戯れ言たれる侏儒
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第73回日本循環器学会 トピック「急性心筋梗塞」の記事で勉強しました。

 

予後改善を目指して進む新たなリスク探求
急性心筋梗塞(AMI)では既に数多くのリスクが解明されているが,AMIの予後改善を目指したリスクへの挑戦はとどまるところがない。
トピック「急性心筋梗塞の予後を規定する新たなリスク」(座長=東京女子医科大学青山病院循環器内科・川名正敏教授,金沢大学臓器機能制御学・山岸正和教授)では,新たなAMI予後規定因子として期待される4つのリスクが紹介された。

LTA遺伝子多型が予後規定因子の可能性
AMIには多数の因子が関与するが,大阪大学大学院循環器内科の佐藤洋講師は,炎症性サイトカインであるリンフォトキシンα〔LTAまたは腫瘍壊死因子(TNF)β〕遺伝子の一塩基多型(SNP)がAMIの予後規定因子となる可能性を紹介した。

長期死亡リスクは2.46倍
佐藤講師らは,AMI患者のゲノムワイド関連解析により, LTAのSNPがAMI発症の強力な感受性遺伝子の1つであることを見出している。
 
LTA遺伝子の「エクソン1の10G> A」,「イントロン1の252A>G」,「エクソン3の804C>A;T26」の3つのSNPは,ほぼ完ぺきな連鎖不平衡を呈して同時に発現し,AMI発症リスクは多型を持たない患者の約1.8倍と高くなる。
LTA多型によるLTAの転写活性増強やアミノ酸変異による高活性LTA生成により,接着因子の産生が増大し,炎症を促進するのがおもな理由と考えられている。
 
このようにLTAのSNPは,接着因子増大という機能的変化をもたらす多型であるため, AMIの発症とともに予後にも影響する可能性がある。
実際に同講師らが,AMIの登録・追跡システムである大阪急性冠症候群研究(OASIS)の登録データを用いて, AMI発症との関連が指摘される870の遺伝子多型を解析したところ,LTA多型は現行の治療法下においてもAMIの強力な予後規定因子であることが確認された。
多変量解析の結果,背景因子で補正した後も,LTA多型は長期の死亡および主要心血管イベントの有意な危険因子であり,死亡ハザード比は2.46(P= 0.010)であった。
 
さらに同講師らの検討では,LTA多型患者の予後改善にスタチンが有用なことが示されており,遺伝子多型の観点から治療の個別化の可能性を提示した。
 
以上を踏まえて,同講師は「LTA遺伝子のSNPが,AMIの強力な予後規定因子となるが,AMIの予後には多くの遺伝子多型が関与している可能性もあり,今後ますますの解明が望まれる」と締めくくった。

 

CKDが左室リモデリングを促進
AMIの予後における慢性腎臓病(CKD)の意義については,いまだ不明な点が多い。
慶應義塾大学循環器内科の安斉俊久専任講師は, 心と腎双方向の心腎連関により,CKDが左室リモデリングの加速とともに腎機能障害の悪化ももたらしてAMIの予後を不良にすると述べ,心腎連関の悪循環を断ち切ることの重要性を指摘した。

心腎の臓器障害が相乗的に加速
安斉専任講師らは, ST上昇型の初回前壁心筋梗塞(STEMI)患者を対象にCKDとAMIの予後との関 係を検討し,糸球体濾過量(GFR) 60mL/分/1.73㎡未満のCKD群(30例)では,AMI後早期の左室リモデリングが,非CKD群(90例)に比べ有意に増悪することを明らかにした。
CKD群では,梗塞2週間後の左室拡張末期容積(LVEDV)と左室収縮末期容積(LVESV)が有意に増大していた()。
 


CKD群の長期予後は,心不全再入院率が非CKD群の約10倍,主要心血管イベント(MACE)発生率が約2倍の48%と不良で, 多変量解析の結果,CKDは糖尿病を上回る強力なMACE発生リスクであった。
 
さらに同研究からは,梗塞部左室リモデリングの増悪因子である急性期の炎症・酸化ストレスがCKD群で有意に亢進していること,入院後48時間以内に血清クレアチニン値が0.3mg/dL以上増加する急性腎傷害(AKI)がCKD群では非CKD群の3倍と多く, CKDに加えてAKIを合併した症例では,MACE発生率が67%と非常に予後不良であることも明らかになった。
CKDでは, AMI後の炎症反応・酸化ストレス亢進とともに,左室リモデリングの増悪だけでなく腎機能障害の増悪も認められたことになる。
 
以上から,同専任講師は「CKDでは心腎連関により,心臓と腎臓の臓器障害が相乗的に加速された結果,心血管イベントが増加すると考えられる」と述べ,「AMIの長期予後改善のためには,心腎連関の悪循環からの離脱が重要である」と指摘した。

 

現在も入院時高血糖が短期予後の指標に
広島市立広島市民病院循環器科の石原正冶部長は,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療が主流となった現在でも,入院時高血糖がAMIによる短期予後の重要な危険因子であることを明らかにし,急性期における適切な血糖コントロールの重要性を強調した。
発症後24~48時間で治療開始を
石原部長は,2001~03年に同院を含む全国35施設で行われた5,000例規模の多施設前向き観察研究Japan Acute Coronary Syndrome Study(JACSS)において,入院時血糖の上昇によるAMIの院内死亡率の直線的増加が確認されたことを紹介し,「PCI時代においても,入院時高血糖がAMIの短期予後の指標であることが検証された」と述べた。

急激な血糖上昇は,プレコンディショニング効果の障害や酸化ストレス由来の種々の機序を介して微小循環障害や心筋障害を誘発し,AMIの予後悪化を招くと考えられている。
 
同部長は「治療の鍵を握るのは急性期の血糖コントロールである」とし,心筋梗塞発症後24?48時間の急性期に,少なくとも血糖値180?200mg/dLであれば高血糖是正のためのインスリン持続静注を開始する必要性を強調した。
 
さらにJACSSで,非糖尿病例では入院時血糖の上昇が直線的な院内死亡増加につながるのに対して糖尿病例はUカーブを描いたことから,「非糖尿病例の高血糖は厳格に下げ,糖尿病例では下げすぎない配慮が必要かもしれない」と付け加えた。

~ VH-IVUSで検出されるSNC ~
no reflow現象の予測因子に
AMIのPCI時にno reflow現象が生じると,その後の心血管イベントが増加する。
石川県立中央病院循環器内科の三輪健二医長は,virtual historogy血管内超音波(VH-IVUS)で検出される責任病変の「散在する壊死性コア(SNC)」が,no reflowにつながる「炎症性内容物を含むフィブリン血栓」を反映したものであることを明らかにし,SNC顕著例での抗炎症治療の必要性を指摘した。

検出頻度がhs-CRPと正相関
No reflow現象は,PCI時に末梢保護ディバイスなどで予防するが,フィルター型の末梢保護ディバイス(商品名 Filtrap)の場合,バルーン拡張後にフィルターno reflow(FNR)と呼ばれる一過性のno reflowが生じることがある。
これは微小血管に留置したフィルターが捕捉された細胞残屑で目詰まりして生じるもので,フィルターを回収すると速やかに改善する。
 
既に三輪医長らは,VH-IVUSでSNCが検出されたプラークはno reflow現象のリスクが高いと指摘していたが,新たに急性冠症候群(ACS)患者50例の検討により,FNRを起こした群(28例)では起こさなかった群(22例)に比べ,SNCが高頻度に検出されることを明らかにした。
 
VH-IVUSでSNCが検出された患者では,Filtrapで捕捉された残屑に,泡沫細胞などのプラーク内容物,多量の血小板,著明な白血球浸潤が認められ,残屑にフィブリン血栓とアテローマの一部が含まれている患者では,フィブリン血栓のみの患者に比べSNCの検出頻度が有意に高かった(P=0.002)。
 
さらにAMI患者94例の2年間の追跡からは,SNCが顕著な群はそうでない群に比べ,急性期と慢性期を通して炎症の指標である高感度C反応性蛋白(hs-CRP)が有意に亢進していること,SNCの検出頻度がhs-CRP値と正の相関を示すことが確認された。
またSNCが顕著な群では,標的血管再血行再建術(TVR)の増加傾向が示された。
 
以上から,同医長は「VH-IVUSでのSNC検出は,no-reflowに関与する『炎症性内容物を伴うフィブリン血栓』を反映するものであることがわかった」と述べ,「SNCが顕著なAMI患者に対しては,末梢保護ディバイスだけでなく,スタチンなどの抗炎症治療を考慮する必要がある」と指摘した。

 

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view/perpage/1/order/1/page/0/id/M42170831/year/2009

出典 Medical Tribune 2009.4.23,30(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社

 

<番外編>
重要 専門医認定更新研修の必修化について
http://www.j-circ.or.jp/information/senmoni/hissyu.htm

循環器病の診断と治療に関するガイドライン
http://www.j-circ.or.jp/guideline/index.htm

循環器用語集
http://www.j-circ.or.jp/yougoshu/engine/

 

 

 

<きょうの1枚のCD>
モーツァルト:交響曲第25番 [Limited Edition]
レヴァイン(ジェイムズ)指揮, ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 

交響曲第25番 (モーツァルト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC25%E7%95%AA_(%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88)

♪“疾走する悲しみ”と評された若き日の名曲
http://www.voiceblog.jp/andotowa/271070.html

モーツァルト:交響曲 第25番 ト短調 K.183
http://www.youtube.com/watch?v=TOpPPR8vWPU

交響曲 第25番 ト短調
K183(K173dB)
http://www.mirai.ne.jp/~nal/mozart_K183.htm

モーツァルト交響曲第25番の概要と演奏
http://www.kanzaki.com/music/perf/moz?o=K.183/173dB

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