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第73回日本循環器学会特集 コントロバーシー「スタチン」の記事で勉強しました。
RCTでは否定されたが根強い期待感
HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)が心不全患者の予後を改善するというデータが,国内外のさまざまな観察研究から明らかにされている。
しかし,最近行われた2つの前向き試験ではポジティブな結果が得られなかった。
どう解釈すればよいのか―。
コントロバーシー「スタチンは心不全患者の予後を改善するか?」
(座長=群馬大学大学院臓器病態内科学・倉林正彦教授,北海道大学大学院循環病態内科学・筒井裕之教授)で4人の専門家が現時点での見解を示した。
日本のPEARLの結果に注目
スタチンは抗脂質異常症作用に加え,抗炎症,抗酸化,血管内皮機能改善など,多彩な作用を併せ持つ。
さらに,スタチンが作用するメバロン酸代謝経路の代謝物(GGPP)が各種シグナル伝達機構を介して心不全発症に関与することから,スタチンによる抗心不全効果の可能性も推測されていた。
実際に,1994年に発表された4Sのサブ解析で心不全発症率の低下が報告され,これを契機に研究が急速に進展した。
コントロバーシーではまず,佐賀大学循環器・腎臓内科の野出孝一教授がこれまでの知見を紹介。
4S以外の各ランダム化比較試験(RCT)のサブ解析や後ろ向きの各種観察研究でも心不全患者の予後を改善する成績が得られているが,ここ1〜2年で報告された2件のRCTでは,ポジティブな結果が得られなかったとした。
いずれもロスバスタチンの試験で,虚血性心不全を中心としたCORONA,非虚血性心不全を含めたGISSI-HFとも明らかな予後改善効果が認められなかった。
非虚血性で軽度の心不全が中心の日本人における知見が期待されるが,同教授らは現在,500例を対象としたRCT,PEARL(Pitavastatin Heart Failure)study(研究代表者=千葉大学・小室一成教授)を進めており,その結果が注目されると述べた。
エンドポイントによっては有効
ポジティブな結果が得られなかったCORONAだが,後付けの解析を行うとエンドポイントによっては予後改善が認められるとしたのは広島大学大学院循環器内科学の木原康樹教授。
また,2件のRCTの解釈に当たっては,ロスバスタチンという水溶性スタチンについて検討されたものであること,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬/アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)をはじめ,多種の薬剤を併用する心不全患者ではスタチンの効果が表面化しにくいことなどを考える必要があるとも指摘した。
秋田大学循環器内科学・呼吸器内科学の伊藤宏教授も,入院などのソフトエンドポイントに関してはスタチンの有効性が認められることを示唆した。
さらに,スタチンと類似した作用も持つARBをスタチンと併用する意義を検討する前向き試験HF-COSTER(Heart Failure Cotreatment of Statin and ARB)で,左室駆出率,B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)などにおいて有意な改善が認められたことを報告した。
脂質面から抗心不全作用の可能性
金沢医科大学循環制御学の梶波康二教授は,脂質の観点からこれまでの報告を考察。
スタチンによる抗心不全作用が患者の脂質レベルによって異なることから,その作用に脂質が少なからず関与している可能性を指摘するとともに,こうした脂質の面から,CORONA,GISSI-HFがスタチンによる抗心不全作用を決して否定するものではないとの見方を示した。
一方,スタチンによる抗心不全作用があるとすると,今後その恩恵を受けやすい患者を明らかにしていく必要がある。
同教授は,PROVE-IT TIMI22(Pravastatin or Atorvastatin Evaluation and Infection Therapy-Thrombolysis in Myocardial Infarction 22)試験の対象患者を,細胞内輸送にかかわるキネシン様蛋白KIF6の遺伝子多型の有無で分けたサブ解析において,多型を有する群でスタチンによる予後改善効果が有意に大きかったというデータを紹介。
スタチンを用いた他の大規模試験でも同様の結果が再現されていることを踏まえ,「今後,スタチンの抗心不全作用が得られやすい患者を遺伝的なサロゲートマーカーから解明する研究が進展していくだろう」と述べた。
さらに私見として,若年,虚血性,特定の脂質プロフィール(LDLコレステロール高値,トリグリセライド低値,HDLコレステロール高値),軽度心機能低下などの因子に関しても,スタチンの抗心不全作用を検証していくことが望まれるとした。
出典 Medical Tribune 2009.4.23,30(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
GGPP
メバロン酸経路とデオキシキシルロース経路http://www2.odn.ne.jp/~had26900/constituents/mevalonic_acid.htm4S
CORONA
http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/071106.pdfGISSI-HF
http://www.kodomo-zensoku.com/activity/press/2007/07_11_06.html
http://blog.m3.com/reed/20090307/CORONA_Study
http://ke.kabupro.jp/tsp/20071106/2b060010_20071106.pdf
http://ke.kabupro.jp/tsp/20071106/2b060010_20071106.pdf
PROVE-IT TIMI22
http://www.natureasia.com/japan/ncp/ncpcardio/pp/0606/1.php
http://rockymuku.sakura.ne.jp/naibunnpitunaika/PROVE%20IT-TIMI%2022rockynote.pdf
http://www.lipid.ne.jp/lipidnet/rinsyo/daikibo/g6_21.html
http://www.medscape.com/viewarticle/471669
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/350/15/1495
http://www.rxfiles.ca/rxfiles/uploads/documents/Lipid-QandA-Prove-It.pdf
http://www.ices.on.ca/webpage.cfm?site_id=1&org_id=77&item_id=3118&morg_id=0&gsec_id=3118
<今日の一曲> セカンドラブ (唄 徳永英明)
http://www.youtube.com/watch?v=c9hE4t_I78M&hl=ja

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