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背景‐
腹部大動脈瘤は、動脈瘤破裂による死亡率の高い無症候性の病態である。 方法および結果‐
1994年、ノルウェーのトロムセにおける25~82歳の男性2,035例および女性2,310例のコホートを研究に組み入れ、腹部大動脈瘤の発生に関する危険因子を特定するため、7年間の追跡調査を実施した。
特に、喫煙の影響について検討した。
1994/1995年に初回超音波検査を行い、2001年に再度超音波検査を行った。
結果として、腹部大動脈瘤の新規発生が119例確認された(年間発生率0.4%)。 男性および高齢は強力な危険因子であった。
さらに、以下の因子が腹部大動脈瘤の発生率上昇との有意な相関性を示した:喫煙(OR=13.72、95%CI 6.12~30.78、喫煙量≧20本/日の現喫煙者 vs 非喫煙者)、高血圧(OR=1.54、95%CI 1.03~2.30)、高コレステロール血症(OR=2.11、95%CI 1.23~3.64、血清総コレステロール値≧7.55 mmol/Lの者 vs 血清総コレステロール値<5.85 mmol/Lの者)、HLDコレステロール値の低下(OR=3.25、95%CI 1.68~6.27、HLDコレステロール値<1.25 mmol/Lの者 vs HLDコレステロール値≧1.83 mmol/Lの者)。
また、スタチン薬の使用も腹部大動脈瘤のリスク上昇との相関性を示したが(OR=3.77、95%CI 1.45~9.81)、この因子はおそらく心血管系疾患のリスク上昇のマーカーになっていたと考えられる。
結論‐
以上の結果から、従来のアテローム性動脈硬化危険因子と腹部大動脈瘤の発生リスクとの間に強力な相関性があることが示された。
Risk Factors for Abdominal Aortic Aneurysms A 7-Year Prospective Study: The Tromso Study, 1994-2001 Circulation. 2009;119:2202-2208
<関連サイト> 炎症性腹部大動脈瘤 http://blog.m3.com/reed/20080204/1

スタチンの循環器領域以外の多面作用としては、痴呆、糖尿病、骨折などの予防が知られています。
きょうは、それ以外の意外な作用として「リウマチ性心疾患による大動脈弁狭窄の進行を遅らせる可能性」についての記事で勉強しました。
リウマチ熱自体が少なくなったため、リウマチ性弁膜疾患も一般内科科医がみることも少なくなって来ました。
以前は心音図や心エコーがこの分野で隆盛でしたが、すっかり冠動脈疾患のインターベンションに主役がとって変わりました。
20年以上前、勤務していた大学病院に井上寛治先生が来院され、井上バルーンカテでMSを治療するのを見学させていただきました。
当時でさえ、国内ではリウマチ性弁膜症患者が激減し、中国や東南アジアに患者を求めて治療に出かけるというお話を伺い、すごい先生もいるものだなあと感心した記憶があります。
このように、弁膜症はマイナーな疾患になりつつありますが、スタチンの多面的作用としてとりあげた次第です。
動脈硬化性大動脈弁狭窄症にも有効と思われますが、いかがでしょうか。
<参考>
心臓弁膜症とは?
http://www.gik.gr.jp/~skj/Vhd/vhd.php3
心臓弁膜症のカテーテル治療
http://tomochans.exblog.jp/2593080/
[PDF] 井上寛治先生より井上バルーンの開発から臨床応用、普及に至るまでの ...
http://www.mtoyou.jp/pci/report/15/15_03_harada.pdf
#リウマチ性弁膜疾患におけるスタチンの利点を示唆する最初の手がかり
心エコー検査による新規の後ろ向き研究において、スタチンがリウマチ性心疾患による大動脈弁狭窄の進行を遅らせる可能性があることが初めて明らかになった。
しかし付随する論説では、知見は確認を要するとしている。
心エコー検査による新規の後ろ向き研究において、スタチンがリウマチ性心疾患による大動脈弁狭窄の進行を遅らせる可能性があることが、初めて明らかになった。
Ospedaliera S Maria degli Angeli(イタリア、ポルデノーネ)のFrancesco Antonini-Canterin博士らが、『Journal of the American College of Cardiology』2009年5月19日号で知見を報告している。
リウマチ性心疾患は開発途上国では依然として大きな公衆衛生問題であり、移民の増加に伴って欧米の心エコー検査施設でも再び検出されていることを考えると、結果は「潜在的に非常に重要である」とOri Ben-Yehuda博士とAnthony N DeMaria博士(カリフォルニア大学サンジエゴ校)は付随する論説で述べている。
しかし知見はプラセボ対照試験において確認される必要があるだろうと、論説では強調している。
#励みとなる結果だが注意すべき
Antonini-Canterin博士らは、成人の心エコーデータベースの後ろ向き解析を実施し、1988 - 2008年にリウマチ性心疾患を有した(リウマチ熱の既往およびまたはリウマチ性僧帽弁疾患の古典的徴候および大動脈弁の典型的心エコー所見によって確認)患者164例を同定した。
そのうち30例はスタチン治療を受けていた。
8.5年間の平均経過観察期間における大動脈狭窄の重症度の進行速度は、スタチン治療を行った患者の方が行わなかった患者より遅かった(大動脈最大流速の平均年変化:0.05 m/s/y vs 0.12 m/s/y;p=0.001)。
さらに、スタチン治療を行わなかった患者の約50%に急速な進行(1年に0.1 m/s以上と定義)がみられたのに対して、スタチン治療を行った患者の場合は10%に過ぎなかった。
最近の研究でリウマチ性弁膜疾患の病因に炎症が関係していることが示唆されていることから、著者らは、スタチンの抗炎症特性が有益である可能性があるとの仮説を立てている。
しかしスタチンが一般的に変性大動脈狭窄に対して利点を有するかどうかについては相反するデータが存在すると、著者らは言及している。
例えば最近のSEAS試験では、石灰化大動脈狭窄の進行に対するシンバスタチン/エゼチミブ併用の利点は認められなかった。
Ben-Yehuda博士とDeMaria博士は、これはゆっくりと進むべき理由の1つであると述べている:「SEAS試験における期待はずれの経験から、リウマチ性心疾患における今回の研究結果を受け入れるにあたっては少なくとも慎重にすべきである」。
論説委員らは、大部分の患者はすでに僧帽弁の治療を行っていたため、僧帽弁における症状進行のデータがないことが今回の研究の限界であることも指摘している。
「僧帽弁はリウマチ性心疾患において病変が見出されることがより多く、しばしばより重症の病変が検出される」と委員らは言及している。
多施設共同プラセボ対照試験が必要
続けてBen-Yehuda博士とDeMaria博士は、「問題の重要性を考えると、[リウマチ性心疾患における]スタチン仮説を前向きプラセボ対照試験で正式に検証するための多施設共同国際研究を、おそらく世界保健機関の主導によって実施することが望ましいだろう」。
「その間、臨床医は何をすべきだろうか」と博士らは思い巡らしている。
「スタチン治療の他の適応疾患を有する患者の場合、決定は容易である」。
しかし残りの患者については、治療開始の決定は「より複雑である」と博士らは述べている。
これは、弁膜性リウマチ性心疾患への進行の発生率が男性よりも高い、女性には特に当てはまる。進行は妊娠可能年齢で発生することが多いが、スタチンは妊娠中および妊娠の可能性のある女性には禁忌である。
Ben-Yehuda博士はMerck社から研究助成金を受領しており、Schering-Plough Pharmaceuticals社のスピーカーズ・ビューローに所属している。
http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/5/21/99623/?pageFrom=m3.com
Medscape 出典 2009.5.21
<スタチンの多面作用 関連サイト>
Beneficial Cardiovascular Pleiotropic Effects of Statins
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/full/109/23_suppl_1/III-39
Editorial
Clinical Significance of Statin Pleiotropic Effects
Hypotheses Versus Evidence
http://www.circ.ahajournals.org/cgi/content/full/circulationaha;111/18/2280
PLEIOTROPIC EFFECTS OF STATINS
http://arjournals.annualreviews.org/doi/abs/10.1146/annurev.pharmtox.45.120403.095748
HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)とpleiotropic effects
http://square.umin.ac.jp/pb165/mito/pleiotropic/index.html
Pleiotropic Effects of Statins: Benefit Beyond Cholesterol Reduction? A Meta-Regression Analysis
http://www.journals.elsevierhealth.com/periodicals/jac/article/PIIS0735109705017699/abstract
[PDF] Pleiotropic effects of statins
http://www.journals.elsevierhealth.com/periodicals/jac/article/PIIS0735109705017699/abstract
(調べた範囲内では一番詳しく述べられています)
Pleiotropic effects of statins and other disease states
1.Diabetic dyslipidemia
2.Glomerulonephritis
3.Alzheimer’s disease
4.Cancers
5.Osteoporosis
6.Multiple sclerosis(MS)
7.Ischemin stroke
8.Graft rejection
9.Vitiligo
<自遊時間>
昨夜、一杯飲みに行きました。
隠れ家的なお店です。
閑静な住宅街の中にぽつんとあります。
後から入ってきたお客さんは道に迷って3回ほどくるくる回ったと言っていました。
お酒を飲まないのは拷問ですので、運転の出来るお酒を飲ま(め)ない素敵な女性と行かれることをお薦めします。
タクシー代でご馳走することが出来ます。
お店の名前が言えないのがつらいところです。

結局ビール4杯、冷酒1本、熱燗1本飲みました。

器も素敵でした。
魯山人風の「用の美」といったところです。
ARBと利尿剤との合剤が一つのブームになっています。
プレミネント(万有)に始まりエカード(タケダ)、コディオ(ノバルティス)そしてあらたにミカルディスも合剤発売の準備中です。
この合剤に関しては
ARBからARB/利尿剤合剤への切り替えで64%が降圧目標を達成
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2008/200810/508148.html
という報告もあれば
ARBと利尿薬の合剤で糖尿病が増加?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/makise/200612/502013.html
というわれわれが一番懸念している最悪のストーリーもあります。
この合剤ブームについては、口の悪い先生は特許切れ対策だと申します。
そこまでいわなくとも、低容量サイアザイド剤を新たに発売していただければいいだけで匙加減も専門医には楽しめるというものです。
さて私が医師になりたての頃、高血圧にはフルイトラン、場合によってはアルダクトンの追加が一般的でした。
もっともその前に初心の方にはまずトランキライザーを、でした。
他に方法がなかったということもありますが、今から考えてもそんなに間違った治療ではなかったということになります。
フルイトランでは尿酸上昇はほぼ必発で、記憶を辿れば血糖上昇も起こっていました。
先日、クローズドの会で、エカードの話題になった時に、糖尿病専門の若い先生が「サイアザイドはほとんど使ったことがないから催糖尿病性については実感がない」という発言でした。
時代の推移を感じます。
さて古くて新しい薬の利尿剤。
高血圧領域でも心不全領域でもRAS抑制剤に押されて日陰者にながらくなっていました。
しかしここに来て一躍、この薬剤を使いこなすのが循環器の名医という時代になってきました。
きょうはこの利尿剤で勉強しました。
利尿薬の最近の動向
ナトリウムや水分排泄を促進させることにより降圧作用をもたらす利尿薬としてサイアザイド薬が登場して50年が経過した。
利尿効果が優れた降圧薬ということで、それまで厳格な食塩制限が必須とされていた高血圧患者さんにとって、厳しい食塩制限をしなくても血圧を低下させることが可能ということで、発売当初から大変注目された薬剤である。
最初に合成された代表的なサイアザイド薬がクロロチアジドであり、近位尿細管における炭酸脱水酵素阻害に基づく利尿作用は弱く、主として遠位尿細管におけるナトリウム再吸収阻止作用によって利尿作用をもたらすことから、アシドーシスを生じ難く、理想的な利尿薬と考えられた。
優れた利尿作用を有する反面、その利尿に伴って低カリウム血症や低ナトリウム血症、脱水、高尿酸血症、耐糖能異常、高脂血症が生じやすいことや、光線過敏症といった副作用が生じることがあることも判明した。
そこで、その構造式を少しずつ変え利尿作用の増強と副作用の軽減を図る試みがなされたが、いずれもクロロチアジドに近いものであった。
サイアザイド薬の登場後、利尿薬の研究が進みサイアザイド薬とは構造が異なるがサイアザイド薬と類似した利尿薬、サイアザイド類似薬(インダパミド、トリパミド、メトラゾンなど)が開発され、降圧薬および浮腫の治療薬として幅広く使用されるようになった。
サイアザイド薬およびその類似薬が降圧薬の中でも主要薬剤として使用されている一方、本格的な利尿薬として世界的に使用されてきたのがフロセミドをはじめとするループ利尿薬である。
ループ利尿薬はその強力な利尿作用により、心不全さらに肝硬変やネフローゼ症候群といった浮腫疾患に対して欠かすことができない利尿薬である。
また、腎機能の低下が著しい高血圧に対して利尿薬を用いる場合にも、利尿作用の強いループ利尿薬が薦められる。
サイアザイド薬やループ利尿薬のほか、これらとやや異なるタイプの利尿薬として古くから用いられ、今なお幅広く使用されているのがアルドステロンなどの鉱質コルチコイドの作用を受容体レベルで阻止する鉱質コルチコイド受容体拮抗薬のスピロノラクトンである。
鉱質コルチコイド受容体拮抗薬はアルドステロンなどの鉱質コルチコイドの増量した高血圧症や浮腫疾患に特異的な優れた効果を示し、サイアザイド薬やループ利尿薬との併用で一層効果が増強される。
このようにサイアザイド薬およびその類似薬、ループ利尿薬そして鉱質コルチコイド受容体拮抗薬とは、利尿薬であっても適応となる病態が少しずつ異なり、それぞれの適応領域において優れた効果を発揮し、多用されてきた。
これらの利尿薬が適応となる疾患は多く、今なお日常臨床上欠かすことができない薬剤である。
これまでの長期間にわたる使用経験から、サイアザイド薬およびその類似薬は、使用量を増量するほど利尿作用が増強される反面、低カリウム血症、高尿酸血症、耐糖能異常や高脂血症といった副作用の頻度が高くなることがわかっている。
それゆえ、これらの薬剤の利点・欠点を十分に把握して、効果的に使用していくことが今後の課題である。
近年における医学、医療の著しい進歩により、諸病患の病院・病態がかなり解明されてきたが、循環器領域での1つのトピックスは、高血圧や浮腫の発症にきわめて重要な役割を果たしているアルドステロンが、高血圧と関係なく心血管障害の発症に大きく関与していることが判明してきたことである。
このようなアルドステロン作用を阻止するには、鉱質コルチコイド受容体拮抗薬の使用が必須であり、単独使用のほか、サイアザイド薬やループ利尿薬、さらにカルシウム拮抗薬やレニン・アンジオテンシン系阻害薬との併用で優れた効果が得られている。
このような時に、副作用の少ない鉱質コルチコイド受容体拮抗薬としてエプレレノンが降圧薬として販売されたことは注目すべきことである。
さらに、サイアザイド薬の投与量がかなり少なくても効果的であることが明らかにされたり、少量のサイアザイド薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬の合剤がいくつか販売されたりと利尿薬の使用に関して新しい展開がみられ、利尿薬が新しい時代を迎えているように思われる。
出典 Care Net.com 2009.5.12
版権 (株)ケア・ネット
<サイアザイド系利尿薬 関連サイト>
■利尿薬http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0019/1/0019_G0000049_0060.html
サイアザイド系利尿薬およびその類似薬・・・
○遠位尿細管においてNa再吸収を抑制することにより循環血液量を減少させて降圧効果をもたらす。
○クロルタリドンはSHEP、ALLHATで用いられ、心血管病の予防に有用であることが証明されている。
○いずれもNa排泄とともにK排泄を促進させ、低K血症をきたしやすい。その程度が強いと不整脈および突然死をきたしやすくなり、心血管系臓器保護効果が消失する可能性があることが報告されている。
○これらの副作用は常用量の1/4~1/2量の少量投与や、ARB、ACE阻害薬との併用でかなり予防できるが、血清Kの変化に注意し、低K血症時には塩化カリウムの補給や、スピロノラクトンあるいはトリアムテレンといったK保持性利尿薬の併用が必要である。
■降圧利尿薬とサイアザイド
http://blog.m3.com/reed/20080923/1
■[PDF] 高血圧治療における 利尿薬の用量について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1022-11c.pdf
■「薬の相談室」実例集
http://yama-yaku.or.jp/guest/soudan/078257.htm
■[PDF] 降圧薬
http://www.e-clinician.net/vol39/no408/pdf/sp15_408.pdf
○循環血液量の低下に伴ってレニン・アンジオテンシン(RIA)系が活性化されること、および交感神経系活性が充進することが、心・血管系へ何らかの影響を及ぼし、心肥大や血管障害の改善が生じ難いのではないかと考えられている。
○近年、世界各国で発表されている軽・中等症高血圧に対する治療成績で、脳血管障害が著しく減少しているにもかかわらず、虚血性心疾患が思ったほど減少していない一因として、基礎薬として使用されているサイアザイド系利尿薬の前述した
ような欠点が関係しているものと考えられている。
○R-A系が活性化されてアルドステロン産生が充進し、低K血症がもたらされるとともに、膵ラ氏島からのインスリン分泌が障害され、耐糖能異常が生じてくると考えられている。
○低K血症は、心・血管系に対して悪影響を及ぼすことが明らかにされている。
このほか循環血液量の減少は、腎血流を低下させ、糸球体濾過率の低下と近位尿細管における再吸収を充進させる結果、高尿酸血症、高窒素血症さらに血清クレアチニン上昇をきたし易い。
また機序の詳細は明らかでないが、循環血液量の減少が関係して高脂血症もきたし易い。
○血管系に対して悪影響を及ぼすことが明らかにされている。
このほか循環血液量の減少は、腎血流を低下させ、糸球体濾過率の低下と近位尿細管における再吸収を充進させる結果、高尿酸血症、高窒素血症さらに血清クレアチニン上昇をきたし易い。
また機序の詳細は明らかでないが、循環血液量の減少が関係して高脂血症もきたし易い。
○近年、世界各国で発表されている軽・中等症高血圧に対する治療成績で、脳血管障害が著しく減少しているにもかかわらず、虚血性心疾患が思ったほど減少していない一因として、基礎薬として使用されているサイアザイド系利尿薬の前述した
ような欠点が関係しているものと考えられている。
<コメント>
2002年に発表されたALLHATでサイアザイド系利尿薬が再評価されました。
上記の内容は、1992年時点の猿田享男先生の書かれたものです。
まるで「百害あって一利なし」の書き方になっています。
このサイアザイドも以下のごとく、諸先生の努力で用量設定の見直しがされつつあります。
この努力に敬意を表したいと思います。
■サイアザイド系利尿薬の承認用量を見直しへ 使用促進の起爆剤になるか
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0810/081032.html?ap
日本高血圧学会が低用量化を要望
国内外の高血圧治療ガイドラインで高い評価をされている利尿薬だが,わが国の臨床現場では敬遠されがちなのが実情。
医師が利尿薬の使用を躊躇する大きな要因と考えられるのが,代謝面などへの副作用だ。
委員の河野雄平氏によると,同じ降圧薬でも,ACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が用量と副作用の発現頻度との相関が弱いのに対し,利尿薬では用量依存性に副作用の発現頻度が上昇する。
このような点に配慮して,国内外の高血圧治療ガイドラインでは少量投与が推奨されているが,サイアザイド系利尿薬のわが国の承認用量は米国よりも多い。
このようななか,日本高血圧学会は,サイアザイド系利尿薬の適正用量は現行承認用量の半量から4分の1程度ではないかとの見解を示し,厚労省に低用量化を要望していた。
検討対象はヒドロクロロチアシドなど4剤
同検討会では今後,ヒドロクロロチアジド,インダパミド,クロルタリドン,トリクロルメチアジドのサイアザイド系利尿薬4剤(表)について,臨床データ,文献,総説などを収集し,有効性・安全性を評価して,承認用量の見直しを検討する。
具体的には,高血圧治療の専門家などからなるワーキンググループを別に組織して検討作業を進め,ワーキンググループの報告を検討会で吟味し,判断するという。
■Prevention of the glucose intolerance of thiazide diuretics by maintenance of body potassium.
http://diabetes.diabetesjournals.org/content/32/2/106.abstract
We conclude that the thiazide effect on glucose tolerance is a consequence of the resultant hypokalemia that the diuretic may create.
■Editorial Commentaries
Thiazide-Associated Glucose Abnormalities: Prognosis, Etiology, and Prevention
Is Potassium Balance the Key?
http://hyper.ahajournals.org/cgi/content/full/48/2/198
(なかなかここまでサイアザイドの催糖尿病性について論述された文献は見当たりません)
■Possible role for insulin receptors in the mechanism of thiazide induced glucose tolerance.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6599719
■Effects of low dose versus conventional dose thiazide diuretic on insulin action in essential hypertension
http://www.bmj.com/cgi/content/full/309/6949/226
<2009.5.31追記>
サイアザイド誘発性糖尿病は治療開始後初期に発症し,血清カリウム低下が介在している
http://www.takedamed.com/hpdr/rootDir/jsp/content/journal/journal.jsp
原著:Changes in serum potassium mediate thiazide-induced diabetes.
(血清カリウムの変化がサイアザイド誘発性糖尿病に介在している)
Shafi T, Appel LJ, Miller ER 3rd, Klag MJ, Parekh RS.
Hypertension. 2008;52(6):1022-1029.
60歳以上の収縮期高血圧患者を対象にクロルタリドンの効果を検討したSHEPの参加者のうち,試験開始前に糖尿病を有していなかった3,790例のデータから,血清カリウムの低下度と糖尿病の発症との関係を検討した。
サイアザイド薬は優れた利尿薬および降圧薬である反面,低K血症,高尿酸血症や耐糖能異常といった副作用が問題となっている。
市販されてから50年以上が経過し,副作用の発症機序も解明されてきたが,いまだ議論があるのが,低K血症と耐糖能異常の関係である。
サイアザイド薬の作用機序からみて低K血症の発症は当然であるが,その低K血症がいかに耐糖能異常の発症に関係しているかである。
これまでの研究で,インスリン分泌には膵臓のβ細胞の表面にあるATP感受性KチャネルやL型Caチャネルが関与しており,血糖が上昇すると,このKチャネルを閉じることによりインスリン分泌を促進させると考えられている。
血清Kの低下はこの機序に関係し,インスリン分泌を低下させて耐糖能異常を惹起すると想定されており,サイアザイド薬の投与で低K血症が著明になると,糖尿病が発症しやすくなる。
本研究は,60歳以上の収縮期高血圧患者を対象として,サイアザイド薬の効果をプラセボと比較したSHEP研究において,その開始前に糖尿病を有さなかったものを対象として,血清Kの低下度と糖尿病の発症との関係を再検討した成績である。
本研究で明らかにされたことは,サイアザイド薬投与群では糖尿病の発症が明らかに多く,その42%が1年目で発症し,それ以後の発症は少なくなること,投与前に比し血清Kが0.5mEq/L以上減少すると,糖尿病の発症が有意に高くなることである。
サイアザイド薬投与時には,血清Kが低下しないように,K補給の重要性が再度明瞭にされた研究である。
(編者:猿田享男先生)
<コメント>
非常に興味深く読ませていただきました。
今までの疑問が解けたのが半分。
やっぱり余り分かっていないんだなというのは半分。
カリウム補給が耐糖能発症対策になるということなのでしょうか。
カリウム値の解釈については開業医の場合に気をつけなけらばならないことがあります。
それは検体回収までの放置による溶血に伴う偽性カリウム上昇です。
実際には低カリウムが存在しても見逃されている可能性があります。
<きょうの一曲> オリビアを聴きながら
(娘が是非アップしろっていっていますので)
杏里 「オリビアを聴きながら」
http://www.youtube.com/watch?v=jq6cWEqcyTQ&feature=related
杏里 ANRI - オリビアを聴きながら(2007 Studio Live)
http://www.youtube.com/watch?v=62ZmaAaFD4I&feature=related
尾崎亜美 オリビアを聴きながら
http://www.youtube.com/watch?v=D_vhVz6QDTs&feature=related
本田美奈子 - "オリビアを聴きながら"
http://www.youtube.com/watch?v=8LQAuENEhZw&feature=related
日本人地域住民で低LDLコレステロール(80mg/dL未満)が脳出血の死亡リスクを増加:9万人を超える茨城県観察研究のエビデンス
低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値が高いほど、脳実質内出血による死亡リスクは低下することがわかった。
LDL値が140mg/dL以上の人は、80mg/dL未満の人に比べ、性別・年齢補正後の脳実質内出血による死亡リスクがおよそ半減するという。
大阪大学の野田博之氏らの研究で、明らかになった。
LDL値と脳実質内出血リスクの関係を調べた研究は、珍しいという。
9万例超のコホート研究、LDL値100mg/dL以上で脳実質内出血死亡のハザード比0.48
同氏らは、1993~2003年にかけて、40~79歳の男性30,802例、女性60,417例について、調査を行った。
被験者には、調査開始時点で脳卒中や冠動脈性心疾患の病歴はなかった。
おもな結果は以下のとおり。
●追跡期間中の脳実質内出血による死亡:264例
●心血管疾患リスク因子を補正後、LDL値が80mg/dL未満の人に対する、脳実質内出血による死亡に関するハザード比は、以下のようだった。
・LDL値80~99mg/dLで0.65(95%信頼区間:0.44~0.96)
・LDL値100~119mg/dLで0.48(95%信頼区間:0.32~0.71)
・LDL値120~139mg/dLで0.50(95%信頼区間:0.33~0.75)
・LDL値140mg/dL以上で0.45(95%信頼区間:0.30~0.69)
●高トリグリセリド血症の人を除外しても、LDL値140mg/dL以上のLDL値80mg/dL未満の人に対する同ハザード比は、0.48(95%信頼区間:0.31~0.74)と、大きな変化はなかった。
●時間依存性共変量を入れたハザードモデルによる分析後も、同ハザード比は0.53(95%信頼区間:0.34~0.81)と大きな変化はなかった。
(自治医科大学 循環器科 苅尾七臣教授のコメント)
本研究により、大規模なに日本人地域住民において、LDLコレステロールが80mg/dL未満が、100mg/dL以上の集団よりも、独立して2倍以上の脳出血のリスクになることを示した意義は大きい。
LDLレベルは80mg/dL未満で脳出血の死亡リスクが増加しているが、LDLコレステロール値が100~119mg/dL群、120~139mg/dL群、140mg/dL以上の3群ではリスクに差がない。
したがって、LDLコレステロール値が高ければ高いほど脳出血の死亡リスクが低下するわけではなく、ある一定の基準以下に低下している『低LDLコレステロール血症』が問題であることを示している。
現在、我が国で発症する脳卒中全体のうち、脳出血の占める割合は、約1/4程度である。
残りの虚血性脳卒中の約1/3ずつを、ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、塞栓症が占める。
高LDLコレステロール血症は虚血性心疾患のリスクとなるのみならず、虚血性脳卒中の中でもアテローム血栓症に起因するアテローム血栓性脳卒中のリスクになることが知られている。
今回の研究は観察研究であり、自然経過で低下したLDLコレステロールの脳出血リスクと、スタチン投与により低下したLDLコレステロールの脳出血リスクは同じではない。
欧米人に比較して、脳出血が多いとされる日本人において、今後、スタチン投与によりLDLコレステロールが80mg/dL未満に低下した場合、脳出血が増加するかどうかが示される必要がある。
我が国の脂質異常患者を対象にしたスタチン投与を行ったJ-LIT臨床試験では、LDLコレステロール、中性脂肪が高く、HDLコレステロールが低いほど脳梗塞が増えた。
しかし、これらの脂質レベルは脳出血にはあまり大きな影響はなく、高血圧と年齢が、脳出血のリスクとして重要であった。
したがって、臨床的にはLDLコレステロールが80mg/dL未満の高齢者高血圧患者では血圧管理をより徹底すべきであろう。
出典 Care Net.com2009/05/25(月)
版権 (株)ケア・ネット
文献
Low-density lipoprotein cholesterol concentrations and death due to intraparenchymal hemorrhage: the Ibaraki Prefectural Health Study.
Noda H et al. Circulation. 2009; 119: 2136-2145.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19364982?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum
Comment in:
Circulation. 2009 Apr 28;119(16):2131-3.
<コメント>
文中の
「LDLコレステロール値が高ければ高いほど脳出血の死亡リスクが低下するわけではなく、ある一定の基準以下に低下している『低LDLコレステロール血症』が問題であることを示している。」
冠動脈疾患とLDL-Cに関して、「lower the better」ということになっています。
しかし、ある程度以上の勉強をしている臨床医はその結論には懐疑的です。
一方、脳出血とLDL-Cに関して、「higher the better」ではないんだという結論もなかなか面白く読ませていただきました。
冠動脈疾患とLDL-Cについて「lower the better」がもし真実と仮定しても、この論文は是非スタチンの講演会で、演者は取り上げて欲しいものです。
さもなくば、少しは勉強している開業医からでさえも演者は「御用学者」のレッテルを貼られてしまいますよ。
文中の
「今回の研究は観察研究であり、自然経過で低下したLDLコレステロールの脳出血リスクと、スタチン投与により低下したLDLコレステロールの脳出血リスクは同じではない。」
この言葉も非常に示唆的です。
「臨床的にはLDLコレステロールが80mg/dL未満の高齢者高血圧患者では血圧管理をより徹底すべきであろう。」
これはちょっと腰砕けになっています。
血圧の話を持ち出されると、それまでになってしまいます。
正常血圧に限定しても、極端な低LDLは脳出血のリスクファクターになるはずです。
卑近な例で申し訳ないのですが、私の身内も正常血圧のまま、低LDLそして低蛋白血症で脳幹部出血で落命しました。
家森先生は以前から、低蛋白血症で脳出血が起こりやすくなると力説してみえますが、低蛋白血症と低LDLはまた別問題かも知れません。
<きょうの一曲>
平井堅 - キャンバス
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ジャン=クロード・アレンバック ひなげしの花 リトグラフ
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<自遊時間>
昨夜、エカードがらみの勉強会に顔を出しました。
ECARDは
Effective 効果的な
CARD 切り札
Reduced 減らした
Diuretic 利尿薬
という由来だそうです。
そのことだけ頭に刻んで帰路につきました。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
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があります。
心エコー指標の組み合わせで,心臓再同期療法のノンレスポンダー予測精度向上
多施設共同コホート研究J-CRTから
第73回日本循環器学会総会・学術集会(3月20~22日,大阪市)のLate Breaking Clinical Trialsでは,重症心不全に対するデバイス治療に関する2つの多施設共同研究の結果が報告された。
このうち国内18施設が参加したJ-CRT※では,心臓再同期療法(CRT)のレスポンダー予測における心エコーの有用性が筑波大学循環器内科教授の青沼和隆氏らによって示唆された。
心エコー診断の複数の指標を活用することで,ノンレスポンダーの予測精度向上が望めるという。
CRTレスポンダーの予後は良好
重症心不全に対するCRTの導入基準としては,現在のところ心電図QRS幅が用いられているが,この指標を用いて植え込みを行う患者の3~4割程度がノンレスポンダーであることが問題となっている。
このため,より精度の高い導入診断として心エコーの活用が期待されていたが,昨年発表されたPROSPECT試験では,その有用性は認められなかった。
しかし,PROSPECT試験では,験者間における診断レベルの差も浮き彫りになっていたことから,今回,青沼氏らは,心エコー実施者のトレーニングを行ったうえで,多施設共同のコホート研究を行った。
J-CRTには国内18施設が参加し,2006年から約2年間の登録期間に225例が登録された。
対象は,左室駆出率(LVEF)35%未満でニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類 II~IV度,QRS幅130ms以上の薬物抵抗性心不全。
ベースラインとCRT植え込み1週間後,6か月,12か月後に心エコーで測定を行った。
一次エンドポイントは左室収縮末期容積(LVEDV)の15%以上の低下で,この基準に該当した場合をレスポンダーと評価した。
同期不全の指標として,Mモードエコーでは心室中隔と左室後壁の最大移動点の時間差(SPWMD),組織ドプラでは左室内の中隔と後壁の差を見るTs(lateral-septal)などを用い,その他50項目にわたるエコーの評価指標について解析を行った。
16例の脱落があったため,解析対象は209例(86%)となった。
平均年齢65歳,男性7割,非虚血症例7割,NYHA III度8割の患者構成だった。
平均QRS幅は160ms。薬物療法の実施状況は,β遮断薬75%,ACE阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)85%,ループ利尿薬81%の割合で投与されていた。
植え込み後6か月時点の解析では,レスポンダー121例(58%),ノンレスポンダー88例(42%)であった。
この2群を比較すると,1年以内に心不全で入院した割合は,レスポンダー7~8%に対しノンレスポンダーは25%で,総死亡もレスポンダー4%に対しノンレスポンダー18%と,それぞれレスポンダーが有意に低かった(図)。
青沼氏は「レスポンダーの予後が非常に良好だったのが日本の特徴」と述べた。
性別,年齢などの患者背景や虚血症例の比率,さらにQRS幅などの臨床データに両群で差はなかった。
そこで, 6か月後時点での同期不全の指標を検討したところ,SPWMDや心室間の同期不全を見るIMD,Ts(lateral-septal)で有意差が認められた。
これらの指標について診断能を検証するためにROC曲線を出したところ,QRS幅でもROC曲線下面積(AUC)が0.518と不十分であり,SPWMDやTs(lateral-septal)の組み合わせはAUCが0.62で不十分ながら検討項目のなかでは最適という結果だった。
これらの結果は前述のPROSPECT試験と「非常に近似した結果」(青沼氏)だった。
さらに,SPWMD,Ts(lateral-septal),A波の3種類の指標の組み合わせによってAUCが0.75まで改善することが確認されており,同氏は「単一の指標でレスポンダーを予測することは不可能と考えられ,QRS幅に加えエコーによる複数の指標を用いると精度が向上するのではないか」とまとめた。
コメントスピーカーで共同演者の桜橋渡辺病院(大阪府)心臓血管センター部長の伊藤浩氏は,近年登場した「2Dスペクトラルトラッキングエコーでは従来のエコーより精度の向上が望めるのではないか」と期待を述べたほか,CRTのリードポジションも再検討する必要があるとしている。
J-CRTではこの点についても今後検討していく予定。
出典 MT pro 2009.3.25
版権 メディカル・トリビューン社
重症心不全へのICD植え込み―患者選択の有用な指標は?
国内38施設によるコホート研究PREVENT-SCDから
わが国に植え込み型除細動器(ICD)が導入されて10年以上,心臓再同期療法(CRT)については5年が経過している※1。
これら重症心不全に対するデバイス治療は,延命効果の望める治療として普及しつつあるが,国内のエビデンスは単施設による報告にとどまっており,全国的な治療成績の集積が望まれていた。
第73回日本循環器学会総会・学術集会(3月20~22日,大阪市)のLate Breaking Clinical Trialsのセッションでは,デバイス治療に関する2つの多施設共同研究の結果が報告された。
このうち,低左室機能症例の治療実態を調査した,国内38施設からなるコホート研究PREVENT-SCD※2では,ICD植え込みの選択において,運動負荷検査により心拍数を上昇させたうえで心電図T波の交互現象を計測するT-Wave Alternans(TWA)の有用性と臨床上での限界が,京都大学循環器科の静田聡氏らによって示された。
低左室機能症例における心臓突然死や心室細動(VF)の予知因子としてTWAが有用であることを確認したが,TWA陰性は全体で見ると少数で,実地臨床での使用には限界があるという結果だ。
ICD植え込みは低左室機能症例の4分の1程度,死亡率は年5%
ICDは,欧米で実施された複数の臨床試験から低左室機能症例に対する生命予後の改善効果が報告されている。
しかし,死亡率の改善は10%未満にとどまっていたため,医療経済的な側面からも,効果がより確実に見込める患者群の抽出が望まれている。
近年,その指標としてTWAが注目されており,TWA陰性では心臓突然死やVFが生じないという報告がある。
PREVENT-SCDの対象は,ACE阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB),β遮断薬が既に投与されている左室駆出率(LVEF)40%以下の低左室機能症例。ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類は I~III度。
持続性心室頻拍(VT)・VF既往例や,既にICDが植え込まれている症例は除外された。
ICD植え込みや薬物治療の方針は各施設の基準にのっとって決められ,ICD群,抗不整脈薬群,無治療群の3群に分類された。
追跡期間は3年。一次エンドポイントは心臓突然死,VFからの蘇生,またはVFに対するICDの適切作動からなる致死的心室性不整脈イベント(SVTE)。
2004年6月から2年半の登録期間に453例が登録された。
全体の42%が虚血症例であった。
患者背景は,平均年齢65歳,男性が81%,糖尿病患者が28%,心房細動症例が26%,ペースメーカー装着例が12%だった。
NYHA心機能分類は,I~IIIがそれぞれ約3分の1ずつを占めた。
平均LVEFは29%で,30%以下の症例が半数を占めた。
ICDが植え込まれたのは全体の26%で,抗不整脈薬による治療が12%,不整脈に対する治療が行われなかった群が62%を占めた。
ICD群は非ICD群と比べて心機能が悪く,各種不整脈検査の陽性率も高く,より高リスクの症例でICDが選択されていた。
死亡例を含めた平均観察期間は2.7年で,96%の高い追跡率だった。
総死亡は3年間で15%の頻度であり,年率5%だった。
このうち3分の2が心臓死で,その約4割は突然死だった。
一次エンドポイントであるSVTEの累積発症率は3年10.7%で,年率約3.5%だった。
TWA陰性では予後良好
TWAが施行可能だった症例は280例(62%)で,このうち陰性率は29%だった。
全体で見るとTWA陰性は18%であった。
TWA陰性の場合のSVTE回避率は,1年後100%,2年98.5%,3年で96.8%と良好な陰性的中率であった。
一方,心房細動例や心室ペーシング例,運動困難例などのTWA施行不可例の予後は悪く,SVTE発症頻度は3年で16.1%だった。
SVTEの予知因子について背景因子を補正のうえ多変量解析を行ったところ,TWA非陰性,III度以上の僧帽弁逆流,収縮期血圧100mmHg未満,頻発する心室性期外収縮(PVC)が独立した予知因子として挙がった。
以上の結果から,静田氏は「リアルワールドに近い集団において,TWAは致死的心室性不整脈に対して高い陰性的中率を示した。ただし,TWAの陰性率は全体の18%にすぎず,有用性とともに限界も示唆される結果だった」と述べた。
コメンテーターの早稲田大学教授の笠貫宏氏は,試験目的が低左室機能症例のリアルワールドの検討と予後予測因子としてのTWAの有用性評価の2点となっていることから,プロトコルに課題があった点を指摘しながらも,わが国では少ないと言われる心臓突然死をどう予測していくかは重要な研究課題であり,今回示された大規模な症例での検討は貴重なデータであると評価した。
※1日本循環器学会による実態調査では,2007年度のICDの新規植え込みは3,308例,CRT症例数は2,712例でともに増加傾向にある(本文に戻る)
※2PREVENT-SCD; Prospective evaluation of ventricular tachyarrhythmic events and sudden cardiac death in patients with left ventricular dysfunction
出典 MT pro 2009.3.25
版権 メディカル・トリビューン社
<参考>
Results of the Predictors of Response to CRT (PROSPECT) trial.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18458170

関野準一郎 木版画「新東海道五十三次の内 江尻」名所
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p150871683#enlargeimg
<番外編>
武田薬品 「エカード配合錠」2009.3作製パンフ より
<コメント>
昨今、ARBとヒドロクロロチアジドの配合錠の発売が続きます。
血清尿酸値と血清カリウム値について変化なし。
したがって副作用は危惧するにおよばず、という方向性です。
糖尿病専門医の講演会でも使用を推奨しています。
ある講演会で「大血管合併症が境界型糖尿病の時点で起こっているというデータがあるが、正常者を境界型糖尿病にさせないということは担保されているのですか」と質問してみました。
その回答は驚くほど無責任なものでした。
「使ってみなければわからない」
上の図で52週後にFBSはわずかに上がっています。
大変重要な点と思われるのですがnはなんとわずかに19です。
血糖を測定するだけのことなのにどうしてこんなに症例数が少ないのでしょうか。
故意に有意差が出ないようにしているといったら言い過ぎでしょうか。
そして副作用の発現率25%(38/152)。
これって多くありませんか。
ARBが世に出た時には、副作用がほとんどない理想的な降圧剤といわれたものでした。
些細な副作用も記載する時代とはいえ、降圧利尿剤を配合することによって副作用が増えるとすれば少し考える余地がありそうです。
さて問題のヒドロクロロチアジドの催糖尿病作用の機序。
パンフには
「機序は明確ではないが、ヒドロクロロチアジドによるカリウム喪失により、膵臓のβ細胞のインスリン放出が低下すると考えられている」
と記載されています。
カリウム剤やカリウム保持性降圧剤(スピロノラクトン、エプレレノン)により催糖尿病作用がキャンセリングされるか、ヒドロクロロチアジド中止により元に戻る可逆的変化なのか。
そのあたりの情報提供をメーカー側にお願いしたいところです。
コディオ 代謝系への影響(その他の作用)
http://www.co-dio.jp/m_rinsyo/02.html
他に
ふくろう医者の診察室
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(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
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「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
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があります。
SYNTAX試験については何回も取り上げました。
重要な試験と思われますので、別の記事で復習しました。
重度冠動脈疾患の標準治療はCABG:SYNTAX試験
重度の冠動脈疾患に対しては冠動脈バイパス術(CABG)が標準治療とされてきたが、近年は急速に、薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈形成術(PCI)の施行が増えている。
果たしてPCIが標準治療と成り得るのか。冠動脈3枝病変または左冠動脈主幹部病変(またはその両方)を有する患者を対象に、PCIとCABGを比較したSYNTAX試験の結果報告が、NEJM誌2009年3月5日号(オンライン版2009年2月18日号)にて発表された。
患者1,800例を無作為割り付けし、比較
試験対象患者は1,800例。全員これまでにCABGまたはPCIを受けたことがなく、また心臓外科医とインターベンション専門医によって、どちらの術式でも同程度の血行再建が得られると判断されていた。
無作為化割り付けの比率は1対1。
主要エンドポイントは、無作為化後12ヵ月間の、心臓または脳血管の重大な有害イベント(全死因死亡、脳卒中、心筋梗塞あるいは再度の血行再建)とし、2群間の非劣性試験が実施された。
なお解剖学的特徴または臨床状態から、2つの治療選択肢のうち1つだけが有益と判断された患者はランダム化から除外され、CABGまたはPCIのいずれかで登録された。手術前特性は2群間で同程度だった。
1年後の複合エンドポイントが、CABGのほうがより低い
12ヵ月後の重大な心臓または脳血管イベント発生率は、PCI群のほうが有意に高かった(CABG群12.4%、PCI群17.8%、P=0.002)。
主なイベントは再度の血行再建(同5.9%対13.5%、P<0.001)で、結果的に非劣性試験の判定基準は満たされなかった。
12ヵ月後の死亡率と心筋梗塞の発生率は2群間で同程度だったが、脳卒中に関してはCABG群のほうが有意に高かった(2.2%対PCI群0.6%、P = 0.003)。
これらから「術後1年時点の重大な心臓・脳血管イベントの複合エンドポイント発生が、PCIよりもCABGのほうが低く、3枝病変あるいは左冠動脈主幹部病変の標準治療は依然としてCABGであると結論できる」とまとめている。
Serruys PW et al. Percutaneous coronary intervention versus coronary-artery bypass grafting for severe coronary artery disease.
N Engl J Med. 2009 Mar 5;360(10):961-72. Epub 2009 Feb 18.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19228612?ordinalpos=13&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum
出典 Care Net.com 2009.3.18
版権 (株)ケアネット
<SYNTAX試験 関連サイト>
SYNTAX試験 3枝病変・左主幹部病変に対する治療
http://blog.m3.com/reed/20090225/SYNTAX___3_
SYNTAX試験 :重度冠動脈疾患の標準治療
http://blog.m3.com/reed/20090526/SYNTAX___
SYNTAX糖尿病サブ解析
http://blog.m3.com/reed/20090426/SYNTAX_
■SYNTAX試験(N Engl J Med 2009;360: 961-972) は,左冠動脈主幹部(LMT)および3枝病変の冠動脈疾患ハイリスク症例において薬剤溶出性ステント(DES,SYNTAX試験ではパクリタキセル溶出ステントを使用)の冠動脈バイパス術(CABG)に対する非劣性が検討された。
結果は,再血行再建率がPCI群で有意に高く,PCIの非劣性は証明されなかったが,総死亡や心筋梗塞では同等の結果が示された。
■今回ACC/SCAIで発表された糖尿病を対象にしたサブ解析では,インスリン治療中の糖尿病患者ではCABGが優るという結果であった。
■インスリン治療を要する段階では,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)だけでは回復が無理ということが明らかにされた。
■ユーロスコアとSYNTAXスコア
日本版SYNTAX その1(1/3)
http://blog.m3.com/reed/20090328/_SYNTAX_
日本版SYNTAX その2(2/3)
http://blog.m3.com/reed/20090329/_SYNTAX_
日本版SYNTAX その3(3/3)
http://blog.m3.com/reed/20090330/_SYNTAX_

楢原健三 梅雨どき
http://www.oida-art.com/buy/detail/7803.html
<きょうの一曲> Dave Brubeck - Take Five
Dave Brubeck - Take Five
http://www.youtube.com/watch?v=vmDDOFXSgAs&feature=related
Dave Brubeck - Take Five (1972)
http://www.youtube.com/watch?v=8V9VSxn2F9M&feature=related
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
積極的降圧でも副作用少ない
80歳以上の高齢者の血圧目標値は150/80mmHg未満―これは実際の診療現場で達成すべき数値なのだろうか。
あるいは,脳卒中予防のためのこの目標値は,多くの副作用を伴う"非現実的"なものにすぎないのか。
この点について,ライニッシェ・フリードリッヒ・ウィルヘルム大学(ボン)病院内科のThomas Mengden講師に聞いた。
認知機能もむしろ改善傾向に
HYVET(The Hypertension in the Very Elderly Trial)試験は,80歳以上の超高齢者における降圧治療の問題を検討した初の大規模試験であり,この年齢層が人口統計学的に最も急速に増加している年齢層の一部であることを考慮すると,その重要性は明らかである。
既に,60歳以上の患者を対象とした過去の複数の研究から,降圧することで脳卒中や心不全などのエンドポイントが改善すること,さらにそれらのメタ解析から,80歳以上の群では降圧治療によって脳卒中リスクが低下するものの,副作用により結局は死亡率が上昇してしまうことが示唆されていた。
同試験では,利尿薬であるインダパミド徐放製剤の投与により,ACE阻害薬ペリンドプリルの追加投与の有無にかかわらず,全脳卒中発症率が30%,致死性脳卒中発症率が39%,総死亡率が21%低下していた。
加えて,心不全発症率が64%低下していたことは特筆に値する。
しかも,インダパミド±ペリンドプリル投与下での副作用(めまい,低血圧など)の増加は見られず,積極的治療群では,むしろ副作用の有意な減少が示された。
さらに,認知症発症の問題を解明すべく実施されたサブグループ解析(HYVET-COG)では,積極的治療が認知機能の悪化ではなく,むしろ改善傾向をもたらすことが示唆された。
なお,HYVET試験では脱水傾向があるかなり衰弱した患者(老人施設入所者など)と認知症が既に顕症化している患者を対象から除外しているため,これらの患者に関するデータは含まれていない。
通常,高齢・超高齢の患者では,孤立性拡張期高血圧や収縮期/拡張期高血圧とは病態生理学的機序が全く異なる孤立性収縮期高血圧(ISH)が問題となる。
フラミンガム研究のデータから,ISHは大動脈における血管の硬化とそれに伴う血圧調節機能の喪失によって発症する独立した疾患であることが明らかにされている。
同試験で使用された薬剤が血管の硬さを示すパラメータに長期的な好影響を及ぼすことは既に知られていることから(REASON試験,CAFE試験),HYVET試験の結果はあまり驚くべき内容ではないのかもしれない。
実際の臨床で重要なのは,どのような場合でも,まずは24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を実施してISHの診断を確定することである。
同試験で臨床的に測定された血圧値とABPMにおける1日平均血圧値との対応関係を見ると,前者の160mmHg,150mmHg(いずれも収縮期血圧),80mmHg(拡張期血圧)は,それぞれ後者の147mmHg,140mmHg,75mmHgに相当する。
治療モニタリングでは,必要に応じて外来血圧の測定を臥位と立位で行うべきである。
それによって,ABPMで高齢者がしばしば訴える非特異性のめまい症状が実際に起立性低血圧によるものかどうかがわかる。
さらに,高齢者ではしばしば血圧変動性が大幅に上昇することから,ABPMの分析では治療下での血圧変動性も考慮すべきである。
出典 Medical Tribune 2009.5.21(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
通常,高齢・超高齢の患者では,孤立性拡張期高血圧や収縮期/拡張期高血圧とは病態生理学的機序が全く異なる孤立性収縮期高血圧(ISH)が問題となる・・・
高齢・超高齢で孤立性収縮期高血圧はすでに有名(?)ですが孤立性拡張期高血圧は初めて聞きました。
臨床場面ではあまり経験しません。
この年齢層が人口統計学的に最も急速に増加している年齢層の一部・・・
高齢化社会はドイツでも同様のようです。
考えてみれば第二次世界大戦を経験した国どうし。
参戦した国とそうでない国では当然人口構成が違うはずです。
各国の事情にも大戦の影響が長く及んでいることが理解できます。
主要国の人口と人口構成の推移
http://www.nsspirit-cashf.com/jinkou_kousei.html
(世界の中でも日本が高齢化社会に突き進んでいることが理解できます)
<関連サイト>
HYVET
http://blog.m3.com/reed/20080407/HYVET
HYVETサブ解析
http://blog.m3.com/reed/20080819/HYVET_
HYVETのサブ解析
http://blog.m3.com/reed/20081028/HYVET_
HYVET試験アゲイン
http://blog.m3.com/reed/20080511/1
高齢者の高血圧 2008.7 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080719/_2008.7_
高齢者の高血圧 2008.7 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080720/_2008.7_

NIKKEI MEDICAL 2005.8
(武田薬品工業 「ブロプレス」広告 より)
(平成17年度版「理科年表」国立天文台編よえい、収縮期と拡張期血圧を記載しています。ヒトについては、日本高血圧学会 高血圧治療ガイドラインの「至適血圧」に基づいています。)「広告文より」

NIKKEI MEDICAL 2005.8
(武田薬品工業 「ブロプレス」広告 より)
NIKKEI MEDICAL 2005.8
(武田薬品工業 「ブロプレス」広告 より)
<関連記事>
超高齢者における降圧の意義がHYVET試験で明らかに
日本の大規模観察研究でも注目のエビデンス
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟 先生
背景:エビデンスがなかった超高齢者の降圧療法
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2004」によれば,「高齢者においても高血圧の基準は一般成人と同様140/90mmHg以上とする」とされている。
しかし,同時に「高齢者において140/90mmHg未満が妥当であるか否かは,現在のところエビデンスがない」とも記載されている。
実際,久山町研究では80歳以上の超高齢者では収縮期血圧が140mmHg以上になっても心血管合併症リスクの上昇が認められず(Arch Intern Med 2003; 163: 361-366),欧州(J Am Geriatr Soc 2006; 54: 912-918)や米国(J Am Geriatr Soc 2007; 55: 383-388)の観察研究でも80歳ないし85歳以上の超高齢者では収縮期血圧140mmHg未満の集団のほうが,140mmHg以上の集団よりも生存率が低くなっていた。
このような状況のなかで超高齢者の高血圧を治療することの利益と害を検討するための前向きランダム化介入試験HYVETがN Engl J Med(2008; 358: 1887-1898)に報告された。
また,わが国でもJ-HEALTH研究(Hypertens Res 2008; 31: 469-478)の結果が報告された。
結果1:積極的治療は血圧コントロールを改善
HYVET試験では,80歳以上で収縮期血圧160mmHg以上が持続している高血圧症患者が登録され,2か月間降圧薬を中止してプラセボを内服した後,3,845例が積極的治療群(1,933例)とプラセボ群(1,912例)にランダムに割り付けられた。
積極的治療群では,150/80mmHg未満になるよう利尿薬インダパミドおよび必要があればACE阻害薬ペリンドプリルが投与された。
追跡期間の中央値は1.8年,平均値は2.1年であったが,試験開始2年後の時点で積極的治療群の4分の1のみがインダパミド単独で治療されており,4分の3の患者はインダパミドとペリンドプリル両薬の投与を受けていた。
その結果,積極的治療群では試験開始時に比べて収縮期血圧で29.5±15.4mmHg,拡張期血圧で12.9±9.5mmHgの低下を認め,この時点で収縮期血圧で15.0mmHg,拡張期血圧で6.1mmHg,プラセボ群より低くなっていた(プラセボ群でも14.5±18.5/6.8±10.5mmHgの低下を認めていた)。
結果2:積極的降圧治療は死亡率を軽減
このような降圧レベルの違いの結果,2年間での全死因死亡(全死亡)は積極的治療群ではプラセボ群に比べ21%低下しており(P=0.02),脳卒中による死亡も39%低下し(P=0.046),また,心不全も64%低下していた(P<0.001)。
ただし,主要エンドポイントであったすべての脳卒中の低下(30%)は有意ではなかった(P=0.06)。
結果3:積極的降圧治療は重篤な副作用を増加させず
なお,血清K値,尿酸値,血糖値,血中クレアチニン値の変化には両群間で統計学的な差異はなく,重篤な副作用は積極的治療群で358イベント,プラセボ群で448イベントと,プラセボ群で有意に多かった。
考察:150/80mmHg以上あるいは150/85mmHg以上なら薬物療法で140/90mmHg未満を目指すべき
高齢者に対する降圧治療の効果を示すこれまでの前向き研究の論文としては,複数の研究のメタ解析であるINDANA groupからの報告(Lancet 1999; 353: 793-796)(1,670例)があるくらいであった。
この報告では,降圧治療により脳卒中では34%の有意な減少を認めたものの,全死亡に差異はなく,逆に有意ではないものの降圧治療群で6%の増加を認めていた。
単一の研究で3,845例のデータを取り扱うHYVET試験において,全死亡の減少という結果を得られたことは本当に意義深いと言えよう。
ごく最近わが国ではJ-HEALTH研究(26,512例)の結果が報告されたが(Hypertens Res 2008; 31: 469-478),この観察研究からは,75歳以上(4,176例)では収縮期血圧150mmHg以上もしくは拡張期血圧85mmHg以上で心血管疾患の発症率が増加し,また,85歳以上(692例)でも140/90mmHg以上(96.8/1,000人・年)のほうが140/90mmHg未満(42.4/1,000人・年)より2倍心血管疾患の発症率が高いことが示されていた。
前述の久山町研究(Arch Intern Med 2003; 163: 361-366)(588例)では超高齢者の血圧―心血管イベント発症率関係は若年者のそれとは異なる可能性が示唆されていたが,J-HEALTH研究により超高齢者でも若年者のそれとほぼ同様であることが確認されたと言えよう。
こうした最近の研究結果を考えると,わが国の超高齢者においても150/80mmHg以上(HYVET試験)あるいは150/85mmHg以上(J-HEALTH研究)であれば薬物療法の対象とし,140/90mmHg未満を目指すべきと思われた。
*超高齢者という用語は学術的に定義されていない。しかし,後期高齢者という用語が75歳以上を指すものとして法律上規定されているため,本稿では後期の高齢者を包括する概念として超高齢者という用語を用いた。
したがって,75歳以上であっても,80歳以上であっても,85歳以上であっても超高齢者で統一した。
MT pro 2008.6.4
<関連文献>
Arch Intern Med. 2003 Feb 10;163(3):361-6.
Validity of the JNC VI recommendations for the management of hypertension in a general population of Japanese elderly: the Hisayama study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/12578518
J Am Geriatr Soc. 2006 Jun;54(6):912-8.
Association between blood pressure and survival over 9 years in a general population aged 85 and older.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16776785
J Am Geriatr Soc. 2007 Dec;55(12):2102-3.
Blood pressure and survival in the oldest old.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17341240
N Engl J Med. 2008 May 1;358(18):1887-98. Epub 2008 Mar 31.
Treatment of hypertension in patients 80 years of age or older.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18378519
Hypertens Res. 2008 Mar;31(3):469-78.
Impact of blood pressure control on cardiovascular events in 26,512 Japanese hypertensive patients: the Japan Hypertension Evaluation with Angiotensin II Antagonist Losartan Therapy (J-HEALTH) study, a prospective nationwide observational study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18497466
Lancet. 1999 Mar 6;353(9155):793-6.
Antihypertensive drugs in very old people: a subgroup meta-analysis of randomised controlled trials. INDANA Group.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/10459960
Hypertens Res. 2008 Mar;31(3):469-78.
Impact of blood pressure control on cardiovascular events in 26,512 Japanese hypertensive patients: the Japan Hypertension Evaluation with Angiotensin II Antagonist Losartan Therapy (J-HEALTH) study, a prospective nationwide observational study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18497466
Arch Intern Med. 2003 Feb 10;163(3):361-6.
Validity of the JNC VI recommendations for the management of hypertension in a general population of Japanese elderly: the Hisayama study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/12578518

この捨て猫(子猫)。
1週間も経たないのにすっかりリラックスしています。
まんざら悪い人達でもなさそうととわかってきたようです。
毎週、1週間の罪滅ぼしに女房とスーパーに買い出しに行きます。
いつもは素通りのペットフードコーナーを初めて覗きました。
結構高くて下手をすると人様の缶詰より高いかも知れません。
猫用も8歳以上と13歳以上に分かれていて笑ってしまいました。
13歳以上は後期高齢者用で柔らかい食事なのでしょうか。
<きょうの一曲> Diana Krall - Love Letters : Live in Paris
http://www.youtube.com/watch?v=l6uios2-3HE&feature=related
最近、「心不全とスタチン」というテーマの講演会を聞きました。
相変わらずのメーカー協賛の講演会なので、positive dataに終始しました。
このテーマについては、2009.5.8の当ブログでもとりあげましたので少し復習してみました。
第73回日本循環器学会・コントロバーシー「スタチン」
http://blog.m3.com/reed/20090508/_73_
■スタチンは抗脂質異常症作用に加え,抗炎症,抗酸化,血管内皮機能改善など,多彩な作用を併せ持つ。
■さらに,スタチンが作用するメバロン酸代謝経路の代謝物(GGPP)が各種シグナル伝達機構を介して心不全発症に関与することから,スタチンによる抗心不全効果の可能性も推測されていた。
■実際に,1994年に発表された4Sのサブ解析で心不全発症率の低下が報告され,これを契機に研究が急速に進展した。
■4S以外の各ランダム化比較試験(RCT)のサブ解析や後ろ向きの各種観察研究でも心不全患者の予後を改善する成績が得られているが,ここ1〜2年で報告された2件のRCTでは,ポジティブな結果が得られなかった。
■いずれもロスバスタチンの試験で,虚血性心不全を中心としたCORONA,非虚血性心不全を含めたGISSI-HFとも明らかな予後改善効果が認められなかった。
■この2件のRCTの解釈に当たっては,ロスバスタチンという水溶性スタチンについて検討されたものであること,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬/アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)をはじめ,多種の薬剤を併用する心不全患者ではスタチンの効果が表面化しにくいことなどを考える必要があるという指摘もある。
■虚血性で軽度の心不全が中心の日本人における知見が期待されるが,現在,500例を対象としたRCT,PEARL(Pitavastatin Heart Failure)study(研究代表者=千葉大学・小室一成教授)が進められており,その結果が注目される。
■これまでの報告の解析では、スタチンによる抗心不全作用が患者の脂質レベルによって異なることから,その作用に脂質が少なからず関与している可能性も指摘されている。
■PROVE-IT TIMI22試験の対象患者を,細胞内輸送にかかわるキネシン様蛋白KIF6の遺伝子多型の有無で分けたサブ解析において,多型を有する群でスタチンによる予後改善効果が有意に大きかったというデータがある。
#スタチンは高齢心不全患者の死亡率下げる
#1〜3年死亡率が約2割減、米国の大規模観察研究
米国で平均79歳の心不全患者5万人超を対象とした観察研究の結果、スタチンが1年、または3年死亡リスクを約2割減らすことが明らかになった。
スタチンが心不全リスクを下げる可能性は既に臨床試験で示されている。
しかし、一般にそうした試験の被験者には、症候性または重篤な心不全患者は含まれていない。
米Yale大学のJoAnne Micale Foody氏らは、通常は臨床試験の対象から除外されるような、より高齢の心不全患者にもスタチンが有効なのではないかと考え、平均年齢79歳のメディケア受益者5万4960人を対象に大規模な観察研究を実施した。得られた結果は、スタチンが1年死亡リスクを20%、3年死亡リスクを18%低減することを示した。
詳細は、Circulation誌2006年2月28日号に報告された。
これまでにも、スタチンが虚血性、非虚血性心不全患者の死亡率を減らすと報告した研究は数件あったが、いずでも小規模だった。
そこで著者らは、米国の救急病院に入院し、心不全と診断された5万4960人のメディケア受益者を対象に、スタチン治療と死亡率の関係を調べた。
これは、Centers for Medicare and Medicaid Servicesが進めている、心不全患者に対する治療の質の向上を目的とするNational Heart Care(NHC)プロジェクトの一環として行われた。
米国の全州で患者を登録。65歳以上のメディケア受益者で、1998年4月から1999年3月、または、2000年7月から2001年6月までに入院し、心不全と診断されて退院した中から、必要なデータが揃っており、スタチンが禁忌でない5万4960人を分析対象とした。既往歴は、糖尿病が40%、高血圧が64%、冠疾患(CAD)58%など。
退院時にスタチンを処方されたのは16.7%のみだった。処方頻度が有意に高かったのは、より年齢が若い人、男性、高脂血症患者、心臓内科医に担当された患者、大学の付属病院で治療を受けた患者、心筋梗塞歴のある人、冠動脈バイパス術を受けた人、糖尿病などの合併症がある患者など。
Cox比例ハザードモデルによる解析を実施した。
退院時のスタチン処方は、1年死亡率と3年死亡率を有意に下げた。
3年死亡率は、スタチン投与群では48.5%、非投与群では62.2%だった。
年齢、性別、人種、人口統計的特徴、臨床的特徴、治療、担当医の専門分野、病院の性質などで調整後のハザード比は、1年死亡で0.80、3年死亡は0.82でいずれも有意に低かった。
CADの既往の有無にかかわらず、スタチン治療は死亡率を低減した。
ただし、既往ありの患者の1年死亡のハザード比は0.84(0.80-0.87)、既往なしでは0.88(0.84-0.93)で、両者に有意差はなかった。
また、スタチンの効果は患者の年齢にかかわらず一定だった。年齢に基づいて患者を3分したところ、65〜74歳、75〜84歳、85歳以上の1年死亡の調整済みリスク比はそれぞれ0.84、0.80、0.78。
3年死亡についても0.83、0.82、0.83でいずれも有意に低かった。
本研究により、高齢の心不全患者でも、スタチン治療で短期的、長期的な死亡率が下がることが明らかになった。
心不全の死亡率は高いにもかかわらず、現在のところ、スタチンが処方される患者は少ない。
今回の結果は、心不全治療の補助療法としてスタチンが有効であることを示唆した。
今後、心不全患者を対象に、スタチンのアウトカムに対する影響を調べる無作為割付試験が必要だ、と著者らは述べている。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200604/500070.html
英文
Statins and Mortality Among Elderly Patients Hospitalized With Heart Failure
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/113/8/1086
(Circulation誌Webサイト)
<関連サイト>
CORONA Study
http://blog.m3.com/reed/20090307/CORONA_Study
至適治療を受けている慢性心不全患者に対する
スタチン追加療法の新たな知見
-米国心臓協会学術集会にて発表、CORONA試験-
http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/071106.pdf
<参考サイト> 2009.5.26追記
ACC/AHA心不全ガイドライン
http://www.co-dio.jp/m_guideline/acc_aha.html
<コメント>
スタチンは
ACC/AHA2005 Guideline Update for the Diagnosis and Management of Chronic Heart Failure in the Adult
では心不全治療の推奨薬剤には入っていません。
<自遊時間>
■ちょっと前の新聞記事で、タクシーを巻き込んだ自動車事故が載っていました。
驚いたのはタクシー運転手の年齢です。
なんと76歳。
昨日、講演会に出ましたが、その時の帰りに乗った運転手さんがまたまた後期高齢者のような方でした。
ちょっと前まではそんな方はいなかったのですが、世の中どうなってんでしょうか。
女性運転手には驚きませんが、高齢者は正直言って少し怖いです。
■「心不全とスタチン」の講演会はかなりバイアスがかかっていました。
negative dataのCORONA試験は一切紹介されませんでした。
演者はメーカー協賛とはいえ「光と影」をきちんと紹介していただきたいものです。
われわれ開業医の多くは、そこまでは勉強していないので演者の話を鵜呑みしてしまいます。
案の定、アンサーアナライザーシステムでは、聴講後「心不全患者にスタチンを処方する」という質問に対して「イエス」の回答が「目論見通り」大幅に増えていました。
<きょうの一曲> 青春の光と影
ジュディ・ コリンズJudy Collins/Both Sides Now青春の光と影
http://www.youtube.com/watch?v=lIfDIrhfz4o&hl=ja
ペースメーカー患者に電磁波の正しい知識を
現代のわれわれの生活環境にはさまざまな電化製品や電子機器があふれており,その種類は増え続けている。
その一方で,ペースメーカー植え込み者数も増加の一途をたどっており,電磁波による障害リスクが懸念されている。
ヨハン・ウォルフガンク・ゲーテ大学(フランクフルト)循環器科のCarsten Israel講師は,ペースメーカー装着者が電磁波を回避して安全に暮らすための注意点についてドイツ循環器科学会で解説した。
百貨店などでも注意が必要
ペースメーカー装着者にとって問題となる家電製品は少ないが,電磁調理器(IH調理器),スピーカー,電気毛布には特に注意が必要である。また日曜大工が趣味の場合は,ドリルや溶接機器に注意すべきである。
外出時に問題となるのは百貨店などに設置された盗難防止装置である。同装置はペースメーカーに影響を与える恐れがあり,特に音響磁気方式を採用しているシステムでは,96%で電磁波干渉が生じたとの報告もある。
このことから,Israel講師は「盗難防止装置が設置されていそうな場所は,なるべく足早に通り過ぎるようにすべきである」と強調した。
携帯電話による障害が最も起きやすいのは着信開始時である。ペースメーカーに"フィードスルー・フィルター"が導入されるようになって以降,携帯電話による影響はほとんどなくなっているが,念のため,携帯電話とペースメーカーとの距離を5cm以上保つことが望ましい。
大型機械の運転などによる業務上の電磁波被曝については,患者の職種を踏まえて十分に話し合う必要がある。
電気溶接,テレビ技術関連,高圧電気施設や誘導炉,発電所での作業にも危険が伴うと考えておくべきである。
ドイツでは同業者組合や技術検査協会(TÜV),労働保護庁,メーカーが電磁波干渉リスクの調査に協力している。
医療現場では特にMRIに注意すべきである。そもそも,ペースメーカー装着者に対してMRIは相対禁忌で,経皮的末梢神経電気刺激装置(TENS)をはじめとする電気治療器具にも注意が必要である。
電磁波干渉によって生じうる問題としては,ペースメーカーの作動抑制,非同期ペーシング,プログラムエラーや心室細動の誘発などが挙げられる。
同講師は「電磁波干渉リスクは至る所に存在する。実際に問題が生じることはまれであるとはいえ,ペースメーカー新規植え込み件数が年間6万5,000件以上に達している現状を考慮すれば,決して軽視すべき問題ではない」と強調した。
出典 Medical Tribune 2009.5.21(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
真偽のほどがはっきりしないものもあります
心臓ペースメーカー
http://ja.wikipedia.org/wiki/心臓ペースメーカー
■携帯電話が心臓ペースメーカーに対して誤動作を引き起こしたという事故は世界中で一例も報告されていない。
■日本以外では携帯電話使用による心臓ペースメーカーの誤作動の可能性さえ問題視されておらず、公共交通機関で携帯電話の電源オフの呼びかけを実施している地域は世界でも日本のみ、もしくは極めて稀である。
■東京タワー、手稲山等は多数の超強力(合算すると100kwを超える)な電波が飛ぶ。送信アンテナからは広い範囲で電磁波を放射されその強さはけた違い(携帯電話の10万倍にもなる)であるためペースメーカー装着者は安易に近寄るべきではない。
■ペースメーカー埋め込み患者に対して、 MRI検査は禁忌である。 また、一部機種でX線 CT検査で設定内容のリセットや、オーバーセンシングが起きる不具合事象が報告されている。
■2003年1月、 厚生労働省から、実環境においてIH式電気炊飯器が心臓ペースメーカーの動作に影響を及ぼした(設定がリセットされた)との報告がされた。
■以下は実験室の特殊な環境下で可能性が指摘された、または噂に基づいたリストである。
これらが心臓ペースメーカー装着者の実生活において深刻な誤作動事故を引き起こした例は世界中でまだ確認されていない。
電波センサー式自動ドア、電波感知式電動シャッター
電子商品監視機器(万引き防止装置)
書店やレコード店、家電量販店や図書館などに設置
電磁調理器
IHコンロ、IH炊飯器など
空港などの金属探知機、
非接触ICカード機器、RFID機器
交通機関、セキュリティシステムなど
無線LAN
磁気浮上式リニアモーターカー(JR方式)
違法CB無線
iPodやその他の携帯型デジタル音楽プレイヤー
携帯電話と電波(ペースメーカのなぞ)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/mame/device/pacemake.html
今のペースメーカーは携帯電話に影響されないらしい
http://www.h-yamaguchi.net/2008/02/post_179c.html
心臓ペースメーカーと携帯電話の問題
http://homepage2.nifty.com/seri/heart/topic-1.htm
ペース・メーカーの利用者には事実を伝えるべきだ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20020827/1/
電車内での携帯電話
http://knoa.jp/kore/seikatsu/denshakeitai/
不定期メモ: 携帯電話でペースメーカが止まるのか?
http://nova-memo.blogspot.com/2008/11/blog-post.html
今さら聞けない!携帯電話と心臓ペースメーカーの関係
http://www.health.ne.jp/library/5000/w5000515.html
<自遊時間>
昨日は、講演会の司会(座長)の話をしました。
初めての経験で、黒子に徹するのか、ある程度前面に出るのか、そのあたりが難しいところだなと思いました。
今晩も講演会を聴きに行きます。
座長のお手並みを拝見するのも楽しみになりそうです。
そして何よりも、講演後の懇親会でのワインが・・・。
さて、当地区には近隣に大学病院を含めて3つの大病院があります。
昨日の講演での講師は、最近オープンした循環器に特化した病院のインターベンショニスト(?)です。
したがって4つの選択肢が出来ました。
ある意味、非常に恵まれた環境にあり感謝しています。
現時点では、この病院が私の選択枝として一番目、大学病院は最後の4番目になりそうです。
さて、顔見知りの近隣の開業医が集まって活発な質問も出た昨夜の講演会。
こんな手作りの講演会があってもいいかな、と思ってしまいました。
著名な先生ではなく、これらの病院の若手の先生に発表の機会を与えたい、という気持ちが沸々と沸いてきました。
夢かも知れませんが、メーカーに協賛していただいて各病院の若手の先生に交代で1年に1度くらい勉強会が開ければいいなと思います。
もちろん、会場は営業所か医師会の会議室ですが。
実現できるといいのですが。
5月19日に迷い込んで来た赤ちゃんの野良猫です。
<きょうの一曲> Diana Krall - Live in Paris (It's Wonderfull)
http://blog.m3.com/admin/blogs/693/entries/edit/66041
「CABG vs. PCI」と題する兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤 幸人先生の監修の記事で勉強しました。
実は、昨夜地区医師会の「インターベンション」の講演会の司会をして来ました。
大学で講師をやっていた、はるか昔に地方会などで座長をやったことはあったのですが、医師会の小規模の集会とはいえ司会は初めてのことです。
冥土へのいいお土産になりました。
特別講演の演題は最新のインターベンションに関するものでした。
顔見知りの先生方にかけつけていただいたことが何よりこころ強かったのですが、質問も多くの先生方にしていただき内心ほっとしました。
最近購入したiBookで最後のしめくくりのプレゼン(パワーポイント)をしようと会場に持っていったのですが、E社のプロジェクターではうまく映写できません。
やむなくMRさんのウインドウズパソコンを借りてUSBでデータを移して何とかプレゼンが出来ました。
折角この日のために購入したのにいささかショックでした。
司会の苦労を経験でき貴重な一夜でした。
CABG vs. PCIその結論は?
研究の背景:
CABGもPCIも年々進歩,SYNTAX試験では一長一短の結果
急性冠症候群(ACS)患者を除いた狭心症患者において,冠動脈バイパス術(CABG)か経皮的冠動脈インターベンション(PCI)かという論争は幾度となく繰り返されてきたが,いずれの治療法も年々技術が進歩し,合併症は少なくなってきている。
先に紹介したSYNTAX試験では,3枝病変患者または左主幹部病変患者についてPCI(パクリタキセル溶出性Taxusステント使用)群とCABG群が比較検討され,12か月後,総死亡については両群で同等であったが,CABG群で脳卒中発生が多く,PCI群で再インターベンション率が高かったという一長一短の結果であった。
今回,多枝病変患者においてCABG,PCIのいずれが優れているかpooled analysisを用いて後ろ向き検討が行われ,Lancet 3月20日電子版http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(09)60552-3/fulltext
に報告された。
研究のポイント:全例では予後に差なし,糖尿病合併患者,高齢者ではCABGが良好
1966年1月~2006年8月の臨床試験の中から多枝病変をCABGかPCI〔バルーン血管形成術(POBA)もしくはベアメタルステント使用〕に割り付けした後,最低3年間フォローした12試験を抽出した。
うち10試験から計7,812例の臨床データの提出を受け,解析した。
平均年齢は61歳であり,5%の患者は75歳以上,追跡期間の中央値は5.9年であった。
追跡90日の時点で,死亡については有意差が認められなかった(CAGB群2% vs. PCI群2%,P=0.89)。
しかし,脳卒中(CAGB群1% vs. PCI群0.5%,P=0.02)はPCI群で有意に少なかった。
5年の追跡期間での全死亡については両群間に有意差が認められず(CAGB群8.4% vs. PCI群10.0%,P=0.12),死亡+心筋梗塞についても有意差が認められなかった(P=0.47)。
しかし,PCI群で再インターベンションが多く,複合エンドポイントに再インターベンションを入れると,PCI群でイベントが有意に多く見られた(P<0.0001,表)。
死亡について,年齢,性別,合併症の有無,既往症の有無でサブグループ解析を行った結果,65歳以上の高齢者群(全症例の34%)と糖尿病合併患者群(全症例の16%)ではCABGのほうがPCIより優れていた。
したがって,死亡について,糖尿病を合併しない患者ではCABG群,PCI群で有意差が認められなかったが,糖尿病合併患者についてはCABG群のほうが長期予後はすぐれていた。
年齢についても同様に,65歳以上ではCABG群のほうが長期予後は優れていた。
佐藤幸人先生の考察:結論は出た…やはり一長一短
今回の研究をまとめると,糖尿病,高齢者ではCABG群の予後がよいが,全体としてはPCI群と生存率についての差は認められず,脳卒中はCABG群のほうが多く見られた。
最近報告された日本のCREDO-Kyotoレジストリーでは75歳以上ではCABGのほうがよい生存率であったが,75歳以下では糖尿病合併患者,3枝病変患者を対象にしても,CABGとPCIで生存率に有意差は認められなかった。また,脳卒中の発生頻度はCABG群で有意に多く見られた(Circulation 2008: 118; S199-S209 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18824755)。
冒頭で紹介したSYNTAX試験,CREDO-Kyoto レジストリー,今回のレポートと最近になり「CABG vs. PCI」の論争が再燃しているが,そろそろ結論が出たような印象がある。
すなわち,CABG,PCIいずれも高齢者でない限り,同等の生存率である。CABGは脳卒中発生が多いが,PCIは再インターベンション率が高い。どちらも一長一短であり,選択は個人の意思が尊重されるという解釈でよいのではないだろうか?
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr090308.html?add_point