戯れ言たれる侏儒
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< 赤血球粒度分布幅(RDW)と死亡リスク | メイン | 心筋梗塞後1か月は心臓突然死リスク増 >

MT proのDoctor’s Eyeでの
兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤 幸人先生の記事で勉強しました。
文中に出てくるEur Heart J 誌。
たまたま昨日、「進呈」と印刷されたEur Heart J の日本語版が郵送されて来ました。
チャーミングな総説や論文が掲載されていましたが、どうも日本語訳がこなれていなくて内容が理解しづらい印象を持ちました。
先生方のお手元にも届いているかと思いますがいかがだったでしょうか。
最近の医学生や研修医は、数多くの日本語の医学書に恵まれています。
折角のすぐれた英文の教科書(BraunwaldやHurstなど)も日本語版を買っていては医学英語や英語の言い回しを覚える機会をみすみす逃すことになってしまいます。
そして、日本語版は何よりもこなれていない日本語訳が理解の邪魔をするかも知れないのです。


Braunwald's Heart Disease, 8th Edition Single Volume(ブラウンワルド心臓病学,第8版(全1巻))


http://www.atms.jp/webstore/product_info.php?manufacturers_id=14&products_id=709&osCsid=8ao10lu0md4vto2na1275bsvv3

ブラウンワルド心臓病学,第8版(全2巻)
http://atms-shop.jp/?pid=5616692

「問診」は心臓病の有無のてがかりに
http://www.geocities.jp/pinpinkorori100/0103monsin.html

医学テキスト
http://tomochans.exblog.jp/6648083/

 

アルドステロン拮抗薬はすべての重症心不全患者に追加投与を検討すべき
死亡率改善と抗心筋リモデリング作用を期待
 

ミネラロコルチコイド受容体に拮抗する薬剤が心不全治療において重要な意義
■慢性心不全患者の病態生理を踏まえた治療戦略において,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RSS)系の抑制は,交感神経系の抑制とともに重要。

■慢性心不全患者にACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を投与した場合,一部の患者では一時的に血中アルドステロン値は低下するが,やがて再上昇するアルドステロンブレイクスルー現象が認められることが報告されていた(J Card Fail 1996; 2: 47-54)。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/8798105

■現在,アルドステロンはミネラロコルチコイド受容体(MR)を介して直接,心筋肥大と線維化に働き,心筋リモデリングを発生させると推測されている(N Engl J Med 2001; 345: 1689-1697)。
http://content.nejm.org/cgi/content/extract/345/23/1689
■このため,スピロノラクトンやエプレレノン(MR選択性が強い)などMRに拮抗するアルドステロン拮抗薬が心不全治療において重要な意義を持つことになる。

RALES,EPHESUS試験では心不全,心筋梗塞患者への投与で死亡率が15~30%低下
■アルドステロン拮抗薬の代表的な大規模試験にはRALESとEPHESUSがある。
RALES試験では1,663例の左室駆出率(EF)35%以下の心不全症例を対象に,スピロノラクトン25mg群とプラセボ群に割り付けた結果,心不全死,突然死を含む30%の死亡の減少(P<0.001)がスピロノラクトン群で認められた(N Engl J Med 1999; 341: 709-717)。

■この試験の当時はβ遮断薬の処方率は低く,約10%であった(ACE阻害薬は94%)。また女性化乳房はスピロノラクトン群で男性の10%に認められた。

■EPHESUS試験では心筋梗塞発症後3~14日,EF40%以下の患者6,632例がエプレレノン群とプラセボ群に割り付けられ,その結果,突然死を含む15%の死亡の減少がエプレレノン群で認められた(N Engl J Med 2003; 348: 1309-1321)。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/12668699
この試験でのACE阻害薬,β遮断薬の処方率はそれぞれ87%,75%であった。女性化乳房はエプレレノン群とプラセボ群で差は認められなかった。

 

アルドステロン拮抗薬の系統的レビューでは総死亡を20%抑制
■RALES試験ではサブ解析として心筋間質のコラーゲン合成と分解の指標として血中可溶性コラーゲンが測定され,血中III型プロコラーゲンアミノ末端ペプチド(PIIINP)が予後予測指標であることと,スピロノラクトンが経過中にPIIINPを抑制することが報告されている(Circulation 2000; 102: 2700-2706)。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/11094035
この結果から,スピロノラクトンはアルドステロンによる心筋の線維化を抑制することにより致死性不整脈の発生を抑制し,突然死を予防する可能性が考察された。
少数例の検討ではあるが,スピロノラクトン投与で心室性期外収縮,心室頻拍の減少も報告されている(Am J Cardiol 2000; 85: 1207-1211)。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/10802002
 

■薬剤の抗心筋リモデリング作用は,従来ACE阻害薬に上乗せしたβ遮断薬の効果についておもに検討されてきた(Am J Cardiol 2005; 96: 10L-18L)。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16399088
 

■抗心筋リモデリング作用がアルドステロン拮抗薬にあるかどうかは,ARBに抗心筋リモデリング効果があるかどうかと同様に,現在検討中の課題である。

■少数例の検討においてスピロノラクトンにEF改善,左室容量の改善が見られることが報告されており(J Am Coll Cardiol 2001; 37: 1228-1233,Circulation 2003; 107: 2559-2565,J Am Coll Cardiol 2007; 50: 591-596),Eur Heart J オンライン版掲載論文によると,アルドステロン拮抗薬の投与により総死亡の相対リスクは20%抑制され,EFは3.1%の改善が見込めることが報告された()。


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/11300427

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/12732605

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17692742

http://eurheartj.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/ehn543v1?

maxtoshow=&HITS=10&hits=10&RESULTFORMAT=&fulltext=Aldosterone+blockade&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCIT

 

 

以上から,アルドステロン拮抗薬は重症心不全患者においてACE阻害薬,β遮断薬に上乗せしても,さらなる死亡の減少が期待できる有用な薬剤だと言える。

心不全の最新のガイドラインである欧州心臓病学会(ESC)の「急性,慢性心不全の診断と治療のガイドライン2008」(Eur Heart J 2008; 29: 2388-2442)では,アルドステロン拮抗薬はEF 35%以下の重症心不全患者では禁忌事項がない限り,高カリウム血症,腎機能に注意して投与を検討すべき(ACE阻害薬,β遮断薬に上乗せ)と記載された(class I,エビデンスレベルB)。
現在進行中の試験としてエプレレノンの抗心筋リモデリング作用を検討するREMODEL,軽症心不全患者を対象としたEMPHASIS-HF,収縮機能が保持された心不全患者にスピロノラクトンを投与するTOPCATが進行中であり,結果が待たれる。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr090101.html

<追加記事を掲載しました>
赤血球粒度分布幅(RWDと死亡リスク)
http://blog.m3.com/reed/20090107
 

コメントお待ちしています。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

 

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