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先生方の評価はどうかわかりませんが、ARBの降圧効果が実感として未だによくつかめません。
それは単独使用例が少なく、多くはCCBなどの併用例だからです。
最近ARB単独使用例で収縮期血圧200mmHg以上あった患者さんを経験しました。
もっとも高血圧の病態や病因によっては不応(?)例もあるのかも知れません。
私は多くの場合CCBがファーストチョイスで、症例に応じてARBやACE-Iをオンさせます。
「高血圧治療ガイドライン2009」
http://blog.m3.com/reed/20090123/_2009
からすればとんでもない処方といわれてしまいます。
さて、循環器科医なら誰でも経験することに、低血圧の方での狭心症や心不全の患者の薬物療法です。
これらに使用する多くの薬剤は降圧的に作用し、さらなる血圧低下を招き、しばしば治療に難渋します。
きょうは、慢性心不全患者に対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタンの多施設試験であるCHARM(Candesartan in Heat failure: Assessment of Reduction in Mortality and morbidity)試験(J Am Coll Cardiol 2008; 52: 2000-2007 )について兵庫県立尼崎病院 佐藤幸人先生の解説で勉強しました。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19055992
テーマは「低血圧は心不全患者の予後不良因子,降圧薬による治療は可能か」です。
低血圧の心不全患者にもARBは投与すべきか
―CHARM試験サブ解析で心血管イベント抑制効果が明らかに
■心不全を既に発症した患者では末期になるほど低血圧状態になる。
■この現象は慢性心不全だけでなく急性心不全患者でも認められ,急性心不全患者において観察開始時の収縮期血圧(SBP)の低値が予後不良因子であることがOPTIMIZE-HFレジストリーにより報告されている(JAMA 2006; 296: 2217-2226 )。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17090768
■また,慢性心不全患者の基礎治療薬であるACE阻害薬,ARB,β遮断薬はいずれも降圧薬であるため,低血圧の心不全患者ではしばしば投薬が継続不可能である。
■今回CHARM試験のサブ解析として慢性心不全患者を対象に,低血圧の予後に対する影響と,ARBカンデサルタンの血圧に対する影響,カンデサルタンの血圧値別の効果が検討された。
■CHARM試験は
Added(Lancet 2003; 362: 767-771)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/13678869
Alternative(Lancet2003;362:772-776)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/13678870
Preserved(Lancet 2003; 362: 777-781)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/13678871
の3つのアームから成るが,前2者のアームの左室駆出率(EF)40%以下の患者4,576例を対象に検討が行われた。
結果:SBP100mmHg以下では効果はやや劣るが,どの血圧レベルでも心血管イベントを抑制
■観察開始時のSBPが110mmHg以上の患者では,心不全の治療経過中に血圧は低下したが,逆に観察開始時のSBPが100mmHg以下の低血圧の患者では,心不全の治療経過中に血圧は上昇した。
■観察開始時SBPが低いほど予後不良で,心血管死+心不全入院のリスク上昇は観察開始時SBPが110mmHg以下で顕著であった。
■観察開始時SBPがどのような範囲でも,プラセボ群に比較してカンデサルタン群では心血管死または心不全入院というエンドポイントにおいて改善が見られた(図)。
■観察開始時SBPが100mmHg以下の低血圧患者では,低血圧の副作用のためにカンデサルタンを中止する頻度が高かった(表)。
解釈:低血圧に注意しつつ可能な限り投与すべき
■SBPが低いほど予後不良との結果であった。
■観察開始時SBPが100mmHg以下の患者では,低血圧の副作用のためにARB投与が中止されることがしばしばだが,今回の研究でも表のように示されている。
■図にあるように,観察開始時のSBP値に関係なくカンデサルタン投与は有用であると思われるが,その効果は観察開始時SBPが100mmHg以下の患者ではやや劣ることがわかる。
結論として,
■観察開始時SBP 100mmHg以下の患者は,観察開始時100mmHg以上の患者と比較すると,カンデサルタン投与による心血管イベント抑制効果はやや弱く,低血圧の副作用による脱落も多い。
■しかし,それでもプラセボ群と比較してハザード比0.90のイベント抑制効果が期待できることから,可能な限り投与すべきである。
■同様の検討は,β遮断薬カロベジロールについてもCOPERNICUS試験のサブ解析として行われており,観察開始時SBPが低血圧の患者でもカロベジロール投与による心血管イベントの抑制は期待できるため,可能な限り投与すべきであるが,低血圧の副作用が多いとの結論であった。
(J Am Coll Cardiol 2004; 43: 1423-1429)。
出典 MT pro 2009.1.14
版権 メディカル・トリビューン社