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< 心筋梗塞後1か月は心臓突然死リスク増 | メイン | ASCOT-CAFE その2(2/2) >
ASCOT-CAFE試験はAHA2005でASCOT-BPLA試験のサブ解析として発表された試験です。
今となっては少し以前の発表ですが、異なる降圧療法が大動脈圧にどのような影響を及ぼすかを検討した初の大規模臨床試験ということでです。
アムロジピンとアテノロールをそれぞれベースとする降圧療法を比較検討したもので今からするとちょっと時代性も感じてしまいます。
大動脈圧と末梢血圧に着目したことは、ARBなどのbeyond BP全盛の現時点では却って新鮮な気もします。
ある論文に
「目標降圧値に達するためには複数の薬剤で治療することが重要である。よってどの併用治療がベストであるかを決定付けられるような試験が必要である。」と書かれていました。
たしかに臨床では降圧剤の単独投与は多くありません。
特にARBの場合にはそういった傾向が多いのではないのでしょうか。
昨年末にも、あるARBを単独で服用していて収縮期血圧が200mmHgを超えている患者さんがみえました。
ある講演会で、「ARBはACEIに比較して降圧効果が強いため注意して使い始める必要がある」という話がありました。
これって、本当なんでしょうか。
ASCOT試験サブ解析 ASCOT-CAFE試験の結果をどう捉えるか
(一部改変)
循環器領域の専門家のコメント集
2005年11月13〜16日に米テキサス州ダラスで開催された第78回米国心臓病協会学術集会(AHA2005)にて,ASCOT-BPLA(Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Blood Pressure Lowering Arm)試験のサブ解析であるASCOT-CAFE(Conduit Artery Function Evaluation)試験の結果が発表された。
同試験は,異なる降圧療法が大動脈圧にどのような影響を及ぼすかを検討した初の大規模臨床試験。
長時間作用型Ca拮抗薬アムロジピンをベースとする降圧療法とβ遮断薬アテノロールをベースとする降圧療法を比較検討するとともに,大動脈圧が心血管系イベント発症の予測因子となりうるかなどが検討された。
アムロジピンベース治療による脳卒中の抑制作用が大動脈圧の差によって説明できる可能性を示す
自治医科大学COE
内科学講座循環器内科部門教授 苅尾七臣氏
■ASCOT-CAFE試験では,アムロジピンベース治療群とアテノロールベース治療群の各群間で末梢血圧に有意差が示されなかったものの,大動脈圧では両群間に有意差が認められ,さらに大動脈圧が心血管系イベント発症の予測因子1つとなりうる可能性が示唆された。
■先に発表されたASCOT-BPLA試験では,アムロジピンベース治療による全心血管系イベントや脳卒中などの発症抑制効果が示されたが,その理由は今回ASCOT-CAFE試験で示されたアムロジピンベース治療による大動脈圧の降圧によってある程度説明できるのではないかと考えられる。
■大動脈圧が脳卒中や心筋梗塞などの心血管系イベント発症のより適切な予測因子になる可能性が大規模試験で示唆されたことは,非常に意義深いと言える。
アムロジピンベース治療により真の血圧を下げることが示される
愛媛大学 分子細胞生命科学講座
医化学・心血管生物学分野教授 堀内正嗣氏
■これまで,大動脈圧の心血管系イベント発症に対する影響について,ASCOT-CAFE試験のような大規模で検討された試験はなかった。
今回の成績から,アムロジピンベース治療による優れた大動脈圧の降圧効果が示されるとともに,末梢血圧よりも大動脈圧のほうが,心血管系イベント発症の予測因子として重要であることが示唆された。
■ASCOT-BPLA試験で明らかになったアムロジピンベース治療による心血管系イベント抑制作用に,その大動脈圧の降圧効果が影響した可能性が明確に示されたものと考える。
■これまでに複数の大規模臨床試験で示されたアムロジピンによる心血管系イベント抑制作用が,真の血圧とも言える大動脈圧を厳格に低下させていたことによる可能性が示唆された。
■大動脈圧の降圧に加えてアムロジピンの降圧を超えた多面的な作用も影響しているものと考える。
今後は末梢血圧だけでなく大動脈圧にも考慮した治療が必要に
国立循環器病センター
心臓血管内科部長 北風政史氏
■ASCOT-CAFE試験では,アムロジピンベース治療群のほうが,アテノロールベース治療群に比べて大動脈圧が有意に低いという結果が示された。このことから,末梢で測定された血圧が両群間で同等であっても,冠血管における血圧,あるいは心筋に対する血圧は,アムロジピンベース治療群において,より低下していたことが示唆されたと言える。
■末梢血圧と大動脈圧の低下の程度に相違が生じた背景には,アムロジピンベース治療群で血管のスティフネスが改善されたことが影響したものと考えられる。
■今後,心血管系イベント抑制のためには,末梢血圧だけではなく,血管のスティフネスがどの程度改善され,いかに大動脈圧が低下したかという点についても考慮する必要があろう。
■ただし,ASCOT-BPLA試験で示されたアムロジピンベース治療による心血管系イベント抑制は,大動脈圧の低下のみでは説明できない。
■アムロジピンの一酸化窒素(NO)産生亢進作用などによるプラーク安定化作用などもイベント抑制に寄与しているものと考える。
アムロジピンベース治療が量的にも質的にも優れた降圧効果をもたらすことを示す
旭川医科大学
内科学第一講座助教授 長谷部直幸氏
■ASCOT-CAFE試験では,大動脈コンプライアンスの指標とされるaugmentation indexについても,アムロジピンベース治療群で有意な改善が認められた。
■降圧の程度とその質の変化を感知する指標としての感度という点で,末梢血圧よりも大動脈圧のほうがより優れる可能性が示されたことは注目に値する。
■今回の結果は,末梢血圧を指標としたこれまでの多くの大規模臨床試験の成績を否定するものでもない。
■ASCOT-CAFE試験で,アムロジピンベース治療が量的にも質的にもハイリスクの高血圧患者において優れた降圧効果を示したことは評価すべきである。
■量的には大動脈の収縮期血圧と脈圧という,特に高齢者における心血管系イベント予防において重要な2つの因子の改善がもたらされたこと,さらに質的には動脈コンプライアンスの改善が認められたことは,今回のASCOT-CAFE試験で示された重要なメッセージではないかと考える。
ASCOT-CAFE試験結果概要
異なる降圧療法が大動脈圧に及ぼす影響を比較した初の大規模臨床試験
降圧療法に関する多くの大規模試験では,心血管系予後の指標として上腕で測定した血圧(末梢血圧)が用いられているが,降圧薬の末梢血圧に対する降圧効果は,大動脈圧に対するものとは必ずしも一致しないことが報告されている。
高血圧患者1万9,257例を対象にアムロジピンベース治療とアテノロールベース治療を検討したASCOT-BPLA試験では,末梢血圧の降圧効果は両群間で平均で収縮期血圧,拡張期血圧がそれぞれ2.7mmHg,1.9mmHgの差があったものの,その血圧値の差以上に,アムロジピンベース治療群で全死亡や全心血管系イベント,脳卒中,糖尿病発症リスクが有意に抑制された。
今回発表されたASCOT-CAFE試験は,ASCOT-BPLA試験の一部の対象患者における大動脈圧を検討したサブ解析である。
同試験は,異なる降圧療法が大動脈圧に及ぼす影響を検討した初の前向き大規模臨床試験として注目されている。
アムロジピンベース治療により血管保護の指標の1つである大動脈圧が有意に低下
ASCOT-CAFE試験には,ASCOT-BPLA試験の対象である高血圧患者のうち2,199例が登録された。
評価可能症例は2,073例(アムロジピンベース治療群1,042例,アテノロールベース治療群1,031例,intention-to-treat解析)。
ASCOT-CAFE試験の患者背景はASCOT-BPLA試験と同等であった。
トノメトリー法(Sphygmocorc)を用いて橈骨動脈圧波形から大動脈圧波形を推定し,大動脈圧およびaugmentation index(収縮期圧に占める反射波成分の割合)を算出した。
末梢の平均収縮期血圧値は,アムロジピンベース治療群133.2mmHg,アテノロールベース治療群133.9mmHgと同等であった(p=0.07)。
一方,大動脈の平均収縮期血圧値はアテノロールベース治療群の125.5mmHgに対し,アムロジピンベース治療群では121.2mmHgと平均4.3mmHg有意に低下した(p<0.0001)。
脈圧に関しても,末梢血圧ではアムロジピンベース治療群(平均55.3mmHg)とアテノロールベース治療群(平均56.2mmHg)の間に有意差を認めなかったが(p=0.06),大動脈の脈圧を比較すると,アテノロールベース治療群(平均46.4mmHg)に比べてアムロジピンベース治療群(平均43.4mmHg)では有意な低下が認められた(p<0.0001)。
さらに,脈波解析の結果,アムロジピンベース治療群のaugmentation indexは25.3%とアテノロールベース治療群の31.9%に比べて有意に低下しており(p<0.0001),アムロジピンベース治療による大動脈圧の降圧効果にはaugmentation indexの低下,すなわち末梢血管の硬化度(スティフネス)の改善が寄与し,同薬の血管保護作用が示唆された。
アムロジピンによる血管のスティフネスの改善が優れた心血管系イベント抑制に関与
ASCOT-BPLA試験では,全心血管系イベントおよび血行再建術をはじめとしてアムロジピンベース治療群で有意なイベント抑制作用が認められている。
ASCOT-CAFE試験の対象患者で,Cox比例ハザードモデルを用いて,上腕および大動脈の脈圧,augmentation indexが複合エンドポイント(全心血管系イベント+腎障害+血行再建術)の予測因子となりうるかを検討したところ,補正前にはいずれの指標に関しても有意差が認められたが,補正後は大動脈の脈圧のみに有意差が認められ(ハザード比1.11,p=0.048),大動脈の脈圧が心血管系イベントの予測因子の 1 つとなりうる可能性が示唆された。
出典 Medical Tribune 2006.1.5
版権 メディカル・トリビューン社
他に
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
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