戯れ言たれる侏儒
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高血圧とスタチン

戯れ言たれる侏儒 / 2009.04.07 00:02 / 推薦数 : 0

北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟先生が考察されているMEGA Studyサブ解析で勉強しました。
テーマは「高血圧患者とスタチン療法」です。
奇しくも新着の日本医事新報No.4432 2009.4.4に「高潔ある合併脂質異常症の心血管リスクマネジメント」が掲載されていました。

高血圧患者に対するスタチン療法の意義
MEGA Studyサブ解析から
研究の背景:
全例解析では脳梗塞の改善は有意差に至らず
2006年9月,Lancet にわが国におけるスタチン療法による心血管疾患初発予防の効果を証明したMEGA Studyが報告された(Lancet 2006;368:1155-1163)。

■このMEGA Studyでは,高コレステロール血症患者が,食事療法単独群(コントロール群)もしくは食事療法+プラバスタチン投与群(スタチン群)に割り付けられ,スタチン群において,冠動脈疾患が33%減少(P=0.01)し,冠動脈疾患+脳梗塞についても30%の減少(P=0.005)が認められていたが,脳梗塞や脳卒中単独では統計学的に有意な減少は認められなかった(脳梗塞;ハザード比0.76, P=0.22,脳卒中;ハザード比0.83, P=0.33)。

■最近,このMEGA Studyの高血圧症合併患者3,277人についてのサブ解析結果が報告され,(両群間で血圧に差異がなくとも)脳梗塞がスタチン群で有意に減少したことが報告されたので紹介したい(Hypertension 2009;53:135-141)。

◎ 研究のポイント1:
5年間の経過観察期間中に血圧についての差異はなし
■MEGA Studyそのものは,冠動脈疾患や脳血管障害の既往のない,40~70歳の男性もしくは閉経後から70歳の女性で,総コレステロール(TC)値が220~270mg/dLに該当する7,832人が対象とされた。

■この研究では,3,277人(42%)に高血圧,1,632人(21%)に糖尿病が認められており,本報告は,その高血圧合併患者3,277人についての試験開始後5年間の経過を検討したサブ解析である。

■3,277人は,コントロール群1,664人,スタチン群1,613人に割り付けられた。
両群の患者背景や血圧・脂質の治療効果は表の通りである。
 
■血圧については試験期間中のいずれにおいても両群間に差異は認められなかった。
差異があったのは投薬開始後の脂質プロファイルのみと言ってよい。

◎ 研究のポイント2:
スタチン群では脳梗塞が46%,脳卒中が31%の有意な減少
■この試験の一次エンドポイントは冠動脈疾患であるが,コントロール群では51例(6.7/1000人・年),スタチン群では35例(4.8/1000人・年)に冠動脈疾患の発症が認められ,スタチン投与により29%のリスク減少が認められたものの統計学的には有意ではなかった(非高血圧患者4,555人も含めたLancet の報告では,各々5.0/1000人・年,3.3/1000人・年で33%のリスク減少が有意であった)。

■一方,二次エンドポイントである冠動脈疾患+脳梗塞,脳梗塞単独,脳卒中,心血管疾患については,スタチン群で各々35%,46%,31%,33%の有意なリスク減少が認められた(図)。
 
■また,「コレステロールを下げすぎると脳出血が増加する」という懸念をもたれている先生もおられると思うが,脳出血については,コントロール群9例,スタチン群11例であり,統計学的な差異はなかった(非高血圧患者を含めた全7,832人の解析では,脳出血はコントロール群14例,スタチン群16例)。

■これらの結果につき,治療必要症例数(NNT:1例救うのに必要な治療患者数;数が小さいほど治療の意義が大きいことを意味する)を検討すると,脳梗塞では115例,冠動脈疾患+脳梗塞では61例,心血管疾患では50例であった。

 
山田 悟先生の考察:
■高血圧症合併患者には,コレステロール上昇の度合いが軽度でも積極的な治療が望ましい
 
■高血圧は脳血管疾患の主たる要因であり,脳血管疾患は死の原因となるのみならず,半身不随や認知症といった日常生活動作(ADL)低下の原因となりうる極めて重要な疾患である。
その意味で,日本人高血圧症(合併高コレステロール症)患者において,スタチン投与が脳梗塞を有意に抑制できたことは,今後のproductive aging(生産性を保持したままでの加齢)を考える上で,非常に重要な所見といえよう。

■高血圧治療の発達に伴い,日本人脳血管疾患の主役が脳出血から脳梗塞に移行したといわれて久しい。
今後,高血圧症を合併した高コレステロール血症患者には,コレステロール上昇の度合いが軽度でも積極的なコレステロール治療が望ましいように思われる。

出典 MT pro 2009.4.2
版権 メディカル・トリビューン社

梅原龍三郎 薔薇

http://www.oida-art.com/buy/detail/1458.html


<自遊時間>
高血圧患者は全国に約4,000万人いるといわれます。
(日本高血圧学会:日本高血圧学会治療ガイドライン2009)
ある一定年齢以上では、ほとんどが高血圧患者という計算になります。
今後、高血圧の診断基準が低い血圧値に設定されるほどより多くの高血圧患者が”発生”するわけです。
昨日、「生命保険に入りたいんだけど、血圧で先生のところにかかっているから加入できない」というボヤキを聞かされました。
中年以降になって加入しようと思っても、多くの方は告知義務違反として、将来的に支払い時にトラブルが起こることは必至です。
「保険会社自体が安心できない昨今、無理して入らなくても」と自分でもわけのわからない返事をしてしまいました。
治療していなくても、これだけ健診の網が張り巡らされている昨今です。
治療していなくても、健診で高血圧を指摘されているといったことはしばしばのはずです。
よほど若い時に加入するか、中途半端な年齢になってからはあきらめるか。

高血圧の治療も、医療側ではいいことをしていると思っていても患者さには有難迷惑ということもあるのです。

これからは、高血圧治療に入る前に「生命保険はすでに入っていますか」と声をかけてあげる時代かも知れません。

患者さんとそんな話をしながら、診察机のオアソコンで「生命保険」のサイトをのぞきました。
そこには恐るべき事実が。
私が昔から入っている生命保険会社の格付けが「風前のともし火」になっているではありませんか。


<きょう聴いた一枚のCD>
シフのラフマニノフ/チェロソナタほか 蘭PHILPS 0610

http://tenant.depart.livedoor.com/t/baerenplatte/item2689051.html
 

<ラフマニノフ「チェロソナタ」 関連サイト>
シフのラフマニノフ「チェロソナタ」(1984)
http://blogs.yahoo.co.jp/takatakao123/18411849.html
チェロ・ソナタ 作品19のCD
http://www.age.ne.jp/x/ramos/rachmaninoff/cdichiran/19.htm
特集 ラフマニノフ;チェロ・ソナタ 聴き比べ
http://www.seikaisei.com/composer/rach-vc.html
 

<余談>
ラフマニノフはマルファン症候群だったようですね。

 

 

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