戯れ言たれる侏儒
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心不全診断後1年目のβ遮断薬,ACE阻害薬/アンジオテンシンII受容体拮抗薬のアドヒアランス:10年間の観察トレンド
University of Saskatchewan, Saskatoon, Canada
Darcy A. Lamb 氏
エビデンスに基づく医療(EBM)の重要性が指摘されるようになって以来,心不全の治療においてもエビデンスのある薬剤の使用が増加している。
その選択には医師側因子,患者側因子,環境因子など種々の因子が考えられるが,同様の因子により患者の服薬アドヒアランスも向上している可能性がある。
Lamb氏らは,この点を後ろ向きコホート研究で明らかにした。
アドヒアランスが10年間で向上しているかどうかを検討
Lamb氏らはカナダ・サスカチュワン州政府の医療保険データベースを利用し,今回の後ろ向きコホート研究を実施した。
対象は1994年から2003年の間に心不全で初めて入退院し,1年後の追跡が可能であった患者。
心不全に対してエビデンスのあるβ遮断薬,またはACE阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のいずれかを退院から6か月以内に処方された例を抽出し,各薬剤のアドヒアランスが10年間で向上しているかどうかを検討した。
 
アドヒアランスは処方回数を観察期間の月数で割ったものとし,これが1年間で80%以上であればアドヒアランスは良好と判断した。
同研究の主要評価項目は1年後のアドヒアランス良好患者の割合であり,これに影響する因子をβ遮断薬処方群とACE阻害薬/ARB処方群のそれぞれでロジスティック回帰分析により検討した。
β遮断薬とACE阻害薬/ARBは処方率もアドヒアランスも向上
登録条件に合致した症例は8,805例(平均年齢77歳,男性51%,女性49%)。1,414例(16%)がβ遮断薬処方例,5,991例(68%)がACE阻害薬/ARB処方例であった。これを各年代別に見ると,β遮断薬処方率は1994/95年では5%にすぎなかったが,2002/03年には32%に増加し,ACE阻害薬/ARB処方率も64%から02/03年には73%に増加した(図1)。
β遮断薬処方群におけるアドヒアランス良好患者の割合は,94/95年に54%であったが,02/03年には75%に増加した。ACE阻害薬/ARB処方群においても,アドヒアランス良好患者の割合は94/95年の67%から02/03年には80%に増加した。
両群とも年代を追うごとにアドヒアランス良好患者の割合が有意(P<0.001)に増加することが認められた(図2)。
単変量解析によるほかの有意な因子を補正してもなお,年代はアドヒアランス良好患者の割合増加に寄与する因子であり,94/95年と比較した02/03年のそのオッズ比は,β遮断薬処方群で2.0(95%信頼区間 1.21~3.44),ACE阻害薬/ARB処方群で1.7(同 1.3~2.08)であった。
なお,エビデンスのない治療薬であるH2受容体拮抗薬の処方例では,こうした年代によるアドヒアランスの向上は認められなかったという。
 
今回の検討では年代によるアドヒアランスの向上の理由は不明である。
しかし,Lamb氏によると,患者側因子や環境因子に大きな変化があったとは考えづらく,処方率の変化から示唆されるのは医師の行動変容である。
このことから同氏は「アドヒアランス不良は医師のオフィスだけで予防できたのか」と疑問を投げかけ,さらなる研究が必要との見解を示した。
監修者のコメント
最近,アドヒアランスという言葉を耳にするようになった。
欧米ではコンプライアンスよりもアドヒアランスのほうが一般的な表現となっている。
この背景には,指示されたことに従うというより,患者自身が責任を持って治療を進めていこうという考え方がある。
このアドヒアランスを規定するのは,治療内容,患者側因子,医師側因子,患者・医師の相互関係であり,コンプライアンスとは大きく異なっている。
わが国においては,このアドヒアランスという概念が浸透しているとは言えないのが実情であろう。
 
近年,レニン・アンジオテンシン系抑制薬の使用に続いてβ遮断薬が導入されるようになり,慢性心不全の治療は大きく変貌している。
本研究によると,1994年以降の10年間で,慢性心不全患者に対するレニン・アンジオテンシン系抑制薬の処方率は64%から73%に増加し,β遮断薬の処方率は5%から32%に増加した。
さらに,アドヒアランス良好患者の割合は,レニン・アンジオテンシン系抑制薬を処方されている患者において67%から80%に増加し,β遮断薬を処方されている患者において54%から75%に増加していた。
本研究は,このアドヒアランスの向上に寄与している因子を明確にすることを目的として行われたものではないが,患者側因子の変化は考えにくいということであり,いかに患者側以外の因子がアドヒアランスに影響を及ぼすかということを示唆した点に意義があるものと思われる。
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/aha2008.cgi/11-12/07.html
<コメント>
「コンプライアンス」と「アドヒアランス」の使い分けがおぼろげながらわかっただけでも今日の収穫でした。
「コンプライアンス」は日本でも法令遵守ということで、タクシー運転手からも聞かれるほどポピュラーになっています。
文中の「アドヒアランスは処方回数を観察期間の月数で割ったものとし,これが1年間で80%以上であればアドヒアランスは良好と判断」。
カナダの医師は1回の診察で平均30日分処方するということなのでしょうか。
最近、大病院では90日投薬も珍しくない国内では、きちんと通院している患者さんでも 1年4回処方÷12か月で33%となってしまいます。
ちょっと理解に苦しむ評価法のような気もしますが。

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他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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