| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
| 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
| 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
| 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
| 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
< 頸動脈ステント留置術 | メイン | SYNTAX糖尿病サブ解析 >
第58回米国心臓病学会と米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)の合同学術集会(ACC.09&i2 Summit2009,3月28~31日)でACTIVE A試験(N Eng J Med 3月31日オンライン版 http://content.nejm.org/cgi/content/short/NEJMoa0901301?resourcetype=HWCIT )が発表されました。
この試験について心臓血管研究所研究本部長・山下武志氏が解説している記事で勉強しました。
「抗凝固療法が回避された」背景の考察が必要
同試験では,抗凝固療法が医師の判断や患者の希望で回避される症例に対して,クロピドグレルとアスピリンの併用がアスピリン単独よりも,脳卒中発症リスクを28%有意に低下することが示された。
同氏は,抗凝固療法が可能な患者かどうかの見極めがまず必要であり,リスクとベネフィットを慎重に考えて併用療法を行う重要性を説いている。
1. ACTVE A試験を読み解くために理解しておくべき背景とは?
ACTIVE A試験の解釈は難しそうに見えるが,心房細動と無関係になされたCHARISMA※試験(N Eng J Med 2006; 354: 1706-1717 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16531616 )を知っておくと理解しやすい。
■ACTIVE Aと同様に,クロピドグレル+アスピリン併用群,アスピリン単独群の2群に分けた試験であるが,対象は心房細動に限らず心血管疾患既往や複数の危険因子を有する高リスク患者約1万5,000例。
■この試験の1次エンドポイント(心筋梗塞,脳卒中,心血管疾患死)では有意差が認められず,虚血イベントによる入院のみで有意差が示された。
さらに,アテローム血栓症に限ったサブ解析では,併用群で約10%の有意な1次エンドポイントのリスク低下が認められていた。
併用群での出血リスクが増大している点でも,ACTIVE A試験とよく似ている。
■心房細動患者は他の疾患を合併している可能性が高く,このCHARISMA試験のアテローム血栓症のサブ解析に相当していると考えると統一的な理解ができる。
■なお,CHARISMA試験では,心房細動患者のみに絞ったサブ解析を行っているが,これはネガティブな結果だった(Cerebrovasc Dis 2008; 25: 344-347 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18303254 )。
この理由としては,593例という症例数の少なさが考えられ,逆に言えば症例数が多くなければクロピドグレル併用の有用性は示せないとも考えられるだろう。
今回のACTIVE A試験でも,併用群の致死性脳卒中は,アスピリン単独群と比較して年間0.5%しか減少できていない。
■以上のようなことから,心房細動患者では動脈硬化が強く,そのため併用療法によってアテローム血栓性脳梗塞が減少したと考えられる。
2. ACTIVE A試験対象者の脳卒中リスクは?
■心房細動患者の脳梗塞のうち約4分の1は,血管性の脳梗塞とされており,アスピリンとクロピドグレルによる併用療法は,この血管性の脳梗塞を減少させる可能性があると言える。
■ACTIVE A試験の対象の平均CHADS2スコアは2であったが,この患者群の脳梗塞発症率は年間4%弱と考えられる。このうち心原性脳塞栓症以外をクロピドグレルとアスピリンの併用療法が抑制したと考えられる。
3. ACTIVE A試験でワルファリンが回避された状況と実際の臨床の実態は?
■この試験では,半数が医師の決定,4分の1が患者の嗜好でワルファリンが回避されている。
これらの決定・嗜好がどのような基準によって行われたのかが明らかにされていないのが,現時点でのこの試験の大きな弱点と言えるだろう。
人為的な要素が多く含まれており,医師教育・患者教育で抗凝固療法が可能となりえた患者もいたと考えられる。
■半面,この試験で見られた実態は,日本の現時点における臨床状況とある意味で一致しているものと思われる。
「抗凝固療法が怖い」,あるいは「面倒」といった理由により,同療法が避けられている例が多くあると考えられるからである。
重要なことは,これらの患者にクロピドグレルとアスピリンの併用を勧めることではなく,併用療法より有効性が証明されている抗凝固療法に関する教育がまず行われることだと思う。
4. 結果を受けて心房細動の治療アプローチは変わるか?
■繰り返しになるが,まずは重症の心原性脳梗塞を減少させるという大きな目的のために抗凝固療法を広めるべきであり,この点においては,これまでとアプローチの大枠は変わらないだろう。
ただし,抗凝固療法が禁忌の患者では変わりうるかもしれない。
■ただ,その場合も出血性リスクのことを考えると,全員が対象になるわけではなく,CHARSIMA試験を参考に,内頸動脈などにアテローマが確実に存在する例などに限られるだろう。
5. 抗凝固療法が回避された症例に対して,試験結果は臨床に反映されるか?
■この試験の外的妥当性は低いと言わざるをえない。
その理由は,3で挙げたように,患者登録基準が不透明であるためである。
本来抗凝固療法が可能な,あるいは教育によってそれが可能となる医師・患者が相当数いるはずで,このような症例に対しては抗凝固療法でもっとイベント発生数が減少した可能性がある(ACTIVE W試験,Lancet 2006; 367: 1903-1912 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16765759 )。
■アスピリン単独群と比較してクロピドグレル併用群は,脳卒中のリスクを約28%低下し,重症脳梗塞を年率0.5%減少させたが,一方で,内訳はさまざまであるものの大出血が0.7%増加した。このような治療を安易に,簡便であるからという理由で広めるわけにはいかないと思う。
6. この試験では除外された出血リスクの高い患者へのアプローチは?
■脳梗塞の予防は,「梗塞か,出血かどちらの確率が高いか」という,リスク/ベネフィットを踏まえて患者個別に考えられるべき。
その意味で,出血性リスクが十分に高いと予想される患者に対する梗塞予防というものは現時点では考えにくい。
7. パネリストのコメントのように,途中から抗凝固療法が可能となる症例はいるのか?
■症例としては少ないかもしれないが,当初ワルファリン投与をあきらめていた患者が「胃潰瘍が治癒した」,「悪性腫瘍が取り除けた」,「ワルファリンの家族管理ができるようになった」などの理由で投与が可能になることは,長期の視点で見れば存在している。
そのような患者ではもちろん,その時点でワルファリン投与を開始することがきわめて重要だろう。
出典 MT pro 2009.4.7
版権 メディカル・トリビューン社

中川一政 でく
http://www.oida-art.com/buy/detail/7164.html
<自遊時間>
その1
医学雑誌MMJの巻頭言で、国立成育医療センター名誉院長・小児科学の松尾宣武先生が「医療研修制度をめぐって」というタイトルで意見を述べてみえます。
説明性(accountability)を論ずる場合には統計データ(statistics)と物語性(narrative)の両方が必要という話に始まり、N Engl J Med 2008;358:1658の論文を引用しています。
statistics(つまり客観性)として以下の内容を紹介しています。
「医師の人口当たりの実働数と種々の保健指標との間に有意の関連性が存在しないことを明確に示した」「医師数の増加は、医師の地域偏在を一層拡大したに過ぎなかった」
そして、
「卒後研修の必修化とマッチングの導入を柱とする研修制度が、若手医師の都市偏在と地方回避を招いた元凶として、厳しい批判にさらされているが、筋違いの議論といわなければならない」という結論を導き出しています。
医療制度も異なる米国の例をstatisticsとして引用しているわけですが、どこからこのような結論が出てくるのでしょうか。
あまりにもnarrative(つまり主観的)ではないでしょうか。
国立成育医療センター名誉院長という肩書きからも施策側に立った結論のような気がしてなりません。
何よりも、どうすればいいのかという具体的な対案の提示もなく、あたかも現在の医療研修制度を擁護するがごとくです。
医師の偏在は、この医療研修制度が始まってから顕在化したのは誰が考えても明らかで、その統計データ(statistics)もあるわけですから。
(MMJ April 2009 Vol.5,No4 医療研修制度をめぐって」)
その2
日経新聞・朝刊2009.4.24の「春秋」にこんな記事が載っていました。(以下抜粋および一部改変)
日本で博士号は「足の裏にくっついた飯粒」と言われてきたそうだ。
そのココロは「取ってもくえません」。
もっとも、学位論文を審査する北大の教授ら9人が博士になった人々から金品の謝礼をもらっていたというから、この飯粒、存外価値があるのだろう。
(対語に)取らなきゃ食えない「出前のそば」のようなものもある。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090422STXKD015222042009.html
今回のケースは医学部以外というところにニュース性がありそうです。
以前にも書きましたが、私は博士号を取得した際に謝礼を渡しました。
審査の前に渡して便宜供与をして貰ったり、教授側から強要するのは論外として、こんなものだと深くは考えませんでした。
純粋な気持ちではなかったような気もしますが、御礼のつもちでしたし、先輩からのアドバイスでもありました。
現在教授をしてみえる医学部の教授連中で、昔自分自身が博士号を取得した際に金銭を手渡していない方はほとんどみえないのではないでしょうか。
渡してみえない方がいるとしたら当時としては、周囲からは余程の変わり者(?)だったと思われていた筈です。
現在は金銭授受はいけないと明文化しているのでしょうか。
多くの大学関係者はだんまりを決め込んでいる気がしてなりません。
交通違反でいえばスピード違反なのか飲酒運転なのか。
人それぞれ思いがある筈です。
コメント
コメントはまだありません。コメントを書く