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Ca拮抗薬は本年1月に発表された高血圧治療ガイドライン(JSH2009)で、糖尿病やCKD合併例はファーストラインからはずされています。
JSH2009でのARBの位置づけ
http://blog.m3.com/reed/20090219/JSH2009_ARB_
Ca拮抗薬は優れた降圧効果を示す一方,急峻な降圧による反射性頻脈や輸入細動脈拡張による糸球体内圧上昇が懸念され,その克服が課題とされてきました。
長時間作用型Ca拮抗薬アゼルニジピン(カルブロック®)は,降圧時の心拍数増加を抑制し,輸出細動脈を拡張させて腎保護に働くことが報告され,さらに最近,アルドステロンの分泌を抑制することが明らかとなり,臓器保護の観点から注目されています。
こんな書き出しで始まる記事で勉強しました。
相も変わらずメーカー提供の記事です。
Ca拮抗薬が残した課題に挑む
─アルドステロン低下の意義,腎保護作用を中心として─
慶應義塾大学
猿田 享男 名誉教授(司会)
慶應義塾大学腎臓内分泌代謝
伊藤 裕 内科教授
東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科
東條 克能 准教授
従来のCa拮抗薬の課題─心拍数増加が心血管系イベントと関連
猿田
■まず,反射性頻脈抑制の意義について,伊藤先生からご解説いただけますか。
伊藤
■反射性頻脈は,圧受容器反射を介する交感神経系の亢進によりもたらされます。
反射性頻脈を起こしやすい初期の短時間作用型Ca拮抗薬で心臓への悪影響が指摘されて以来,交感神経系を亢進させないCa拮抗薬が待ち望まれてきました。
■高心拍数が心血管系イベントと関連することは,Framingham studyなど多くの疫学調査で明らかにされています。
PalatiniらはTecumseh studyなどの研究を検証し,「高心拍数と高血圧,高インスリン血症,高血糖,脂質代謝異常などの動脈硬化の危険因子との間にはそれぞれ有意な相関関係があり,高心拍数はその他の危険因子の中心に位置していると考えられる(図1)」とし,「高血圧における頻脈は,循環器系における自律神経制御異常の強力なマーカーであり,その根本には血圧上昇とは独立した交感神経系の亢進が存在し,それが動脈硬化の発症を招く」との見解を導き出しました。
■実際,代謝異常が併存するとされる内臓肥満者では,高血圧を呈さない段階から筋交感神経活動の亢進が見られます。
また,腹部内臓脂肪量が筋交感神経活動と有意に相関することも知られています(図2)。
アゼルニジピンの交感神経系への影響
猿田
■高血圧における頻脈の根本には,血圧上昇とは独立した交感神経系の亢進が存在するということですが,長時間作用型Ca拮抗薬アゼルニジピンは,交感神経系の亢進を抑制することが報告されていますね。
伊藤
■多くの臨床研究から,アゼルニジピンは優れた降圧効果を示すとともに,心拍数を増加させず,むしろ減少させることが報告されています(図3)。
アゼルニジピンは今までにないCa拮抗薬に位置付けられると思います。
猿田
■アゼルニジピンによる心拍数の減少は,SHRを用いた私たちの熊谷先生方のグループの研究でも確認されました。
SHRに無麻酔下でアゼルニジピン0.1mg/kgを持続静注しながら,血圧,心拍数,腎交感神経活動,腎血流量を測定した結果,血圧,心拍数,腎交感神経活動はいずれも低下し,腎血流量は増加しました(図4)。
■さらに,SHRから交感神経系中枢である延髄腹外側の吻側領域(RVLM)を摘出し,アゼルニジピン溶液を灌流させた結果,RVLMの膜電位は次第に過分極し,交感神経活動が抑制されることが認められました。
■RVLMに存在する交感神経ニューロンの軸索は,脊髄中間外側核まで下行し,交感神経・節前線維,次いで節後線維へ連結します。
血圧が低下するとRVLMの電気活動が亢進し,これが末梢交感神経活動を亢進させ,心臓,腎臓,細動脈などに作用して心拍数増加,血圧上昇をもたらします。
アゼルニジピンは,RVLMニューロンの反射的な亢進を直接抑制すると考えられます(図5)。
そのため,優れた降圧をもたらすにもかかわらず,心臓や腎臓を支配する末梢交感神経活動を亢進させず,よって反射性頻脈を来さず,むしろ心拍数を減少させると推測できます。
アゼルニジピンの腎機能への影響
猿田
■次に腎保護の観点から,Ca拮抗薬の影響について解説いただけますか。
東條
■腎の輸入細動脈にはL型Caチャネルが広く分布しています。
おもにL型Caチャネルを遮断するCa拮抗薬は,輸出細動脈よりも輸入細動脈を選択的に拡張させ,その結果,糸球体内圧を上昇させることが指摘されています。
実際,Ca拮抗薬とレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬を比較したMARVAL,AASKなどの臨床試験で,アルブミン尿の減少や腎死・全死亡に関して,Ca拮抗薬よりRA系抑制薬が優れるとの結果が示されました。
■一方,アゼルニジピンは,輸入細動脈だけでなく輸出細動脈も拡張させることが報告されています。
また,私たちの検討から,アゼルニジピンは腎の細動脈を収縮させ,腎障害に働くとされるアルドステロンの分泌を抑制することも明らかとなりました。
したがって,アゼルニジピンは従来のL型Caチャネルを介する薬剤と異なり,腎保護の面からも好影響が期待できるCa拮抗薬といえます。
アルドステロンは心,腎,血管系に直接作用して臓器障害に関与
猿田
■アルドステロンは,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の最終産物で,ナトリウム再吸収と水分貯留を促進し,血圧上昇に働くことは以前から知られています。
最近,こうした電解質・水バランスへの作用とは別に,アルドステロンが心,腎,血管系などへ直接作用し,臓器障害をもたらすことが明らかにされています。
東條
■これまで,RAA系活性化による有害作用ではアンジオテンシンII(A II)が主犯とされ,A IIが血圧上昇,心血管系細胞の増殖・線維化などを介し,心血管系病態形成に中心的役割を果たしていると考えられてきました。
■しかし近年,その下流にあるアルドステロンも,心筋の線維化・心肥大,血管の線維化を惹起し,さらに腎臓にも直接的に働いて輸入・輸出細動脈を収縮させ,腎障害に関与することがわかってきました。
■同時に,アルドステロンがAT1受容体をアップレギュレーションし,ACE活性も増強させ,RAA系をいっそう活性化させるという悪循環形成機序も報告されています。
猿田
■アルドステロン分泌の機序はRA系がメインですが,RA系を介さない機序も存在しますね。
東條
■アルドステロン分泌はRA系以外の因子によっても刺激されるため,RA系刺激のみを抑制しても,アルドステロン分泌は完全には遮断されません。
■非RA系の刺激因子としては,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),カリウム,エンドセリンなどが知られています。
これらに加え,最近,脂肪細胞由来のアルドステロン分泌刺激/感受性亢進因子の存在が明らかとなり,注目されています。
■脂肪細胞由来アルドステロン分泌刺激/感受性亢進因子は,肥大化した内臓脂肪細胞から産生され,直接副腎に働いてアルドステロン分泌を促進するほか,A IIによるアルドステロン分泌の感受性を高める作用も併せ持つと報告されています。
アゼルニジピンのアルドステロン分泌への影響
猿田
■アルドステロン分泌に関して検討されたアゼルニジピンの成績をご紹介いただけますか。
東條
■私たちはヒト副腎癌細胞由来のH295R細胞株を用い,A II刺激によるアルドステロン分泌に対するCa拮抗薬の影響を検討しました。
■その結果,アゼルニジピンは用量依存的にアルドステロン分泌を抑制しましたが,その作用は,既にアルドステロン分泌抑制作用が報告されているL型ならびにT型Caチャネル拮抗薬エホニジピンと同等で,L型Caチャネル拮抗薬ニフェジピンとの間には有意な差が認められました(図6)。
■さらに,アルドステロン合成酵素をコードする遺伝子CYP11β2 の発現に対するアゼルニジピンの影響についても検討しました。その結果,アゼルニジピンとエホニジピンは ニフェジピンに比べ,A II刺激によるCYP11β2 の発現増強を有意に抑制しました(図7)。
猿田
■アゼルニジピンのアルドステロン分泌抑制は,どのような機序によると推察されますか。
東條
■私たちは,酸化ストレスの関与に注目し,NADPHオキシダーゼ阻害薬であるアポシニンを用いた検討を行いました。
その結果,アゼルニジピンとアポシニンはCYP11β2 発現増強を有意に抑制し,アゼルニジピンはアポシニンに比べ有意に抑制しました。
さらにアゼルニジピンとアポシニンとの併用は,アゼルニジピン単独に比べ有意に抑制しました。
■これらのことから,酸化ストレスの抑制が少なくとも一部,アゼルニジピンのアルドステロン分泌抑制機序に関与していると推測されますが,その他の機序も存在します。
今後は各薬剤の特徴に応じたCa拮抗薬の使い分けが重要に
猿田
■アゼルニジピンは優れた降圧効果を示すとともに,交感神経系の亢進抑制,腎保護,アルドステロン分泌抑制などを併せ持つCa拮抗薬であることをお話しいただきました。
臓器保護の観点から,こうした特徴を有する薬剤は積極的に選択されるべきだと思います。
特に,交感神経系の亢進がベースにあるメタボリックシンドロームを呈する高血圧患者には有用と考えます。
伊藤
■メタボリックシンドロームを有する高血圧患者では,交感神経系の亢進と同時にRAA系の活性化が併存しています。
加えて,脂肪細胞由来の刺激因子がアルドステロン分泌を促進する可能性も示唆されています。
■こうした病態を考慮すれば,交感神経系とともにアルドステロン分泌にも抑制的に働くアゼルニジピンのような薬剤を選択していくことが重要だと思います。
猿田
■アゼルニジピンは腎保護も期待されることから,糖尿病合併高血圧患者に対する降圧薬としても適しています。
東條
■糖尿病合併高血圧患者では,もちろんRA系を抑制することが大切ですが,全身血圧が糸球体血圧に反映されるため,降圧効果が強いCa拮抗薬の役割が重要となります。
■また,糖尿病状態ではグリケーション反応やミトコンドリア内電子伝達系の亢進により,酸化ストレスが増加しています。そのため,Ca拮抗薬のなかでも酸化ストレスの抑制が期待できる薬剤が望ましいと考えます。
猿田
■最近,アルドステロンが関連する高血圧の頻度が,以前考えられていたより高いことが報告されています。
そうした症例では,アルドステロンをターゲットとした薬物療法が重要です。
伊藤
■高血圧患者のなかに,低レニンでアルドステロン濃度が比較的高いタイプが存在することが認識されるようになってきました。そういう方ではACE阻害薬やARB(AT1受容体拮抗薬)は効きにくく,アルドステロン自体を下げる薬剤が必要です。
私は,アゼルニジピンのようなアルドステロン分泌の抑制が期待されるCa拮抗薬に注目しています。
猿田
■Ca拮抗薬は長い歴史のなかで進化を遂げ,現在さまざまなタイプが市販されています。
今後は,それぞれの薬剤の特徴に応じた使い分けが重要になってくると思います。
出典 Medical Tribune 2009.2.26(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
トレンツ・リャド「ジヴェルニーの花」
http://www.imagine.co.jp/bestworks.asp?id=2888
<きょうの一曲>
一青窈 VS 平井堅 (Hitotoyo VS Hiraiken)
http://www.youtube.com/watch?v=bnTfx-hO70s&feature=related
<自遊時間 その1>
昨夜の「報道ステーション」に手術後の鳥越俊太郎がコメンテーターとして出ていました。
彼は入院中ずっと考えていた言葉があったということです。
それは "legitimacy" という言葉。
現在の某国の某首相は、民意で選ばれたという"legitimacy" がはたしてあるのかという発言でした。
legitimacy。
初めて耳にした言葉です。
legitimacy
http://www.wordreference.com/enja/legitimacy
統治における「であることlegitimacy」と「することvalidity」
http://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/2009/01/legitimacyvalid.html
<自遊時間 その2>
週間朝日2009.3.6に、短期集中連載「白州次郎」と免疫学者・多田富雄「昭和からの遺言」が掲載されています。
たまたま両方の記事に「プリンシプル」という言葉が出ていました。
前者では「自分の確固たる生き方の美学(プリンシプル)があるからこそ周囲の事情で考えがブレない」、後者では「石坂公成先生は、・・・リベラルアーツの理解があり、無欲恬淡で・・・常にプリンシプルに忠実で、しっかりした人間の形を持ち続ける、昭和の知識人の典型」といった使い回しがされています。
さて、多田富雄先生は自分が脳梗塞で倒れた経験も踏まえ、まさに白鳥の歌ともいうべき思いのたけを述べておられます。
以下、引用します。
市民は働いて適正な賃金を得る。
家業も、そんなものを守れば暮らしていける。
節約して暮らせば、普通に生きてゆけた。
時々は、家族でうなぎも食べられた。
実質経済が、庶民の生活を潤していたのです。
金融経済が実態経済を凌駕し、バーチャルな経済が広まったら、健康な中流が影が薄くなった。
貧困層ととてつもない富裕層の格差社会になってしまったのです。
それは、金銭だけの問題ではなくなり、心まで荒廃させてしまい、助け合いの精神などなくなった。
希望のない貧しい人と、経済至上主義者をつくり出しました。
昭和の世界では、両者とも「普通」じゃない、不健全な市民だったのです。
中流の条件は、平成になってからみんな崩壊しています。
まず「正業」としての職業としての職業が危うくなっています。
どの正業も破壊されてしまった。
農業も、酪農も、漁師も、町の商店も、みんな崩壊しているじゃないですか。
派遣社員とかフリーターなんて健康な正業とはいえない。政治が間違っているからです。
家族の形態も崩壊している。
3世代同居だったら、今の家庭問題の大半ほ起こらなかったでしょう。
介護も自宅でできる。
今の家族形態で育てられる子供たちは本当に心配です。
生きるための規範を学ぶ機会がない。
当たり前のことを知らずに育ったら、異常なことを平気でするでしょう。
まず、「普通」という規範がなくなった。
「当たり前」のことが通用しなくなった。
要するに小林秀雄の言った「常なるもの」を失ったのです。
<コメント>
この「常なるもの」が「プリンシプル」であるということが分かりました。
他に
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤 幸人先生のMTproでの記事で勉強しました。
心房細動患者に対するdronedaroneの効果
ATHENA試験結果より
兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤 幸人
背景:
安全性向上が期待されるアミオダロンの改良タイプ
■Dronedaroneは,クラスIIIに分類される塩酸アミオダロンの改良タイプとして位置づけられ,心房細動の発現率の低下などの効果と安全性の向上が期待されている。
■アミオダロンとは異なりヨウ素を含まず,ヨウ素に関連した有害事象が認められない。
■臨床試験ではdronedaroneは甲状腺,肺に対する毒性は示さず,心房細動と心室性不整脈の治療において有望なIII群抗不整脈薬である。
心房細動に対する洞調率維持の有効性についてはEURIDS※1とADONIS※2(N Engl J Med 2007; 357: 987-999)が報告されている。
しかし,心房細動患者に使用した場合の死亡,入院回避への効果は今まで検討されておらず,ATHENA試験が行われた(N Engl J Med 2009; 360: 668-678)。
研究の概要:
死亡+心血管イベントによる入院を有意に抑制
■対象は発作性または持続性の心房細動または心房粗動患者で(6か月以内に洞調律の記録がある),以下の少なくとも一つ以上の項目をみたす患者。70歳以上,高血圧合併,糖尿病合併,脳卒中の既往,一過性虚血発作の既往,塞栓症の既往,心エコーでの左房径50mm以上,左室駆出率(LVEF)40%以下。
■恒久的な心房細動,不安定な血行動態,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅳ度の重症心不全患者,外科手術の予定患者,心筋梗塞患者,心拍数50/分以下の徐脈,0.28秒以上の心電図PR間隔延長,洞結節異常の既往,ペースメーカー植え込み術の適応患者は除外した。
■患者はdronedarone400mg×2/日もしくはプラセボに割り付けられ,観察は1年以上行うようにした。
4,628例が2,301例のdronedaroneと2,327例のプラセボに割り付けられた。
平均年齢は71.6歳で,25%の患者はランダム化時に心房細動であった。
LVEFのデータは4,544例から得られ,LVEF 35%以下が179例(3.9%),45%以下が540例(11.9%)であった。
NYHAⅡ度の心不全は779例(17.1%),NYHA III度は200例(4.4%)であった。
平均観察期間は21か月,中央値は22か月であった。
■一次エンドポイント(死亡+心血管イベントによる入院)はdronedarone群31.9%,プラセボ群39.4%であり,dronedarone群で有意に低下していた。
■心血管死の抑制(主に不整脈死の抑制による)効果も有意であったが,一次エンドポイントの抑制はおもに入院抑制による結果であった(心房細動を抑制したことによる)。
総死亡については両群に差が認められなかった。
■副作用発現は徐脈,QT延長,下痢,吐き気,発疹,クレアチニン値上昇についてdronedarone群で有意に多く見られた。
甲状腺,肺に関する副作用は両群間に差が認められなかった。
考察:
心房細動患者の洞調律維持には安全に使用できるが,心不全合併患者では慎重投与が必要
■今回のATHENA試験では,dronedarone群では副作用は多いものの,総死亡に影響することなく,心房細動・粗動患者の心血管死と入院を有意に抑制した。
心臓死の抑制はおもに不整脈死の抑制であり,入院の抑制はおもに心房細動抑制によるものであった。
dronedaroneの心臓死と入院を抑制する効果は特筆すべき,すばらしい効果であると思う。
■しかし,LVEF 35%以下の心不全患者を対象とし,重症心不全患者の突然死予防を目的としたANDROMEDA試験では,dronedarone群で心不全が悪化し,かえって予後が悪化した(N Engl J Med 2008; 358: 2678-2687)。したがって,他の抗不整脈薬同様,心不全合併患者では慎重な投与量,適応の検討が必要である。
まとめ
■dronedaroneは「心房細動患者の洞調律維持」という目的には不整脈死も予防し,安全に使用できるが,「心不全患者の致死性不整脈予防」という目的にはかえって心不全による死亡が多くなる。
※1The European Trial in Atrial Fibrillation or Flutter Patients Receiving Dronedarone for the Maintenance of Sinus Rhythm
※2The American?Australian?African Trial with Dronedarone in Atrial Fibrillation or Flutter Patients for the Maintenance of Sinus Rhythm
出典 MT pro 2009.2.17
版権 メディカル・トリビューン社
<文中の引用サイト>
Dronedarone for maintenance of sinus rhythm in atrial fibrillation or flutter.
N Engl J Med 2007; 357: 987-999
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17804843
Effect of dronedarone on cardiovascular events in atrial fibrillation.
N Engl J Med 2009; 360: 668-678
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19213680
Increased mortality after dronedarone therapy for severe heart failure.
N Engl J Med 2008; 358: 2678-2687
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18565860
<dronedarone 関連サイト>
[PDF] Multaq ( dronedarone )の臨床試験 ATHENA スタディにおける重要な知見:心房細動の患者さんにおいて、本剤により心血管系イベントに基づく入院または死亡が24%減少することが確認される
http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/1E43E72F-9E0E-4281-A3F5-40D99274C5C5.pdf
[PDF] Dronedarone(Multaq ) に関する ATHENA スタディの結果が 世界心臓学会 で強調される
http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/CC23C119-267B-4695-B012-48FB8D7581A6.pdf
Dronedarone
http://en.wikipedia.org/wiki/Dronedarone
Multaq - Investigational Agent for the Treatment of Cardiac Arrhythmia
http://www.drugdevelopment-technology.com/projects/Dronedarone/
Dronedaroneは心房細動の患者を脳卒中から保護する
http://www.doljapan.com/special/esc/2008/html/12.html
■ATHENA:A Trial with dronedarone to prevent Hospitalization or dEath in patieNts with Atrial fibrillation/flutter(dronedaroneを用いて心房細動/粗動患者の入院または死亡を予防するスタディ)の新たな解析の結果、dronedaroneは抗血栓薬を含む標準治療で適切に治療されている心房細動または粗動患者において脳卒中のリスクを低下させることが示された、と2008年European Society of Cardiology学会で発表された。
■過去のスタディではdronedaroneを標準治療に追加することにより、プラセボを追加するのと比較し、複合一次エンドポイントである心血管疾患による入院またはあらゆる原因による死亡が統計学的に有意に24%減少したことが示された。
■今回のスタディでは、75歳以上の患者(心血管リスクファクターの有無にかかわらず)、または心房細動/粗動に加え心血管リスクファクター(高血圧、糖尿病、脳血管イベントの既往、左房サイズ>50mmまたは左室駆出率<40%)をひとつ以上有する70歳超の患者4,628人をdronedarone 400mgを1日2回またはプラセボ内服群に無作為に割り付けた。
■このnon-prespecified二次エンドポイントに関する脳卒中post-hoc解析の結果、dronedaroneは脳卒中(虚血性または出血)のリスクをプラセボと比較し34%低下させた。
この効果はスタディの早期に認められ、経過観察期間中維持された(12~30ヵ月)。
ATHENA:リスクある心房細動へのdronedaroneの効果
http://intmed.exblog.jp/7941340/
Dronedarone for Maintenance of Sinus Rhythm in Atrial Fibrillation or Flutter
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/357/10/987
NEJM
Volume 357:987-999 September 6, 2007 Number 10
[PDF] EURIDISおよびADONIS試験:心房粗細動の患者における Dronedaroneによる洞調律の維持
http://ww2.ttmed.com/cardiology/jp/esc2004/pdf/716.pdf
MultaqR(一般名:dronedarone):ERATO study:持続性心房細動の心拍コントロール
http://intmed.exblog.jp/7456979/
Trials of Sanofi-Aventis’ experimental heart drug, dronedarone, “promising”
http://topnews.us/content/23510-trials-sanofi-aventis-experimental-heart-drug-dronedarone-promising
New England Journal of Medicine Publishes Results From the Landmark ATHENA Trial With Multaq(R) (dronedarone) in Atrial Fibrillation
http://www.foxbusiness.com/story/markets/industries/health-care/new-england-journal-medicine-publishes-results-landmark-athena-trial-multaqr-1109740966/
ATHENA Clinical Results For Dronedarone (Multaq(R)) Highlighted At The World Cardiology Congress
http://www.medicalnewstoday.com/articles/108212.php

小磯良平 「踊り子」
http://www.art-information.ne.jp/youga/koiso/
<きょうの一曲>
雨(日本語)- La Pioggia ( japanese version )
http://www.youtube.com/watch?v=H3GfQuXgawA&feature=related
<きょうのブログ>
臨床ガイドラインは、エビデンスレベルの低い推奨が多くなってきている
http://intmed.exblog.jp/7997906/
近年,慢性腎臓病(CKD)の概念とともに,心-腎連関の重要性がクローズアップされています。
このこと自体はもう「耳たこ」の感さえあります。
CKDと高血圧は心-腎連関により,互いに発症・進展の悪循環を形成します。
この悪循環を断ち切るために有効なのが,レニン―アンジオテンシン(RA)系制薬です。
アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の降圧および腎保護作用のみならず心-腎同時保護薬としての心血管事故抑制作用が注目されています。
最近、このあたりがテーマの講演会があり、今回の演者の木村先生がフロアーからの質問に答えてみえました。
よくある質問で「ARBとACEIの使い分け」についてでしたが、答えは「副作用さえなければACEIで何ら問題ない」という、いわば至極ごもっともな返事でした。
ARBの"must"が今回の木村先生のランチョンセミナーで聞かれるかどうか。
第31回日本高血圧学会総会(2008.10.9~11、札幌)
ランチョンセミナー
心-腎連関とARB:今なぜ心-腎連関なのか?
座長
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学
槇野 博史 教授
演者
名古屋市立大学大学院医学研究科心臓・腎高血圧内科学
木村 玄次郎 教授
高血圧とCKDは,食塩感受性を介して発症・進展の悪循環を形成する
■腎臓が血圧を上げるメカニズムは大きく3つある。
1つは前糸球体(輸入細動脈)の血管抵抗の上昇,
2つ目は糸球体濾過能の低下,
3つ目は尿細管でのナトリウム(Na)イオン再吸収の亢進
である。
2つ目と3つ目は食塩摂取量に関連して生じる病態,すなわち食塩感受性であり,これらにより腎予備能が低下して高血圧が生じる。
■一方で,この食塩感受性高血圧は糸球体高血圧を発症させ,腎障害を進行させる。
つまりCKDと高血圧は,互いに発症・進展の悪循環を形成するのである。
■腎障害の進行により微量アルブミン尿あるいは蛋白尿を生じ,腎不全のみならず,心血管疾患(CVD;cardiovascular disease)の発症に至る。
■実際,木村氏らは追跡調査により,食塩感受性の本態性高血圧患者では非感受性患者の約3倍の心血管リスクを有することを報告している。
■しかし木村氏は,食塩感受性が特にリスクとなっているのは,CVDのなかでも循環器系の圧負荷に関与する脳卒中や心不全などであるとも言う。
■食塩感受性高血圧の代表的な疾患である原発性アルドステロン症患者に関する木村氏らの追跡調査では,先の食塩感受性患者と同等の脳卒中リスクを有することが示されている。
■また,わが国の大規模コホート研究である筑波研究でも,10年間の追跡によりCKD群でのCVDリスクの上昇は男女とも,おもに脳卒中リスクの上昇によるものであることが分かっている。
■さらに,食塩感受性高血圧では夜間の血圧低下を示さないnon-dipper型の日内変動を呈することから,non-dipper型とdipper型の患者での心血管リスクを比較してみると,前者で心不全リスクが高いこと,non-dipper型では1型糖尿病における腎症リスクがdipper型に比して高いことなども報告されている。
心-腎連関は食塩感受性とほぼ同一の病態である
■つまり,心-腎連関の病態生理は,「食塩感受性により食塩が循環器系に貯留し,その結果,食塩感受性に圧負荷が加わって食塩感受性高血圧が発症する。
これが刺激となり,組織の酸化ストレス上昇による一酸化窒素(NO;nitric oxide)と酸化ストレスのバランス異常,組織のRAA系の亢進,交感神経系の活性化,慢性炎症などが引き起こされ,最終的にCVD,腎不全,心不全に至る」ことになる。
■一方,non-dipper型の高血圧は,「Na排泄能低下により食塩感受性高血圧となってNaが貯留するため,夜中も血圧を高く保って圧利尿によりNaを排泄せざるを得ない病態」と解釈される。
■木村氏は,「一部の疾患を除き,non-dipper型の日内変動を呈する病態は,すべて食塩感受性高血圧(腎のNa排泄能低下)に由来する」との仮説を提唱し,心-腎連関は食塩感受性とほぼ同一の病態と捉えられると述べた。
この仮説に基づけば,積極的なRA系抑制がCKD患者において心および腎を保護し,心血管リスクを抑制することが理解できるという。
蓄積されたRA系抑制薬の腎保護エビデンス
■「心-腎連関」が注目されるようになったのは,2001年のHOPEサブ解析による,軽度の腎機能低下が心血管リスク上昇につながるという報告がはじまりだった。
■同試験では,同時にRA系抑制薬が腎機能低下患者の心血管リスク抑制に有用であることが明らかにされ,以降,「腎不全のみならず,CVDも抑制して生命予後を改善するために,積極的なRA系抑制が必要である」との認識が広がっていった。
■LIFEサブ解析では,左室肥大を伴う高血圧ではARBにより微量アルブミン尿が減少した群でCVDがより抑制されること,RENAALからは2型糖尿病性腎症に対する6か月間のARB投与で,アルブミン尿が低値に改善した患者ほど腎不全・CVDのリスクが抑制されることなどが示されている。
■またIDNTサブ解析では,開始1年後に尿蛋白量が50%未満に減少した群では,腎不全リスクが半分以下に低下することが示されている(図1)。
■さらに,RA系抑制薬の腎保護作用に関しても,多くの大規模臨床試験によりエビデンスが蓄積されており,腎障害の早期から末期までのいずれの段階においても,RA系抑制薬が次段階への進行を抑制することがRENAALやIDNT,IRMA2などから明らかにされている(図2)。
■ARBの腎保護作用は用量依存的であり,降圧に依存しない(beyond blood pressure lowering)ものであるということも,IRMA2などから明らかになった。
特に,IRMA2のARB高用量群では投与中止後もアルブミン尿抑制作用が維持されることが報告されていることから,十分量のARBを用いることが腎保護のためには重要である。
■なお,ARBは用量を上げても降圧作用の増強に比べて有害事象の増加が緩やかであるという報告があり,その点からも十分量の使用が推奨される。
RA系抑制の徹底で腎症は回復可能
■糸球体血圧は,全身血圧ならびに輸入細動脈と輸出細動脈の抵抗比(RA/RE)で規定される。
つまり,腎機能が正常で食塩非感受性の病態であれば,全身血圧が上昇しても,輸入細動脈の抵抗が上昇してRA/REが上がるため糸球体内への血液流入は抑えられ,糸球体血圧は一定に制御される。
■しかし,腎炎や糖尿病性腎症などの食塩感受性の病態ではこの制御機構が機能せず,全身の血圧上昇に応じて糸球体血圧も上昇してしまう。このことが,腎炎や糖尿病性腎症が末期腎不全の原疾患となる理由である(木村教授)。
■RA系抑制薬は,輸出細動脈の抵抗を下げてRA/REを上昇させるため,全身性の降圧とは別に糸球体高血圧を是正することで腎保護作用を発揮すると考えられている。
■2006年にFiorettoらは,「膵臓移植を受けた1型糖尿病患者の糖尿病性腎症が,術後10年を経て正常化した」という腎臓病学におけるエポックメイキングな報告を行った。
すなわち,それまで不可逆的に進行すると考えられていた慢性腎不全が,10年という長期間を経れば回復可能なことが,初めて確認されたのである。
■これを踏まえて行われたSteno-2研究では,2型糖尿病患者に対する多種強化療法により,早期腎症から顕性腎症への進行,網膜症,自律神経障害の発症という細小血管障害がいずれも約60%抑制できることが示された。
■さらに,7.8年間に患者の30%で微量アルブミン尿が消失したが,その有意な予測因子が「RA系抑制薬の開始」であったことも確認された(図3)。
■現在では,アルブミン尿が少ない段階でRA系抑制を徹底すれば腎症の消失が得られるということが,世界的コンセンサスとなりつつある。
■現に,糖尿病性腎症の管理が進んでいるデンマークや米国では,近年,糖尿病性腎症に基づいた末期腎不全の年間発症率が減少傾向にあると言う。
しかし,日本ではいまだに糖尿病性腎症に基づく末期腎不全が増加し続けている状況にある。
■木村氏らの研究では,日本国内でのその発症率には地域差が見られ,RA系抑制薬の使用量が少ない地域で発症率の高いことが指摘されており,RA系抑制薬が腎不全の発症を抑制していることがうかがえる。
CKDは二次予防から一次予防へ
■今や「CKD対策は二次予防から一次予防にシフトする必要がある」とする木村氏は, CKDをステージA~Dの4段階に分ける新しい病期分類を提唱した(図4)。
■「腎症はあるが腎機能は正常なステージBの段階で,原疾患の診断・治療を徹底すれば,糖尿病性腎症の消失は不可能ではない」と指摘したうえで,早期治療と心血管リスク軽減によるCVD抑制の重要性,さらに腎症のないステージAでの腎症スクリーニングとリスク管理の重要性を強調した。
■木村氏の所属する名古屋市立大学では,現在「レミッション・クリニック(Remission Clinic)」と名付けた腎臓専門外来を設置し,腎不全の寛解を目指した診療に力を注いでいるという。
■最後に木村氏は,近年,脳卒中や冠動脈疾患が減少に転じるなか,日本の末期腎不全発症数は過去15年間で3倍にも増加していること,特に糖尿病性腎症の増加が著しいことを指摘し,この現状を直視して何らかの取り組みを開始する必要性を訴えた。
「もはや腎症は不可逆性の進展過程をたどる疾患ではなく,治療可能な疾患であることを広く理解していただきたい」と述べ,CKDへの理解と早期発見・予防の重要性を世界的に啓発するために,毎年,3月第2木曜が「世界腎臓デー」に制定されたことを紹介した。
出典 Medical Tribune 2009.2.19
版権 メディカル・トリビューン社

熊谷守一 肥後椿 4号
http://www.art-information.ne.jp/youga/kumagai/
<きょうの一曲>
60分でマイルスデイビスしったかになる方法
http://video.google.co.jp/videoplay?docid=-5643623681184321405&ei=6sSjSefVJIqSwgPs6rDCDw&q=シナトラ&hl=ja
他に
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤 幸人先生のMTproでの記事で勉強しました。
3枝病変,もしくは左主幹部病変に対する治療はPCIかCABGか? SYNTAX試験より
背景:CABGとPCI,それぞれの進歩
■冠動脈バイパス術(CABG)は1968年に導入され,人工心肺不使用,小切開,心筋保護の改善,動脈グラフトを使用するなどしてグラフト閉塞,死亡率を改善させてきた。
一方,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は1977年に導入され,通過性のよいデバイスの改良,薬剤溶出性ステント(DES)の登場により複雑病変の治療が可能になってきた。
■現在まで多枝病変におけるベアメタルステントとCABGの比較検討がなされてきたが,ベアメタルステントでは再狭窄のため再インターベンション率が著しく高率であることが指摘されていた。
一方,近年臨床応用されているDESは,ベアメタルステントと比較すると再狭窄率が低い。
■今回結果が公表されたSYNTAX試験(N Engl J Med 2月18日オンライン版)では,3枝病変または左冠動脈主幹部病変(LMT)を有する重症冠動脈病変患者について,PCIとCABGが比較された。
PCI群ではDESのTaxusステント(パクリタキセル溶出ステント)が留置された。
研究の概要:再インターベンションはPCIで,脳卒中はCABGで高率
■2005年3月~2007年4月に欧米17か国で4,337例の3枝病変,もしくはLMT患者が登録され,3,075例が試験に組み込まれた。
■SYNTAX試験はランダム化試験とレジストリーに分かれており,症例について循環器内科医と心臓外科医のチームが治療方針についての検討を行い,
(1)CABGでもPCIでもどちらでも血行再建できると評価した場合はランダム化試験に(1,800例),
(2)CABG(1,077例)あるいはPCI(198例)のどちらか一方が適切であると評価した場合はレジストリーに
―割り付けられた。
今回はCABGでもPCIでもどちらでも血行再建できると判断された1,800例についての検討であり,897例はCABG群に903例はPCI群に割り付けられた。
■LMTはCABG群で38.8%であり,PCI群では39.5%であった。CABG群では平均4.4病変,PCI群では平均4.3病変が治療された。
23%が完全閉塞病変であり,72%が分岐部病変であった。25%の患者で糖尿病の合併が認められた。
■完全血行再建率はCABG群のほうがPCI群よりも有意に高かった。
退院時処方ではPCI群で抗血小板薬の使用が有意に多かった。
CABG群では15.0%が人工心肺不使用であり,97.3%に動脈グラフトが使用された。
PCI群では14.1%がPCIを2期的に行う必要があり,63.1%が分岐部病変であった。
■観察12か月後において,総死亡(図,左上),総死亡+脳卒中+心筋梗塞(図,右上)については両群間に差が認められなかった。
しかし,主要心脳血管イベントの発生(図,右下)はPCI群で有意に高率であった。
その理由はおもに,再インターベンションの施行率がPCI群で有意に高かったことによる(図,左下)。
■一方,脳卒中にだけ注目すると,CABG群で発症率が有意に高かった。
症状を伴ったCABG群のグラフト閉塞率(3.4%)とPCI群のステント血栓症(3.3%)の発生率は同等であった。
■病変部の複雑さを示すSYNTAXスコア別に解析した結果では,CABG群では病変部が複雑になりSYNTAXスコアが上昇しても主要心脳血管イベント発生率は変化がなかったが,PCI群では病変が複雑になるにつれ主要心脳血管イベント発生率が上昇し,CABG群との間に有意差が認められるようになった。
■LMT病変の患者だけで検討すると,12か月後の主要心脳血管イベント発生率はCABG群13.7%,PCI群15.8%と両群間で同等であった。
PCI群では再インターベンション施行率が有意に高かったが,これはCABG群で脳卒中発症率が有意に高かったことで,危険度が相殺されたことによる。
佐藤幸人先生の考察:複雑病変ならCABG,LMTだけならPCIに軍配
■SNTAX試験では3枝病変患者またはLMT患者についてPCI群とCABG治療が比較検討された。
12か月後,総死亡については両群で同等であったが,CABG群で脳卒中発生が多く,PCI群で再インターベンション施行率が高かった。
■これらを総合して見ると,主要心脳血管イベントの発生はCABG群のほうが有意に良好であった。
この傾向は病変が複雑になるほど強く,複雑病変ではCABGが適している可能性が高い。
■しかし,LMTのみに限ると主要心脳血管イベント率に差が認められておらず,LMTのみの患者ではPCIが簡便ですぐれている可能性が高い。
またQOLの観点からは脳卒中の発症は重要であり,さまざまな試験においてCABG群で常に有意に発症頻度が高いことは考慮されるべきである(2%以上)。
そういう意味では今回もCABG群,PCI群ともに一長一短という結果とも取れる。
出典 MTpro 2009.2.23
版権 メディカル・トリビューン社
<SYNTAX試験 関連サイト>
DES時代のなかで見直されるCABG
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=SYNTAX%E8%A9%A6%E9%A8%93&perpage=0&order=0&page=0&id=M41410331&year=2008&type=allround
出典 MTpro 2008.10.9
版権 メディカル・トリビューン社
■SYNTAX試験は,世界的に有名な心臓病学者であるPatrick W. Serruys先生が中心になって欧米の有名な80施設以上の心臓病センターが参加して行われた世界初のDES vs CABGのランダム化比較試験(RCT)です。
■対象となった冠動脈疾患患者は,左主幹部病変(LMT)か3枝病変という重症の患者で,PCIでもCABGでも治療可能なものとされており,その意味からもLMT病変の患者に行われているPCIの正当性を論じられるかどうかまでかかっていました。
■内容は,そのいずれかの治療を実施した後,12か月間の主要評価項目(総死亡,脳血管事故の発生,心筋梗塞の発生,再血管血行再建の発生率)を比較するもので,実際は以下のような結果でした。
(1)総死亡の発生率にPCIとCABGの両群に差はなかった
(2)脳血管事故の発生はCABG群のほうが有意に多かった
(3)心筋梗塞の発生はPCIとCABG両群に差はなかった
(4)再血管血行再建の発生はPCI群のほうが有意に多かった
■よって,すべてを合わせた主要心血管・脳血管イベント(MACCE)の発生率は,PCI群が17.8%,CABG群12.1%で,PCI群の再血行再建率が高かったことから,有意差が認められました。
■ここで興味深かったのは,病変がLMT単独,もしくはLMT+1枝病変であれば,PCIの成績はCABGのそれに劣るものではなかったり,また糖尿病を持っているかどうかで分けて見てみると,糖尿病のない患者では同じようにPCIの成績がCABGに劣っていなかったことなど,病変,患者の持つバックグラウンドなどを考慮すれば,PCIは許容される部分があることが示唆されたことでした。
■最終的にはPCIのCABGに対する非劣性は認められず,DES時代の現在でもLMT,多枝疾患の冠動脈疾患患者のスタンダードな治療としてはCABGに優位性があることが証明される結果となっていました。
第30回欧州心臓病学会
SYNTAX試験 ~ 高リスク冠動脈病変でCABGに対するDESの優位性は証明されず
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=SYNTAX%E8%A9%A6%E9%A8%93&perpage=0&order=0&page=0&id=M41410321&year=2008&type=allround
出典 MTpro 2008.10.9
版権 メディカル・トリビューン社
冠動脈疾患ハイリスク症例の治療選択の現状
理想的な内科・外科連携を探る
出典 MTpro 2008.7.24,31
版権 メディカル・トリビューン社
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=SYNTAX%E8%A9%A6%E9%A8%93&perpage=0&order=0&page=0&id=M41300801&year=2008&type=allround
■日本循環器学会の「冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン」のなかで原則禁忌とされているハイリスク症例に対してPCIが行われているのが,わが国の臨床の現状である。
デバイスや技術の進歩が速いPCIの分野ではエビデンスが実情に追い付かないという側面があるのは事実だが,真に患者の立場に立ったときの適正な治療選択を模索することは常に考慮すべき視点であろう。
■PCIは狭窄部位,閉塞部位に直接挑む治療であるのに対して,CABGは病巣部に手を付けず別の血流路を創るという全く別の治療法である。
■DES以前はLMT病変や複雑3枝病変などはCABGの適応とされてきたが,内膜増殖を抑制することで再狭窄率を低減させるデバイスの登場により,こうしたハイリスク症例にまでPCIの適応が拡大している過程にある。
■EBM時代と言われるなかで,現在のところ,CABGとDESを完全に無作為で比較した試験は存在しないが,PCI優位の情勢のなかで外科に有利となる韓国発の論文が掲載された(N Engl J Med 2008; 358: 1781-1792)。
論文の要旨は,propensity scoreマッチング※によりLMT病変に対するCABG(1,102例)とPCI(1,138例)を比較すると,死亡率・心筋梗塞発生率に差はないが,再治療率はDESを使用したPCIでもCABGが勝ることを認めたものだ(図1)。
※propensity score マッチング:母集団のうち,交絡因子以外で背景因子が揃った群で比較すること。観察研究において,ランダム化比較試験に近い状態での比較が可能。
同報告については、ランダム化がなされていない観察試験のため,この結果でLMTにはCABGが優位との結論は下せないとする意見もある。
■既存の大部分のRCTは,LMTおよび同近位部が対象から除外されているため,ハイリスク症例の治療法選択の参考にはならない(表)。
■ある外科医の話。
「内科医の講演を聴いたところ,LMT病変の患者に数%の頻度で突然死の報告が見られた。バイパス術での突然死はありえず,外科医にとってはモータリティという単語が出るレベルの話ではない」。
「施設の外科医が力量不足で,成績が悪いからPCIを行わざるをえないという論法が多かった。内科医が指摘するほどひどい状況なのかという疑問を感じるが,もしそうだとしても信頼できる外科医に紹介すべきではないか。外科側としても年間50例以上といった基準の施設集約や技術のボトムアップに努力する必要はあるかもしれない」。
■現段階でPCI側が追い風としているのが多枝病変を対象としたオープンラベル試験のARTS IIである。
このARTS IIはもともとはベアメタルステント(BMS)とCABGのRCTであるARTS I と似通った症例にDESを施行した群との比較のため,症例背景も違い単純比較はできないが,3年目まですべての項目で差がなく,一般的には,PCI がバイパスに追い付いたことを示す成績と解釈されている。
■シロリムス溶出ステントを用いたSIRIUS試験の成績をもとに,糖尿病合併例ではPCIが適さないとされているが,既に理論的にその知見を否定することが可能だという。
SIRIUS試験は18mmのステントしかなかった当時の研究だが,種々の長さのステントを選択できるようになって以降はPCIの劣勢を指摘するデータはあまり見られない。
要はステントがしっかりと動脈硬化巣をカバーできているかが重要であり,血管超音波ガイド下のDES留置がびまん性を除いた糖尿病症例に有用である。
■ハイリスクの代表として透析患者が挙げられるが,透析に関しては,わが国のJapan PMSやJ-CypherからDESの成績が良好でないことは明らかである。
このため,現時点ではCABGで治療されるべきと言えるが,透析患者に対するCABGは感染症や脳卒中の頻度が高いのも事実で,透析に関しては現状では内科・外科ともによい答を出せない状況と捉えるべきである。
■治療法としてダブルオプションを有する冠動脈疾患は特殊な診療領域と言える。
CABG,PCIともに術者個人の技術が立脚する治療法だけに適応が異なるのは必然的な現象であり,この点が説得力のあるRCTが成立しない理由の1つとも指摘できる。
■重要なことは,どちらの治療法が個々の患者にとってメリットがあるかに尽きる。自分たちのフィールド(外科または内科)に引きずり込もうという診療姿勢であってはならない。
外科側意見
LMTでも主幹部の90%狭窄であればPCIがよいかもしれない。
内科側意見
全身状態が良好なLMTに対してステントを2つ使用するような場合や,慢性完全閉塞を複数認める症例は外科に預けるべきだろう。
■内科は外科,外科は内科が何をできるかを知ることが肝要となる。
さらには内科と外科の風通しのよさが個々の患者にとって最善の治療法の選択につながる。
<番外編>
アムロジン・ノルバスクの高血圧における用法・用量が一部変更
高血圧症
通常、成人にはアムロジピン・ノルバスクとして 2.5 ~ 5mg を 1 日 1 回経口投与する。
なお、症状に応じ適宜増減するが、効果不十分な場合には 1日1 回 10mgまで増量することができる。
http://ds-pharma.jp/medical/product/dbps_data/_material_/product/Infometion/tenpubunnsyo/2009/amlodin_tabodt_kaitei_0902.pdf
<自遊時間>
「血管」拡張剤を「欠陥」拡張剤としたサイトがありました。
故意か間違いかわかりません。
欠陥拡張剤ノルバスクの副作用は?
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa76826.html
<きょうの一曲>
小田和正 −たしかなこと −
http://www.youtube.com/watch?v=I-yHDph56Rk&hl=ja
オフコース小田 小田和正 ものまね
http://www.youtube.com/watch?v=caZaGikdGAQ&feature=related
他に
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き)
があります。
心房細動(AF)のうち,発作性AFは肺静脈をターゲットとしたカテーテルアブレーションにより,多くの例で根治が得られるようになりました。
一方、持続性AFや慢性AFは肺静脈隔離だけでは効果が不十分なことから,AFの開始機序から持続機序に関して再び関心が高まっています。
きょうは、第25回日本心電学会(会長=新潟大学大学院器官制御医学講座循環器学分野・相澤義房教授 新潟市)のシンポジウム「心房細動の病態と治療の進歩」(座長=弘前大学大学院循環呼吸腎臓内科学講座・奥村謙教授,国際医療福祉大学大学院・熊谷浩一郎教授)の記事で,AFの病態と治療法に関する最新知見を勉強しました。
発症・維持に冠静脈洞も関与
AFにおける冠静脈洞(CS)の役割は,これまで十分に解明されていなかったが,岡山大学大学院循環器内科の森田宏氏はイヌ心房組織動脈灌流標本における検討から,CSはAFの持続中にリエントリー回路として関与している可能性が考えられたと報告した。
冠静脈洞の隔離によりAF発症を抑制
■胸郭内静脈系,特に肺静脈はAFのトリガーや基質となることから,カテーテルアブレーションによる隔離がAFの治療に有用である。
一方,CSに対するアブレーションでAF発症が予防されたとする少数の報告はあるものの,AFの維持,誘発に関するCSの関与はいまだ不明である。
■そこで,森田氏らは光マッピングシステムを用いて,動脈灌流を行ったイヌ心房筋組織(CS含む)の多点活動電位を記録し,CS筋層の電気生理学的性質やAFの発症・維持に関する役割を検討した。
■16組織においてCSの電気生理学的性質を検討したところ,CS筋層は心房組織と電気的に2か所(25%)ないし3か所(75%)で結合していた。
また,CS筋層とその心房結合部では左房心筋よりも遅い伝導速度を示した。高頻度ペーシングにより16例中14組織(88%)で一過性AFが誘発され(持続時間0.52~113秒),心房~CS間のリエントリーが認められた。CS~心房結合部の伝導遅延はAFを引き起こすリエントリー回路形成に関与していた。
■次に,アセチルコリンを投与したところ,心房およびCSの活動電位長は短縮し,高頻度ペーシングにより全例で持続性AFが発症した。
一過性AFに比べてアセチルコリン投与による持続性AFでは,心房?CS間のリエントリー回路としてCS入口部(CSos)~CS近位部(CSp)の連結が関与するもの,およびCSp(またはCSos)~CS遠位部の連結が関与するものが認められたが,さらにマーシャル静脈周辺およびCS内に新たなリエントリー回路が認められた。
このことから,CS筋層および心房との接合部はアセチルコリン投与による持続性AFの発症・維持に関与していると考えられた。
■さらに,カテーテルアブレーションによりCSを隔離したところ,AF誘発は困難となり,誘発されても持続時間が著明に短縮した。
しかし,CS隔離後もマーシャル静脈や肺静脈,心房中隔が関与した非持続性リエントリーが認められた。
進展に伴い炎症性マーカーが上昇
■AF患者では血中C反応性蛋白など炎症性マーカーが上昇しており,電気的除細動後の再発率などとの関連が報告されている。
心臓血管研究所(東京都)第三研究本部の山下武志部長は,炎症性マーカーの上昇は心房における炎症を反映するものであり,AFの進展に伴って心房筋への免疫細胞の浸潤が生じ,そのプロセスは動脈硬化に似ていると発表した。
心房内皮機能障害による白血球浸潤で局所炎症が惹起
■炎症性マーカーの変動は,全身に存在する臓器のいずれの炎症でも生じることから,山下部長らは開心術で得られた左心耳標本(発作性AF5例,慢性AF 11例)を用いて,AFを呈する心房筋における炎症の有無を免疫組織学的に検討した。
■全例の心内膜にUCHL1陽性白血球の浸潤が認められ,特に慢性AFでは浸潤が著明であった。
また,そのほとんどをCD68陽性のマクロファージが占めていた。これを心内膜側と心筋側に分けて比較すると,心内膜側でUCHL1陽性白血球およびHLA-DRβ陽性の活性型マクロファージが多く,成熟マクロファージのマーカーであるスカベンジャー受容体(MSR)の発現は心筋側に多く発現していた(図)。
■これらのことから,心内膜に単球が接着し,組織内に浸潤してマクロファージへと成熟していくと考えられた。また,発作性AFに比べて慢性AFではマクロファージの浸潤が著明でT細胞の浸潤も認められた。
■動脈硬化では白血球の浸潤は血管内皮機能の障害が関与しているが,AFにおいても白血球の浸潤に比例して内皮機能障害を示唆する接着分子(ICAM-1,VCAM-1,MCP-1)の発現が心房内膜に認められた。
特に,MCP-1の発現量は持続性AFで有意に亢進しており,心房内皮機能障害が発作性から慢性に移行するに伴って,血中の単球が心房筋内により浸潤することが示唆された。
■さらに,浸潤したマクロファージに一致して,炎症性病変を惹起させるインターロイキン(IL)-1,IL-10,トランスフォーミング成長因子(TGF)-βなどの炎症性サイトカインの発現が認められ,その発現量は持続性AFで亢進していた。
■AFの進展に伴って,心内膜側から免疫細胞が浸潤し,心房筋に炎症が生じる。
それは動脈硬化におけるメカニズムと似ている。ただし,免疫細胞が心房筋でどのような働きをしているかは不明である(山下部長)。
ACE阻害薬とスタチン併用療法は発作性AFの再発・慢性化予防に有用
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)がAFの再発予防や慢性化阻止効果を有すること,スタチンもAFの再発予防に有用なことが報告されており,発作性または持続性AFに対するアップストリーム療法として注目されている。
岩手医科大学内科学講座循環器・腎・内分泌内科分野の小松隆准教授は,発作性AF患者を対象としたACE阻害薬とスタチンの併用による長期予防効果の検討から,併用療法で発作性AFの慢性化だけでなく再発も予防しうることが示されたと報告した。
120か月にわたり長期予防効果
■これまでACE阻害薬やARBとスタチンの併用によるAFの長期予防効果を検討した報告はほとんどないことから,小松准教授らは発作性AFにおける両薬併用療法の長期予防効果を再発回数および慢性化回避率から検討した。
なお,AFが6か月以上持続し洞調律維持が確認されない場合をAFの慢性化と定義した。
■対象は発作性AF 319例で,薬物的あるいは電気的除細動により洞調律に復帰後,191例にはACE阻害薬およびスタチンのいずれも投与せず(A群),一方,81例(B群)にはACE阻害薬のエナラプリル単独投与を,また29例(C群)にはスタチンであるプラバスタチン単独投与を,18例(D群)にはエナラプリルとプラバスタチンを併用し,平均50.4±34.1か月観察した。
■患者背景は平均年齢でB群(70.4±8.1歳)と,A群(65.0±13.1歳)およびC群(66.8±9.8歳)との間に有意差が認められ,また高血圧患者の割合はB群(74.1%),D群(61.1%)と,A群(32.5%)およびC群(24.1%)との間に有意差が認められた。
■脂質異常症患者の割合は,C群およびD群では全例,A群およびB群ではなし。
左室拡張末期径はB群(48.1±5.3 mm)は,A群(45.0±5.7mm)およびC群(45.7±5.7mm)に比べて高値であった。左室駆出率はB群(65.1±12.2%)は,A群(69.8±10.2%)およびC群(70.6±9.4%)に比べて低値であった。
■観察検討の結果,D群のAF再発回数は0.6±0.9回で,A群(1.6±2.0回),B群(2.4±1.9回),C群(1.4±1.8回)のいずれと比べても有意な再発予防効果が認められた。
■観察期間120か月時点における各群のAF慢性化回避率は,A群73%,B群75%,C群86%,D群94%で,D群がA群に比べ慢性化回避率が有意に高率であった。
以上から,同准教授は「発作性AFにおけるACE阻害薬およびスタチンの両薬併用療法は,抗不整脈療法のアップストリーム療法として有用であり,発作性AFにおける慢性化および再発も予防できる可能性が示された」と結論付けた。
イソプロテレノール投与によるAF停止
アブレーションのエンドポイントになる可能性も
■AFは,加齢や高血圧などに伴うAF基質の増大とともに発症・持続しやすくなる。アブレーションに際し,持続性AFを誘発するためにイソプロテレノール(ISP)が用いられるが,若年者では検査目的などで誘発されたAFがISP投与により停止することもある。
埼玉医科大学国際医療センター心臓内科の原幹氏,松本万夫教授らは,「誘発されたAFがISP投与で停止するかどうかによりAF基質の程度が推定される可能性がある。ISPによるAF停止はアブレーションのエンドポイントとなる可能性もある」と報告した。
アブレーション施行後,ISP投与でAF停止率が有意に向上
■アブレーションを施行したAF 73例(AF群)と,AF以外の不整脈に対する心臓電気生理検査中に持続性AF(5分以上)が誘発された32例(非AF群)それぞれにISPを投与し,AF停止効果を検討した。
■その結果,ISP投与によりAFが停止(洞調律または粗動化)したのは,非AF群では32例中15例(47%)で,非心房粗動は45歳以下では91%(11例中10例)と高率に停止したが,心房粗動患者ではAFの停止率は8%(12例中1例)と低率であった。
■一方,AF群におけるISP投与によるAF停止率は,アブレーション施行前の5%(58例中3例)に対し,施行後は56%(36例中20例)と有意に増加した(図)。
■アブレーション施行後,ISP投与によりAFが停止した患者について,AFの持続時間別に見ると,発作性AF(1週間以内に自然停止)では73%(15例中11例)と高率であったが,持続性(1週間以上持続,薬剤または電気的除細動で停止)は53%(17例中9例),慢性(1年以上持続)では9%にすぎなかった。
■なお,ISP投与によるAF停止率の差は,AFの発症・維持のメカニズムの相違が関与していると考えられる。
すなわち,若年者などでは複数の不安定なリエントリー回路がAF持続に関与すると考えられるのに対して,加齢や高血圧などにより心筋の線維化などのAF基質が形成されると,少数の安定したリエントリー回路がAFを維持するため,ISPを投与してもAFが停止せずに持続するのではないかと推測される。
■これに関連し,ISP非投与下でアブレーションを施行した場合,AF停止率は発作性で53%(32例中17例),持続性15%(20例中3例),慢性8%(12例中1例)であったのに対し,ISP投与下で施行すると,AF停止率は発作性で100%(5例中全例),持続性67%(6例中4例),慢性0%(2例中なし)との結果も得られた。
高周波ホットバルーンカテーテルによる全肺静脈を含む左房後壁隔離術
90%が無投薬下でAFが消失
■AFの多くは発症源が静脈洞から派生する肺静脈を含む左房後壁にある。葉山ハートセンター(神奈川県)不整脈センターの曽原寛部長は,AF患者96例に高周波ホットバルーンカテーテルによるPV-PLA領域の隔離(Balloon based BOX isolation)を施行した結果,術後平均11か月時点で約9割が無投薬下でAFが消失したと報告した。
左房・食道瘻など重篤な合併症を認めず
■連続96例のAF患者において,高周波ホットバルーンカテーテルを用いてPV-PLA領域を隔離するBOX isolationを施行し,その有効性および安全性を検討した。
なお術式は,各PV前庭部にバルーンを楔入して全PVの隔離を行い,バルーンをドラッグしながら天蓋部の上肺静脈間とPLA下部の下肺静脈間に連続性ブロックラインを形成するというものであった。
■その結果,96例全例でPV-PLA領域の隔離に成功した(図)。
■アブレーションに要した総透視時間は平均32±9分,総施術時間は平均133±31分であった。
なお,左上肺静脈前庭部初回通電中に一過性の洞停止や洞性徐脈,房室ブロックが出現したケースもあったが,心室ペーシングにより対応した。
また,左肺静脈通電中に食道温度の緩徐な上昇が認められたが,41℃以上に上昇した場合にはバルーンの設定温度の下方修正と食道への冷却水注入により対処した。
■アブレーション1セット終了後平均11±4か月の成績は,発作性AFでは63例中59例(93.8%)が無投薬下でAFが消失し,残り4例中3例も投薬下で洞調律が維持され,1例は心房頻拍で再アブレーション(CARTO roof gap)にて根治した。
■一方,持続性AFの33例では,28例(84.8%)が無投薬下でAFが消失し,4例は投薬下で洞調律を維持,1例は心房頻拍で再アブレーション(CARTO LSPV RIDGE)にて根治した。
■脳梗塞,症候性肺静脈狭窄,左房・食道瘻などの重篤な合併症は認められなかった。
1例で右上肺静脈前庭アブレーション中に一過性の横隔膜麻痺が出現したが,通電中止により回復した。
■以上の成績から,同部長は「高周波ホットバルーンカテーテルによる肺静脈~左房後壁領域の隔離,いわゆるBalloon based BOX isolationは発作性および持続性AFの治療に有用で安全である」と結論付けた。
出典 Medical Tribune2009.2.12
版権 メディカル・トリビューン社
<自遊時間>
臨床研修制度の見直し,新風吹き込むか
魅力あるプログラム作成で研修医獲得を
同検討会では,地域医療に携わる医学部関係者を中心に,卒後2年間の初期臨床研修中に多くの診療科で研修を行うローテーション,あるいは研修医療施設を決めるマッチングシステムなどが招いた問題点が挙げられ,これらの今後のあり方について検討を行ってきた。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0902/090213.html
これが「地域医療に携わる医学部関係者」のお歴々です。
検討会出席者(2009年2月18日の検討会座席表より)
舛添要一厚生労働大臣
塩谷立文部科学大臣
座長・高久史麿氏(自治医科大学学長)
座長代理・小川秀興氏(学校法人順天堂理事長)
飯沼雅朗氏(蒲郡深志病院長)
大熊由紀子氏(国際医療福祉大学大学院教授)
小川彰氏(岩手医科大学学長)
嘉山孝正氏(山形大学医学部長)
齋藤英彦氏(名古屋セントラル病院長)
辻本好子氏(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)
永井雅巳氏(徳島県立中央病院長)
西澤寛俊氏(特別医療法人恵和会西岡病院理事長)
能勢隆之氏(鳥取大学学長)
福井次矢氏(聖路加国際病院長)
武藤徹一郎氏(癌研有明病院名誉院長)
矢崎義雄氏(独立行政法人国立病院機構理事長)
吉村博邦氏(社団法人地域医療振興協会顧問)
<参考ブログ>
かえる切り抜き帖 2008.5.18
http://wellfrog.exblog.jp/tags/医師不足/
他に
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き)
があります。
尿酸およびインスリンの高値と高血圧発症との間に強い相関が認められると,米ハーバード大学などのグループがArchives of Internal Medicineの2009年1月26日号に発表した。
■同グループは,高血圧のない32?52歳の女性1,496例を追跡し,空腹時の血中尿酸値,インスリン値,トリグリセライド値,インスリン感受性指数,血管内皮障害と関係するホモシステイン値および可溶性細胞間接着分子1値と,高血圧発症との関係を検討した。
■高血圧の危険因子を調整後,これらのすべてのマーカーは高血圧発症と関係していた。
■すべてのマーカーと推算糸球体濾過量(eGFR),総コレステロール値を同時に調整した結果,尿酸およびインスリン値のみが高血圧発症と独立した関係を示し,最低四分位と比較した最高四分位のオッズ比は尿酸が1.89,インスリンが2.03であった。
■年間1,000例当たり14.6例の推定発症率を用いると,この年代の女性における年間の全高血圧発症のうちの30.8%が尿酸高値(3.4mg/dL以上),また24.2%がインスリン高値(2.9μIU/mL以上)と関係していると考えられた。
■同グループは「尿酸とインスリン値の測定により,高血圧発症のハイリスク群を特定できるかもしれない」としている。
Uric acid and insulin sensitivity and risk of incident hypertension.
Forman JP, et al. Arch Intern Med 2009; 169: 155-162.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19171812
出典 Medical Tribune2009.2.12
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
ホモシステイン
http://hobab.fc2web.com/sub4-homocysteine.htm#ホモシステイン
■ホモシステインは、血液中に含まれるアミノ酸の一つで、通常、アルブミンなどの蛋白質と結合している。
■血漿中の総ホモシステイン量が増加すると、遊離ホモシステイン値も、増加する。
遊離ホモシステインは、血管内皮細胞を障害する。
■葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12のサプリメントは、ホモシステイン値を低下させるが、心血管疾患の発症リスクを低減させない。高ホモシステイン血症は、心血管疾患の原因でなく、結果と考えられている。
■葉酸、ビタミンB12などの、ホモシステイン値を低下させるサプリメントは、糖尿病性神経障害の発症リスクを、低減させる。
■葉酸やビタミンBを女性に内服させても、心血管疾患(心血管イベント)の再発(心筋梗塞、脳卒中、血行再建術、心血管疾患死)が予防されないことが、WAFACS(Women's Antioxidant and Folic Acid Cardiovascular Study)により、2006年の米国心臓協会学術集会(AHA 2006:第79回)で、報告された。
可溶性細胞間接着分子-1 (soluble intercellular adhesion molecule-1: sICAM)
急性冠症候群患者に対するazithromycin投与は炎症マーカーを低下させるか?
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0008/4/0008_G0000053_S0023369.html
■急性冠症候群患者に対するazithromycin投与は可溶性細胞間接着分子-1 (soluble intercellular adhesion molecule-1: sICAM) を低下させる。
[PDF] 急性冠症候群と細胞接着分子
http://www.e-clinician.net/vol47/no489/pdf/sp_489_06.pdf
zyloric.jp | 生活習慣病と高尿酸血症・痛風 高血圧
http://zyloric.jp/gout/custom01/chapt/custom01_03.html
高血圧合併高尿酸血症
http://wiki.harunaru.com/medic/?%B9%E2%B7%EC%B0%B5%A4%C8%B9%E2%C7%A2%BB%C0%B7%EC%BE%C9
■高血圧が尿酸値に影響する因子として、腎性のものと筋原性のものが考えられている。
■高血圧時の尿酸値の上昇にはこれらが混合して寄与していると考えられ、寄与率としては、だいたい腎性が7割で筋原性が3割くらい。
筋原性; 高血圧の病態時には、骨格筋で嫌気性代謝が行われやすく、これにより生成されたAMPが分解され、尿酸前駆物質のヒポキサンチンが産生されるため。
高血圧患者の高尿酸血症合併、男性では3人に1人
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsh2008/200810/508155.html
■高血圧患者における高尿酸血症の合併の実態を調べたところ、男性では34.1%と高頻度で認められることが分かった。高尿酸血症の病型は9割超が排泄低下型だった。
[PDF] 「尿酸と高血圧」
http://www.jikei-kidneyht.jp/care/pdf/5_1.pdf
尿酸の高い方、高血圧にもご注意を
http://igakujoho.jugem.jp/?eid=41
■健常成人男性を長期追跡したアメリカのNormative Aging Studyで、尿酸高値は将来の高血圧発症の危険因子であることが示されました。
研究結果はHypertension誌の2006年12月号に発表されています。
(手法は少し異なりますが、今回のArchives of Internal Medicineの論文以前に発表されています。)
他に
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科医向き)
があります。
NSAIDは解熱鎮痛を目的によく処方される薬剤です。
循環器疾患の患者への投与の際には一考が必要なようです。
NSAIDは解熱鎮痛を目的によく処方される薬剤です。
循環器疾患の患者への投与の際には一考が必要なようです。
循環器領域でしばしば使用されるアスピリンなどのサリチル酸もNSAIDですので問題はやっかいです。
当然のことながら総合感冒薬 にも含まれています。
非ピリン系(アニリン系)のアセトアミノフェンは厳密にいえばNSAIDではないようです。
心不全患者へのNSAID投与は慎重に
心不全患者の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の使用は急性心筋梗塞(AMI)および心不全による死亡と入院のリスクを高めると,デンマークのグループがArchives of Internal Medicineの1月26日号に発表した。
■このデータは,1995~2004年に心不全で初回入院し,生存退院した10万7,092例の追跡に基づくもので,デンマークの全国入院・薬局調剤登録により退院後のNSAIDの使用を調べた。
■その結果,3万6,354例(33.9%)が退院後に少なくとも1回NSAIDの処方を受けていた。
6万974例(56.9%)が死亡,8,970例(8.4%)と3万9,984例(37.5%)がそれぞれAMIと心不全で入院した。
■死亡のハザード比はrofecoxibが1.70,セレコキシブが1.75,イブプロフェンが1.31,ジクロフェナクが2.08,ナプロキセンが1.22,その他のNSAIDが1.28であった。
さらに,AMIと心不全による死亡,入院にはNSAIDの用量に依存的なリスクの上昇が見られた。
■同グループは「心不全患者へのNSAID投与は,リスクとベネフィットのバランスを慎重に考慮すべきである」と指摘している。
Gislason GH, et al. Arch Intern Med 2009; 169: 141-149.
Increased mortality and cardiovascular morbidity associated with use of nonsteroidal anti-inflammatory drugs in chronic heart failure.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19171810
出典 Medical Tribune2009.2.12
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
NSAIDs服用で心疾患リスクは約1.2倍
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/eular2006/200606/500824.html
■非選択的NSAIDsを服用した患者における心筋梗塞の発症と心イベントによる死亡のリスクは、非服用者に対し、インドメタシンでは1.27倍、ナプロキセンでは1.14倍になることが、大規模なコホート内症例対照研究でわかった。
■米国カイザー医療センターのStanford M. Shoor氏らが6月22日の口演セッションで発表し、「非選択的NSAIDsによる心イベントの危険性は低いが、心血管疾患の高リスク患者には投与を控えたほうがいい」と警告した。
鎮痛剤(NSAIDs)と心不全: Cox2阻害剤の心不全への影響は薬剤により異なる
http://intmed.exblog.jp/348675/
その他
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
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があります。
Lp(a)は以前から、心筋梗塞発症のリスクファクターとして注目されて来ました。
私も、しばらく以前は検査項目の一つとしてオーダーして来ました。
しかし、薬物介入による改善もあまり期待できないことより、最近では研究テーマとしてとりあげられることも余りないようです。
心筋梗塞患者でLp(a)が高値を示したといった論文も実際にはあるのでしょうが・・・。
RLPコレステロールも時々測定していますが、今ひとつ実感がわきません。
そんな中、久しぶりにLp(a)をテーマにした論文を目にしました。
親が40歳未満で心筋梗塞を発症した子にはLp(a)検査が必要
■ウィーン大学病院(ウィーン)小児・青年期医学科のMaria Fritsch博士らは「小児患者の父親または母親が既に30歳代で心筋梗塞を発症している場合は,その患児のリポ蛋白の代謝も検査すべきである」と第104回ドイツ小児・青年期医学会(DGKJ)の年次集会で発表した。
■同博士らは,小児44例を対象に,両親のいずれかが40歳未満で心筋梗塞を発症した場合の脂質代謝障害発現率を検討した。
その結果,黄色腫は発見されず,角膜リポイド環は1例で発見されたのみであったが,年齢と性を一致させた健康群の90パーセンタイルと比較すると脂質値は明らかに異常であり,総コレステロール値は約21%,LDLコレステロール値は約14%,トリグリセライド値は約23%高いことが明らかになった。
■また,約5例中1例に低HDLコレステロール値が認められたほか,31.8%に高リポ蛋白〔Lp(a)〕値が認められ,高Lp(a)値のみが認められたのは25%であった。
■さらにスクリーニング所見から,患児の4.5%では家族性高コレステロール血症が疑われ,16%では家族性複合型脂質異常症が確認された。
■同博士は「親が早期に心筋梗塞を発症している場合には,子がリポ蛋白の代謝障害を生じている可能性が高く,こうしたケースではLp(a)スクリーニングの実施が妥当であると考えられる」と主張した。
出典 Medical Tribune 2009.2.12
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
「両親が30歳代で心筋梗塞を発症・・・」
日本ではFHでない限りあまり見かけないケースです。
Lp(a)が小児の脂質異常症の発見の糸口になるということのようですが、どうしてそういった結論が導き出されるのか今ひとつわかりにくい論文でした。
<Lp(a) 関連サイト>
[PDF] 8.Lp(a)
http://www.kessen-junkan.com/2004121204/29.pdf
(Lp(a)に関して詳述されています)
リポプロテイン(a), LP(a)
http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/sisitu/lpa.htm
■リポ蛋白(a)(Lp(a))は超遠心ではLDLとHDLの間に存在し、その化学組成はLDLに類似している。
すなわちコレステロールは45%、リン脂質19%、トリグリセリド5%で、アポ蛋白は31%である。
■このアポ蛋白にはLDLにはないアポ(a)がアポB-100とS-S結合して存在している点が最大の特徴である。
さらにシアル酸などの糖鎖含有量が28%と多いのも特徴である。
■そしてアポ(a)はプラスミノゲンのクリングルⅣの繰り返し構造をしており、しかもこの繰り返し数が個体によって異なるためアポ(a)の分子量に多様性が生じ、Lp(a)に種々のフェノタイプが存在する原因となっている。
検査の目的として動脈硬化の予防・治療という観点からLp(a)濃度が測定されている。
■またPTCA施行後の再狭窄がLp(a)高値例において多いことから、その予後判定などにも用いられている。
リポプロテイン(a)
http://www9.ocn.ne.jp/~taramihp/faq121111.htm
■リポ蛋白(a)( Lp(a) )は動脈硬化の独立した危険因子として,最近急激に注目を集めているリポ蛋白です。
この高値と心血管障害などの血栓性疾患や動脈硬化性疾患との強い関連性が多く報告されています。
しかも,総コレステロールや中性脂肪なとは独立した危険因子であることがわかっています。
■年齢,性別による差は認められません。
しかし,総コレステロールやLDLコレステロール(いわゆる「悪玉コレステロール」)と若干の関連は認められるという報告もいくつかはあります.。
■Lp(a)は,血管内での血液凝固に対抗する線溶系(動脈硬化の原因の一部でもある血管の中で起こった不必要な血液の凝固を溶かす役割を持っている)のプラスミノゲンに著しく構造が似ています。
■このため,プラスミノゲンにかかわる線溶系の活性を低下させると考えられています。
このことが,リポ蛋白としての働きとともに,血液凝固線溶系にも影響を与え,動脈硬化の発症進展にかかわっていると考えられるようになっています。
Lp(a) and atherosclerosis
https://www.heartdecision.org/chdrisk/v_hd/patient_edu_docs/Lpa_2007.pdf
<RLP-C 関連サイト>
レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)
http://www.srl.info/srlinfo/kensa_ref_cd/KENSA/SRL2270.htm
リポ蛋白
http://hobab.fc2web.com/sub2-lipoprotein.htm
高TG血症治療の最近の話題-食後の高脂血症
http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/MEMBERS/TANPA/H9/971013
[PDF] RLP-C(レムナント様リポ蛋白コレステロール)が 臨床的により使い やすくなりました
http://www.jimro.co.jp/medical/otsuka/04.rlp-c/01.seihin/02.pdf/rlp_c_h_risk.pdf
[PDF] 11.レムナント様リポ蛋白コレステロール
http://www.kessen-junkan.com/2004121204/45.pdf
[PDF] N-3 系脂肪酸は中性脂肪のみならず、RLP コレステロールを 低下させ得るか?
http://www.tai-ken.jp/josei/kenko-r/kenko-21/R21-91-97.pdf
<自遊時間>
少し前に買った本に「考える血管」というブルーバックスの本があります。
買ったままで読んでなかったのですがパラパラと頁(ページ)をめくったら結構面白そうでした。
買ってホカっておいて何ですが、面白そうなところをこれから紹介しようかなと思っています。

血管は、単なるパイプではなかった!
急速に進展した分子レベル、遺伝子レベルの研究は、従来の血管像をあざやかに描き変えた。
全身の細胞と情報をやりとりし、相互に影響をおよぼしあいながら能動的にふるまう、「考える」システムとしての姿が見えてきたのである。
たとえば、収縮しなければならないときは自ら収縮物質を生成する。
肝臓などの臓器とは互いの存在に重要な因子を出して支えあう。
さらには、がん、高血圧症、心臓疾患など、重い病気に重要な役割を果たすことが判明し、血管への注目度は日々高まっている。
ノーベル賞学者が予言した「動脈硬化を進める遺伝子」の発見者が、最新の知見を引っ提げ、知られざる血管の実像をヴィヴィッドに語る。
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2571765
(書評より)
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
ちょっと前のことですが、ある病院で高脂血症に対してスタチンが使用されている患者さんが風邪で当院に来院されました。
顕著な浮腫と蛋白尿があるためネフローゼ症候群を疑いました。
診察時、「巨舌」もみられたためアミロイド腎を疑い、他の専門病院を紹介しました。
結果は私の診断どおりだったのですが、いきがかり上、最終的には在宅治療で最後を私が看取ることになりました。
前医が高脂血症のみに目を奪われてスタチンを投与していたわけですが、ネフローゼという認識があったかどうかは別としてスタチン投与は今からして思うとあながち間違った治療でもなかったかも知れません。
腎障害もあったためスタチンによる横紋筋融解症の発生も懸念してスタチンを打ち切ったのですが、先生方ならどうされますか。
きょうはCKDとスタチンで勉強しました。
慢性腎疾患患者へのスタチン投与は有効
CKDのステージとはかかわりなく心血管リスクを低減
■慢性腎疾患(CKD)患者に対するスタチンの有効性と安全性を評価した結果、スタチンはCKDのステージとは関わりなく、心血管イベントリスクを低減することが示された。
オーストラリアSydney大学のGiovanni F M Strippoli氏らの報告で、詳細はBMJ誌電子版に2008年2月25日に掲載された。
■CKD患者は、心血管イベントリスクが高いことが知られているが、これには高血圧、糖尿病、喫煙などとともに脂質異常症が関与している。
また血中脂質量の上昇は、腎疾患の進行にも関係する。
しかし、CKD患者に対するスタチン投与が心血管系と腎臓に及ぼす影響を調べた研究は少ない上、結果にばらつきがあった。
そのため、各国の治療ガイドラインは、CKD患者のコレステロール値をどのように管理すべきかについて、共通する見解を示していないのが現状だ。
■そこで著者らは、CKD患者全体と、病気のステージごとに分類した患者(透析前、透析中、移植後)に対するスタチン投与の利益と害を調べるメタ分析を実施した。
■各種データベースから、CKD患者を対象に、スタチンとプラセボ、またはプラセボなしの結果を比較した研究、またはサブスタディを選出した。
対象は、無作為化試験と準無作為化試験とした。
■50件の研究(被験者は3万144人で、54件の比較を行っていた)が条件を満たした。
透析前患者を対象とした比較は26件、透析患者を対象としたのは11件、移植患者を対象としたの17件だった。
■プラセボに比べ、スタチン群では総コレステロール値が有意に低下していた。
■結果は不均質だったが、主にスタチンの種類とベースラインのコレステロール値に起因していた。
スタチンの種類は、アトルバスタチンとセリバスタチンの方が、他のスタチン系薬剤よりコレステロール降下作用が有意に高かった。
■スタチン群ではLDL-cも低く、作用はやはりスタチンの種類によって有意に異なっていた。
■総コレステロール値、LDL-c値については、病気のステージにかかわらず同等の利益が見られた。
HDL-c濃度にはスタチンの有意な影響は見られなかった。
■トリグリセリド濃度は有意に減少。
透析前患者と移植患者では差は有意だったが、透析患者では有意差は見られなかった。
■スタチンは透析前患者の蛋白尿も軽減していた。
しかし、クレアチンクリアランスには有意差は見られず、糸球体濾過率にも有意な改善は認められなかった。
■スタチン投与群では、致死的な心血管イベントが有意に少なかった。
CKDのステージにかかわらず、得られる利益はほぼ同等だった。
非致死的心血管イベントも有意に低減していたが、全死因死亡には有意な影響は見られなかった。
■有害事象のプロファイルはプラセボと同様で、肝機能検査値やCPKの異常、有害事象による脱落の頻度などに有意差はなかった。
以上のように、CKD患者に対するスタチン投与は安全で、CKDのステージとはかかわりなく血中脂質濃度を下げて心血管イベントを減少させることが示された。
腎臓保護効果については、データのばらつきや報告バイアスにより、明らかにすることはできなかった。
現在もCKD患者に対するスタチン投与の腎臓保護効果や心血管イベント、生存に対する影響を調べる無作為化試験が行われており、エビデンスの蓄積は続く見込みだ。
原題は
Effects of statins in patients with chronic kidney disease: meta-analysis and meta-regression of randomised controlled trials
出典 NM online 2008.3.11
版権 日経BP社
<関連サイト>
[PDF] 患者様へ 自主臨床試験 「維持血液透析患者におけるスタチン製剤による左室拡張能改善効果の検討」についてのご説明
http://plaza.umin.ac.jp/~kid-endo/rinshoshiken/sutachin-slide.pdf
規模は小さいながら、透析患者においてもスタチン系薬剤の有用性を支持する報告がなされています。
つまり、透析患者においても、スタチン系薬剤は有益であり、特に心臓の拡張能を保持する作用を持つ可能性が十分に考えられます。
スタチンは造影剤による腎障害を抑制
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/295536.html
<ある日の講演会の走り書きメモ>
JSH2009 その②
■自動調節能
本態性高血圧、多発性のう胞腎では(+)
腎炎・糖尿病性腎症では(-)
CKDの原疾患別にみた降圧レベルを設定する必要がある。
正常では、自動調節能が働き、糸球体内圧一定だが、
高血糖、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、インスリン抵抗性があると、自動調節能が破綻し、全身血圧依存性糸球体高血圧となる。
自動調節能により糸球体濾過圧は50mmHgという一定の圧に保たれている。
■毎年3月第木曜日は世界腎臓デー(ISN,IFKF)
今年は3月12日
■エプレレノンとRAS阻害剤の併用は注意(K上昇)
特にeGFR50以下の症例
昨夜は「高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)」の講演会に行ってきました。
すでに改訂内容については冊子も配布されており概略は承知しているつもりですが、講演として聴くのは初めてでした。
わが国の高血圧患者は4,000万人にのぼると推計されています。
概略の経緯は、2000年に初めて高血圧治療ガイドラインが発表され、2004年に改訂(JSH2004)され,最新のエビデンスや,肥満およびメタボリックシンドロームの概念を盛り込んで2009年1月に再度改訂(3回目)され,JSH2009として発表されたものです。
今回勉強したのは、改訂のポイントとガイドラインにおけるRA(レニン・アンジオテンシン)系抑制薬,なかでもARB(アンジオテンシンIIタイプ1受容体拮抗薬)の有用性とその位置付けについて討論した座談会の記事です。
メーカー提供の記事ですので少しバイアスがかかっているかも知れません。
座談会 Guidelines for the Management of Hypertension
高血圧治療ガイドライン(JSH2009)改訂のポイントとARBの位置付け
札幌医科大学内科学第二講座
島本 和明 教授(司会)
大阪府立急性期・総合医療センター
荻原 俊男 院長
Laboratory Medicine, University of California, San Francisco, USA
Theodore W. Kurtz 教授
JSH2009改訂のポイント
島本
■従来,わが国では心血管イベントリスクとなる高血圧の有病率が高く,さまざまな対策が進められてきました。
厚生労働省による第5次循環器疾患基礎調査や国民健康・栄養調査におけるわが国の「性別・年齢別の血圧水準」は年々低下傾向にありますが,いまなお4,000万人にのぼる高血圧患者が存在すると推計されています。さらに,近年では食生活の欧米化を背景に,肥満やメタボリックシンドロームなどを合併する高血圧患者も増加しており,高血圧以外のリスクや他疾患をも考慮した治療が重要となっています。
荻原
■改訂されたJSH2009では,心血管イベント抑制における24時間の厳格な血圧コントロールの重要性から,診察室血圧および家庭血圧両者それぞれの降圧目標を設定しています。
■また,糖尿病やCKD(慢性腎臓病)のみならず,心筋梗塞後や脳血管障害といった疾患や臓器障害を有する高血圧患者に対する降圧目標が示されました(図1)。

さらに,これまで血圧値に応じて軽症高血圧(140-159/90-99mmHg),中等度高血圧(160-179/100-109mmHg),重症高血圧(≥180/≥110mmHg)と分類されていたものが,それぞれI度,II度,III度高血圧と名称が改められたほか,血圧以外に有している心血管病の危険因子や臓器障害/心血管病などの予後影響因子に関しても,メタボリックシンドロームやCKDが追加されるなど,より正確にリスクを評価できるようになりました。
そして,血圧値と予後影響因子によるリスクの層別化も示され,リスクに応じた適切な治療計画をたてられるように改訂されています(図2)。

メタボリックシンドロームや糖尿病, 糖尿病性腎症を合併する高血圧患者にARBが推奨されている
島本
■JSH2009では正常高値血圧(130-139/85-89mmHg)に関してもリスクの層別化が示されています。
正常高値血圧であっても,有している予後影響因子に応じた生活習慣の修正や,血圧管理が必要であることを反映した改訂といえます。
荻原
■このような改訂のなかでも重要なポイントの1つに,心血管病の危険因子としてメタボリックシンドロームを大きく取り上げた点が挙げられます。
心血管イベント高リスクな高血圧患者を対象としたCASE-J(Candesartan Antihypertensive Survival Evaluation in Japan)試験やVALUE(Valsartan Antihypertensive Long-term Use Evaluation)試験では,ARBがCa拮抗薬と比較して有意に糖尿病新規発症を抑制したことが報告されています。
■糖尿病新規発症抑制は,インスリン抵抗性改善による耐糖能改善と深く関与しており,このようなエビデンスから,JSH2009ではメタボリックシンドローム合併高血圧の治療においては,インスリン抵抗性改善が期待できるARBおよびACE阻害薬といったRA系抑制薬の使用を推奨しています。
■また,糖尿病合併高血圧の治療では,これまで第一選択薬としてARB,ACE阻害薬,長時間作用型Ca拮抗薬が挙げられていました。しかし,JSH2009では前述のエビデンスから,RA系抑制薬はCa拮抗薬よりインスリン抵抗性改善作用が期待できるとして,さらに,糖尿病性腎症などの合併症予防におけるエビデンスの観点からも,ARB,ACE阻害薬のみが第一選択薬となりました。
そして,効果不十分な場合に用量増加を行うか,Ca拮抗薬もしくは利尿薬の追加投与を行うように改訂されています(図3)。

選択的PPAR-γ活性化作用を有するテルミサルタンは, メタボリックシンドロームや糖尿病を合併する高血圧患者にさらなる有用性が期待される
Kurtz
■メタボリックシンドロームや糖尿病は米国においても増加しています。
したがって,それらを合併した高血圧について焦点を当て,その治療に,インスリン抵抗性改善が報告されているARBやACE阻害薬の使用を推奨したJSH2009には非常に興味を持っています。
■RA系の亢進,特にアンジオテンシンIIの亢進はIRS-1(insulin receptor substrate-1)を通じた細胞内への糖の取り込みを阻害してインスリン抵抗性を増悪させることから,ARBやACE阻害薬といったRA系抑制薬使用によるインスリン抵抗性改善作用は,すべてのRA系抑制薬に期待できます。
そして,メタボリックシンドロームや糖尿病合併高血圧患者では,インスリン抵抗性やRA系が亢進していることから,RA系の抑制が重要です。
JSH2009の改訂は,降圧効果とともにRA系抑制も得られるARBやACE阻害薬の有用性を示したきわめて妥当なものであると思われます。
■MICADO(MICArdis missed DOse study)試験(図4)において24時間にわたる降圧効果が報告されているARBテルミサルタンは,AT1(アンジオテンシンIIタイプ1)受容体結合持続性に優れ,長時間にわたるRA系抑制が期待できます。

■さらに,われわれは,テルミサルタンの分子構造から,テルミサルタンが選択的PPAR-γ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-γ)活性化作用を有していることを見出しています。
■PPAR-γアゴニストは,インスリン抵抗性改善薬剤として用いられており,糖代謝や抗炎症,肪細胞分化への影響も報告されていることから,選択的PPAR-γ活性化作用を有するテルミサルタンの,メタボリックシンドロームや糖尿病合併高血圧患者に対する有用性が期待できます。
荻原
■Kurtz先生にご紹介いただいた特徴を有するテルミサルタンは,臨床的にも糖代謝パラメーターや炎症などへの影響が報告されているのでしょうか。
Kurtz
■テルミサルタンの分子構造の違いが選択的PPAR-γ活性化などの機能的な違いにつながり,臨床におけるテルミサルタンの作用の違いにつながるものと思います。
■実際に,他のARBによる治療を受けていた糖尿病合併高血圧患者を,テルミサルタンによる治療へと変更すると,変更前と比較して空腹時インスリン値やTG(中性脂肪)値低下,アディポネクチン値上昇などの糖脂質代謝に加えて,hs-CRP(高感度CRP)低下など抗炎症における有用な影響が認められています1)。
■また,テルミサルタンが高濃度においてPPAR-α活性化作用を有していることも報告されており2),テルミサルタンにより報告されている脂質代謝への影響には,この経路も関与しているのではないかと考えています。
荻原
■われわれが行ったin vitro試験では,テルミサルタンによるURAT1(尿酸トランスポーター1)を介した尿酸の取り込み抑制を認めています3)。
テルミサルタンが尿酸値に与える影響に関しては臨床的に検討していませんが,尿酸値を下げる可能性も考えられます。
■RA系抑制薬による蛋白尿や腎障害における有用性に関しては,多くのエビデンスが蓄積しており,JSH2009では,RA系抑制薬は腎不全や蛋白尿を有する高血圧患者に対しての積極的適応が示されています。
また,増加しているCKD合併高血圧患者に対する治療法に関しても詳細に記載されるようになり,RA系抑制薬の使用が推奨されています。
高尿酸値は腎障害や心血管イベントのリスクとなることから,テルミサルタンの尿酸値への影響に関しては今後の検討が待たれるところです。
ハイレベルなエビデンスを有するARBの使用が望まれる
■今回の改訂においては,ARBおよびACE阻害薬は糖尿病/メタボリックシンドローム合併高血圧患者に対してのみならず,荻原先生がおっしゃった蛋白尿や腎不全,さらには心筋梗塞後の高血圧患者に対してなど,主要降圧薬のなかでも最も多くの積極的適応が示されています(図5)。

■多くの臨床医は,種々のARBに違いがあるのかどうかに興味を持っていますが,ユニークな特徴を有するテルミサルタンを用いた大規模臨床試験が近年続々と発表されていますね。
Kurtz
■2008年に報告されたテルミサルタンを用いた臨床試験の1つにTRANSCEND(Telmisartan Randomised AssessmeNt Study in ACE iNtolerant subjects with cardiovascular Disease)試験があります。
TRANSCEND試験は,ACE阻害薬に忍容性のない心血管イベント高リスク患者を対象に,テルミサルタンもしくはプラセボによる複合心血管イベント抑制を検討した2重盲検比較試験です。試験の結果,テルミサルタンによる心血管イベント(心血管死・脳卒中・心筋梗塞)の有意な(p=0.048)抑制が認められました4)。
■さらに,これまでに報告されている,テルミサルタンとプラセボの2重盲検比較試験をメタ解析した結果では,テルミサルタンによる有意な(p<0.05)糖尿病新規発症抑制も示されています5)。
■JSH2009では,メタボリックシンドロームおよび糖尿病合併高血圧患者に対してARBやACE阻害薬を推奨していますが,高リスク患者における心血管イベント抑制や糖代謝への影響を考慮した治療を行う場合は,長時間のRA系抑制による厳格な血圧コントロールが可能であり,かつ,信頼できるエビデンスを有するRA系抑制薬を用いるべきではないかと考えます。
島本
■TRANSCEND試験は,ACE阻害薬に忍容性のない患者を対象にしていることから,女性の割合が40%以上と高くなっています。
■女性では糖尿病新規発症頻度が男性と比較して低いため,対象患者における女性の割合で補正を行うと,テルミサルタンによる糖尿病新規発症抑制はより顕著になるのではないかと推測されます。
荻原
■24時間の降圧効果と選択的PPAR-γ活性化作用を有するテルミサルタンは,早朝に好発する心血管イベントを抑制し,近年増加しているメタボリックシンドロームや糖尿病,肥満を合併した高血圧患者に大変有用と考えられます。
島本
■今回の改訂では,特にメタボリックシンドロームや糖尿病を合併した高血圧に関しての記載が詳細になり,その第一選択薬としてRA系抑制薬が推奨されています。
■RA系抑制薬は,インスリン抵抗性改善や脂肪細胞分化に影響するという数多くのエビデンスが報告されていることからも,近年の高血圧患者を取り巻く環境に即した高血圧治療ガイドラインの改訂になっているといえます。
1)Miura Y, et al:Diabetes Care 28:757-758, 2005
2)Clemenz M, et al:Diabetes 57:1405-1413, 2008
3)Iwanaga T, et al:J Pharmacol Exp Ther 320: 211-217, 2007
4)The Telmisartan Randomised AssessmeNt Study in ACE iNtolerant subjects with cardiovascular Disease Investigators:Lancet 372:1174-1183, 2008
5)Kurtz TW, 島本 和明:Pharma Medica 26:83-85, 2008
出典 Medical Tribune 2009.2.12
版権 メディカル・トリビューン社
<ある日の講演会の走り書きメモ>
JSH2009 その①
■少量利尿薬のメリット
現在、高血圧学会でメーカーによる少量利尿薬の発売を厚生労働省に働きかけている。
(松岡、木村先生ら)
■CKD
降圧療法以外にスタチンと抗血小板療法がある。
<参考サイト>
CKD診療ガイド 日本腎臓学会編
http://www.jsn.or.jp/jsn_new/news/CKD-web.pdf
Effects of statins in patients with chronic kidney disease: meta-analysis and meta-regression of randomised controlled trials
BMJ 2008;336:645-651 (22 March)
http://www.bmj.com/cgi/content/abstract/336/7645/645
Statins significantly reduce lipid concentrations and cardiovascular end points in patients with chronic kidney disease, irrespective of stage of disease, but no benefit on all cause mortality or the role of statins in primary prevention has been established.
Reno-protective effects of statins are uncertain because of relatively sparse data and possible outcomes reporting bias.
■わが国の人工透析の人口 27万人(500人に1人)
■MRIFIT study(全身血圧と末期腎不全発症率)
■MDRD study
■糸球体血行動態 自動能
他に
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。