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積極的降圧でも副作用少ない
80歳以上の高齢者の血圧目標値は150/80mmHg未満―これは実際の診療現場で達成すべき数値なのだろうか。
あるいは,脳卒中予防のためのこの目標値は,多くの副作用を伴う"非現実的"なものにすぎないのか。
この点について,ライニッシェ・フリードリッヒ・ウィルヘルム大学(ボン)病院内科のThomas Mengden講師に聞いた。
認知機能もむしろ改善傾向に
HYVET(The Hypertension in the Very Elderly Trial)試験は,80歳以上の超高齢者における降圧治療の問題を検討した初の大規模試験であり,この年齢層が人口統計学的に最も急速に増加している年齢層の一部であることを考慮すると,その重要性は明らかである。
既に,60歳以上の患者を対象とした過去の複数の研究から,降圧することで脳卒中や心不全などのエンドポイントが改善すること,さらにそれらのメタ解析から,80歳以上の群では降圧治療によって脳卒中リスクが低下するものの,副作用により結局は死亡率が上昇してしまうことが示唆されていた。
同試験では,利尿薬であるインダパミド徐放製剤の投与により,ACE阻害薬ペリンドプリルの追加投与の有無にかかわらず,全脳卒中発症率が30%,致死性脳卒中発症率が39%,総死亡率が21%低下していた。
加えて,心不全発症率が64%低下していたことは特筆に値する。
しかも,インダパミド±ペリンドプリル投与下での副作用(めまい,低血圧など)の増加は見られず,積極的治療群では,むしろ副作用の有意な減少が示された。
さらに,認知症発症の問題を解明すべく実施されたサブグループ解析(HYVET-COG)では,積極的治療が認知機能の悪化ではなく,むしろ改善傾向をもたらすことが示唆された。
なお,HYVET試験では脱水傾向があるかなり衰弱した患者(老人施設入所者など)と認知症が既に顕症化している患者を対象から除外しているため,これらの患者に関するデータは含まれていない。
通常,高齢・超高齢の患者では,孤立性拡張期高血圧や収縮期/拡張期高血圧とは病態生理学的機序が全く異なる孤立性収縮期高血圧(ISH)が問題となる。
フラミンガム研究のデータから,ISHは大動脈における血管の硬化とそれに伴う血圧調節機能の喪失によって発症する独立した疾患であることが明らかにされている。
同試験で使用された薬剤が血管の硬さを示すパラメータに長期的な好影響を及ぼすことは既に知られていることから(REASON試験,CAFE試験),HYVET試験の結果はあまり驚くべき内容ではないのかもしれない。
実際の臨床で重要なのは,どのような場合でも,まずは24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を実施してISHの診断を確定することである。
同試験で臨床的に測定された血圧値とABPMにおける1日平均血圧値との対応関係を見ると,前者の160mmHg,150mmHg(いずれも収縮期血圧),80mmHg(拡張期血圧)は,それぞれ後者の147mmHg,140mmHg,75mmHgに相当する。
治療モニタリングでは,必要に応じて外来血圧の測定を臥位と立位で行うべきである。
それによって,ABPMで高齢者がしばしば訴える非特異性のめまい症状が実際に起立性低血圧によるものかどうかがわかる。
さらに,高齢者ではしばしば血圧変動性が大幅に上昇することから,ABPMの分析では治療下での血圧変動性も考慮すべきである。
出典 Medical Tribune 2009.5.21(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
通常,高齢・超高齢の患者では,孤立性拡張期高血圧や収縮期/拡張期高血圧とは病態生理学的機序が全く異なる孤立性収縮期高血圧(ISH)が問題となる・・・
高齢・超高齢で孤立性収縮期高血圧はすでに有名(?)ですが孤立性拡張期高血圧は初めて聞きました。
臨床場面ではあまり経験しません。
この年齢層が人口統計学的に最も急速に増加している年齢層の一部・・・
高齢化社会はドイツでも同様のようです。
考えてみれば第二次世界大戦を経験した国どうし。
参戦した国とそうでない国では当然人口構成が違うはずです。
各国の事情にも大戦の影響が長く及んでいることが理解できます。
主要国の人口と人口構成の推移
http://www.nsspirit-cashf.com/jinkou_kousei.html
(世界の中でも日本が高齢化社会に突き進んでいることが理解できます)
<関連サイト>
HYVET
http://blog.m3.com/reed/20080407/HYVET
HYVETサブ解析
http://blog.m3.com/reed/20080819/HYVET_
HYVETのサブ解析
http://blog.m3.com/reed/20081028/HYVET_
HYVET試験アゲイン
http://blog.m3.com/reed/20080511/1
高齢者の高血圧 2008.7 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080719/_2008.7_
高齢者の高血圧 2008.7 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080720/_2008.7_

NIKKEI MEDICAL 2005.8
(武田薬品工業 「ブロプレス」広告 より)
(平成17年度版「理科年表」国立天文台編よえい、収縮期と拡張期血圧を記載しています。ヒトについては、日本高血圧学会 高血圧治療ガイドラインの「至適血圧」に基づいています。)「広告文より」

NIKKEI MEDICAL 2005.8
(武田薬品工業 「ブロプレス」広告 より)
NIKKEI MEDICAL 2005.8
(武田薬品工業 「ブロプレス」広告 より)
<関連記事>
超高齢者における降圧の意義がHYVET試験で明らかに
日本の大規模観察研究でも注目のエビデンス
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟 先生
背景:エビデンスがなかった超高齢者の降圧療法
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2004」によれば,「高齢者においても高血圧の基準は一般成人と同様140/90mmHg以上とする」とされている。
しかし,同時に「高齢者において140/90mmHg未満が妥当であるか否かは,現在のところエビデンスがない」とも記載されている。
実際,久山町研究では80歳以上の超高齢者では収縮期血圧が140mmHg以上になっても心血管合併症リスクの上昇が認められず(Arch Intern Med 2003; 163: 361-366),欧州(J Am Geriatr Soc 2006; 54: 912-918)や米国(J Am Geriatr Soc 2007; 55: 383-388)の観察研究でも80歳ないし85歳以上の超高齢者では収縮期血圧140mmHg未満の集団のほうが,140mmHg以上の集団よりも生存率が低くなっていた。
このような状況のなかで超高齢者の高血圧を治療することの利益と害を検討するための前向きランダム化介入試験HYVETがN Engl J Med(2008; 358: 1887-1898)に報告された。
また,わが国でもJ-HEALTH研究(Hypertens Res 2008; 31: 469-478)の結果が報告された。
結果1:積極的治療は血圧コントロールを改善
HYVET試験では,80歳以上で収縮期血圧160mmHg以上が持続している高血圧症患者が登録され,2か月間降圧薬を中止してプラセボを内服した後,3,845例が積極的治療群(1,933例)とプラセボ群(1,912例)にランダムに割り付けられた。
積極的治療群では,150/80mmHg未満になるよう利尿薬インダパミドおよび必要があればACE阻害薬ペリンドプリルが投与された。
追跡期間の中央値は1.8年,平均値は2.1年であったが,試験開始2年後の時点で積極的治療群の4分の1のみがインダパミド単独で治療されており,4分の3の患者はインダパミドとペリンドプリル両薬の投与を受けていた。
その結果,積極的治療群では試験開始時に比べて収縮期血圧で29.5±15.4mmHg,拡張期血圧で12.9±9.5mmHgの低下を認め,この時点で収縮期血圧で15.0mmHg,拡張期血圧で6.1mmHg,プラセボ群より低くなっていた(プラセボ群でも14.5±18.5/6.8±10.5mmHgの低下を認めていた)。
結果2:積極的降圧治療は死亡率を軽減
このような降圧レベルの違いの結果,2年間での全死因死亡(全死亡)は積極的治療群ではプラセボ群に比べ21%低下しており(P=0.02),脳卒中による死亡も39%低下し(P=0.046),また,心不全も64%低下していた(P<0.001)。
ただし,主要エンドポイントであったすべての脳卒中の低下(30%)は有意ではなかった(P=0.06)。
結果3:積極的降圧治療は重篤な副作用を増加させず
なお,血清K値,尿酸値,血糖値,血中クレアチニン値の変化には両群間で統計学的な差異はなく,重篤な副作用は積極的治療群で358イベント,プラセボ群で448イベントと,プラセボ群で有意に多かった。
考察:150/80mmHg以上あるいは150/85mmHg以上なら薬物療法で140/90mmHg未満を目指すべき
高齢者に対する降圧治療の効果を示すこれまでの前向き研究の論文としては,複数の研究のメタ解析であるINDANA groupからの報告(Lancet 1999; 353: 793-796)(1,670例)があるくらいであった。
この報告では,降圧治療により脳卒中では34%の有意な減少を認めたものの,全死亡に差異はなく,逆に有意ではないものの降圧治療群で6%の増加を認めていた。
単一の研究で3,845例のデータを取り扱うHYVET試験において,全死亡の減少という結果を得られたことは本当に意義深いと言えよう。
ごく最近わが国ではJ-HEALTH研究(26,512例)の結果が報告されたが(Hypertens Res 2008; 31: 469-478),この観察研究からは,75歳以上(4,176例)では収縮期血圧150mmHg以上もしくは拡張期血圧85mmHg以上で心血管疾患の発症率が増加し,また,85歳以上(692例)でも140/90mmHg以上(96.8/1,000人・年)のほうが140/90mmHg未満(42.4/1,000人・年)より2倍心血管疾患の発症率が高いことが示されていた。
前述の久山町研究(Arch Intern Med 2003; 163: 361-366)(588例)では超高齢者の血圧―心血管イベント発症率関係は若年者のそれとは異なる可能性が示唆されていたが,J-HEALTH研究により超高齢者でも若年者のそれとほぼ同様であることが確認されたと言えよう。
こうした最近の研究結果を考えると,わが国の超高齢者においても150/80mmHg以上(HYVET試験)あるいは150/85mmHg以上(J-HEALTH研究)であれば薬物療法の対象とし,140/90mmHg未満を目指すべきと思われた。
*超高齢者という用語は学術的に定義されていない。しかし,後期高齢者という用語が75歳以上を指すものとして法律上規定されているため,本稿では後期の高齢者を包括する概念として超高齢者という用語を用いた。
したがって,75歳以上であっても,80歳以上であっても,85歳以上であっても超高齢者で統一した。
MT pro 2008.6.4
<関連文献>
Arch Intern Med. 2003 Feb 10;163(3):361-6.
Validity of the JNC VI recommendations for the management of hypertension in a general population of Japanese elderly: the Hisayama study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/12578518
J Am Geriatr Soc. 2006 Jun;54(6):912-8.
Association between blood pressure and survival over 9 years in a general population aged 85 and older.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16776785
J Am Geriatr Soc. 2007 Dec;55(12):2102-3.
Blood pressure and survival in the oldest old.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17341240
N Engl J Med. 2008 May 1;358(18):1887-98. Epub 2008 Mar 31.
Treatment of hypertension in patients 80 years of age or older.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18378519
Hypertens Res. 2008 Mar;31(3):469-78.
Impact of blood pressure control on cardiovascular events in 26,512 Japanese hypertensive patients: the Japan Hypertension Evaluation with Angiotensin II Antagonist Losartan Therapy (J-HEALTH) study, a prospective nationwide observational study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18497466
Lancet. 1999 Mar 6;353(9155):793-6.
Antihypertensive drugs in very old people: a subgroup meta-analysis of randomised controlled trials. INDANA Group.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/10459960
Hypertens Res. 2008 Mar;31(3):469-78.
Impact of blood pressure control on cardiovascular events in 26,512 Japanese hypertensive patients: the Japan Hypertension Evaluation with Angiotensin II Antagonist Losartan Therapy (J-HEALTH) study, a prospective nationwide observational study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18497466
Arch Intern Med. 2003 Feb 10;163(3):361-6.
Validity of the JNC VI recommendations for the management of hypertension in a general population of Japanese elderly: the Hisayama study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/12578518

この捨て猫(子猫)。
1週間も経たないのにすっかりリラックスしています。
まんざら悪い人達でもなさそうととわかってきたようです。
毎週、1週間の罪滅ぼしに女房とスーパーに買い出しに行きます。
いつもは素通りのペットフードコーナーを初めて覗きました。
結構高くて下手をすると人様の缶詰より高いかも知れません。
猫用も8歳以上と13歳以上に分かれていて笑ってしまいました。
13歳以上は後期高齢者用で柔らかい食事なのでしょうか。
<きょうの一曲> Diana Krall - Love Letters : Live in Paris
http://www.youtube.com/watch?v=l6uios2-3HE&feature=related
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