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ESCが新ガイドラインを発表
急性心筋梗塞/再灌流療法の重要性を強調
欧州心臓病学会(ESC)特別委員会は,ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の管理に関する新しいガイドラインを策定し,European Heart Journal(2008; 29: 2909-2945)に発表した。
新ガイドラインは,一刻も早い治療開始だけでなく,心臓への血流回復により生存率を向上させる再灌流療法の重要性を強調している。
さらに,地域の救急医療システムや最適な施設への速やかな搬送が治療を成功に導く鍵であるとしている。
STEMIの管理と心電図所見について解説
■同特別委員会の委員長を務めたFrans Van de Werf教授(ベルギー・ルーベン)は「新ガイドラインは心筋梗塞の管理において重要な役割を果たすもので,これを広く取り入れ,適用することで心筋梗塞患者の生存率は大幅に改善するであろう」と述べている。
■新ガイドラインは,STEMIの管理とその心電図(ECG)所見について解説している。
■急性の冠動脈イベントの約3分の1がSTEMIと診断される。
また,正確な数は不明であるが,心筋梗塞患者の30〜50%が病院に到着する前に死亡し,その大半は発症から数時間以内に死亡する。
近年,心筋梗塞死亡率はほぼ横ばい状態が続いているが,院内生存率は1960年代の75%から現在の95%へと著明に改善した。
この院内生存率の改善の背景には,冠動脈疾患集中治療室(CCU),冠動脈インターベンションや血栓溶解療法など新たな手技の導入がある。
■新ガイドラインと2003年版のガイドラインとのおもな相違点は,
(1)救急システムを取り上げた
(2)速やかな再灌流療法の施行が強調された
―ことである。
■再灌流療法は,経皮的冠動脈インターベンション(PCI,バルーン血管形成術やステント留置)または血栓溶解療法により行われる。
一次PCIは2時間以内に施行
■管理の鍵となるのは,以下の医療チームとの最初の接触(FMC)後の早期診断とリスク評価である。
(1)一次PCIはFMCから2時間以内に施行できるなら,望ましい治療法である
(2)PCIを2時間以内に施行できない場合は,FMC後,入院前または入院中に血栓溶解療法を速やか(30分以内)に行う
■新ガイドラインは「一次PCIは血栓溶解薬の前投与または同時投与なしに行う冠動脈インターベンションで,熟練したチームによる迅速な施行なら望ましい治療選択肢である」としており,「PCI施行までの時間が短いほどアウトカムは改善するため,FMCからバルーン血管形成術までの時間は全症例で2時間以内でなければならない」としている。
ただし,一次PCIは,心臓インターベンションプログラムの確立した病院でのみ施行されるべきであると付記している。
■また,血栓溶解療法が成功した場合も,大半の患者に対してルーチンに冠動脈造影を行うことが推奨されている。
さらに冠動脈造影を行うことで冠動脈と心筋の状態が評価でき,長期リスクと以後の治療が決定されるとしている。
救急システムも生存率改善の鍵
■Van de Werf教授は,現在,すべての病院もしくは地域に新ガイドラインで推奨しているような救急ネットワークやPCIの可能な施設が整備されているわけではないことを認めている。
■実際,今回の登録データから,欧州では現在も全STEMI患者のおよそ20〜30%は再灌流療法を受けていないことが示されている。しかし,同教授は,新ガイドラインの遵守によりSTEMI患者の生存率を劇的に改善させることは可能だと示唆している。
■迅速な搬送,必要に応じた除細動や早期血栓溶解療法,ECGによる診断,病院への緊急要請などを担う救急車も生存率改善の鍵を握っているとされる。
■新ガイドラインは,救急車は電話要請から15分以内に患者のもとに到着できること,12誘導心電計を備えることを推奨している。
■そのほか,一次救命処置(basic life support;BLS)の手技を医学部のカリキュラムに組み込むことも推奨している。
出典 Medical Tribune 2009.2.19 (一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社

五味悌四郎 初秋の静物
http://www.oida-art.com/buy/detail/7508.html
<番外編>
狭心症の初回検査として心電図検査は十分に行われていない
■エビデンスに基づく推奨があるにもかかわらず,狭心症の症状がある患者の初回検査として心電図検査(ECG)が十分に行われていないことが明らかになったと,米マイルズ記念病院などのグループがAmerican Journal of Cardiologyの2月1日号に発表した。
■同グループは,米国の成人人口の2%を代表する保険データベースを用いて,新規狭心症患者に推奨されている初回の循環器系診断検査としてのECGの施行頻度を調べた。
検査を必要とする狭心症状を有する1万8,139例が登録基準に合致した。
■解析の結果,患者の35%がエキスパート・ガイドラインで推奨されている初回ECGを施行されていなかった。
初回ECGの施行率は救急部門で治療を受けた患者では91%と高かったが,外来患者では61%,入院患者では34%と低かった。
男性と64歳以上の患者でECG施行率が若干低い傾向が見られた。
■診断のための総費用は推奨されているECGを行った場合が平均954ドル,ECGを行わなかった場合が平均1,233ドルであった。
<原著>
Frequency of electrocardiographic recordings in patients presenting with angina pectoris (from the Investigation of National Coronary Disease Identification).
Li J, et al. Am J Cardiol 2009; 103: 312-315.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19166681
出典 Medical Tribune 2009.2.19 (一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
文中のFMCは多分first medical contactの略と思われますが違うでしょうか。
そして
「心筋梗塞患者の30?50%が病院に到着する前に死亡し,その大半は発症から数時間以内に死亡」・・・医療機関に搬送される症例はelectrical deathを免れた謂わば自然にトリアージされた症例ということになります。
このことは医療現場でしばしば忘れ去られそうになることでもあります。
急性心筋梗塞患者の救命には、この超急性期の不整脈死をいかに防止することが大切かということを、高木誠先生をはじめCCUのある医療機関で積極的に取り組んだ時期がありました。
インターベンション一色の現在にあって、これらの試みはどこまで進んでいるのでしょうか。
奇しくも今週の日曜日、タレントの松村邦洋氏がAMIによるVFで倒れました。
東京マラソン中ということもあり、AEDにより救命されたということで、ある面では「朗報」でした。
当院もAEDの設置については悩んでいるところですが、自分自身のためにも購入しようかなと思わせるニュースでした。
<関連サイト>
意識戻った松村邦洋 合併症の危険で予断許さず
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/flash/KFullFlash20090323106.html
松村邦洋(41)が22日の東京マラソン中に前兆なく突然意識を失った原因は、急性心筋梗塞による心室細動(しんしつさいどう)によるものだという。
突然死を回避するため、マラソン事務局スタッフと医師による自動体外式除細動器(AED)で電気ショックを与えるなど迅速な処置を受けて、病院へ搬送された。
搬送中に意識は取り戻したが、検査処置には安静状態が必要なため、現在は鎮静処置を施しているという。
さらに心疾患には今後、合併症を伴う危険性があり、病状が確定しない予断を許さない状態が続いているという。
松村邦洋マラソン挑戦で一時心肺停止に
http://www.daily.co.jp/gossip/2009/03/23/0001770832.shtml
(その時の状況を生々しく報じています)
他に
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。