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昨年の秋から頸動脈エコーを行っています。
頸動脈狭窄症の患者さんが見つかったらどうすればいいんだろうかという漠然とした不安がありました。
しかし今月初めにこの不安が現実のものとなりました。
82歳・女性の糖尿病と脂質異常症のある患者さんでのエコー検査で92%狭窄が見つかってしまった(?)のです。
検査の後で頸動脈雑音をチェックしましたが「かそけき」high pitchのbruitが聴取されました。
聴診で見つけてから頸動脈エコー検査という手順ならカッコよかった(?)のですが。
無症状の方だけに病院へ紹介してインターベンションか手術をして却って合併症でも出たらと思うと・・・。
先生方、お知恵を拝借させて下さい。


頸動脈ステント留置術で大きく変貌する頸動脈狭窄症の治療
昨年は5,000例超に実施
■昨年(2008年)4月に保険償還された頸動脈ステント留置術(CAS)であるが,今年(2009年)4月現在,CASのトレーニングを積んだ実施医は437人となっており,実施症例数も2008年だけで5,300例程度に上る(ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社推定)。
■神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科部長の坂井信幸氏は,日本の頸動脈狭窄症の治療はCASの普及によって大きく変貌しつつあると, 4月15日に都内で開かれたプレスセミナー「頸動脈ステント留置術で変わった日本の頸動脈狭窄症の治療」(主催:同社)のなかで報告した。
CASのさらなる適用拡大は時間の問題
■日本でのCAS導入は欧米と比べて4年程度のタイムラグがあった。
この間,海外からは様々な臨床試験の結果が報告されている。
なかでも,高度頸動脈狭窄症(症候性で50%以上の狭窄,無症候性で80%以上の狭窄)を有するハイリスク症例を対象に,頸動脈内膜剥離術(CEA)とCASを比較した,SAPPHIRE試験※1(N Eng J Med 2004; 351: 1493-1501 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/15470212 )では,統計学的にCASがCEAに劣らないことが示された。
坂井氏は「実質的にはCASの方が優れていた」と評しているが,この試験の結果が日本の保険償還の際の適応基準となった。
■SAPPHIRE試験の3年の追跡結果(N Eng J Med 2008; 358: 1572-1579 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18403765 )では,死亡・心筋梗塞・脳梗塞・脳卒中の発生がCEA群,CAS群ともに4分の1から3分の1程度で起きており,このようなハイリスク症例に対して低侵襲で治療効果と安全性が認められたCASが普及拡大していくのは時間の問題だという。
■年内に改訂予定の脳卒中治療ガイドラインでは,現在の適応であるCEA高危険因子を有する症例へのCASがグレードB,CEA適応可能症例でのCASはグレードC1に書き換えられる予定だ。現在は適応外となっているCEA適応患者にまでCASの適用が広がっていくかどうかは,現在進行中のCREST試験※2などの結果が影響していく見込みだ。
日本での良好な成績に欧米からも注目が
■日本でのCASの実施基準や育成の仕組みについては,関連12学会のコンセンサスのもとで決められている。
施設基準としては,脳卒中治療医と循環器科医師の連携が重要事項となっており,教育システムは,Web上でのオンライン座学やデバイストレーニング,シミュレータトレーニングを受けるシステムが取られている(図)。

CAS経験数(助手)が少ない施設の医師は,オンサイトでの見学が義務づけられ,最終的にCAS指導医のもとで実技を行って実施医として登録される。
■日本では,坂井氏のような脳外科医が中心となってCASを施行してきたが,諸外国ではカテーテル治療に精通した循環器内科医によるCASが主流だ。
現在,日本での循環器内科医の登録は200人程度で,100人程度が実施医に認定されているが,今後増加が見込まれている。
■昨年4月から日本における登録症例の結果では,数はまだ少ないものの,欧米の試験と比較しても良好な成績が認められている(表)。

坂井氏によると,日本でのきめ細かなチーム医療は欧米と比較しても特筆されるレベルに達しており,日本でのCASの臨床成績は世界からも注目されているという。※3
■なお,CASの第一人者である坂井氏は,1997~2009年3月に973例に対してCASを実施しているが,死亡・脳卒中の発生率は2.57%のみとなっている。
※1 Stenting Angioplasty with Protection in Patients at High-Risk for Endarterectomy
※2 Carotid Revascularization Endarterectomy versus Stent Trial
※3 欧州では,一部CAS適用拡大に否定的なデータも報告されており,この点でも日本での治療成績が期待されている。
出典 Medical Tribune 2009.4.17 (一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
<頸動脈狭窄症の治療 関連サイト>
TOPICS FROM EUROPE/頸動脈狭窄にはステント治療も選択肢に
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M41480061&year=2008&type=article
■頸動脈の症候性狭窄に対する治療として,ステントを用いた頸動脈形成術(CAS)と頸動脈内膜切除術(CEA)を比較したところ,施術後2年と4年時点における同側性脳梗塞の予防成績は同等であることを示す2件の研究がLancet Neurologyに発表された。
1件目は,ミュンヘン工科大学イザール右岸病院(独ミュンヘン)のHans-Henning Eckstein博士とハイデルベルク大学(独ハイデルベルク)のPeter Ringleb博士が同誌(2008; 7: 893-902)に,2件目はサンタンヌ病院(パリ)のJean-Louis Mas博士が同誌(2008; 7: 885-892)にそれぞれ発表した。
■CASとは強靱なメッシュ状の筒(ステント)を用いて血管内腔を拡大し補強するもので,CEAに比べて侵襲性が低いため全身麻酔を必要とせず入院期間も短くてすむ。
ただし,CASではアテローム塊を取り除くことはできず,脳梗塞や再狭窄,局所的合併症リスクは残る。また,CASの長期的予後については十分な検討は行われていない。
第14回日本血管内治療学会
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M41430221&year=2008&type=article
■2008年4月,頸動脈狭窄症に対する頸動脈ステント留置術(CAS)が保険収載となった。
頸動脈内膜剥離術(CEA)高リスクの高度狭窄例を対象に,Precise™ステント(以下,PS)と,CASの最も重大な合併症である遠位塞栓を防ぐフィルター型プロテクションデバイスAngioguard™ XP(以下,AG)を用いて行うもの。
承認は米国に4年遅れたが,既に多数例に施行している施設もあり,保険収載を契機に欧米を上回る勢いで普及していくと見られる。
■冠動脈疾患だけ治療しても必ずしもQOLや予後の改善は得られない。循環器科医として,脳卒中をはじめとする心臓以外の血管疾患による死亡をさらに減らすように努める必要性を痛感(小倉記念病院 横井宏佳循環器科部長)。

EVA-3S試験を早期に中止/頸動脈ステント留置群で早期死亡率高い
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M41330062&year=2008&type=article
■脳卒中発症リスクが2.5倍という今回の結果は,CASを受けた患者の3.4%が障害の残る脳卒中を発症し,CEA群では1.5%が発症するとした過去の知見(約2.2倍のリスク増加)と一致するものであった。
〜頸動脈狭窄例に対する脳卒中予防〜 PTAはCEAと同等以上の効果
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M4002061&year=2007&type=article
■頸動脈に対するPTAが初めて適用されたのは1977年であるが,その後ステントや塞栓予防手技の利用により,同手技は著しく改善された。
しかし,頸動脈狭窄に対するPTAが本格的に脚光を浴びるようになったのは,2002年にSAPPHIRE(Stenting and Angioplasty with Protection in Patients at High Risk for Endar-terectomy)試験のデータが公表されて以降のことである。
■比較的年齢の低い患者(平均65歳)で重大な随伴疾患がない場合のリスクは中等度とみなすことができる。
特に症候性狭窄例での 5 年間の経過を見ると,CEAの適用に踏み切るほうが自然経過に委ねるより有利であることが証明されており,PTAには少なくともCEAと同等の効果があるようだ。
治療手技が原因で脳卒中あるいは死に至るリスクは,いずれを選択した場合でも,無症候群では 2 〜 3 %,症候群では 3 〜 6 %である。
■SAPPHIRE試験や登録ずみデータから判断する限り,高リスクまたはきわめて高リスクの患者では,ステント使用PTAのほうがCEAより有利な傾向にある。
PTAにより脳卒中または死に至る確率は高リスク群では約 6 %,きわめて高リスク群では約 8 %であるのに対して,CEAでは14%に達している。
■これまでのデータによると,PTAの臨床的有用性は年齢および狭窄度が上昇するにつれて高まる。
頸動脈の再狭窄は,冠動脈狭窄の場合とは異なり,PTAでもCEAでもあまり問題とはならない。
頸動脈狭窄へのバルーン拡張術は安全
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M3747022&year=2004&type=article
■ 頸動脈狭窄では手術が不要なケースが多く,大半の症例ではバルーン拡張術により血管狭窄が解消され,ステント適用の有無にかかわらず,血液は再びスムーズに脳に流れるようになる。
■これまで懸念されていたカテーテル手技の際に遊離したプラークによる塞栓合併症も,効果的なフィルター・システムを利用することで予防できる。
具体的には,本来のカテーテル術適用前に狭窄部位を通過するようにフィルターを挿入し,頭蓋底下部に固定すると脳を保護できる。
■インターベンショナルラジオロジー学会の第29回年次集会(米アリゾナ州フェニックス)では,ARCHeR試験とSAPPHIRE試験の結果が報告された。
ARCHeR試験は581例の高リスク患者を対象とした国際 3 群間比較多施設試験である。
ステント適用 1 年後の心筋梗塞,脳卒中あるいは死亡などのイベント発現率は8.3〜10.2%と,頸動脈内膜切除術(CEA)を適用した場合に想定される14.5%に比べて低かった。
糖尿病患者などの高リスク群に対しても,ステント術のほうが手術よりも安全であるようだとされた。
■頸動脈狭窄を伴う糖尿病患者334例を対象としたSAPPHIRE試験では,手術群における 1 年後の心筋梗塞発症率がステント群の 7 倍にも達していることが明らかにされた(18.2%対2.4%)。
大きな出血を認めた割合もステント群の 5 %に対し,手術群では20%と高く,エンドポイントとして設定された 1 年以内の心筋梗塞,脳卒中,死亡に関してもステント群の4.8%に対し手術群は25%であった。
■最近では,狭窄を解消する新開発の“Merci® Retrievalシステム”も登場している。
これは,ニッケルとチタンから成るある種の形状記憶システムで,血管内に埋め込むと,らせん状に開いて血栓を除去する仕組みである。