戯れ言たれる侏儒
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Ca拮抗薬が残した課題

戯れ言たれる侏儒 / 2009.02.28 00:09 / 推薦数 : 1

Ca拮抗薬は本年1月に発表された高血圧治療ガイドライン(JSH2009)で、糖尿病やCKD合併例はファーストラインからはずされています。

JSH2009でのARBの位置づけ
http://blog.m3.com/reed/20090219/JSH2009_ARB_

Ca拮抗薬は優れた降圧効果を示す一方,急峻な降圧による反射性頻脈や輸入細動脈拡張による糸球体内圧上昇が懸念され,その克服が課題とされてきました。
長時間作用型Ca拮抗薬アゼルニジピン(カルブロック®)は,降圧時の心拍数増加を抑制し,輸出細動脈を拡張させて腎保護に働くことが報告され,さらに最近,アルドステロンの分泌を抑制することが明らかとなり,臓器保護の観点から注目されています。

こんな書き出しで始まる記事で勉強しました。
相も変わらずメーカー提供の記事です。

Ca拮抗薬が残した課題に挑む
─アルドステロン低下の意義,腎保護作用を中心として─
慶應義塾大学
猿田 享男 名誉教授(司会) 
慶應義塾大学腎臓内分泌代謝
伊藤 裕 内科教授 
東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科
東條 克能 准教授 

従来のCa拮抗薬の課題─心拍数増加が心血管系イベントと関連
猿田 
■まず,反射性頻脈抑制の意義について,伊藤先生からご解説いただけますか。

伊藤 
■反射性頻脈は,圧受容器反射を介する交感神経系の亢進によりもたらされます。
反射性頻脈を起こしやすい初期の短時間作用型Ca拮抗薬で心臓への悪影響が指摘されて以来,交感神経系を亢進させないCa拮抗薬が待ち望まれてきました。
 
■高心拍数が心血管系イベントと関連することは,Framingham studyなど多くの疫学調査で明らかにされています。
PalatiniらはTecumseh studyなどの研究を検証し,「高心拍数と高血圧,高インスリン血症,高血糖,脂質代謝異常などの動脈硬化の危険因子との間にはそれぞれ有意な相関関係があり,高心拍数はその他の危険因子の中心に位置していると考えられる(図1)」とし,「高血圧における頻脈は,循環器系における自律神経制御異常の強力なマーカーであり,その根本には血圧上昇とは独立した交感神経系の亢進が存在し,それが動脈硬化の発症を招く」との見解を導き出しました。
 

 

■実際,代謝異常が併存するとされる内臓肥満者では,高血圧を呈さない段階から筋交感神経活動の亢進が見られます。
また,腹部内臓脂肪量が筋交感神経活動と有意に相関することも知られています(図2)。

 

アゼルニジピンの交感神経系への影響
猿田 
■高血圧における頻脈の根本には,血圧上昇とは独立した交感神経系の亢進が存在するということですが,長時間作用型Ca拮抗薬アゼルニジピンは,交感神経系の亢進を抑制することが報告されていますね。

伊藤 
■多くの臨床研究から,アゼルニジピンは優れた降圧効果を示すとともに,心拍数を増加させず,むしろ減少させることが報告されています(図3)。
アゼルニジピンは今までにないCa拮抗薬に位置付けられると思います。

 

猿田 
■アゼルニジピンによる心拍数の減少は,SHRを用いた私たちの熊谷先生方のグループの研究でも確認されました。
SHRに無麻酔下でアゼルニジピン0.1mg/kgを持続静注しながら,血圧,心拍数,腎交感神経活動,腎血流量を測定した結果,血圧,心拍数,腎交感神経活動はいずれも低下し,腎血流量は増加しました(図4)。
 

■さらに,SHRから交感神経系中枢である延髄腹外側の吻側領域(RVLM)を摘出し,アゼルニジピン溶液を灌流させた結果,RVLMの膜電位は次第に過分極し,交感神経活動が抑制されることが認められました。
 
■RVLMに存在する交感神経ニューロンの軸索は,脊髄中間外側核まで下行し,交感神経・節前線維,次いで節後線維へ連結します。
血圧が低下するとRVLMの電気活動が亢進し,これが末梢交感神経活動を亢進させ,心臓,腎臓,細動脈などに作用して心拍数増加,血圧上昇をもたらします。
アゼルニジピンは,RVLMニューロンの反射的な亢進を直接抑制すると考えられます(図5)。

 

そのため,優れた降圧をもたらすにもかかわらず,心臓や腎臓を支配する末梢交感神経活動を亢進させず,よって反射性頻脈を来さず,むしろ心拍数を減少させると推測できます。

アゼルニジピンの腎機能への影響
猿田 
■次に腎保護の観点から,Ca拮抗薬の影響について解説いただけますか。
東條 
■腎の輸入細動脈にはL型Caチャネルが広く分布しています。
おもにL型Caチャネルを遮断するCa拮抗薬は,輸出細動脈よりも輸入細動脈を選択的に拡張させ,その結果,糸球体内圧を上昇させることが指摘されています。
実際,Ca拮抗薬とレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬を比較したMARVAL,AASKなどの臨床試験で,アルブミン尿の減少や腎死・全死亡に関して,Ca拮抗薬よりRA系抑制薬が優れるとの結果が示されました。
 
■一方,アゼルニジピンは,輸入細動脈だけでなく輸出細動脈も拡張させることが報告されています。
また,私たちの検討から,アゼルニジピンは腎の細動脈を収縮させ,腎障害に働くとされるアルドステロンの分泌を抑制することも明らかとなりました。
したがって,アゼルニジピンは従来のL型Caチャネルを介する薬剤と異なり,腎保護の面からも好影響が期待できるCa拮抗薬といえます。

アルドステロンは心,腎,血管系に直接作用して臓器障害に関与
猿田 
■アルドステロンは,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の最終産物で,ナトリウム再吸収と水分貯留を促進し,血圧上昇に働くことは以前から知られています。
最近,こうした電解質・水バランスへの作用とは別に,アルドステロンが心,腎,血管系などへ直接作用し,臓器障害をもたらすことが明らかにされています。

東條 
■これまで,RAA系活性化による有害作用ではアンジオテンシンII(A II)が主犯とされ,A IIが血圧上昇,心血管系細胞の増殖・線維化などを介し,心血管系病態形成に中心的役割を果たしていると考えられてきました。
 
■しかし近年,その下流にあるアルドステロンも,心筋の線維化・心肥大,血管の線維化を惹起し,さらに腎臓にも直接的に働いて輸入・輸出細動脈を収縮させ,腎障害に関与することがわかってきました。
 
■同時に,アルドステロンがAT1受容体をアップレギュレーションし,ACE活性も増強させ,RAA系をいっそう活性化させるという悪循環形成機序も報告されています。

猿田 
■アルドステロン分泌の機序はRA系がメインですが,RA系を介さない機序も存在しますね。

東條 
■アルドステロン分泌はRA系以外の因子によっても刺激されるため,RA系刺激のみを抑制しても,アルドステロン分泌は完全には遮断されません。
 
■非RA系の刺激因子としては,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),カリウム,エンドセリンなどが知られています。
これらに加え,最近,脂肪細胞由来のアルドステロン分泌刺激/感受性亢進因子の存在が明らかとなり,注目されています。
 
■脂肪細胞由来アルドステロン分泌刺激/感受性亢進因子は,肥大化した内臓脂肪細胞から産生され,直接副腎に働いてアルドステロン分泌を促進するほか,A IIによるアルドステロン分泌の感受性を高める作用も併せ持つと報告されています。

アゼルニジピンのアルドステロン分泌への影響
猿田 
■アルドステロン分泌に関して検討されたアゼルニジピンの成績をご紹介いただけますか。

東條 
■私たちはヒト副腎癌細胞由来のH295R細胞株を用い,A II刺激によるアルドステロン分泌に対するCa拮抗薬の影響を検討しました。

■その結果,アゼルニジピンは用量依存的にアルドステロン分泌を抑制しましたが,その作用は,既にアルドステロン分泌抑制作用が報告されているL型ならびにT型Caチャネル拮抗薬エホニジピンと同等で,L型Caチャネル拮抗薬ニフェジピンとの間には有意な差が認められました(図6)。

 
■さらに,アルドステロン合成酵素をコードする遺伝子CYP11β2 の発現に対するアゼルニジピンの影響についても検討しました。その結果,アゼルニジピンとエホニジピンは ニフェジピンに比べ,A II刺激によるCYP11β2 の発現増強を有意に抑制しました(図7)。

猿田 
■アゼルニジピンのアルドステロン分泌抑制は,どのような機序によると推察されますか。

東條 
■私たちは,酸化ストレスの関与に注目し,NADPHオキシダーゼ阻害薬であるアポシニンを用いた検討を行いました。
その結果,アゼルニジピンとアポシニンはCYP11β2 発現増強を有意に抑制し,アゼルニジピンはアポシニンに比べ有意に抑制しました。
さらにアゼルニジピンとアポシニンとの併用は,アゼルニジピン単独に比べ有意に抑制しました。
■これらのことから,酸化ストレスの抑制が少なくとも一部,アゼルニジピンのアルドステロン分泌抑制機序に関与していると推測されますが,その他の機序も存在します。

今後は各薬剤の特徴に応じたCa拮抗薬の使い分けが重要に
猿田 
■アゼルニジピンは優れた降圧効果を示すとともに,交感神経系の亢進抑制,腎保護,アルドステロン分泌抑制などを併せ持つCa拮抗薬であることをお話しいただきました。
臓器保護の観点から,こうした特徴を有する薬剤は積極的に選択されるべきだと思います。
特に,交感神経系の亢進がベースにあるメタボリックシンドロームを呈する高血圧患者には有用と考えます。

伊藤 
■メタボリックシンドロームを有する高血圧患者では,交感神経系の亢進と同時にRAA系の活性化が併存しています。
加えて,脂肪細胞由来の刺激因子がアルドステロン分泌を促進する可能性も示唆されています。

■こうした病態を考慮すれば,交感神経系とともにアルドステロン分泌にも抑制的に働くアゼルニジピンのような薬剤を選択していくことが重要だと思います。

猿田 
■アゼルニジピンは腎保護も期待されることから,糖尿病合併高血圧患者に対する降圧薬としても適しています。

東條 
■糖尿病合併高血圧患者では,もちろんRA系を抑制することが大切ですが,全身血圧が糸球体血圧に反映されるため,降圧効果が強いCa拮抗薬の役割が重要となります。

■また,糖尿病状態ではグリケーション反応やミトコンドリア内電子伝達系の亢進により,酸化ストレスが増加しています。そのため,Ca拮抗薬のなかでも酸化ストレスの抑制が期待できる薬剤が望ましいと考えます。

猿田 
■最近,アルドステロンが関連する高血圧の頻度が,以前考えられていたより高いことが報告されています。
そうした症例では,アルドステロンをターゲットとした薬物療法が重要です。

伊藤 
■高血圧患者のなかに,低レニンでアルドステロン濃度が比較的高いタイプが存在することが認識されるようになってきました。そういう方ではACE阻害薬やARB(AT1受容体拮抗薬)は効きにくく,アルドステロン自体を下げる薬剤が必要です。
私は,アゼルニジピンのようなアルドステロン分泌の抑制が期待されるCa拮抗薬に注目しています。

猿田 
■Ca拮抗薬は長い歴史のなかで進化を遂げ,現在さまざまなタイプが市販されています。
今後は,それぞれの薬剤の特徴に応じた使い分けが重要になってくると思います。

出典 Medical Tribune 2009.2.26(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社

 

 

トレンツ・リャド「ジヴェルニーの花」
http://www.imagine.co.jp/bestworks.asp?id=2888

<きょうの一曲>
一青窈 VS 平井堅 (Hitotoyo VS Hiraiken)
http://www.youtube.com/watch?v=bnTfx-hO70s&feature=related


<自遊時間 その1>
昨夜の「報道ステーション」に手術後の鳥越俊太郎がコメンテーターとして出ていました。
彼は入院中ずっと考えていた言葉があったということです。
それは "legitimacy" という言葉。
現在の某国の某首相は、民意で選ばれたという"legitimacy" がはたしてあるのかという発言でした。
legitimacy。
初めて耳にした言葉です。

legitimacy
http://www.wordreference.com/enja/legitimacy
統治における「であることlegitimacy」と「することvalidity」
http://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/2009/01/legitimacyvalid.html

<自遊時間 その2>
週間朝日2009.3.6に、短期集中連載「白州次郎」と免疫学者・多田富雄「昭和からの遺言」が掲載されています。
たまたま両方の記事に「プリンシプル」という言葉が出ていました。

前者では「自分の確固たる生き方の美学(プリンシプル)があるからこそ周囲の事情で考えがブレない」、後者では「石坂公成先生は、・・・リベラルアーツの理解があり、無欲恬淡で・・・常にプリンシプルに忠実で、しっかりした人間の形を持ち続ける、昭和の知識人の典型」といった使い回しがされています。

さて、多田富雄先生は自分が脳梗塞で倒れた経験も踏まえ、まさに白鳥の歌ともいうべき思いのたけを述べておられます。

以下、引用します。

市民は働いて適正な賃金を得る。
家業も、そんなものを守れば暮らしていける。
節約して暮らせば、普通に生きてゆけた。
時々は、家族でうなぎも食べられた。
実質経済が、庶民の生活を潤していたのです。

金融経済が実態経済を凌駕し、バーチャルな経済が広まったら、健康な中流が影が薄くなった。
貧困層ととてつもない富裕層の格差社会になってしまったのです。
それは、金銭だけの問題ではなくなり、心まで荒廃させてしまい、助け合いの精神などなくなった。
希望のない貧しい人と、経済至上主義者をつくり出しました。
昭和の世界では、両者とも「普通」じゃない、不健全な市民だったのです。

中流の条件は、平成になってからみんな崩壊しています。
まず「正業」としての職業としての職業が危うくなっています。
どの正業も破壊されてしまった。
農業も、酪農も、漁師も、町の商店も、みんな崩壊しているじゃないですか。
派遣社員とかフリーターなんて健康な正業とはいえない。政治が間違っているからです。

家族の形態も崩壊している。
3世代同居だったら、今の家庭問題の大半ほ起こらなかったでしょう。
介護も自宅でできる。
今の家族形態で育てられる子供たちは本当に心配です。
生きるための規範を学ぶ機会がない。
当たり前のことを知らずに育ったら、異常なことを平気でするでしょう。

まず、「普通」という規範がなくなった。
「当たり前」のことが通用しなくなった。
要するに小林秀雄の言った「常なるもの」を失ったのです。

<コメント>
この「常なるもの」が「プリンシプル」であるということが分かりました。
 

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
 「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~
http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。

 

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