戯れ言たれる侏儒
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非劣性試験

戯れ言たれる侏儒 / 2009.05.06 00:24 / 推薦数 : 3

ONTARGET試験で「非劣性」という言葉が有名になりました。

きょうは、「非劣性」をからめて臨床試験の動向を展望した京大の森本先生の解説記事で勉強しました。

文中には「seeding trial」「サンプルサイズ」「非劣性マージン」「優越性試験」といった重要なキーワードが散りばめられています。

今後、大規模臨床試験を読み解くのに参考にしたいと思いました。

その他に以下の勉強が出来ました。
■海外では、臨床試験を巡る裁判がある。
■seeding trialという言葉も初めて知りましたが、開業医の私も臨床治験であまた思い当たる節があります。
メーカーに「原稿料」という餌付けをされていたわけです。
治験後も薬剤が引き続き処方されるわけですから、「講演会」よりはるかにメーカーにとって「効率的」です。
■「予想を上回る治療法の進歩」「サンプルサイズの予測の適否」が、治験結果に影響している。
中間解析を行い、その結果に応じてサンプルサイズを増やしたり、観察期間を延長することなどが不可欠
(JPADについても、「中間解析を行い、その結果に応じてサンプルサイズを増やしたり、観察期間を延長することなどが不可欠であった」とか「アスピリンの効果を説明するためには、1次エンドポイントの動脈硬化性イベントから非致死性脳出血を除くことなどが必要」といったデザイン上の問題を指摘する専門家もいます)
■「降圧治療や脂質管理が厳格に実施される現在の医療では心筋梗塞や脳梗塞,心血管死といったハードエンドポイントは非常にまれで,がん死のほうがむしろ多い」というコメントも示唆に富むものでした。
■「非劣性試験を行うか,優越性試験を行うかは実施者の意図に左右される」・・・ある程度恣意的に出来るということなら科学的っでもないような気がしました。

 

循環器領域の今後の試験では非劣性試験が増加か
京都大学大学院医学教育推進センターの森本剛講師は,糖尿病患者に対するアスピリンの有用性を証明するために実施されたJPADに携わった経験も踏まえ,今後の循環器領域の臨床試験では非劣性試験が大きく増加するのではないかと予想している。
また,同講師は米国で話題になっている薬剤の普及を目的として行われるseeding trialを挙げ,日本でも注目していく必要があると指摘している。

 

治療進化の勢いサンプルサイズの予測をしのぐ
JPADは,糖尿病患者に対するアスピリン投与の有用性が検討された試験(JAMA 2008; 300: 2134)で,65歳以上ではその有用性が認められたが,対象全体では有用性が証明されなかったため,全糖尿病患者へのアスピリン投与が一般的に行われていた諸外国の臨床現場へ一石を投じる結果となった。
 
この試験の統計解析を担当した森本講師は,JPADについて「サンプルサイズの予測が外れた試験」と振り返る。
その原因は,予想を上回る治療法の進歩であったという。
 
同講師らは次のようにサンプルサイズを算出した。
まず,糖尿病患者の心血管死,心筋梗塞,脳血管疾患の発症が過去の久山町研究などから年間1,000人当たり7.5~8.0件と推定。
HOT研究からすべての動脈硬化性疾患の発症はこの3倍と予想されたが,これらのデータが出された時期からは発症数が減少しつつあるので,発症数が25%減少すると見積もった。
以上から,動脈硬化性疾患イベントの3年間の累積発症率は1,000人当たり52件と予測した。
さらに,アスピリン投与群で30%のリスク低下を証明するためには2,450人の登録が必要とした。
しかし,実際にはコントロール群の1,000人当たりの累積イベント発症率が17件と予想をはるかに下回り,アスピリン群のリスク低下は20%にとどまった。
 
同講師は,降圧治療や脂質管理が厳格に実施される現在の医療では心筋梗塞や脳梗塞,心血管死といったハードエンドポイントは非常にまれで,がん死のほうがむしろ多いと指摘している。

 

非劣性マージンの妥当性に注目すべき
このように治療の優越性を証明することが困難な状況下で,非劣性試験が増えてきている。
森本講師は,非劣性試験では最初のマージン設定が妥当であるかどうかが鍵であると指摘する。
臨床的に意味のあるマージンを設定することも重要であるが,確率論的な根拠をもってマージンを設定することも必要であるという。
 
もちろん,サンプルサイズを大規模にすることができれば優越性試験でも結果を出せることがあるという。
例えば,JUPITERは1万7,802人を対象にした大規模な試験である。
LDLコレステロール値が上昇していなくても高感度C反応性蛋白(hsCRP)が上昇していれば,スタチン薬により心血管イベントリスクが低下することが報告された(NEJM, 2008; 359: 2195)。
 
しかし,この試験での心血管イベントの発症数は非常に少なく,サンプルサイズが膨大だったことから,同講師は,この試験は対照群がプラセボであり非劣性試験にはなじまないが,デザイン上は非劣性試験として計画することも可能であったと指摘する。
非劣性試験を行うか,優越性試験を行うかは実施者の意図に左右されるようだ。

現在,米国で注目を集めているトピックとしてseeding trialがある。
科学的な疑問を解明するためではなく,新規治療薬を既存治療薬と置き換える意図のもとに実施される臨床試験だ。
森本講師によると,米国では臨床試験を巡る裁判のなかでこの問題が明らかにされたという。
研究参加施設が不必要に多く,1施設の登録数が少なく,データの回収が進まないケースなどは,このような試験に該当する可能性がある。
 
同講師は,このような試験が行われる可能性は国内にもあると述べ,臨床医や研究者はこのような試験に注意していく必要があると指摘している。

出典 Medical Tribune 2009.4.23,30(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社

<JPAD 関連サイト>
JPADサブ解析は欧米の心血管治療を変える?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2009/200903/509932.html
■JPAD(Japanese Primary Prevention of Atherosclerosis with Aspirin for Diabetes)は、2型糖尿病の日本人を対象に、低用量アスピリンによる動脈硬化性イベントの一次予防効果を検討した大規模臨床試験。
2008年11月に米ニューオーリンズで開催された米国心臓協会・学術集会(AHA2008)で本試験の最終結果が発表された。
■同試験は、無作為化オープンラベル・エンドポイントブラインド比較試験。国内163施設で2002年から2005年にかけて被験者を受け付け、低用量アスピリン群(81mgまたは100mg/日、1262人)と非アスピリン群(1267人)に無作為割り付けして、2008年4月までフォローアップした。
■1次エンドポイントとして規定された総動脈硬化症イベントは、突然死、冠動脈・脳血管・大動脈に起因する死亡、非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、新規発症の労作性狭心症、非致死性脳梗塞・脳出血、一過性脳虚血発作または非致死性大動脈・末梢血管疾患。
2次エンドポイントは、1次エンドポイントとその組み合わせ、および全死亡とした。
有害事象は、消化管イベントと脳出血以外の出血性イベントを含めて解析した。
■低用量アスピリンは、1次エンドポイントの総動脈硬化性イベントの有意な低下はもたらさなかったものの、2次エンドポイントのうち冠動脈疾患による死亡と脳血管疾患による死亡の有意な低下をもたらしたほか、65歳以上のサブグループにおいて、総動脈硬化性イベントを有意に大きく低下させた。

JPAD
http://blog.m3.com/reed/20081209/JPAD

<HOT 関連サイト>
HOT 
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2000091.html
■デザイン;PROBE,単盲検(降圧治療),二重盲検(aspirin),多施設(欧州,北南米,アジアの26か国)。
■試験終了時78%がCa拮抗薬felodipineを基本とし,41%がACE阻害薬,28%がβ遮断薬を併用。
DBPは治療前の平均105mmHgから,各群で85.2,83.2,81.1mmHgまで下降,降圧度も各20.3,22.3,24.3mmHgであった。心血管イベントの発症は3群間に有意差なし。
従ってDBPを80mmHgまで下げても安全であると結論づけた。
虚血性心疾患を有していた3080例の分析では血圧値が下がるに従い,主要心血管イベントの発症は低くなる傾向があった。
aspirinの効果に関しては主要心血管イベント発症はプラセボ群の10.5件/1000人・年に対して,aspirin投与群では8.9件/1000人・年であり,15%の抑制が認められた(p =0.03)。
しかし非致死的出血はaspirin群で有意に多かった。


東山魁夷  湖岸  リトグラフ

http://www.suiha.co.jp/cms/work.cgi?
ano=1150963928&wno=1160122520

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