戯れ言たれる侏儒
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Doctors Blog

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以前にも少し話題にしたことがありましたが、循環器領域で内科医と外科医が討論する機会は多くありません。
他の領域でも同様かも知れません。
最新のMedical Tribune誌に内科・外科合同座談会と題して、PCIとCABGが論じられたRound-table Discussionの内容が紹介されていました。
3回に分けて連載されるようで楽しみです。
何よりもスポンサーがついていない記事なので、安心して読むことが出来ます。
座談会の様子も動画でみることができます。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M42050941&year=2009
※座談会の動画はこちら(クリックで再生)の青い字をクリックします。

私は残念(当然)ながら座談会への出演依頼は一度もありません。
実際の座談会の様子と記事になった内容が比較出来る点に特に興味を持ちました。

Round-table Discussion/PCIとCABG,それぞれの進化と可能性
内科・外科合同座談会(3回シリーズ)(1)
■経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)という2つの冠血行再建術の棲み分けと共存の在り方は,現代の循環器医療における最大の議論の1つである。
■患者の真の利益を追求するうえでは,PCIかCABGかという対立した議論に終始することなく,内科医・外科医の双方が歩み寄り,2つの治療の現状と可能性について率直な意見を交わしていくことが必要だ。

出席者
岸和田徳洲会病院     (司会)東上 震一 院長
滋賀医科大学心臓血管外科     浅井 徹 教授 
天理よろづ相談所病院循環器内科  中川 義久 部長 
小倉記念病院循環器科       横井 宏佳 部長 

CABGの目覚ましい低侵襲化
東上 
■まず,CABGの進歩(表)についてお話しいただけますか。

浅井 
■CABGの歴史は50年弱に及びます。1970年代後半から80年代前半には,VAスタディ,ECSS,CASSという3つの大規模臨床試験が行われ,CABGは当時の内科的治療と比べて,重症多枝病変患者の生命予後の改善に優れた効果を有することが証明されました。
一方で,1枝病変や2枝病変においては,有用性は認められませんでした。このことは,その後も長きにわたり,われわれがCABGを行う際のドグマとなっています。

■侵襲的な治療であるCABGには,術関連合併症の問題がつきまといます。特に,高齢の患者や緊急性の高い手術では術関連死亡率が高くなることから,1990年代半ばからは,より侵襲性が低く安全な手術を目指そうとする動きが活発になってきました。

待機的手術なら術関連死亡率は1%未満に
浅井 
■低侵襲性にはさまざまなアプローチがありますが,国内では人工心肺を使わないオフポンプバイパス術(OPCAB)の進歩がその筆頭に挙げられます。
米国におけるOPCABの比率は2割にも届きませんが,日本では全CABGの約6割を占めています。

■グラフトをより良好な状態で低侵襲的に採取することにも心血が注がれ,内視鏡的な採取や超音波メスの使用が積極的に進められてきました。
近年の待機的CABGに伴う術関連死亡率は1%を切るまでになっています(図1)。

横井 
■欧米ではOPCABの比率が低いということですが,欧米の術関連死亡率はどのくらいですか。

東上 
■2,3%程度だと思います。

横井 
■そうすると,やはり1%を切る日本の成績はたいへん素晴らしい数値ということですね。

東上 
■よすぎるのではないかと思えるほどです。
われわれの施設では1%を少し超えています。

浅井 
■先生の施設のように,重症患者さんが多い場合には必然的に数字も悪くなるでしょう。必ずしも数字のよさが施設の実力を反映しているとは言えない面はありますね。

東上 
■全国的な調査で死亡率が1%を切ったことは,意味のある成績だと言えるでしょう。

低侵襲性の過度な追求は手術のクオリティ損なう危険も
横井 
■オンポンプの多い欧米に比べて日本では脳血管障害の合併が少ないというようなデータはありませんか。

浅井 
■個々の施設からはそうした報告も散見されますが,大きな集団でオンポンプとオフポンプを比較した研究では,残念ながら明確な差が見出されていません。

中川 
■理論的に考えても,オフポンプのほうが脳梗塞リスクは低くなると思われます。
手技を決定する際に,脳血管障害のリスクの高い患者さんにはOPCABが選択されるというpatient selectionバイアスが働くのではないでしょうか。

浅井 
■あと,例えば切開創を小さくすれば,細かい作業が難しくなるように,低侵襲で従来と同じ質の手術を行おうと思えば,技術的な壁が高くなります。
OPCABの場合も,複雑な手術をこなすには高等な技術が要求されますので,技術が完全に追い付いていないケースがあるのかもしれません。

中川 
■いくら手術の低侵襲化が進んでも,低侵襲という点ではPCIにかないません。
外科手術に期待することは,確実に血流が担保されることだと思います。同じ質の手術であれば侵襲が低いにこしたことはありません。

浅井 
■低侵襲性ばかりにこだわっていては,外科手術の最も大切な部分を損なうことになりかねません。

東上 
■私は複雑な病変を見つけた瞬間にオンポンプ手術に切り替えたりするほうですが,外科医の集まりでそういう話をすると,自分が時代遅れのように感じることもあります。

デバイスの進化が著しいPCI
東上 
■続いて,PCIの進歩(表)についてお話しいただきます。

中川 
■初期のPCI,すなわちバルーンの時代における一番の問題点は不確実性でした。
バルーンを広げたときにどのくらい血管が拡張するかがわからない。
血管内膜の解離によって急性冠閉塞を生じる可能性もありますが,そういったことも予測できません。
うまく拡張できたとしても,再狭窄という問題が大きく立ちはだかっていました。
■1990年代にはステントをはじめとするいわゆるニューデバイスが続々と臨床現場に投入されました。
そして,STRESSおよびBENES TENT試験という大規模試験により,ステントはバルーンに比べ,再狭窄予防効果に優れていることが証明されました。

急性冠閉塞予防と再狭窄予防がステント普及の原動力
中川 
■今の若い先生方のなかには,ステントが普及した最大の理由は再狭窄予防効果にあると思っている人が少なくないと思いますが,真の普及の原動力は,むしろ急性冠閉塞の予防・治療効果にありました。
バルーン時代には,いつ閉塞が起こるかと毎日びくびくしていたものが,まくらを高くして眠れる手技に変わったわけです。
ステントがPCIの安全性を高めたことは種々のレジストリーデータから明らかです。
とはいえ,ステント再狭窄が起こるとステントを入れない場合より厄介です。
そうしたなかで,薬剤溶出ステント(DES)が開発されました。
従来のステント留置と変わらない手技で再狭窄を劇的に予防できるDESは,瞬く間に普及していきましが、遅発性ステント血栓症という問題があり,これはいまだ解決に至っていません。
■遅発性ステント血栓症は,頻度の多寡よりも,いつまでリスクが持続するのかわからないという点が最大の問題であろうと思います。

日本人のステント血栓症頻度は低いが抗血小板療法は必須
東上 
■日本人の遅発性ステント血栓症のリスクは欧米人よりずっと低いという話も聞きますが。

中川 
■それは事実です。
絶対的な頻度は欧米人の半分以下です。

東上 
■人種差の違いはありますか。

浅井 
■胆嚢摘除術のような簡単な手術でも,血栓性の合併症は欧米人のほうが多いようです。

中川 
■おそらく日本人は血小板凝集機能が欧米人に比べて弱いのだと思います。例えば,日本で急性冠症候群(ACS)というと,ほとんどの場合,ST上昇型の心筋梗塞ですが,欧米ではST上昇型と非上昇型がだいたい1対1ぐらいらしいのです。
つまり,欧米の心筋梗塞には,血小板が主体のいわゆる白色血栓の関与が大きいことが示唆されます。
ステント血栓症の頻度の差も,こうした血小板機能の人種差が関係するのではないかと考えています。
■日本では確実なステント留置を期すために,全PCIの7割が血管内超音波(IVUS)ガイド下で行われていますが,欧米でIVUSが使われるケースは5%にも届きません。
これも,1つの要因ではないかと思います。
■遅発性ステント血栓症の最大の問題は,頻度よりも留置後何年たってもその頻度に減少傾向が見られないことにあります。
この点は欧米人も日本人も同じですので,抗血小板療法の継続は必須です。
■日本人はおしなべて服薬コンプライアンスが高いので,これもステント血栓の頻度の低さに関係しているのかもしれません。

出典 Medical Tribune 2009.1.29(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社

 

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~
http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)
があります。

 

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