戯れ言たれる侏儒
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HDL-CとLDL-Cのどちらが虚血性心疾患と関係が深いか。
日本人のデータですが、HDL-Cの方が関与が大きいという論文を最近よんだこともあり、当然HDL-Cに軍配があがると思っていました。
しかし、きょう勉強した記事ではそうでもなさそうだという内容でした。
民族差もあるということでしょうか。
 

 

HDLコレステロールは動脈硬化を予防するのか?
HDLコレステロール(HDL-C)を増やすことが虚血性心疾患を予防する、とのエビデンスについてはなお論争が続いている。
システマティックレビューの一部解析(2001年までに公表されたスタチン治療に焦点を当てた無作為化試験の解析)では、HDL-Cと患者アウトカムの相対リスク減とに有意な関連を見いだすことはできなかったが、McMaster大学(カナダ)臨床疫学・生物統計学部門のMatthias Briel氏らは、スタチンに限らずすべての脂質異常症の治療薬に関連した無作為化試験を対象に、HDL-C値と、全死亡、虚血性心疾患死および同イベント(虚血性心疾患死と非致死的心筋梗塞)との関連について、最新の系統的なシステマティックレビューとメタ回帰解析を行った。

出典 BMJ誌2009年2月28日号(オンライン版2009年2月16日号)

108の無作為化試験、参加者29万9,310人分のデータをメタ回帰解析
■Briel氏らは、2006年10月までに、分野専門家とのコンタクトで追補されたMedline、Embase、Central、CINAHL、AMEDからスタディ選択を行った。2チームが独立して、無作為化試験の適格性(心血管リスクを減じるための脂質改善の介入が検討された試験、HDL-Cと死亡率や心筋梗塞の関連を独立した治療群で検討した試験、少なくとも6ヵ月治療や参加者フォローが行われた試験)を評価し選択。

■評価者は標準化されあらかじめ用意されたフォーマットを用いて、各論文から関連情報を取得し、脂質と臨床アウトカムの加重リスク比の変化のデータを解析した。

■メタ回帰解析は、108の無作為化試験、参加者(心血管イベントリスクを有する)29万9,310人のデータを含み行われた。

HDL-C増大よりもLDL-C減少を
■LDL-C値補正後全解析の結果、HDL-Cの変化と、リスク比(虚血性心疾患死、同イベント、全死亡)との関連は認められなかった。
この結果は、HDL-C値にほとんど変化がなかった(<1%)試験でも同様だった。

■また、LDL-CおよびHDL-Cの変化が、LDL-C単独の変化によるもの以上に、アウトカムに影響を与えることは確認できなかった。

■逆にHDL-C値および薬剤クラス補正後LDL-C指数が10mg/dL(0.26mmoL/L)減少した場合の相対リスク減は、虚血性心疾患が7.2%(95%信頼区間:3.1%〜11%、P=0.001)、同イベントは7.1%(4.5%〜9.8%、P<0.001)、全死亡は4.4%(1.6%〜7.2%、P=0.002)だった。

■これらからBriel氏は、「入手可能なデータの解析結果は、単にHDL-Cの増大が虚血性心疾患死、同イベント、全死亡を減らすことにはならないことを示唆するものだった。
この結果は、脂質異常症介入の主要な目標はLDL-C減少にあることを支持するものである」と結論した。

Briel M et al. Association between change in high density lipoprotein cholesterol and cardiovascular disease morbidity and mortality: systematic review and meta-regression analysis.
BMJ. 2009 Feb 16;338:b92. doi: 10.1136/bmj.b92.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19221140?ordinalpos=4&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum

出典 Care Net.com 2009.3.13
版権 (株)ケアネット
 

<関連サイト>
HDL-C値を高めてもアテローム病変は進行
ILLUSTRATE試験の解析結果より
HDL-C値の上昇が、冠動脈のアテローム性病変の進行を抑制するのだろうか。
トルセトラピブの投与によりHDL-C値が有意に上昇した患者のアテローム性病変の変化を評価したところ、病変の進行の度合いは、偽薬群と同等であることが報告された。
米国Cleveland ClinicのSteven E. Nissen氏らの研究結果で、詳細はNEJM誌2007年3月29日号に掲載された。

■トルセトラピブは、コレステロールエステル転送蛋白質阻害薬(CETP阻害薬)で、HDL-Cレベルを高める薬剤だ。
50%超の、HDL-C値上昇も報告されているが、臨床開発の最終段階に行われた大規模臨床試験ILLUMINATEにおいて、有害な心血管イベントの増加と全死因死亡率上昇が認められたため、Pfizer社は開発中止を決定した。
著者らは今回、ILLUMINATEに先駆けて行われた臨床試験ILLUSTRATEのデータを報告した。
前向きの無作為化試験は、二重盲検方式で、2003年10月-2004年8月に北米と欧州で行われた。

■対象は、血管造影により冠動脈に20%以上の狭窄が1カ所以上認められる、などの条件を満たした18-75歳の患者1188人。
ベースラインで血管内超音波検査を実施。
全員にアトルバスタチンを投与し、LDL-C値が15mg/dL(0.39mmol/L)から100 mg/dL(2.59mmol/L)の間になった時点で、無作為にアトルバスタチン+偽薬(597人)、または、アトルバスタチン+トルセトラピブ60mg(591人)に割り付けた。

■24カ月後、病気の進行状態を血管内超音波検査により評価。
77%に当たる910人の患者(アトルバスタチン単剤群446人、トルセトラピブ併用群464人) が検査を受けた。

■それぞれのグループのベースラインと24カ月後のコレステロール値を比較したところ。
アトルバスタチン単剤群に比べ、トルセトラピブ併用群の相対上昇割合は61%、LDL-C値の相対減少割合は20%だった。
ベースラインの血圧の平均値は、両群共に120/73mmHg。
いずれも24カ月後には血圧が上昇、収縮期圧は、単剤群では2.0mmHg、併用群では6.5mmHg上昇していた(P<0.001)。

■主要エンドポイントに設定されたアテローム容積率の変化は、単剤群で0.19%上昇、併用群では0.12%上昇で差なし(P=0.72)。
また2次エンドポイントは、標準化したアテローム総容積の変化。併用群では9.5立方ミリメートルの減少、単剤群では6.3立方ミリメートルの減少で、わずかだが併用群のほうが良好だった(P=0.02)。
しかし最も深刻な病変部10mm区間を選んで、ベースラインと24カ月時のアテローム容積を比較したところ、やはり有意差はなかった(P=0.12)。

■有害事象も比較。主要な心血管イベントの発生率は同等だった。しかし、併用群では、有害事象として報告された高血圧の頻度が多く(23.7%と10.6%)、140/90mmHgを超えた患者の頻度も高かった(21.3%と8.2%)。
15mmHgを超える血圧上昇が持続した患者の割合は、併用群9.0%、単剤群3.2%だった。

■トルセトラピブは、HDL-C値の上昇とLDL-C値の低下、そして血圧上昇をもたらしたが、冠動脈のアテローム動脈硬化の進行は予防できなかった。
効果が見られなかった理由として、著者らは、血圧上昇がHDL-C上昇の効果を打ち消した可能性、アテローム性動脈硬化の治療や予防においてCETP阻害は有効なアプローチではない可能性などを挙げている。

■今回得られた結果は、心血管疾患予防を目的とする薬剤開発に携わる人々に、大きな課題を提示した。
アテローム性動脈硬化の進行を実際に阻止するためには、どの経路を標的とすればよいのか。
これを明らかにするためには、さらなる研究が必要だろう。

原題は「Effect of Torcetrapib on the Progression of Coronary Atherosclerosis」
http://content.nejm.org/cgi/content/short/356/13/1304

NM online 2007.4.4
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200704/502927.html


中川一政 バラ
http://www.oida-art.com/buy/detail/1516.html

 

LDL-C/HDL-C比は冠動脈疾患の新たな指標として有用
■かなりの数のAMI/ACS患者が低LDL-Cで、対照被験者と比べてHDL-C値が低く、LDL-C/HDL-C比が高いことが分かった。

■LDL-C/HDL-C比はCHDの第一次予防に対する新たなターゲット指標になると考えられる。

■LDL-C/HDL-C比を下げるには、HDL-C値を集中的に上げ、かつ、LDL-C値を下げる治療の両方が、特にHDL-Cが低い場合に必要である。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/esc2008/200809/507675.html
NM online 2007.9.2

 

<自遊時間>
政府の医療政策のミスに起因する都市部や大病院への医師の集中。卒後研修制度の実施による医局制度の実質的な崩壊が原因であることは明らかです。
それまではこの問題が顕在化することはなかったわけですから。

 「各県に医科大学」ということで新設された国立単科医科大学も、多くの医学生は都市部出身で卒後は都市へUターンしてしまい卒後の地方への定着は画餅に帰しています。

そんな中、医師を将棋の駒のように配置しようという動きが出てきています。彼らの無策、失策の尻拭いを我々がさせられようとしているのです。

先生方も同様でしょうが、私もこういった動きに対してはたして合法性があるのか、すなわち違憲性があるのではないかと疑問に思ってきました。
(ある意味、裁判員制度にも疑問をもっています)
さて、新着のMMJ誌に関連記事が見つかりました。

ことわざデータバンク 医師には、職業を選択する自由が日本国憲法第22条1項によって保障されている。

医師という職業を選択する自由には、当然に、医師という選択した職業を遂行する自由も含まれるが、これう事業活動(医業の自由)という。

医師の配置制限は、医師の基本的人権を制限するものである。したがって、それが「公共の福祉」の要請だというためには、十分に必要性があり、かつ十分に合理性がなければならない。

ちなみに、最高裁判所は昭和50年に、薬局開設許可に地域的制限・距離制限をしていたことに対し、日本国憲法第22条1項に違反するという違憲判決を出したことがあった。

法律の世界では有名な判例である。

それと類似する「医師の配置制限」を設けようというのであれば、よほどその必要性と合理性を検証しなければならない。

出典 MMJ March Vol.5 No.3 2009

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
があります。

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