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j-Cypherレジストリーの2年間の観察結果で勉強しました。
DES留置後のステント血栓症は欧米より少ない
シロリムス溶出ステント(SES)の有効性と安全性に関する多施設共同前向き研究j-Cypherレジストリーの2年間の観察結果が報告された(Circulation 2009; 119: 987-995)。
それによると,日本でのステント血栓症の累積発症率は留置30日後が0.34%,1年後0.54%,2年後0.77%で,欧米と比べて著しく低かった。
全観察期間を通じて,アスピリン,チエノピリジン系抗血小板薬両方の中止はステント血栓症リスクを増加させた一方,2剤併用抗血小板療法を6か月以降も継続する有益性は示されなかった。
高リスク患者の多さと手技の緻密さが明らかに
j-Cypherレジストリーは,企業が資金を拠出し,医師の研究グループが企画,症例集積,解析を行う医師主導の多施設共同前向き観察研究だ。
京都大学循環器内科の木村剛准教授らほか全国37施設が参加し,わが国初の薬剤溶出ステント(DES)としてSESが認可された2004年に登録を開始。
参加施設では,心カテ室のコメディカルの協力を得て,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の連続症例をスクリーニングし,SES留置連続症例を登録する仕組みをつくった。
また,探索的研究を意図した多彩な評価項目を設定し,事務局の治験コーディネーター(CRC)が登録データの精査・照会,入力補助などでサポートした。
今回は,2006年までに登録されたSESのみで治療された患者,連続1万778例の2年間の成績が解析された。
ベースライン時のデータから,わが国のPCI症例の特徴として,高齢(68.3歳),糖尿病や末期腎不全の合併率の高さ(順に41%,10.6%),急性冠症候群(ACS)が低率(21%),重症あるいは複雑病変が多く(左冠動脈主幹部3.9%,慢性完全閉塞9.1%,平均総ステント長38.9mm),手技の緻密さ(ステント留置時の血管内エコー使用率45%,追加拡張44%,最大拡張圧17.9気圧)―などが明らかになった。
このように,世界的に見ても独特な背景を持つ日本において,ステント血栓症の発症率を正確に推定し,抗血小板療法に関するコンセンサスを形成するうえで,この研究の果たす役割は大きい。
2剤中止で血栓症リスク上昇
ステント血栓症の累積発症率の検討では,冠動脈造影(CAG)で「確実」と判定されたものを定義として用いた。
ステント血栓症は,留置後30日までの早期にリスクが高く,その後はコンスタントに増加することが知られており,今回の結果でも同様の傾向が認められている。
抗血小板薬中止との因果関係はあるのか。
チエノピリジン系抗血小板薬の累積継続率は,1か月後が97%,6か月後79%,1年後62%,2年後50%となっていた。
アスピリンの服薬状況を調べたうえで,チエノピリジン系薬中止とステント血栓症との関連について検討した結果,2剤両方を1日でも中止した群は,2剤併用を継続した群に比べて,31~180日,181~365日,366~548日においてそれぞれステント血栓症リスクが有意に高かった。
一方,チエノピリジン系薬のみの中止は,全観察期間を通じて同リスクを増加させなかった(図1)。
留置後6か月時のランドマーク解析では,チエノピリジン系薬服用群は非服用群に比べて,腎不全や再PCIなど高リスク患者が多かった。
propensity scoreを用いて,投薬中止,継続の判断に関連する因子を調整し,両群のその後2年のイベント発症について検討したところ,死亡および心筋梗塞の調整後累積発生率は,服用群で4.1%,非服用群で4.1%であった(図2)。
この解析は,6か月時点での服薬中止のその後の再開,服薬継続のその後の中止は反映されない点で限界があるが,留置後6か月超の2剤併用抗血小板療法の有益性は示されなかった。
京都大学循環器内科 木村 剛 准教授 のコメント
j-Cypherレジストリーにおけるステント血栓症発症率は,欧米の報告(2年間で2~3%)に比べて,高リスク患者が多いにもかかわらず,著しく低かった。
人種差,ACS比率の低さなどが影響した可能性が考えられる。
2剤併用抗血小板療法は一般的に1年以上継続することが推奨されているが,日本人ではその根拠となるデータがない。例えば,高齢で出血リスクが高い場合など,留置後6か月を過ぎて2剤併用にこだわる理由は見当たらない。
どのような患者に,いつまで2剤併用を継続すべきかは大きな問題で,今後前向き研究で検証する必要がある。
また,ステント血栓症だけでなく,出血リスク,アテローム血栓症イベントリスクを考慮して,総合的に検討する視点が重要になる。
出典 Medical Tribune 2009.4.23,30(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
<ステント 関連サイト>
CABGかDESか(LMT病変)
http://blog.m3.com/reed/20081118/CABG_DES_LMT_1
SYNTAX試験 3枝病変・左主幹部病変に対する治療
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DES 最近の話題 その1(1/2)
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議論続く薬剤溶出性ステント その1(1/2)
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Evidence-Based Coronary Intervention その1(1/2)
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DES 最近の話題 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080202/DES__
DES 最近の話題 その2(2/2)
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アジア人のステント血栓症
http://blog.m3.com/reed/20081121/1
日本人におけるPCIの在り方
http://blog.m3.com/reed/20090119/_PCI_
j-CypherとJ-CTO
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薬剤溶出性ステントの長期予後の最新知見
http://blog.m3.com/reed/20080405/1
DESの適応拡大を検討する
http://blog.m3.com/reed/20080926/DES_

東山魁夷 花明かり(新復刻)
http://www.suiha.co.jp/cms/work.cgi?ano=1150963928&wno=1226368074
<番外編 その1>
急性冠動脈症候群患者においてピオグリタゾン投与1か月以内にみられた頸動脈プラークエコー輝度の急速な改善
Rapid improvement of carotid plaque echogenicity within 1 month of pioglitazone treatment in patients with acute coronary syndrome. Hirano M, et al. Atherosclerosis 2008 Jul 26
http://www.takedamed.com/hpdr/rootDir/ExistCnt.do?url=content/journal/doc_diabetes.jsp&kind=jsp
第67回(2009年1月収載)
<コメント>
文中の「頸動脈での低エコー輝度は冠動脈不安定プラークの存在を反映している。」・・・はたして本当であろうか?
コメンテーターの小田原雅人教授の「IVUSの代用としての頸動脈エコーによる冠動脈のプラークの評価」・・・頸動脈と冠動脈では不安定プラークの成因は異なるはず(たとえば血圧の影響も両者では異なる)で納得いきません。
<番外編 その2>
より厳格な降圧を
http://www.arb-hctz.jp/
(ONTARGET,TRASCEND,PRoFESSの各コメントを動画で紹介しています)
<きょうの一曲> やさしさに包まれたなら - 松任谷由美
http://www.youtube.com/watch?v=ymdwzoxS8Xg&hl=ja
http://www.dailymotion.com/video/x4u8xs__music