血に伴う偽性カリウム上昇です。
実際には低カリウムが存在しても見逃されている可能性があります。


<きょうの一曲>  オリビアを聴きながら
(娘が是非アップしろっていっていますので)
杏里 「オリビアを聴きながら」
http://www.youtube.com/watch?v=jq6cWEqcyTQ&feature=related
杏里 ANRI - オリビアを聴きながら(2007 Studio Live)
http://www.youtube.com/watch?v=62ZmaAaFD4I&feature=related

尾崎亜美 オリビアを聴きながら
http://www.youtube.com/watch?v=D_vhVz6QDTs&feature=related

本田美奈子 - "オリビアを聴きながら"
http://www.youtube.com/watch?v=8LQAuENEhZw&feature=related


 

 

 

固定リンク | コメント (0)

コメント

コメントはまだありません。

コメントを書く

ニックネーム*
メールアドレス*
URL
内容*
※「利用規約」をお読みのうえ、適切な投稿をお願いします。