戯れ言たれる侏儒
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< j-Cypherレジストリー・SES | メイン | 第73回日本循環器学会・血栓性心血管疾患... >

心筋梗塞の発症に関連する遺伝子については2009.4.3にとりあげました。

心筋梗塞の発症に関連する遺伝子
http://blog.m3.com/reed/20090403/1

きょうは「早発性」心筋梗塞患者(男性:50歳未満,女性:60歳未満で発症)に関する記事で勉強しました。

先生方もそうでしょうが、私もこの年齢に該当する心筋梗塞を診察する機会があります。
問題は、遺伝子解析によってそういった方をピックアップできた場合に、梗塞発症予防が可能かというところだと思います。

今回の研究者のコメントは
「現在,心筋梗塞リスクを減少させる効果的な介入方法が確立されているため,遺伝的リスクが高い人に対し早期の介入が有効か否かを今後検討する必要がある」
ということです。
要するに早期介入法は体系づけられてはいないようです。

心筋梗塞の発症要因は様々です。
高脂血症の方が梗塞を起こし易いのは事実でしょうが、ICUという梗塞患者受け入れ現場からみれば正常の脂質値の患者もしばしば経験する筈です。
要するに「逆もまた真なり The converse is also true」ではなく「逆は必ずしも真ならず The converse is not always true」です。

逆の発想もあるかも知れません。
コレステロールで生計をたてている研究者は、今後は遺伝子変異のある患者は臨床試験から除外することによって、より良いデータが得られる可能性があるからです。

さて、今一番知りたいのは、一次予防が二次予防より困難といわれるスタチンの梗塞予防効果が
果たして正常コレステロール値の「早発性心筋梗塞リスク」の方にlower the betterがあてはまるかといったところです。

#早発性心筋梗塞に関与する遺伝子変異を特定  発症機序の解明進む
心筋梗塞遺伝学コンソーシアムは,これまでで最大となる10か国の約2万6,000人を対象とした全ゲノムの心筋梗塞関連遺伝因子の研究を完了し,早発性心筋梗塞リスクに関与する新たに発見された3つを含む9つの遺伝子領域を特定したとNature Genetics(2009; 41: 334-341)に発表した。

#生命科学の新ツールを活用
マサチューセッツ総合病院(MGH,ボストン)予防心臓病学のSekar Kathiresan助教授は,この研究の背景について「米国では心筋梗塞が死亡と障害の最大の原因であるが,数十年前から心筋梗塞には家族集積性があり,その一部はDNAの塩基配列の違いに起因すると考えられてきた。そこでわれわれは,家族性の心筋梗塞リスクに関連する一塩基多型(SNP)を特定することを目的に今回の研究を行った」と説明している。
 
この研究の発端は10年以上前にさかのぼり,同助教授の共同研究者で,現在,フラミンガム心臓研究に携わるChristopher O'Donnell博士が,MGHで治療を受けていた早発性心筋梗塞患者(男性:50歳未満,女性:60歳未満で発症)のデータの収集を開始したことがきっかけとなった。

Kathiresan助教授らは,2006年にマサチューセッツ工科大学(MIT),ハーバード大学ブロード研究所(マサチューセッツ州ケンブリッジ)のDavid Altshuler博士とともに,心筋梗塞遺伝学コンソーシアムを設立。
その後,世界各国から6つのグループが同コンソーシアムに参加し,第1ステージとして早発性心筋梗塞患者約3,000例と健康対照例約3,000例のデータが収集された。
 
この研究では,ここ10年間に開発された生命科学の新ツール,例えばヒト全ゲノムのSNPマップである国際ハプロタイプマップや一度に数十万のSNPの同定を可能にするDNAアレイが活用された。
さらに,同博士らが開発したDNAチップにより,2つのタイプの遺伝子変異,SNPとコピー数多型を同時にスクリーニングすることができた。

#SNPの組み合わせでリスク判定
第1ステージでは6グループからの約6,000例を分析し,心筋梗塞リスクと相関する可能性のあるSNPが特定された。
その後,3つのステージから成る再現性試験(第2ステージ約8,000例,第3ステージ約8,000例,第4ステージ約3,000例)が行われ,計約1万例の早発性心筋梗塞患者と,約1万例の健康対照例で再現性が検討された。
 
その結果,頻度の高い9座のSNPに,早発性心筋梗塞リスクとの有意な相関が認められた。
このうち3座のSNPは,今回の研究で初めて相関性が明らかにされた。
 
また,O'Donnell博士による別の研究では,この9座のうち,冠動脈の動脈硬化巣のプラーク形成を促進する新たな遺伝子領域も特定された。
 
早発性心筋梗塞リスクに関与するSNPの遺伝的影響を解析するために,対象者ごとに早発性心筋梗塞に関与するSNPの組み合わせから,遺伝子型スコアを算出した。
その結果,遺伝子型スコアが最も高い群では,最も低い群と比べて,早発性心筋梗塞リスクが2倍以上高いことが示された。
一方,コピー数変異と早発性心筋梗塞の相関は認められなかった。

#高リスク群への介入の検証を
個々のSNPによるリスクの増大は小さいが,早発性心筋梗塞に関与するSNPの特定には大きな意義がある。
 
Kathiresan助教授は「われわれは,2003年に発見されたPCSK9と呼ばれる遺伝子の変異を同定することができたが,この遺伝子領域に対し,大規模な研究を行うことで動脈硬化と心筋梗塞の生物学的な解明が大きく前進し,標的治療薬開発の促進にも寄与した。今後,新たに同定された変異例で心筋梗塞を起こす機序を研究することで,より重要な知見が得られるだろう」と説明。
さらに「現在,心筋梗塞リスクを減少させる効果的な介入方法が確立されているため,遺伝的リスクが高い人に対し早期の介入が有効か否かを今後検討する必要がある」と付け加えている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view/perpage/1/order/1/page/0/id/M42160461/year/2009

出典 Medical Tribune 2009.4.16(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社

<関連サイト>
心筋梗塞の発症リスクとなる新たな遺伝的多型を発見
- ガレクチン-2結合分子のBRAPが心筋梗塞の発症に関連 -
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2009/090210/index.html

心筋梗塞の発症に関わる遺伝子、PSMA6を発見
-LTA、ガレクチン2に引き続き3つ目の関連遺伝子-
http://www.src.riken.jp/news/060717/index.html

LTA遺伝子の多型が心筋梗塞の予後予測因子になる可能性
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2009/200903/509931.html
■血管の炎症に関与するLTA遺伝子の一塩基多型(SNP)が、急性心筋梗塞の予後予測因子として利用される日がくるかもしれない。
3月20日から22日まで開催されている第73回日本循環器学会総会・学術集会のトピック・セッション、「急性心筋梗塞の予後を規定する新たなリスク」で、大阪大学大学院循環器内科学講師の佐藤洋氏が紹介した。
■佐藤氏を含む同大学教授の堀正二氏の研究グループは、心筋梗塞発症患者の全ゲノムを解析し、心筋梗塞を発症しやすい感受性遺伝子の同定などを進めてきた。
そのうちの1つが、血管の炎症に関与する分子として知られるリンフォトキシンα(LTA)遺伝子の多型だ。
これまでの研究からLTA遺伝子には、3つの多型が同定されている。
これらの多型は連鎖平衡関係にあるため、ほとんどの人がこの3つの多型を同時に持っており、多型を持っていない人に比べて心筋梗塞の発症リスクが1.8倍に高まる。
■研究グループは基礎研究で、これらの多型によってLTAの転写が増強されたり、活性の高いLTAが産生されたりすることを突き止めた。
また、試験管レベルの実験、スタチンが、内皮細胞と単球の接着を抑制するのに有効であることを示唆する結果も得た。
■LTA遺伝子の多型については、急性心筋梗塞後の死亡や心血管イベントの予後予測因子として利用するための研究も進んでいる。
心筋梗塞を発症した患者を、LTA遺伝子の多型の有無で分けて予後を比較すると、「喫煙暦や年齢、性別などについて補正しても、なおLTA遺伝子の多型が予後予測因子として残る」(佐藤氏)。
■佐藤氏らは、既に大阪急性冠症候群研究会(OACIS)登録患者を対象とした後ろ向きの研究で、LTA遺伝子の多型による心筋梗塞の再発リスクが、スタチンの投与によって低減できることを明らかにしている。
将来的にはLTA遺伝子の多型の有無を治療に反映できる可能性もありそうだ。


<自遊時間>  逆は必ずしも真ならず
「逆は必ずしも真ならず」の証明ってできますか?
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa2051341.html
知らないことでも「それはおかしい」と反論できる
http://www.kantokushi.or.jp/lsp/no581/581_01.html
対偶 (論理学)
http://ja.wikipedia.org/wiki/対偶_(論理学)
「すべてのカラスは黒い」の対偶は「黒くないものはカラスではない」ではない
http://d.hatena.ne.jp/trivial/20060921/1158848793
逆は必ずしも真ならず
http://nishimori.blog110.fc2.com/blog-entry-200.html


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