戯れ言たれる侏儒
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大規模地域住民コホートにおいて赤血球粒度分布幅の増加が総死亡,心血管死,非心血管死のリスク増加と関連
Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA, USA
Todd S. Perlstein 氏
赤血球サイズの不均一性(赤血球大小不同)を表す赤血球粒度分布幅(red blood cell distribution;RDW)は,自動血球分析装置で簡単に測定できる指標であり,近年,心不全患者や冠動脈疾患患者における死亡リスクとの関連が示唆されている。
Perlstein氏らは,このRDWが一般住民においてどのような意味を持つかを大規模地域住民コホートで検討し,RDWが高いほど,心血管死だけでなく非心血管死のリスクも高くなることを明らかにした。

RDWは種々の人口統計学的因子,社会的因子/生活習慣因子,心血管危険因子および血液学的因子と関連
Perlstein氏らは,1988~94年に実施された米国の第3次国民健康栄養調査(NHANES III)のデータを使って,今回の解析を実施した。
この調査の対象集団は米国民の代表的なサンプルと考えられる。死亡については米国民のすべての死亡を記録しているNational Death Indexのデータを2000年12月31日まで追跡し,追跡が可能であった例のなかから未成年や妊婦,RDW非測定例を除外した1万5,852例を解析対象とした。
追跡の結果,平均8.7年の間に2,629例が死亡していた。
 
対象集団をRDWの5分位値で5群に分けて解析すると,RDWが高い群ほど年齢が高い(P<0.001),女性が多い(P=0.002),ヒスパニック系以外の白人が少なく,黒人が多い(P<0.001)という人口統計学的因子が有意差をもって認められた。
また,社会的因子/生活習慣因子との関連では,RDWが高い群ほど肥満が多い,喫煙者が多い,身体活動性が低い,教育レベルが低いことが有意に見られた(いずれもP<0.001)。
心血管危険因子との関連では,RDWが高い群ほど慢性腎臓病(P<0.001),高血圧(P<0.001),糖尿病(P=0.07)が多く,高コレステロール血症が少ない(P<0.001)ことが示された。
さらに血液学的因子として,RDWが高い群ほどヘモグロビン値が低い,平均赤血球容積が小さい,血清葉酸値が低い,血清鉄値が低いことが有意に認められた(いずれもP<0.001)。

RDWが高い群ほど総死亡,心血管死,癌死,慢性下気道疾患死のリスクが高い
ベースラインにおけるRDWとその後の追跡期間における死亡との関連を解析すると,RDWが高い群ほど総死亡のリスクが高かった(P<0.001)。
死因別に見ると,心血管死のほか,癌死,慢性下気道疾患死もRDWが高い群ほど多かった(いずれもP<0.01,図)。 
Cox比例ハザードモデルを用いてRDWとの関連が認められた前述の人口統計学的因子,社会的因子/生活習慣因子,心血管危険因子および血液学的因子を補正しても,RDWの増加に伴う死亡リスクの増加にほとんど変化はなく(表),これは死因別に見ても同様であった。
RDWが最も高い群では,最も低い群と比較して,総死亡,心血管死,癌死のリスクが約2倍であった。  
以上からPerlstein氏は「地域住民の大規模かつ代表的な成人集団において,RDWの高値は死亡リスクと関連していた。
この関連は心血管死に限ったことではなかった」と今回の結果をまとめた。そのうえで「赤血球大小不同を理解することによって疾患の病態生理学にユニークかつ広い洞察を得られる可能性がある。RDWの測定は患者のリスク評価に重要な役割を果たすだろう」と述べた。

監修者のコメント
RDWは,自動血球計数装置の測定項目の1つであり,赤血球の大きさの分布を表し,大小不同が著明なときに値が大きくなる。
種々の血液疾患の鑑別に用いられ,特に鉄欠乏性貧血の診断に有用な指標であるが,循環器領域ではこれまで注目されることはなかった指標である。
 
本研究は,成人約1万6,000例という多数例の地域住民を対象に行った大規模コホート試験である。
これにより,RDWが大きいほど,全死亡率,循環器疾患による死亡率,非循環器疾患による死亡率のいずれも上昇していることが明らかとなり,RDWが生命予後の予測指標となる可能性が示された。
 
RDWのリスク予測指標としての価値は,既に確固たる地位を築いている高感度CRPの価値にほぼ匹敵するという。
しかし,高感度CRPをルーチンの検査項目に入れると医療コストの問題が生じよう。
他方,自動血球計数を行えばRDWは表示可能であるので,医療コストの面からも有利であると言えよう。
 
なぜ,RDWがリスク予測指標となりうるかについての機序は明らかではない。
貧血と生命予後不良の関連性が知られており,さらに貧血があるとRDWは大きくなる。
しかしながら本研究ではヘモグロビン値など血液学的因子で補正する解析を行っているので,貧血の関与が機序の説明にはならない。
フロアからの質問に対して演者からは,炎症の関与が考えられるとの説明があった。
今後,機序の詳細を解明するとともに,日本人を含めた他の人種でも同様の結果が得られるかどうかの検討を行う必要がある。
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/aha2008.cgi/11-11/01.html
出典 Medical Tribune
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
ごく簡単な検査項目を重要なマーカーに敷衍する。
米国ではこのような研究がさかんに思います。

年末にテロメアを扱ったテレビ番組をやっていました。

テロメア
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2008/12/29

テロメアのような高価(検査料10万円)な検査を行わなくても、こんな卑近で安価な検査で「総死亡,心血管死,非心血管死のリスク」がわかるということなら素晴らしいことです。

このように非常に興味のある報告ですが、自分自身のRDWを知るのは怖いような気がします。
せいぜい患者さんのデータを見て占ってみたいと思います。
日常診療での楽しみ(?)が出来ました。
 

添付文書の改訂
カフェルゴット(ノバルティス)2008.11.28
クリアミンA錠、S錠
心エコー検査により、心臓弁肥厚、心臓弁可動制限及びこえらを伴う狭窄等の心臓弁膜の病変が確認された者及びその既往のある患者(症状を悪化させるおそれがある)
(参考)
以下は以前から記載のある副作用
繊維症:長期連用により、胸膜、後腹膜又は心臓弁の繊維症があらわれたとの報告がある。

 

<番外編>


先生方の中で元旦恒例のウィーン・フィルによるニューイヤーコンサートをテレビで観られた方も多かったのではないでしょうか。
かくいう私も、シャンパンを飲みながら、観る(聴く?)つまり鑑賞するのを元旦の夜の過ごし方の常としています。
今までではカルロス・クライバーや小澤征爾の指揮による演奏が特に印象深いのですが、今年新登場のバレンボイムも私なりの思い入れがあります。
昔、ジャクリーヌ・デュ・プレというチェロ奏者がいたのは音楽愛好家で知らない方はみえないと思います。
多発性硬化症のため1987年に42歳の若さで惜しまれながら亡くなられました。
その彼女が21歳の若さで1966年に結婚した相手がダニエル・バレンボイムだったのです。
個人的にジャクリーヌ・デュ・プレが大好きだったことと、モーツアルトのピアノ・ソナタ全集や後期ピアノ協奏曲集(ベルリン・フィル)をバレンボイムの演奏によるCD(これは評論家の間では高い評価ではありませんが私は好きです)を愛聴しているのが「思い入れ」の理由です。

遅まきながら地デジの写る大画面テレビを昨年購入したので、より楽しむことができました。
ハイアングルで、ゾフィエンザールの壁にクモの巣(糸)が見えたのは気のせいだったでしょうか。
そして結構使い込んである譜面台やコントラバスも歴史の重みをかんじさせてくれました。
これらは地デジで観てはじめてわかったことでした。

さらには女性奏者が二人いたこと、機器が見えないように撮影に最大限の工夫がされていること、踊り子が演奏会場に現れたことなども印象的でした。


2009ウィーン・フィルのニューイヤー、バレンボイム氏が指揮

http://www.afpbb.com/article/entertainment/music/2553115/3638131

 

バレンボイムのモーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
http://classicalmusic.livedoor.biz/archives/51139834.html
 

バレンボイムのモーツァルト:後期ピアノ協奏曲集
http://classicalmusic.livedoor.biz/archives/51149677.html

 

私の大好きなジャクリーヌ・デュ・プレ


http://w1.nirai.ne.jp/dokichih/

 

<追加 2008.1.8>
RDWが、外部発注の検査センターからの報告書にのっているとてっきり思っていました。
しかし、よくみると当院が利用している検査センターでは測定していませんでした。
院内で行う自動血球計算機では、その項目がありレポートとして打ち出されます。
そういったことからもさほど難しい検査ではなさそうです。
明日にでも検査センターに、検査項目に追加してもらえるか訊いてみるつもりです。

<RDW 関連サイト>
血球計数への応用
http://www.beckmancoulter.co.jp/hematology/coulter_cp/coulter_cp03_04.html
RDW Red Cell Distribution Width 赤血球体積分布幅

RDWはRBC粒度分布ヒストグラムのCV値(変動係数)であり、粒度分布の標準偏差(SD)を平均体積(MCV)で割って求めます。RDWは赤血球体積の不均一性を表す指標です。大きな値は、分布幅が広いことを意味し、分布が不均一である。RDWは末梢血スメアによる大小不同症の推定結果とほぼ一致します。

「RDW って」?
http://www.synapse.ne.jp/labo/Q&A/015.html

赤血球粒度分布幅
http://www.sysmex-tmc.co.jp/cd/rinsyou/demo/VI/HTML/6_1120.HTM#VI-12
 

コメントお待ちしています。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

 

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